【連載】対抗戦開幕特集『Be First』第1回 プロップ亀山昇太郎×NO・8佐藤健次×SH宮尾昌典

ラグビー男子

第1回を飾るのは、プロップ亀山昇太郎(スポ1=茨城・茗溪学園)、NO・8佐藤健次(スポ1=神奈川・桐蔭学園)、SH宮尾昌典(スポ1=京都成章)の早大期待のルーキー3人組。名門校出身のこの3人には入学前から注目が集まっており、本対抗戦でも1年生ながらスタメンに名を連ねている。そんな3人に、初めての出会いや早大に入学して感じたこと、対抗戦への思いについて伺った。

 

※この取材は9月9日にオンラインで行われたものです。

U17で出会い、早稲田で再会

自身初となる対抗戦で2トライを挙げた佐藤

――まずは自分の右隣にいる人を紹介してください

 

佐藤 宮尾昌典くんです。ポジションはSHで、部内では面白いキャラで通っていると思います。あと、まーと呼ばれています。

 

宮尾 亀山くんです。ポジションはプロップで、部内ではちょっと抜けている天然で通っていると思います。

 

亀山 佐藤健次くんです。部内ではケンジと呼ばれています。ポジションはNO・8で、部内ではみんなを率先してまとめるタイプです。プレー中は自分の思ったことをはっきりと言える人です。

――3人の出会いは2019年のU17が最初なのでしょうか

 

佐藤 そうですね。U17より前から存在は知っていました。僕と亀山はU17の関東代表でも一緒で、本当に今(の印象)と変わらずに抜けている人だと思っていました。まー(宮尾)はU17の日本代表でほぼ一緒にいましたね。彼はずっとチームの中心にいて、ずっとふざけている感じでした(笑)。

――他のお二人は印象に残っていることはありますか

 

宮尾 亀山くんは体が大きいので、もっとゴリゴリくる子なのかと思っていたら、すごく静かでした。でも健次くんはその(見かけの)ままでしたね。けじめがついている選手で、リーダーとして周りを引っ張っていけるような人でした。

亀山 まー選手(宮尾)はゴリゴリの関西弁で、チームのムードメーカーというか、ずっとチームの真ん中で笑いをとっていました。健次は(U 17の)関東の時からずっと中心にいるような選手でした。厳しくいくところは厳しく言える人で、「〇〇をしようぜ」とチームのみんなを引っ張っていけるような人でした。

――そのU17での経験が生きていると感じることはありますか

 

佐藤 (U17で)中国と韓国と対戦したのですが、相手は僕たちよりも身長や体重のあるチームでした。そのような選手と高校2年生の時に対戦できたことで、相手が体の大きい選手でも自分たちがやることをやれば勝てるし、個人としても自分のプレーをすれば通用するということが分かったので、そのようなところは良かったと思います。また、キャプテンとしてレフェリーと英語で話せなくても、ジェスチャーを使えば会話ができることも分かったので、そこも良かったと思います。

 

宮尾 ジャパンの時は、それぞれのチームで主力となっているような上手な選手ばかりでした。みんなと長い期間一緒にいるわけではないので、それぞれが考えていることも違い、かみ合わないこともありました。チームを作る難しさというか、チームをゼロの状態から戦えるようにするまでの難しさが分かりました。チームに帰ってもそのようなところは大切にしていきたいと思っていました。

 

亀山 全国トップレベルの選手しかいない中に自分が頑張って溶け込んでいくという部分で、しっかりついていくことは意識していました。

――高校ラグビーと大学ラグビーの違いを感じた部分はどこでしょうか

 

亀山 大学でプレーをして思ったことが、同じ人数で同じ広さであるはずなのに、(グラウンドが)狭く感じるということです。強さも(高校とは)全く違っていて、アタックでも前に行きづらいですし、ディフェンスのスピードも高校の時とは段違いでした。早くて強い選手が多いので、そこはすごく大変でした。

宮尾 亀山くんと同じで僕もコンタクトの強さが違うと思いました。

――高校生活と大学生活で違いを感じる部分はあるのでしょうか

 

