関東大学対抗戦(対抗戦)3勝2敗中の明大は、帝京大と対戦した。前半はFWが封じられ3-28。ペナルティーやミスで攻撃のリズムがつかめない。それから一転、後半は流れを引き寄せ2トライを挙げる。17-36でノーサイドを迎えたが、明大は春の60点差での敗戦から大きく力の差を縮めた。
開始8分にミスから先制点を献上。その後FB高平祐輝がゴールラインまで迫るも、ペナルティーから好機を逃してしまう。逆に帝京大ラインアウトから簡単にトライされるなど、明大は不安な立ち上がりを見せた。16分にはゴール正面からのPGをSO茂木直也が決めたが、前半終了まで追加点が奪えない。丹羽政彦監督の「2トライくらい余計に取られてしまった」という言葉通り、ラインアウトの失敗やディフェンスのミスで帝京大の猛攻を許してしまった。
久々の出場となった高平
後半序盤は敵陣に入ることができなかった明大だが、そこから徐々に調子を上げた。14分、高平の左サイドへの機転の利いたパスで、帝京大の守備に風穴をあける。それを起点にBKで展開し、茂木が中央に切り込んでトライ。明大はワンチャンスをものにする。「思っていたよりも高いパフォーマンスができた」と、復帰を果たしたSH山口修平も敵を惑わせるパスワークで連続攻撃を演出。大学王者に積極的に食らいついていく。31分には交代直後のNO・8朴鐘圭がスクラムから飛び出してゲイン。近場を攻めて最後は朴がインゴールに飛び込み、フィジカルの強い相手に『重』の明大の真価を見せつけた。前半の差は埋められなかったが、後半のスコアを見れば14-8と帝京大相手に善戦した。
茂木はキレのある動きでチームに貢献した
「後半は良いかたちでトライを取れたので、失点を減らしていければ」(丹羽監督)。前半はミスが目立つも、後半堂々たる戦いぶりを見せた明大。プレーの精度を高められれば、さらなる成長を遂げることができるだろう。次に控えるのは対抗戦の最終戦である、伝統の早明戦。展開ラグビーを持ち味とする早大に、どうディフェンスするのかがカギだ。改修前最後の国立競技場で、両校の意地が激突する。
(記事 田中みずき、写真 森健悟)
関東大学対抗戦 | ||||
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明大 | スコア | 帝京大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
0 | 2 | T | 4 | 1 |
0 | 2 | G | 4 | 0 |
1 | 0 | P | 0 | 1 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
3 | 14 | 計 | 28 | 8 |
17 | 合計 | 36 | ||
【得点】▽トライ 茂木、朴 ▽ゴール 茂木(2G) | ||||
※得点者は明大のみ記載 |
コメント
丹羽政彦監督
――試合の振り返りをお願いします
結果は負けてしまったので残念でした。前半は風下ということで、相手のキックに対するディフェンスを意識しました。相手のディフェンスラインが上がったところで裏に蹴ろうと思っていたのですけど、帝京大の近場のディフェンス意識が高く前に出れませんでした。勝負所のラインアウトやディフェンスのミスがつながって前半で2トライくらい余計に取られてしまったと思います。後半は気持ちを入れ替えてアタックをしていいかたちでトライを取れたので、失点を減らしていければというところでした。春に70点くらい差をつけられたところからここまできましたので、次のステージに行ったときに帝京大と対戦できるように準備をしていきたいです。
――後半からいいプレーが目立ちましたが、ハーフタイムでの指示内容を教えてください
ディフェンスの部分です。前半は前に出てしっかり止めていこうという話をしていて、そこのところの修正です。FWの近場のところで地道に前には出れていたんですけど、2人目のサポートプレーヤーが遅く、ペナルティーがあったのでその修正をしようというところです。勝負所のラインアウトが全然とれていなかったのでその部分も話しました。スクラムは悪くなかったのでそこでプレッシャーをかけていこうと確認しました。
――次の早大戦に向けてどのような準備をしていきますか
今シーズン通してやってきているラグビーをさらにクオリティーを上げていきます。この試合も後半の戦い方は良かったですし、フィジカルの部分で裏をとられることがありましたが、そのことに対してしっかり低いタックルに入ろうということです。ディフェンスサポートも速くして、ボールの争奪戦で最悪でもスローペースにすることを徹底していきます。早大はボールを動かして速いテンポで展開してくるので、ディフェンスの局面で頑張っていきます。セットプレーを中心としたボールを動かして前に出るラグビーをするということに尽きると思います。
SH山口脩平
――試合の振り返りをお願いします
負けてはしまいましたが、春、夏と対戦していく中で徐々に点数も縮まってきていて、自分たちがやれるラグビーの幅が広がってきたと感じています。個人としてはBKでゲインをして勝負できる場面があって、ディフェンスでも前に出れる場面が多くなったので自信になった試合だと思います。FWが近いところを圧倒されてしまって簡単にスコアされることがあったのでそこを修正していきたいです。
――久し振りの出場となりましたが、感触はいかがでしたか
復帰戦が帝京大戦ということで不安もあったんですけど、自信を持ってやろうと言い聞かせてプレーしたら思っていたよりも高いパフォーマンスができたのでよかったと思っています。