序盤の天王山 好機を活かせず敗戦

ラグビー慶大

 どんよりとした曇り空の栃木・足利市総合運動場。この地で慶大は宿敵筑波大と対戦した。筑波大は関東大学対抗戦(対抗戦)でここ2年間一度も勝利出来ていない因縁の相手だ。それだけに3年ぶりの勝利を飾りたい慶大だったが、先制点を奪われ厳しい戦いを強いられる。相手BK陣のスピードやディフェンスの集中力を慶大は上回ることが出来ず、10―34で黒星を喫した。

   

 相手をかわしトライをあげるSH山田響

 試合開始早々からゲームは動く。2分、筑波大が慶大陣地5メートルで得たラインアウトからモールを組みゲイン。フェーズを数回重ねられた後、必死のディフェンスも虚しく先制を許す。しかし10分、SH山田響のキックを起点に敵陣5メートル付近でラインアウトを得る。FWのアタックから、ボールを受けたCTBイサコ・エノサが中央付近にトライ。ゴールも決まり同点に追いつく。さらに15分には勢いそのままに攻撃を展開。FB中楠一期からハーフウェイライン付近でボールを受けた山田が持ち前のスピードを活かしながら敵をうまくかわし、逆転に成功する。その後、ゴールラインまで数メートルにまで迫る攻撃を見せるものの、筑波大のディフェンスの前に追加点を奪うことは出来ない。すると今度は筑波大のルーキーに得点を許し、逆転されてしまう。前半終了間際には、20フェーズを超す粘りの攻撃を見せるがパスミスを犯し、こぼれたボールからカウンターを受けトライを許し、前半を24―10で折り返した。

 後半は終始筑波大のペースで試合が展開された。開始直後にチャンスを迎えるが、筑波大の堅い守備を破れず反則を犯して得点を奪えない。その後は筑波大にトライやペナルティゴールによってコンスタントに追加点を許し、慶大の強みを発揮することが出来なかった。後半は無得点に終わり、34―10で敗北し、対抗戦の成績を1勝1敗とした。 

 

後半ゲインをするWTBアイザイア・マプスア

 この試合は前半最後のプレーが試合結果に直結した。「得点だけでなく、精神的にもダメージが大きかった」と栗原徹監督が話すように、慶大にとっては痛い失点になった。また、ブレイクダウンでターンオーバーをされる回数やノットリリースザボールなどの反則が多く、前節同様にミスでチャンスを失う場面が多く見られた。しかし、「前半はディフェンスの部分で止められていた」と原田主将が話すように、ディフェンスの部分やラインアウトからの攻撃、BK陣の個人技は光るものを見せた。ここでの敗北をどのように次戦以降につなげるか。戦いはまだまだ始まったばかりだ。

 (記事 森田健介、写真 橋口遼太郎)

コメント ※関東大学ラグビー協会提供

栗原徹監督

――リザーブ6人がFWであった狙いを教えてください。

 FW戦でタフになることを想定して入れました。 

――前半最後のプレーが大きく試合に響いたように思われますが、前半最後のプレーを振り返っていただけますか。

 チャンスはありましたが決めきることが出来ず、逆に大畑(WTB大畑亮太・筑波大)くん、松永(FB松永貫汰・筑波大)くんに切り返されて決められてしまい、得点だけでなく、精神的にもダメージが大きかったのではないかと思います。

――キックのミスやハイパントからトライを奪われる場面がありました。この点での反省点を教えてください。

 筑波大学さんのディフェンスが強固なので上手くキックを使っていかなければならないと思っていましたが、プレッシャーの中でシンプルなスキルミスも多かったですし、こぼれ球への反応も筑波大学さんの方が上回っていたと思うので、次に向けて修正していきたいと思います。