亀山 高校の時に思っていた大学のイメージはもっと自由な感じで、ずっと暇な人もいるのだろうと思っていました。しかし、部活に入っていることもあって意外と忙しいです。

 

宮尾 高校と違って大学は自己責任だと感じました。単位にしても、自分がやるかやらないかで変わってしまうのでそう思いましたね。

 

佐藤 高校は決められたクラスで動いていましたが、大学に入ったら色々なところで授業を受けるので友達がたくさんできるのかなと思っていました。しかし、ずっと宮尾といるせいであまり友達ができないなと感じています(笑)。

――オンラインの授業も多いですが、キャンパスに行く機会は多いのでしょうか

佐藤 (春学期は)週5で行きました!火曜から金曜まで所沢に行って、月曜は教職を取っているので早稲田キャンパスに行っていました。

夏合宿でスタメン入りした3人

立大戦で先制トライを挙げた宮尾

――春シーズン全体を振り返っていかがですか

 

佐藤 個人としては、春シーズンは何も通用しない時期でした。試合に出てはいましたが、まだ「使ってもらっている」という意識で、自分で勝ち取ったものではないという印象で終わったシーズンだったと思います。

宮尾 僕は春シーズンにケガをしていたので、チームに合流する機会はありませんでした。ケガを治すことに集中したシーズンでしたね。

――ケガをしている中で同じ1年生である佐藤選手は試合に出場していました。それを見てどのような思いを抱いていたのですか

宮尾 すごいなとは思っていましたね。

――悔しさはなく、自分は自分だと思っていたのですか

宮尾 そうですね。

――亀山選手は春シーズンを振り返っていかがですか

亀山 自分も高校まで通用していたものが全然通用しなくて、少しパニックになってしまいました。周りから(プレーのことを)言われることも多く、その分期待されていると考えて頑張っていましたね。

――出場機会の少なかった春とは対照的に、夏合宿では3人ともスタメンで夏の3試合全てに出場されていました。春から夏にかけて何があったのでしょうか

佐藤 足りないことを大田尾監督(大田尾竜彦、平16人卒=佐賀工)や権丈コーチ(権丈太郎、平20スポ卒=福岡・筑紫)と話して、春も最後の方は試合に出ることができました。その中で徐々に自分の強みや大学で通用するところと通用しないところが自分の中で理解できてきたので、それを夏合宿にかけて改善したり、強みを伸ばしたり、という工夫をしたら、少しずつスタメンで出られるようになりました。

宮尾 僕は復帰して何も分からない状態で戻るのは嫌だったので、サインなどをプレーヤーに聞いて、サインをある程度覚えた状態でグラウンドに戻りました。また、SOの吉村紘さん(スポ2=東福岡)に今の早稲田のSHには何が必要なのかということを聞いて、アドバイスをもらいました。それを中心的にクリアしようと思い練習していましたね。

亀山 自分がチームで何を求められているのかを意識していました。自分は体重が重くてスクラムが強いので、そこを頑張って伸ばそうとしていました。普通のフィールドプレーでも、自分は体重が重い分足が遅いので、他の人にそこをカバーしてもらうようにしていました。

――初めての夏合宿を終えて率直な感想を教えてください

宮尾 楽しかったです!高校の菅平での合宿は毎日試合だったので体がしんどかったのですが、大学は2試合しかなく、ターゲットを絞ってそれに向けて成長するという合宿でもありました。その面ですごく楽しかったです。

亀山 菅平に1ヶ月近くいることはこれまでなく、先輩と一緒の部屋だったので、先輩とラグビーについて話す時間は増えたのではないかと思っています。すごく充実した夏合宿でした。

佐藤 すごく楽しかったです!

