秋晴れの穏やかな空が広がる東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場。開幕戦から4連勝中の明大が向かう相手は、昨年13―12のわずか1点差で苦杯を喫した難敵・慶大だ。前半開始早々、SO伊藤耕太郎が先制点を挙げる。その後、自陣深くに攻め入れられる場面はあったものの、突破を許さない明大のディフェンス力が光った。エンジン全開のアタックで着実にトライを重ね、慶大を圧倒。最終スコア17―46で、慶大に快勝し、対抗戦後半戦に弾みをつけた。
開始早々、試合は動く。前半4分、明大ボールのラインアウトから左にボールを展開。SH飯沼蓮からパスを受けた伊藤がギャップを突いて駆け抜け、先制トライを挙げた。その後はセットプレーで、互いに譲らぬ状態が続く。慶大アタックによる13フェーズの長期戦を制したのは明大。18分、慶大のオフサイドからPGを選択し、得点を0―10にする。21分、慶大に1トライを献上するが、直後には、敵陣でフランカ―福田陸人をはじめとするFW陣がフェーズを重ね、最後はディフェンスラインを突破したWTB秋濱悠太が左中間でグラウンディング。35分、マイボールスクラムから出たボールを素早く展開、相手の防御を突破した伊藤からWTB石田吉平へのオフロードパスが成功し、そのままインゴールへ飛び込み、得点。これをCTB廣瀬雄也が確実にゴールを成功させ、追加点を獲得した。それ以降は自陣深くに攻め入れられるが、慶大のトライを許さず自陣インゴール内でグランディングし、ピンチを耐え凌ぐ。明大の流れを乱すことなく試合をリードし、前半を5―24で折り返した。

トライの起点となり、攻撃を仕掛けるSH飯沼蓮
後半開始直後も、攻撃の手を緩めない明大。後半4分、マイボールスクラムで慶大のアーリーエンゲージの反則。ハーフウェーライン付近から廣瀬によるPGで得点を挙げる。続く8分、敵陣ゴール付近でのラインアウトから左に展開。明大は伊藤、プロップ村上慎と続いて大きくゲイン、すぐさま石田がディフェンスの隙を突破し、インゴールへ持ちこんだ。12分には、慶大のセットプレーを起点とする自陣でのアタックに苦しむ展開に。『重戦車』と評されるFW陣を中心に守備を固めるものの、膠着(こうちゃく)状態が続いた後の23分、慶大に大きくゲインされ、二度のインゴールを明け渡してしまう。しかし、ここですぐに修正力を見せた明大。FWとBK共に連携したプレーで、左右を広く使ったアタックを重ね、29分、38分と石田が連続トライし、試合を決定づけた。試合終盤は、慶大に反撃の隙を与えずにロスタイムも制し、ボールを外に蹴り出してノーサイド。17―46で慶大を下し、昨年の雪辱を果たした。
慶大の猛アタックから自陣を防御するフランカー福田陸人、今試合のPOMにも輝いた
振り返ってみると、BK陣のみで6トライを獲得。隙のない守備を光らせたFW陣だけでなく、スキルの高いBK陣が存分に力を発揮した。特に特筆すべきは、セブンズ日本代表で培った圧倒的な突破力とランで4トライの活躍を見せた石田。チャンスをものにし、防御の隙間を抜ける巧みなランでトライを量産した。また、今試合スタメンに復帰したFB雲山弘貴は高精度なキックでチャンスメイク。得意とする多様なキックを生かせたことは、勝利の要因ともいえるだろう。次戦は、早大に勝利し、明大と同じく対抗戦5連勝中の帝京大との対決。セットプレーやコンタクトの面で明大の強みをいかに発揮できるかが勝利のカギとなる。残り2週間で入念な準備をし、対抗戦3連覇を目前にどのような攻撃を仕掛けるか、明大のさらなる進化に目が離せない。
(記事 谷口花、写真 大滝佐和)
コメント
神鳥裕之監督
――今日の試合を振り返って
点差以上に慶応大学さんの最後まであきらめないプレッシャーを非常に感じて戦ったゲームでした。またその中でも、しっかりと展開して勝負に結びつける、非常に価値ある1勝だったかなと思います。ここからが本番という気持ちもありますので、もう二つ(試合)、全国大学選手権にむけてしっかりいい準備をしていきたいと思います。
SH飯沼蓮主将
――今日の試合を振り返って
慶応大学さんには昨年負けていたので、チャレンジャーとして準備をしていこうと話していました。今回は、明治もキックを多く使うというゲームプランを実行しました。今までキックのゲームはしてこなかったのでキックも使えるということで、明治としては成長できたと思います。
――帝京大戦に向けて
帝京はFW一人一人が強くて、やはりコンタクトの部分の激しさだったり、フィジカルバトルになるだろうと思います。でもそこは明治も強みにしているところなので、我慢くらべになると思います。
