力を存分に発揮できず 帝京大を相手に今季初黒星

ラグビー明大

 帝京大との一戦は、あいにくの曇天模様でキックオフとなった。ここまで関東大学対抗戦(対抗戦)を全勝で勝ち進んでいる両チーム。注目の試合を前に、東京・秩父宮ラグビー場には、大勢の観客がつめかけた。試合開始早々にペナルティーゴールで先制点を挙げるが、直後には、帝京大に逆転を許してしまう。その後は双方がナイスディフェンスを見せ、6ー12のロースコアで試合を折り返す。迎えた後半、明大は徐々に流れを掴みかけていたものの、奪えたトライは1つ。得点を取り返すことができないままノーサイドを迎え、悔しい敗戦となった。

 キックオフ直後、ペナルティーを獲得した明大がキックを選択し、これをCTB廣瀬雄也が着実に決め先制に成功する。しかしすぐに逆転トライを献上し、その後は帝京大に攻め込まれる時間が長く続いた。前半30分、粘り強く守っていた明大は攻撃のチャンスを得て、敵陣22メートルライン付近で細かくフェーズを重ねる。懸命にアタックを続けた明大だったが、強固な帝京大ディフェンスを前に惜しくもゴールラインには及ばず。それでも果敢に攻め続けると、帝京大スクラムから2連続でボールを奪取するなど、終盤にかけて着々と明大が流れを引き戻していく。そして前半終了間際、またもや敵陣で得たペナルティーから廣瀬がショットを成功させる。トライは奪えなかったものの、6点差という僅差に迫ってハーフタイムを迎えた。

 

敵陣に踏み込むプロップ為房

 後半、このまま流れを掴むかと思われたが、敵陣奥深くでのパスミスから帝京大にボールを奪われ、早々に手痛い独走トライ。さらに1トライを追加され、20点差となった後半16分。ここまで敵陣でプレーできない時間が続いていた明大は、思わぬ形で今試合初トライに成功する。ハーフライン付近で左右に展開されていたボールを、廣瀬が見事に奪取。このチャンスを逃さずに廣瀬がインゴールを駆け抜け、喜びをあらわにした。このトライを機に、反撃ののろしになるかと思われたものの、この後は得点を奪えない。セットプレーでも劣勢となり、苦しい時間帯が続いてしまった。「自分たちとしてもどこに攻めるのかというのが定まりませんでした」とWTB石田吉平主将が話したように、最後まで明大は攻撃の糸口を掴むことができず、13ー29で試合を終えた。

 

インゴールに向かうCTB廣瀬

 試合後の会見で「帝京大学さんが相手ということで気合が空回りしてしまったということもある」と話した石田主将。その一方で、序盤では調整が上手くいかなかったスクラムが試合を通してアジャストしていったことについて、監督も「修正力という点ではよかったのではないか」と振り返る。今試合では相手のプレッシャーを受け、存分に力を発揮することができなかった明大。石田主将を中心としてチームの方向性を同じくし、対抗戦最終節となる明早戦に向けて調整を重ねていく。

(記事 濵嶋彩加、写真 森田健介)

コメント ※記者会見より抜粋

神鳥裕之監督

――今日の試合を振り返って

 我々としても初の秩父宮での試合ということで、相手も帝京大学さんだったので、なんとかチャレンジしたいと思いましたが、やはり帝京大学さんのフィジカルや力強さが素晴らしかったと思います。悔しい思いというものをしっかりと次のパワーに変えて、対抗戦の残り一試合や大学選手権(全国大学選手権)がありますので、またチャレンジできることを信じて頑張っていきたいと思います。

――後半にスクラムを修正されていたと思いますが、ハーフタイムでの指示は

 ハーフタイムを挟んでというよりも、前半の後半あたりからアジャストしてくれていて、選手たちが組む中で調整していました。修正力という点ではよかったのではないかと思います。

――FWのメンバーの交代時間について

 スクラムはかなり相手の強みでもありますし、我々としても自信のあるパックは当然先発で出ているメンバーですので、そのメンバーでやれるところまでチャレンジしました。残りの1、2分で交代で入ったメンバーが、最後いいスクラムを組んでくれましたのでそういった意味でも収穫はありました。

