関東大学対抗戦(対抗戦)の初戦、筑波大戦を激闘の末制し、勢いに乗る慶大は、成蹊大との試合に臨んだ。前半は早い段階から得点を取ると、固いディフェンスで相手を自陣に入れず試合を展開。8つのトライを奪い、50-0で前半を折り返した。後半は自陣でボールが動く展開が目立ち始め、相手に失点を許す場面もあった。しかし勢いは依然として慶大にあり、得点を積み重ねていく。結果、85-7の圧勝で対抗戦2戦目を白星で飾った。
前半、早い段階から試合は動いた。試合開始から2分、SO古田京が右側に相手を寄せ、空いたスペースにCTBの堀越貴晴が切り込む。堀越は相手ディフェンスに捕まるも、走り込んできたCTB今成哲がボールを受け取りそのままトライ。さらに6分に追加点を挙げると、完全にペースをつかみ始める。22分には、接点からボールを直接持ち出したSH中鉢敦がラックサイドに生じたスペースを突いて、インゴールを割った。その後も猛攻は止まらず、トライを量産していく。また前に出てディフェンスすることでプレッシャーをかけ、相手が自陣でプレーすることを許さない。主導権を握った慶大は8トライを獲得し、50-0で前半を終えた。
ディフェンスの一瞬の隙を突き、前へと進む中鉢
後半は、前半と一転して成蹊大に迫られる場面から始まった。4分には自陣のゴール前まで攻め込まれる。しかしこのピンチを粘り強いディフェンスで押し返し、10分には逆に慶大がトライを挙げた。続いて14分、途中出場したNO・8川合秀和は中鉢からパスを受け取ると、相手を引きずりながらボールをインゴールに持ち込む。その後も慶大は得点を重ねていった。しかし30分で隙を突かれ、FWのしつこいアタックで成蹊大にトライを奪われてしまう。慶大はその後トライを決めるも、以後は目立った動きもなくノーサイド。85-7の大勝で対抗戦2戦目を終えた。
対抗戦初出場ながら2トライを決めた川合
試合を通して慶大の強みであるディフェンスでプレッシャーをかけていくプレーが見られた。前に出て守ることで相手の攻撃の機会を減らし、失点を最小限に抑えることができた。しかし後半はペナルティーが目立つようになり、自陣でプレーすることが多い。今後は、ミスを減らしてプレーの精度を上げていくことが重要であろう。次の日体大戦では、ディフェンスにさらに磨きをかけ、最後まで質の高いラグビーが見られることに期待がかかる。
(記事 坂巻晃乃介、写真 大庭開、喜柳純平)
関東大学対抗戦 | ||||
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慶大 | スコア | 成蹊大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
8 | 5 | T | 0 | 1 |
5 | 5 | G | 0 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
50 | 35 | 計 | 0 | 7 |
85 | 合計 | 7 | ||
【得点】▽トライ 松岡、佐藤大、豊田祥、中鉢3、堀越2、今成、金澤、山中、川合2 ▽ゴール 古田(9G)、青井(1G) | ||||
※得点者は慶大のみ記載 |
関東大学対抗戦Aグループ星取表(10月2日現在) | ||||||||
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帝京大 | 明大 | 筑波大 | 早大 | 慶大 | 青学大 | 日体大 | 成蹊大 | |
帝京大 | * | 11/20 14:00 秩父宮 |
12/3 14:00 秩父宮 |
11/6 14:00 秩父宮 |
10/23 14:00 秩父宮 |
10/9 14:00 帝京大G |
◯134-3 | ◯91-0 |
明大 | 11/20 14:00 秩父宮 |
* | 10/16 14:00 浜川 |
12/4 14:00 秩父宮 |
11/6 11:30 秩父宮 |
◯60-5 | ◯79-0 | 10/23 14:00 上柚木 |
筑波大 | 12/3 14:00 秩父宮 |
10/16 14:00 浜川 |
* | ●12-46 | ●20-28 | ◯15-13 | 11/6 14:00 熊谷B |
11/19 14:00 江戸川 |
早大 | 11/6 14:00 秩父宮 |
12/4 14:00 秩父宮 |
◯46-12 | * | 11/23 14:00 秩父宮 |
10/23 11:30 上柚木 |
10/16 11:30 浜川 |
◯71-0 |
慶大 | 10/23 14:00 秩父宮 |
11/6 11:30 秩父宮 |