関東大学対抗戦 | ||||
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明大 | スコア | 慶大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
3 | 3 | T | 1 | 2 |
3 | 2 | G | 0 | 1 |
1 | 1 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
24 | 22 | 計 | 5 | 12 |
46 | 合計 | 17 | ||
【得点】▽トライ 伊藤、秋濱、石田4 ▽ゴール 廣瀬(4G、2PG)、齊藤(1G) | ||||
※得点者は明大のみ記載 |
関東大学対抗戦Aグループ得点表(11月4日現在) | |||||||||
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チーム | 勝ち点 | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失 | トライ |
明大 | 25 | 5 | 5 | 0 | 0 | 265 | 51 | 214 | 41 |
早大 | 20 | 5 | 4 | 0 | 1 | 263 | 51 | 212 | 41 |
帝京大 | 23 | 5 | 5 | 0 | 0 | 292 | 47 | 245 | 45 |
慶大 | 15 | 5 | 3 | 0 | 2 | 153 | 104 | 49 | 25 |
筑波大 | 5 | 4 | 1 | 0 | 2 | 55 | 50 | 5 | 7 |
青学大 | 0 | 4 | 0 | 0 | 4 | 30 | 205 | -175 | 3 |
立大 | 0 | 4 | 0 | 0 | 4 | 12 | 282 | -270 | 2 |
日体大 | 0 | 4 | 0 | 0 | 3 | 15 | 185 | -170 | 2 |
関東大学対抗戦Aグループ星取表(11月4日現在) | ||||||||
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明大 | 早大 | 慶大 | 帝京大 | 筑波大 | 日体大 | 立大 | 青学大 | |
明大 | * |
12/5 14:00 秩父宮 |
〇46-17 |
11/20 14:00 秩父宮 |
〇53-14 |
〇46-10 |
〇68-7 |
〇52-3 |
早大 |
12/5 14:00 秩父宮 |
* |
11/23 14:00 秩父宮 |
●22-29 3T2G1PG |
〇21-14 |
14T13G |
〇70-0 |
〇61-13 |
慶大 |
●17-46 |
11/23 14:00 秩父宮 |
* |
12/4 13:00 秩父宮 |
●12-34 |
〇43-5 |
〇41-5 |
〇40-14 |
帝京大 |
11/20 14:00 秩父宮 |
〇29-22 |
12/4 13:00 秩父宮 |
* |
〇17-7 |
〇91-18 |
〇103-0 |
〇52-0 8T6G |
筑波大 |
●14-53 |
●14-21 |
〇34-12 3T3G 1PT1PG 1DG |
●7-17 |
* |
11/27 14:00 江戸川 |
11/20 11:30 秩父宮 |
11/7 13:00 青学大G |
日体大 |
●10-46 |
●0-96 |
●5-43 |
10/24 13:00 帝京大G |
11/27 14:00 江戸川 |
* |
11/7 13:00 日体大G |
11/20 13:00 大和 |
立大 |
●7-68 |
●0-70 |
●18-91 |
●0-103 |
11/20 11:30 秩父宮 |
11/7 13:00 日体大G |
* |
11/27 11:30 江戸川 |
青学大 |
●3-52 |
●13-61 |
●14-40 |
●0-52 |
11/7 13:00 青学大G |
11/20 13:00 大和 |
11/27 11:30 江戸川 |
* |
※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、足利は足利市総合運動公園陸上競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、明大Gは明大八幡山グラウンド、敷島は群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。