法大Bをディフェンスで抑えて快勝!多くの収穫を得る

ラグビー男子

 台風の影響で大雨に見舞われた早大・上井草グラウンド。関東大学ジュニア選手権の初戦として、早大Bは法大Bと対戦した。雨でボールが濡れたため両校ハンドリングエラーが頻出する中で、早大Bはパスを少なくし、キックを多用するタテのプレーを展開。終始安定したディフェンスに加え、後半になるにつれてアタックもさえ、38-7で試合終了。大きな手応えを得て秋シーズンを白星発進した。

 あいにくの大雨でパス回しが安定せず、両校ノックオンが続出する立ち上がりだった。試合が動いたのは前半10分。敵陣ゴール前でマイボールラインアウトからモールを組み、そのままインゴールに押し込んだ。その5分後、またもモールでトライ。夏の期間でモールを強化した早大Bにとって、この2つのトライは自分たちの力がついたことを再確認するものとなった。前半の中盤の時間帯は前に倒す効果的なタックルが多く見られ、法大Bに簡単にゲインを許さない。しかし前半32分、ハンドリングミスから相手にボールを渡すと、そこを止められずインゴールを割られてしまう。キックも決められ、12-7で試合を折り返すこととなった。

ゲームキャプテンを務め、追加点となるトライを挙げた中山

 「後半は圧力をかけることができた」と、SO高橋吾郎(スポ4=福岡・修猷館)が振り返ったように、後半になるにつれて早大Bはさらに勢いづく。アタックに関しては法大Bのディフェンスがスペースを詰めてくるようになったことを利用し、一歩ためをつくってから仕掛けるプレーに切り替えた。この戦略が功を奏したのが後半10分。CTBフリン勝音(スポ3=福岡・筑紫丘)がラインブレイクすると、右へ展開。最後は大外にいたフランカー西田強平(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がトライを奪う。また、ハイパントキックを多用し、タテにゲームを展開する。これによってパスミスが減り、中盤以降も相手陣内でプレーすることが増え、2本のトライを奪うことにも成功した。ディフェンス面ではタックルに加えて、相手ボールのスクラムでターンオーバーする場面もあり、ハードワークを見せつけた。結局その後大きなピンチを迎えることもなく、後半38分にはWTB桑山淳生(スポ2=鹿児島実)が、自陣10メートル地点で相手ディフェンスを鮮やかに抜き去り独走する。そのままダメ押しのトライを決め試合終了。38-7と失トライを1つだけに抑える快勝を果たしたのだった。

早大での初トライを挙げた桑山淳

攻守の両面で多くの収穫を得た試合内容であった。後半は思うようなプレーができたと口々に語る選手たちであったが、それは裏を返せば前半にまだ改善点があることを意味している。具体的には受けてしまうタックルを減らし、前で相手を止めることや、今後強みとなり得るラインアウトモールの完成度をさらに高めることが挙げられる。試合を経るごとに気付きを得て、慢心せずに成長していく姿からは目が離せない。ジュニア選手権は始まったばかり。まだ、成長できそうだ。

(記事 坂巻晃乃介、写真 石塚ひなの、下長根沙羅)

関東大学ジュニア選手権
早大B スコア 法大B
前半 後半 得点 前半 後半
12 26
38 合計
【得点】▽トライ 森島3、中山、西田、桑山淳  ▽ゴール 高橋(3G)、フリン
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
千野 健斗 人3 東京・成蹊
後半23分交代→16井上
森島 大智 教2 東京・早実
後半23分交代→17鷲野
土田 彬洋 スポ1 茨城・茗渓学園
後半31分交代→18柴田
◎中山 匠 教2 東京・成城学園
松井 丈典 スポ3 愛知・旭野
後半23分交代→19中野
西田 強兵 スポ3 神奈川・桐蔭学園
柴田 徹 社2 神奈川・桐蔭学園
佐藤 健 商3 東京・早大学院
後半0分交代→20増原
杉本 頼亮 スポ4 京都・桂
後半0分交代→21吉岡
10 高橋 吾郎 スポ4 福岡・修猷館
後半23分交代→22船越
11 桑山 淳生 スポ2 鹿児島実
12 フリン 勝音 スポ3 福岡・筑紫丘
13 野口 祐樹 人4 群馬・太田
14 中野 厳 社4 東京・早大学院
15 伊藤 大貴 スポ3 愛知・春日丘
後半31分交代→23桑山聖
リザーブ
16 井上 大二郎 スポ3 愛知・千種
17 鷲野 孝成 創理3 神奈川・桐蔭学園
18 柴田 雄基 文4 愛知・千種
19 中野 幸英 文構2 東京・本郷
20 増原 龍之介 教2 広島・崇徳
21 吉岡 航太郎 スポ4 国学院栃木
22 船越 明義 社3 東京・早大学院
23 桑山 聖生 スポ3 鹿児島実
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)
コメント

