松嶋、ホームリンク最終戦で優勝!ラストスケーティングは親友と共に

フィギュアスケート

 「那奈ちゃんがんば!」――。ホームリンクにこの大声援が鳴り響くのも、これが最後。東日本選手権(東日本)からわずか1週間、松嶋那奈主将(スポ4=東京・駒場学園)が、新横浜での最後の戦いに臨んだ。フリーで今季初の90点台をマークし、貫録の優勝。本人が「一番うれしい」と語る、国民体育大会(国体)での引退が現実のものとなった。

 「いつもより緊張できた」というこの日のスタート。冒頭のトリプルトーループは高く上がりすぎ、3回転―1回転に。しかし、東日本では入らなかったトリプルループと二つのコンビネーションジャンプを成功させると、松嶋に笑顔が戻る。このリンクで磨き上げてきたのは、ジャンプの技術だけではない。抑揚のある柔らかな表情や、スピン、コレオシークエンスなど一つ一つの細かなエレメンツ。年齢が上がるにつれこれらの評価が伸びたことは、この場所で培ってきた努力の成果にほかならない。終盤のジャンプではサルコーこそ抜けたが、二つのダブルアクセルは今大会でも完璧に決める。最大の得点源を取りこぼしながらも、演技構成点で補い90点超え。仲間やファンの期待に応え、見事神奈川女王に返り咲いた。

全身で今季最高の『トゥーランドット』を演じた松嶋

 これで残すは日本学生氷上競技選手権(インカレ)と国体のみ。インカレでは「総合優勝」という高い目標を掲げている。そして、神奈川県代表のパートナーはことしも親友の鈴木美桜(慶大)に決定した。共に笑い、共に泣き、共に強くなってきた二人。多くの4年生スケーターが感動を紡ぎ出してきた国体の舞台に、今度は『みおななコンビ』が立つ。「二人で表彰台に上って終わりたい」。神奈川を背負ってきた二人のスケート人生には、どんなエンディングが用意されているのだろうか。

(記事、写真 川浪康太郎)

結果

▽選手権女子

松嶋那奈 優勝 90.36点

コメント

松嶋那奈主将(スポ4=東京・駒場学園)

――フリーで今季初めての90点台が出ましたが、振り返って

ジャンプのミスやスピンのふらつきはあったのですが、鍛えてきた表現面が評価されて下の点数(演技構成点)がもらえたのかなと思います。

――東日本選手権(東日本)からわずか1週間でしたが、気持ちの切り替えはできていましたか

東日本では悔いは少し残っていたのですが、意外と晴れやかな気持ちで終われたので、気持ちは切り替えて次国体(国民体育大会)に出場するという目標に向かえていました。

――ホームリンクでの最後の大会でしたが、特別な思いはありましたか

いつもより緊張感を持てたというのはあって、応援してくださるクラブ員のみんなやファンの方がいたので、どんなにミスが出ても笑顔で滑り切ろうという気持ちでした。最後は笑顔で終われたのでよかったです。

――やはり声援は力になりましたか

そうですね。他の大会だとクラブ員が多く来るということはないのですが、ホームリンクだと声援がすごく多いのでうれしいですね。

――6分間練習からジャンプは好調に見えましたが、ご自身ではどう感じていましたか

東日本が終わってから調子がよくて、でも朝とかは思うように体が動かなくて跳べないことやタイミングが合わないこともありました。きょうの6分間練習では、少し体が上にいっていて重心に乗っていない感じはあったのですが、試合は何が起こるか分からないので、重心を下に下にという気持ちだけを持ってジャンプを跳びました。

――冒頭のジャンプの感触はいかがでしたか

一つ目が上がりすぎてしまって、ダブルをつけると他のコンビネーションに影響が出ると思いシングルに抑えました。

――ただ、トリプルループや東日本では入らなかったコンビネーションはしっかり決まりました

一つ目を失敗したことで動揺はしたのですが、切り替えなきゃ、楽しもうということで気合いで跳びました。二つ目のサルコーはいつもするようなミスをしてしまったので、ミスを減らさないとなという部分もあります。

――表現面は高評価をもらえたということですが

最初は少しこわばってしまったのですが、途中から笑顔を作ることができました。次からは最初から笑顔で滑れるようにしたいです。

――最後国体で引退を迎えられることはやはりうれしいですか

7年間出場してきて、先輩方が引退の場として滑る国体は見ていてとても気持ちがよくて、私もこの舞台で最後終われたらなという思いがあったので、国体で終われるということは一番うれしいです。

――日本学生氷上競技選手権(インカレ)、国体に向けた意気込みをお聞かせください

先月の東インカレ(東日本学生選手権)ではメイジに負けて悔しかったので、本戦こそは、優香ちゃん(永井、社1=東京・駒場学園)や美悠ちゃん(中塩、人通3=広島・ノートルダム清心)の足を引っ張らないように精一杯練習して、総合優勝できればいいなという気持ちでいます。国体もまた二人で表彰台に上って終わりたいので、相手のことも見つつ、自分のことを精一杯努力して練習して、さらに表現面を強化していきたいと思います。