つかみかけた勝利 白熱の戦いは明大に軍配

ラグビー慶大

 関東大学対抗戦(対抗戦)第5戦、慶大は対抗戦いまだ負けなしの強豪・明大と対戦した。前半はキックを多用した素早い攻撃と低いタックルで攻守ともに相手を圧倒。22-0と完封で前半を折り返す。一方的な展開になるかと思われたが、後半は一転して明大ペースとなった。相手の怒涛(どとう)の反撃に押され1トライ差まで迫られると、最後は逆転を許し29-31で敗戦。勝利を目前に力尽きた。

 前半は慶大のペースで試合が動いた。試合開始早々から敵陣に侵入し、PGの権利を得るなど攻勢を強める。8分にはマイボールでのスクラムからSH中鉢敦がボールを運び、FB丹治辰碩が先制トライを果たした。その後、両チームとも幾度となく攻撃を仕掛けるもののなかなか得点につながらない時間帯が続く。しかし27分、相手のラックからのこぼれ球を素早く確保すると、オフロードパスでつないでいき最後はフランカー松村凜太郎がボールをインゴールへ持ち込んだ。さらに35分にはSO古田京が敵陣10mラインからDGを鮮やかに決め、点差を一気に広げる。終了間際にも丹治のランに相手がひきつけられたところを、古田が内側のスペースに走り込みトライを演出した。低く鋭いタックルと高い判断力を活かした前に出るディフェンスで明大を封じ込め、22-0で前半を折り返す。

復帰後、初の試合で先制トライを決めた丹治

 後半に入ると明大の勢いに徐々に押され始めた。11分に自陣ゴール前でモールを組まれるとそのまま押し切られ、初の失トライ。だが慶大も18分には相手のペナルティーからボールを獲得すると、ロック豊田祥平がゴール前まで進み、最後は中鉢がラックサイドを突いてトライを奪い返した。しかしここから明大に流れが傾き始めてしまう。27分、自陣でのラインアウトからフェーズを重ねられてトライを奪われると、立て続けに失点。1トライ差まで詰め寄られてしまう。逃げ切りたい慶大だったが、相手の猛攻に押され自陣ゴールライン前に釘付けにされた。ロスタイムに入っても明大の総攻撃は続く。勝利をかけた気迫のぶつかり合いは10分超に及ぶも、最後は相手にペナルティートライが認められ同点に追いつかれた。冷静にゴールキックを決められ、29-31でノーサイド。終了間際まで意地の粘りを見せるも、耐え切れず悔しい敗戦となった。

後半で唯一の得点を挙げた中鉢

 今回の試合も慶大のディフェンスが機能する場面が多く見受けられた。特に前半は出足の鋭いタックルで相手を足止めし、攻撃のチャンスをつぶすことに成功している。さらにブレイクダウンでは何度もボールを奪い取り、自身の好機を演出した。アタックでもキックを活用した多彩な攻撃を仕掛け、トライにつなげている。しかし、問題はこうしたプレーの精度を最後まで維持できなかったことだ。後半になるとタックルミスが増え、明大にディフェンスラインを割られる回数が多くなっている。ターンオーバーに成功したとしても、得点に結びつけることに失敗した。いかに高い集中力を持続できるかが今後のカギとなる。まだ対抗戦が終わったわけではない。次はいよいよ早慶戦だ。慶大の質の高いプレーをぜひ伝統の一戦で見せてほしい。

(記事 佐々木一款、写真 寺脇知佳、新開滉倫)

関東大学対抗戦
慶大 スコア 明大
前半 後半 得点 前半 後半
22 31
29 合計 31
【得点】▽トライ 松村、中鉢、古田、丹治 ▽ゴール 古田(3G、1D)
※得点者は慶大のみ記載

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関東大学対抗戦Aグループ星取表(11月6日終了時)
  帝京大 明大 筑波大 早大 慶大 青学大 日体大 成蹊大
帝京大 11/20 14:00

秩父宮
12/3 14:00

秩父宮
○75-3 ○42-31 ○111-0 ◯134-3 ◯91-0
明大 11/20 14:00

秩父宮
○48-28 12/4 14:00

秩父宮
◯31-29 ◯60-5 ◯79-0 ◯70-0
筑波大 12/3 14:00

秩父宮
●28-48

●12-46 ●20-28 ◯15-13 ◯46-14 11/19 14:00

江戸川
早大 ●3-75 12/4 14:00

秩父宮
◯46-12 11/23 14:00

秩父宮
◯48-19 ◯45-40 ◯71-0
慶大 ●31-42 ●29-31 ○28-20 11/23 14:00

秩父宮
12/3 14:00

熊谷B
○55-0 ◯85-7
青学大 ●0-111 ●5-60 ●13-15 ●19-48 12/3 14:00

熊谷B
11/19 14:00

三ツ沢
○21-3
日体大 ●3-134 ●0-79 ●14-46 ●40-45 ●0-55 11/19 14:00

三ツ沢
11/26 14:00

江戸川
成蹊大 ●0-91 ●0-70 11/19 14:00

江戸川
●0-71 ●7-85 ●3-21 11/26 14:00

江戸川
※秩父宮は秩父宮ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、浜川は高崎市浜川陸上競技場、月寒は札幌月寒ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、熊谷Bは熊谷ラグビー場Bグラウンド、江戸川は江戸川区陸上競技場、海老名は海老名運動公園陸上競技場、慶大日吉Gは慶大日吉グラウンド、三ツ沢はニッパツ三ツ沢球技場。
関東大学対抗戦Aグループ順位表(11月5日現在)
順位 チーム 試合 得点 失点 得失 トライ
帝京大 453 37 416 69
明大 288 62 226 43
早大 213 146 67 33
慶大 228 73 155 33
筑波大 121 149 -28 18
青学大 58 237 -179
日体大 57 359 -302
成蹊大 10 338 -328
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。

コメント

金沢篤ヘッドコーチ

――きょうの試合を振り返っていかかがですか

明大との試合なのでとてもタイトな戦いになると思っていました。選手は最後まで死力を尽くしてやってくれました。選手がしっかりと力を発揮した試合なので次につながるようにやっていきたいと思います。これで最後というわけではなく、再び大事な試合があるのでそこに向けて修正して次はしっかり勝ちたいと思います。

NO・8鈴木達哉主将

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうの試合は前半から自分たちの普段通り低いディフェンス、ブレイクダウン圧力をかけられたのですが、後半は明大のセットプレーや前に出る勢いに最後屈してしまったのかなと思います。ただこのチームは敗北から何かを得てまた前に出ることができるチームだと思うので早大戦に向けて頑張っていきたいと思います。