ロック中山匠ゲームキャプテン(教2=東京・成城学園)

――ジュニア選手権の初戦でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか

ジュニア選手権の初戦ということで、菅平での夏合宿を終えてからチーム全体としてハードワークの部分を徹底でやってきたので、そこを出し切るというか徹底して実行することを考えて臨みました。

――ディフェンス面では1トライに抑えることができましたが、振り返っていかがでしょうか

チーム全体として見るとたしかに1トライに抑えていて、後半に入っていくにつれてハードワークして、良いセットに入った状態からディフェンスでのチームのルールを守って、実行し切って前に倒すことができたので良かったです。しかし、個人的な部分では最初の一発目のタックルを外されてしまってそこでゲインを受けたのでそこは反省しないといけないかなと思います。

――一方、アタックは後半に攻勢を強めましたが、前半と後半で変えた部分などはありましたか

敵のディフェンスがつめてくるようになったので、前半から後半にかけてのところでためを一歩つくってからアタックするというところを変えました。

――セットピースが安定していたと思うのですが、セットピースについては振り返っていかがでしょうか

今までどおり早大の強みとしてスクラムがあって、夏に入ってラインアウトモールを強化してきました。きょうもラインアウトモール2本取れて、スクラムも前半拮抗する部分があったんですけど、後半押せるようになりました。ただ、100%達成できている訳では無いですし、中盤のラインアウトで取れていない場面もあるので、まだ成長の余地があると思います。

――最後に今後へ向けて一言お願いします

1週空くので、ゲームメイクではなくチームの練習がハードにできる期間が残されているので、そこでAチーム、Bチーム両方に入っている自分としては課題のところを修正して、個人としてもタックルのところでもっと成功率をあげていきたいと思います。

プロップ土田彬洋(スポ1=茨城・茗渓学園)

――公式戦でのスタメンは初でしたが、どのような意気込みできょうの試合に臨んだのですか

1年生という中でスタメンで出してもらえるということで、期待に応えられるように自分から仕掛けていこうということを意識して臨みました。

――きょうはスクラムが安定している印象を受けました

法大とは網走合宿でスクラムとモールの合同練をやっていて、その時にある程度と力は分かっていたのですが、それでも常に全力で自分のできる良いスクラムを組もうと心がけていました。

――手応えとしては良かったということでしょうか

ワセダのスクラムはドミネートをテーマにやっているのですが、それがきょうは少しできたかなと思います。

――夏合宿でモールを強化したと伺っていますが、きょうはそのモールでトライする場面がありました

自分たちが意識していたことができたときはトライにつながったかなと思います。

――きょうは70分近く出場していましたが、スタミナに関してはいかがですか

スタミナの方はやっぱりまだまだですね。前半の方から走れていない部分があったと自分でも思うので、スタミナをつけていきたいなと思います。

――良いタックルも見られ、チーム全体でディフェンスが良かったと思います。振り返っていかがですか

監督(山下大悟監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)が際の部分でもっと激しさを出していかなければいけないとおっしゃっていて、自分がタックルにいくんだという気持ちでやりました。でも、まだタックルで受ける場面もあったので、しっかり全部のタックルで返せるように意識してやっていきたいです。

――今後Aチームも狙っていくと思いますし、プロップは競争も激しいポジションだと思いますが、ご自身の強みはどういった部分ですか

いまはスクラムですね。スクラムはプロップの1番大事な仕事だと思います。そこで相手を圧倒できるようなスクラムを自分が組めれば上に上がれると思うので、スクラムを強みにして頑張ります。

