ディフェンスで真価を見せられるか

ラグビー男子

 これまでの関東大学春季大会(春季大会)では3勝1敗勝ち点20の成績を収めている早大。東海大、帝京大と並び昨年の関東大学対抗戦(対抗戦)、関東大学リーグ戦上位3チームまでが集まるAグループで首位につけている。先日行われた大分市営陸上競技場での明大との一戦では14-29と敗北した。WTB加藤皓己(創理4=北海道・函館ラサール)の2トライなど、昨年までAチームでの出場機会にあまり恵まれなかった選手が躍動を見せ、BKのポジション争いも波乱の様相。秋シーズンに向け楽しみな要素が増えてきている。

2トライをマークした加藤

 そんな早大の課題として挙げられるのはスクラムとディフェンスだ。前者について春シーズンを「今は色んな相手と組む中で、色んな経験をして課題を出して、それを修正していくというステップ」と相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)は捉えている。目に見えた成果がなかったとしても、高いレベルでの戦い経験を積む。そのことが重要だ。後者は徐々に改善の兆しがある。招待試合であった明大戦では、ディフェンスに粘り強さが生まれ始めている。相良監督も「(得点を)取られはしましたけど、粘れたのかな」と語るように好感触をつかんだようだ。

明大戦でAチーム初のスタメンだったSO吉村紘(スポ1=東福岡)

 一方の帝京大。大学選手権準決勝(大学選手権)では天理大に敗れ、10連覇を逃した。その悔しさもあってか今年は『超越』というスローガンのもと雪辱に燃えている。6月8日に行われた立命大との一戦でけがからようやくの復帰を遂げたCTB本郷泰司主将(帝京大)を欠いていた中、変わらずの強さで得点を量産。東海大にこそトライ1本差で敗戦したものの、現在早大、東海大と並び関東大学春季大会1位に君臨する。帰ってきた主将の本郷に加え、SO北村将大(帝京大)、WTB木村朋也(帝京大)ら強力な3年生BK陣は非常に強力。帝京大アタックの核となっているだけに注意が必要だ。ロックのポジションには久保克斗(帝京大)、アレクサンダー・ マクロビー(帝京大)ら190センチ超えの選手をそろえており、ラインアウトでは脅威となるだろう。主将も復帰し、王座奪還へ向け準備万端な状態を整えつつある帝京大。春シーズンの成果を試すにはこの上ない相手となるであろう。

 けが人の多さに加え、代表合宿なども重なり、春シーズンではフルメンバーで挑んだ試合が未だにない早大。しかしながらその得点力は衰え知らず。春季大会においてはここまでの全試合で6トライ以上を毎回記録するなど、その破壊力は抜群だ。初戦の東海大戦以降SH齋藤直人主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が欠場しているチーム状況にもかかわらず、攻撃力を保持し続けているのはSH河村謙尚(社2=大阪・常翔学園)、吉村らなどの下級生の奮闘も光る。現状戦力で強豪・帝京大相手にスクラム、そしてディフェンスがどこまで通用するか。この試合は春シーズンの試金石となるであろう。

 春季大会では勝ち点制を採用しており、点数が並んだ場合は「全試合の得失点差の多いチーム」が上位となるため、同時刻に行われる東海大対慶大の試合結果によっては優勝も懸かかる一戦となる。それだけに持ち味のアタックでは1点でも多くの得点を、ディフェンスでは1点でも失点を抑えることが重要となってくる。春シーズンの締めくくりとなる試合を勝利で飾り、秋への自信とつなげることができるか。注目の一戦が始まる。

(記事 涌井統矢 写真 石井尚紀、新藤綾佳)

   

   

 
 

    

早大出場予定メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
久保 優 スポ3 福岡・筑紫
中野 幸英 文構4 東京・本郷
小林 賢太 スポ2 東福岡
三浦 駿平 スポ4 秋田中央
星谷 俊輔 スポ3 東京・国学院久我山
柴田 徹 社4 神奈川・桐蔭学園
◎幸重 天 文構4 大分舞鶴
沖野 玄 商4 北海道・函館ラサール
河村 謙尚 社2 大阪・常翔学園
10 吉村 紘 スポ1 東福岡
11 加藤 皓己 創理4 北海道・函館ラサール
12 平井 亮佑 スポ3 福岡・修猷館
13 高木 樹 法3 大阪・早稲田摂陵
14 安部 勇佑 スポ3 東京・国学院久我山
15 梅津 友喜 スポ4 岩手・黒沢尻北
リザーブ
16 横山 太一 スポ2 東京・国学院久我山
17 原 朋輝 スポ2 神奈川・桐蔭学園
18 阿部 対我 社2 東京・早実
19 桑田 陽介 スポ2 愛知・明和
20 増原 龍之介 教4 広島・崇徳
21 藤浪 魁 基理4 東京・本郷
22 島本 雄太 創理3 神奈川・桐蔭学園
23 松下 怜央 スポ1 神奈川・関東学院六浦
※◎はゲームキャプテン監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)