――夏合宿で一番成長したと思う部分はどこでしょうか

亀山 夏合宿前はずっとBチームでやらせてもらっていたのですが、夏合宿に入ってAチームで練習するようになり、練習中の雰囲気がBチームとは違うと感じました。上のチームの雰囲気を知ることができたことは一番大きな部分だと思います。自分自身は甘いところがあって、このままでは上のチームに上がっていけないので、そこは厳しくいかなければならないと思いました。

宮尾 僕は9番で出られたことが一番の成長だと思います。夏合宿の2週間前に復帰して、4週間後に上に上がれたので、まずはトップチームで出られて、Aチームの試合の中で意見が言えたことは僕の中で成長です。

佐藤 コミュニケーション能力が高くなったと感じています。Aチームの中で1年生でも意見を言えたり、チームミーティングの時にも意見を出せたと思うので、そのような部分が成長したと感じています。

――ご自身の一番の強みは何でしょうか

宮尾 笑顔です(ニッコリ)。

一同 (笑)。

――プレー面での強みは何ですか

宮尾 攻撃的なところですかね。ただパスをするだけのSHではなく、一つのアタックの主力にもなれるような攻撃的なところが自分の強みだと思います。

――他のお二人はいかがですか

佐藤 僕はプレー面だとコンタクトとプレー中の対応力が強みだと思っています。

亀山 僕は強みというか、僕が一番こだわりたいところの話になってしまうのですが、やはりスクラムが自分の中で一番大きい存在です。そこで一度負けてしまえば、チームも負けてしまうので、絶対にそこで負けないことを意識しています。そこは一番頑張りたいです。

――自分にとって一番の課題は何でしょうか

亀山 やはり僕は抜けている部分があります。そこは「これでいいや」というところで終わらせるのではなく、しっかり自分にできることはないかと探していきたいです。大学の授業も後期に入って、シーズンも始まり忙しくなると思うのですが、その中でもしっかりと成績を取ることもラグビーをやる上で重要になってくると思うので、そこは頑張りたいです。

宮尾 僕はフィットネスが課題です。SHはとても走るポジションなので、前半の最後や後半の途中は疲れてきてしまいます。もう一段階チームとしてあげていかなければならないところで走れないことはあってはならないので、一番の課題は体力ですね。

佐藤 細かいアジリティーのところで、細かいフットワークや細かい動きの中の強さをもっと出していければ、チームの中でも『顔』と言われるような選手になると思うので、そこを頑張りたいです。

ルーキーたちの私生活

――お互いの尊敬しているところはどこですか

宮尾 佐藤くんは練習の時と練習ではない時のけじめがちゃんとついていると思います。ジャパンの時もそうでしたが、しっかりとけじめをつけてチームを引っ張っていけるところを尊敬しています。

佐藤 僕が亀山くんの尊敬しているところは、一人でいられるところです。

亀山 (笑)。

佐藤 僕は一人が嫌で、一人でいると寂しくなってしまうので、すぐいろいろな人に絡みに行ってしまいます。しかし、亀山くんは1日の大半を2階のベッドで過ごしていることもあるので、そのように一人でいられるところはすごいと思います。

――亀山選手は2階のベッドでいつも何をされているのですか

亀山 寝たり、ゲームをしたり、動画を見たりしています(笑)。

――亀山選手は宮尾選手の尊敬している部分はありますか

亀山 まー(宮尾)は僕と逆なのですが、常にみんなに囲まれています。いつもみんなを笑わせていて、人と接することがうまいです。ジャパンの時もゴリゴリの関西弁で怖いと最初は思いましたが、次第に面白いやつだと思うようになりました。人に溶け込むのがうまいと思います。

初めての赤黒、初めての対抗戦

自身初となる対抗戦にスタメン入りした亀山

――1年生ながら試合に出場することにプレッシャーは感じないのでしょうか

佐藤 ないです。

宮尾 僕もプレッシャーはないです。

亀山 僕もそんなにないです。

――上級生とプレーする上で意識していることはありますか

佐藤 (先輩に)強く言ったら寮内で気まずくなるのではないかということなどはあまり考えないようにしています。ズバっと言った後に、寮内では自分から絡んで行ったりもしています。グラウンドの自分と私生活の自分はしっかりと分けているので、(グラウンド内でのことを)引きずらないようにはしていますね。

宮尾 思ったことを言うようにしています。僕はいろいろな人にパスを放ります。それぞれの選手に欲しいパスがあると思うので、(その点で)自分の思ったことを伝えるようにはしています。