――今後への意気込みをお願いします

コーチ陣や監督がおっしゃっていることを意識しながら、自分でできることを見つけて、自分に厳しく、自分に勝つということを心がけていきたいと思います。

SO高橋吾郎(スポ4=福岡・修猷館)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

天気も悪くてハンドリングエラーとかもあったと思うんですけど、接点の部分だったりとかでしっかりと我慢強く、やりたいことができたかなと。前半はいまいちだったと思いますけど、後半は圧力をかけることができてしっかり勝つことができて良かったなと思います。

――初戦ですが、どのような意気込みで臨まれましたか

やっぱり上のカテゴリーに復帰しないといけないと思いますし、そのためには一戦も落とせないので絶対に勝つという気持ちでやりました。

――きょうの雨に対して何か対策などは採られましたか

パス数を多くするより、キック中心にやっていこうと。前半はあまりキックできなかったんですけど後半はハイパント中心にうまくゲームを進められたかなと思います。

――アタックのプランはどのようなものでしたか

この天気なので、タテのプレーというか。パス数の少ないプレーを中心にしっかりキックでエリアを取って楽にゲームを運べるようにしようと思っていました。

――全体的にディフェンスが良かったと思うのですが、振り返っていかがでしょうか

そうですね、みんなしぶとくできてました。でも、前半は守れてはいたんですけど20フェーズくらい重ねられたところでターンオーバーしなくてはならないところもあったと思いますし。あとは後半は変わって入った増原(龍之介、教2=広島・崇徳)だったり、最初からいた西田(強平、スポ3=神奈川・桐蔭学園)とかがいいタックルを見せてくれて、その流れに乗れたというか。後半は本当によかったなと思います。

――ご自身もいいタックルがありました

いや、ディフェンスミスをしてしまった場面が2つくらいあったので、タックルはいいのもあったのですが、ミスをしないという部分ではダメなので、今後修正していきたいです。

――次の試合への意気込みをお願いします

ジュニア選手権もそうなのですが、しっかり上の試合、Aチームに絡んで、自分も1軍になれるように、日々練習から自分のプレーをレベルアップさせていきたいと思います。

WTB桑山淳生(スポ2=鹿児島実)

――きょうの試合にはどのような思いで臨まれましたか

秋シーズン初めての公式戦ということで、絶対に勝たなくてはいけないと思っていました。あとは自分にできることをしっかりやろうという感じです。

――試合を振り返っていかがですか

前半は周りを使おうとしすぎて、自分の良さであるランニングが消えてしまっていました。後半は修正して、できるだけ自分でキャリーするイメージでやっていました。

――オフェンスについてはいかがですか

FWがとても頑張ってくれていたので、BKは楽だったのではないかなと思います。個人としては、最後のラン以外はあまりいいところがなかったので、ボールをもらうポジショニングをしっかり相手より優位な位置でもらえるようにしたいなと思います。そこに関しては、中の選手とのコミュニケーションだったりを大切にしたいです。

――ご自身でトライを決められていました

時間がない中で、アドバンテージがあったので、いつもだったら外で勝負するところも、高校の時だったら中を突っ切っていっていたので、それをやろうと思ってやりました。結果的に抜けてトライを取ることができたのはよかったかなと思います。

――ディフェンスについてはいかがですか

本当に内側の選手がとても頑張ってくれて、僕はタックルの回数も少なかったので、チームのディフェンスとしてはうまくいったかなと思います。前半はコンタクトの部分で遅れて前に出られてしまった場面もあったので、受けてしまうタックルは修正するべきところですね。

――ご自身のタックルに関してはいかがすか

あんまりタックルしていませんが、一回バッキングで抜かれた以外は抜かれていないので、そこ以外は悪くはないんじゃないかなと思います。でも良かったかと言われたら僕としてはそんなにいいとは言えないタックルだったので、50点くらいですかね。

――きょうの収穫を教えてください

ずっとケガしていて80分やったのが今回が初めてだったので、80分の試合の流れというのが何となくわかりました。あとは自分のアタックが他の大学にも通用することがわかったのは収穫です。

――今後への意気込みをお願いします

ジュニア選手権だけで満足する気はないのでAチームに上がることができるようにしっかり頑張りたいです。