――筑波大学が想定よりも上回っていた点・慶應としてはどこが足りていなかったか教えてください。

 ブレイクダウンの部分が想定よりも上回っていたと思います。想定はしていましたが、こちらの予想以上にしつこくてタフなブレイクダウンになったと思います。

――次は青山学院大学戦になると思いますが次戦に向けての抱負をお願いします。

 今日出た課題を練習して、一つでも多く成長できるようにしていきたいと思います。

フッカー原田衛主将

――前半最後にトライを奪われました。どのような声掛けをしましたか。

 前半はディフェンスの部分でしっかりと止めることが出来ていたので、アタックのミスからトライを奪われたものが2本あって、しっかりと切り替え、後半は強みであるディフェンスを出そうという話をしました。

――敵陣ゴール前でなかなかスコアが出来ないシーンが続きました。このようになってしまった原因を教えてください

 準備していたプレーもありましたが、筑波大学さんのディフェンスが想像以上に強く、ブレークダウンで受けてしまい良いアタックが出来なかったのではないかと思います。

――次の試合は青山学院大学戦になると思いますが、次の試合に向けての抱負をお願いします

 2週間準備出来る期間があるので、しっかりと準備して臨みたいと思います。

 

関東大学対抗戦
慶大 スコア 筑波大
前半 後半 得点 前半 後半
2 0 3 0
1 0 3 1
0 0 0 1
0 0 1 0
12 0 24 10
12 合計 34
【得点】▽トライ イサコ、山田 ▽ゴール 中楠(1G)
※得点者は慶大のみ記載
 
関東大学対抗戦Aグループ得点表(9月26日現在)
チーム 勝ち点 試合 得点 失点 得失 トライ
早大 10 2 2 0 0 166 0 166 26
明大 10 2 2 0 0 120 10 110 18
帝京大 9 2 1 0 0 69 7 62 10
慶大 5 2 1 0 1 55 39 16 9
筑波大 4 2 1 0 1 41 29 12 5
青学大 0 2 0 0 2 3 104 ‐101 0
立大 0 2 0 0 2 7 138 -131 1
日体大 0 2 0 0 2 5 139 -135 1
関東大学対抗戦Aグループ星取表(9月18日現在)
  明大 早大 慶大 帝京大 筑波大 日体大 立大 青学大
明大

12/5 14:00

秩父宮

11/3 14:00

駒沢

11/20 14:00

秩父宮

10/24 13:00

セナリオH

10/9 14:00

江戸川

〇68-7
10T9G

〇52-3
8T6G

早大

12/5 14:00

秩父宮

11/23 14:00

秩父宮

11/3 11:30

駒沢

10/9 11:30

江戸川

〇96-0

14T13G

〇70-0
12T5G

10/23 13:00

敷島

慶大

11/3 14:00

駒沢

11/23 14:00

秩父宮

12/4 13:00

秩父宮

〇12-34
2T1G

〇43-5
7T4G

10/23 13:00
セナリオH

10/10 13:00

慶大G

帝京大

11/20 14:00

秩父宮

11/3 11:30

駒沢

12/4 13:00

秩父宮

〇17-7
2T2G1PG

10/24 13:00

帝京大G

10/10 13:00

帝京大G

〇52-0

8T6G

筑波大

10/24 13:00

セナリオH

10/9 11:30

江戸川

〇34-12

3T3G

1PT1PG

1DG

〇7-17
1T1G

11/27 14:00

江戸川

11/20 11:30

秩父宮

11/7 13:00

青学大G

日体大

10/9 14:00

江戸川

〇0-96

〇5-43
1T0G

10/24 13:00

帝京大G

11/27 14:00

江戸川

11/7 13:00

日体大G

11/20 13:00

大和

立大

9/18 15:00

敷島

〇0-70

10/23 13:00
セナリオH

10/10 13:00

帝京大G

11/20 11:30

秩父宮

11/7 13:00

日体大G

11/27 11:30

江戸川

青学大

〇3-52
1PG

10/23 13:00

敷島

10/10 13:00

慶大G

〇0-52

11/7 13:00

青学大G

11/20 13:00

大和

11/27 11:30

江戸川

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、足利は足利市総合運動公園陸上競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、明大Gは明大八幡山グラウンド、敷島は群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。