亀山 僕はよく怒られます。もちろん内容は改善しますが、その(怒られた)こと自体はあまり気にしないようにしていますね。

――今年はSHの層が厚いですが、宮尾選手が意識していることはありますか

宮尾 ライバルがいることは良いことなので、自信を持ち続けることは意識しています。これは僕がケガをしている間もずっと続けていたことで、自信がないと何もかもできません。ライバルはライバルだとしても、自分は自分だと自信を持つようにしています。

――個人として対抗戦で目標にしていることは何ですか

亀山 僕はチームの最前線で戦い続けたいです。3番という数字を自分がつけ続けたいと思っています。練習中や試合中でどれだけ自分がアピールできるかにかかっていると思うので、しっかり練習中から出し切ったり、自分はこのような選手だということをしっかりと見せたりしていきたいです。

宮尾 一つテーマを挙げるとしたら『挑戦』です。対抗戦では相手が毎回変わっていくので、自分たちがしたいことや僕がしたいことに強気で挑戦することをこのシーズンを通してやっていきたいと思います。

佐藤 これは夏合宿の目標でもあったのですが、僕の今年の目標は早稲田の『顔』と呼ばれるような選手になることです。今早稲田の『顔』と言ったら、長田さん(長田智希、スポ4=大阪・東海大仰星)、河瀬さん(河瀬諒介、スポ4=大阪・東海大仰星)、小林賢太さん(スポ3=東福岡)の3人という感じになっていると思います。その中でも(自分が早稲田の『顔』になって)チームが辛い時に頼られる選手になれると良いと思います。

――今週末(9月12日)に対抗戦が開幕します。初戦に関してどのような思いを抱いていますか

佐藤 僕たちは初めて赤黒を着ます。今は僕や二人も含めてあまり緊張はしていませんが、いざ試合になって赤黒を着て、会場の雰囲気にのまれてしまえば、パニックになって、慌ててしまうことが想定されると思います。今のうちから僕は試合で何をしなければいけないかという自分の役割をもう一度見つめ直して、やっていきたいと思います。

宮尾 僕はあまり試合のことばかり考えすぎずに、リラックスしたいと思います。

亀山 試合になったら僕はやるべきことをやれば良いだけなので、やるべきことをしっかりやっていきたいです。

――対抗戦の意気込みを教えてください

亀山 勝ち続けるために、チームに貢献したいと思います!

宮尾 挑戦し続けて、対抗戦全試合にスタメンで出られるように頑張ります!

佐藤 僕もスタメンで出続けて、来年のポジションなどもあるので、大学でNO・1のバックローの選手だと言われるように頑張りたいと思います!

――ありがとうございました!

(取材・編集 内海日和、塩塚梨子)

今シーズンの意気込みを書いていただきました!

※撮影時のみマスクを外しています (写真提供:早稲田大学ラグビー蹴球部)

◆亀山昇太郎(かめやま・しょうたろう)(※写真右)

2002(平14)年9月17日生まれ。176センチ。115キロ。茨城・茗溪学園高出身。スポーツ科学部1年。部公式HPによると好きな言葉は『寝る子は育つ』。一日の大半をベッドの上で過ごしていることもあるのだとか。睡眠によって培った大きな体を生かし、全てのスクラムで押し勝ってくれること間違いなしです!

◆宮尾昌典(みやお・まさのり)(※写真中央)

2002(平14)年6月1日生まれ。163センチ。69キロ。京都成章高出身。スポーツ科学部1年。あだ名はまー。自分の強みは『笑顔』と『攻撃性』だと分析している宮尾選手。激しいポジション争いを勝ち抜いた宮尾選手のパスから始まる、早稲田らしい展開ラグビーに期待です!

◆佐藤健次(さとう・けんじ)(※写真左)

2003(平15)年1月4日生まれ。177センチ。98キロ。神奈川・桐蔭学園高出身。スポーツ科学部1年。最近は『BE:FIRST』の曲を練習前に歌い、気分をあげているそう。1年生ながら早稲田の『顔』、そして大学NO・1バックローを目指す佐藤選手のプレーに大注目です!