○28-20 | 11/23 14:00 秩父宮 |
* | 12/3 14:00 熊谷B |
10/9 14:00 慶大日吉G |
◯85-7 |
青学大 | 10/9 14:00 帝京大G |
●5-60 | ●13-15 | 10/23 11:30 上柚木 |
12/3 14:00 熊谷B |
* | 11/19 14:00 三ツ沢 |
11/6 11:30 熊谷B |
日体大 | ●3-134 | ●0-79 | 11/6 14:00 熊谷B |
10/16 11:30 浜川 |
10/9 14:00 慶大日吉G |
11/19 14:00 三ツ沢 |
* | 11/26 14:00 江戸川 |
成蹊大 | ●0-91 | 10/23 14:00 上柚木 |
11/19 14:00 江戸川 |
●0-71 | ●7-85 | 11/6 11:30 熊谷B |
11/26 14:00 江戸川 |
* |
※秩父宮は秩父宮ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、浜川は高崎市浜川陸上競技場、月寒は札幌月寒ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、熊谷Bは熊谷ラグビー場Bグラウンド、江戸川は江戸川区陸上競技場、海老名は海老名運動公園陸上競技場、慶大日吉Gは慶大日吉グラウンド、三ツ沢はニッパツ三ツ沢球技場。 |
関東大学対抗戦Aグループ順位表(10月2日現在) | |||||||||
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順位 | チーム | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失 | トライ |
1 | 帝京大 | 2 | 2 | 0 | 0 | 225 | 3 | 222 | 35 |
1 | 明大 | 2 | 2 | 0 | 0 | 139 | 5 | 134 | 23 |
1 | 早大 | 2 | 2 | 0 | 0 | 117 | 12 | 105 | 18 |
1 | 慶大 | 2 | 2 | 0 | 0 | 113 | 25 | 88 | 16 |
5 | 筑波大 | 3 | 1 | 0 | 2 | 47 | 87 | -40 | 6 |
6 | 青学大 | 2 | 0 | 0 | 2 | 18 | 75 | -57 | 2 |
6 | 日体大 | 2 | 0 | 0 | 2 | 3 | 213 | -210 | 0 |
8 | 成蹊大 | 3 | 0 | 0 | 3 | 5 | 247 | -242 | 1 |
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。 |
コメント
金沢篤ヘッドコーチ
――この試合を振り返っていかがですか
昨年からの反省で自分たちのスタイルを出すラグビーをするというのを目標としてやってきました。自分たちのスタイルはやはりディフェンスですね。ディフェンスの部分で相手にプレッシャーをかけること、そしてブレイクダウンで成蹊大にどれだけプレッシャーをかけることができるかを焦点に当てて練習してきました。そうした中で選手はよく意識してプレーしてくれていました。このことは点数にも表れていますし、選手たちはよくやってくれたなと思います。
――ことしのチームの一番の強みは
自分たちはディフェンスが強みであり、慶大の強みにしていかなくてはならない部分だと思っています。そこを意識して試合に臨んでいますし、誰が見てもディフェンスを重点的にやっているのだと思われるチームを目指しています。
――目標は関東大学対抗戦の優勝ですか
出場している以上、優勝を目指すのは当たり前です。さらに先の全国大学選手権優勝を狙うのも当然だと思います。優勝に向けてチャレンジしていきたいです。
――帝京大など強豪校との距離と戦う際の課題を教えてください
まずフィジカルの部分で帝京大、東海大、大東文化大、明大などにどれだけ追いつけるかを目指しています。基本的に慶大は身長が高くないので、体重だけで通用するかはわかりません。コーチ陣を中心に強化を進めています。矛盾している部分でもあるのですが、運動量の強化にもチャレンジしたいと思っています。
NO・8鈴木達哉主将
――この試合を振り返っていかがですか
序盤から成蹊大にプレッシャーをかけることで、自分たちのペースで試合を進めることができました。おおむねよかったと思うのですが、最後にモールでの、セットプレーでのトライを許してしまったのは非常に残念です。