WTB石田吉平主将

――今日の試合を振り返って

 僕たちのラグビーをできず、点差以上に力の差を感じました。自分たちのミスが多く、後半はプレーをさせてもらえない状況でしたが、自分たちの目標は変わらないので、これからしっかりと修正して決勝の舞台でゲームできるように準備していきたいと思います。

――なかなかアタックで帝京大のディフェンスを破れませんでしたが、どのように感じていましたか

 自分たちが準備してきたものを出せずにパニックになってしまい、自分たちのラグビーができずに帝京さんに負けてしまったので、秩父宮という舞台でだいぶ差が出てしまったのかなと思います。パニックになって飲み込まれ、自分たちのアタックができなかったので、そこが反省点かと思います。

――緊張があったということでしょうか

 緊張はありましたし、緊張して自分たちのプレーが出せなかったと思うので、そこを修正していきたいと思います。

――前半の後半部分ではスコアは動かないものの、明治がボールを持つ展開でした。その時間帯につかんだ手応えなどはありますか

 フィジカルの部分では負けていませんでしたし、自分たちの強みを確認できたのでそこをしっかりと出していこうと思ったのですが、自分たちとしてもどこに攻めるのかというのが定まりませんでした。そこはキャプテンである自分の責任であると思いますし、チームの方向性というものをしっかりと決めて、準備していきたいと思います。

――パニックになって自分たちのアタックができなかったということは、初めて秩父宮で戦ったからでしょうか

 秩父宮のプレッシャーもありましたが、帝京さんが相手ということで気合が空回りしてしまったということもあると思います。

関東大学対抗戦
明大 スコア 帝京大
前半 後半 得点 前半 後半
12 17
13 合計 29
【得点】▽トライ 廣瀬 ▽ゴール 廣瀬(1G2PG)
※得点者は明大のみ記載
 
関東大学対抗戦Aグループ得点表(11月21日現在)
チーム 勝ち点 試合 得点 失点 得失 トライ
帝京大 30 392 60 332 59
早大 19 211 50 161 32
明大 24 332 81 251 50
慶大 19 146 91 55 20
日体大 46 449 -403
筑波大 12 152 148 -4 23
青学大 111 258 -147 15
立大 94 296 -202 12
 
 
関東大学対抗戦Aグループ星取表
  帝京大 早大 明大 慶大 日体大 筑波大 青学大 立大
帝京大

〇49―17

7T7G

〇29―13

4T3G1PG

12/3 14:00

秩父宮

〇129-6

19T17G

〇45―20

7T5G

〇52-0

8T6G

〇88-0

14T9G

早大  

●17-49
3T1G

12/4 14:00

国立

11/23 14:00

秩父宮

〇102-0
16T11G

〇23-17
2T2G3PG

〇38-3
6T4G

〇31-7
5T3G

明大

●13-29

1T1G2PG

12/4 14:00

国立

 

〇54―3
8T7G

 

〇74―0
12T7G

〇33-22
5T4G

〇70-27
10T10G

〇88-0
14T9G

慶大

12/3 14:00

秩父宮

11/23 14:00

秩父宮

●3-54
1PG

〇43-8
7T4G

〇16-12

1T1G3PG

〇48―10

7T5G1PG

〇36-7

5T4G1PG

日体大

●6-129

2PG

●0-102

 

●0-74

 

●8-43

1T1PG

12/4 14:00

熊谷

●12-52

2T1G

●10-63

2T

筑波大

●20-45

2T2G2PG

●17-23

3T1G

●22-33

5T4G

●12-16

2T1G

12/4 14:00

熊谷

〇38―14

5T5T1PG

〇43-17

7T4G

青学大

●0-52

 

●8-38

1T1PG

●27-70

2T2G2PT2PG

●10-48

2T

〇52-12

8T6G

●14―38

2T2G

12/4 11:30

熊谷

立大

●0-88

 

●7-31

1T1G

●0-88

 

●7-36

1T1G

〇63―10

8T8G1PT

〇63-10

8T8G1PT

12/4 11:30

熊谷

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、国立は国立競技場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、敷島は群馬・アースケア敷島サッカー・ラグビー場、新潟は、新潟市陸上競技場、月寒は北海道・月寒野外競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、太田は群馬・太田市運動公園陸上競技場、小田原は神奈川・小田原市城山陸上競技場、大和は神奈川・大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。

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