前回の東海大B戦ではタックルが高くなってしまったことが課題として挙げられた早大B。春シーズンの3戦目は流通経大龍ヶ崎グラウンドに乗り込んで、流通経大Bとの一戦に臨んだ。大粒の雨が降りしきる中での試合となったが、FB伊藤大貴(スポ3=愛知・春日丘)のトライを皮切りに前半だけで3トライを挙げると、ディフェンスでも粘り強さを発揮して26-12で今季2勝目を挙げた。
キックゲームとFW戦を中心に展開されることが予想されたこの試合。先制点を奪ったのは早大Bだった。3分、ハイパントをキャッチすると、そこからカウンターを仕掛ける。WTB桑山聖生(スポ3=鹿児島実業)が大きくゲインすると、伊藤へつなぎそのままインゴールを駆け抜けた。さらに、9分にも敵陣10メートル付近でターンオーバーすると、近場を攻めてフェーズを重ねる。順目にディフェンスを引きつけたところで、SH杉本頼亮(スポ4=京都・桂)がすかさず逆目へラストパス。SO武田誠太郎(社2=島根・石水智翠館)がディフェンスのスペースを突いてトライを挙げる。このまま良い流れでゲームを進めたい早大Bだったが、19分に流通経大Bの反撃に遭う。一度はトライを阻んだが、相手ボールの自陣ゴール前スクラムからSHに持ち出されてトライを献上してしまう。その後も相手に攻め込まれて自陣でプレーする時間が続くものの、低いタックルと粘り強いディフェンスでインゴールを割らせない。終盤にも相手ゴール前のスクラムからロック中野幸英(文構2=東京・本郷)のトライで追加点を挙げ、前半を21-5で後半を迎えた。
ゲームキャプテンを務めた杉本(写真中央)
「敵陣でやろうということを掲げた」(伊藤)という意図のもと、前半よりも積極的にキックゲームを中心に展開した後半。両チームともゴール前まで攻め込むものの、天候の影響によりボールが滑るため、ハンドリングエラーでトライを取りきることができない。一方で、前半は安定しなかったセットピースだったが、後半からスクラムの球出しが安定。その結果、試合終盤にスクラムから素早く持ち出してインゴール右隅にねじ込んで追加点を挙げることに成功する。終盤にシンビンによって数的不利な状況になると、その直後のスクラムを押し込まれて1トライを返されたが、その後の反撃を食い止め、26-12で試合終了。要所でトライを奪い、我慢のディフェンスで今季2勝目をもぎ取った。
タックルを受けながらもゲインする野口
前回の試合での反省をしっかりと修正して、今回の勝利につなげた早大B。東海大B戦の課題であったタックルもきょうの試合では一人目が低く入り、すぐにサポートの選手が寄ってきてターンオーバーへつながる場面が散見された。ブレイクダウンは戦術の大黒柱の一つであるだけに、1週間で修正できたのは収穫といえるだろう。苦戦が続くAチームへ割って入るとともに、Aチームが強くなるために、より一層Bチームの選手たちの活躍が求められる。
(記事 新開滉倫、写真 杉野利恵)
ジュニア春季オープン戦 | ||||
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早大B | スコア | 流通経大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
3 | 1 | T | 1 | 1 |
3 | 0 | G | 0 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
21 | 5 | 計 | 5 | 7 |
26 | 合計 | 12 | ||
【得点】▽トライ 伊藤、武田誠、中野幸 ▽ゴール 野口(3G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大登録メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 千野 健斗 | 人3 | 東京・成蹊 |
2 | 三隅 寛己 | 法3 | 東京・早実 |
3 | 久保 優 | スポ1 | 福岡・筑紫 |
4 | 中野 幸英 | 文構2 | 東京・本郷 |
5 | 高吉 将也 | 教1 | 神奈川・桐蔭学園 |
6 | 幸重 天 | 文構2 | 大分舞鶴 |
7 | 増原 龍之介 | 教2 | 広島・崇徳 |
8 | 中山 匠 | 教2 | 東京・成城学園 |
9 | ◎杉本 頼亮 | スポ4 | 京都・桂 |
10 | 武田 誠太郎 | 社2 | 島根・石見智翠館 |
11 | 桑山 聖生 | スポ3 | 鹿児島実業 |
12 | フリン 勝音 | スポ3 | 福岡・筑紫丘 |
13 | 野口 祐樹 | 人4 | 群馬・太田 |
14 | 作田 蓮太郎 | 教4 | 東京・早実 |
15 | 伊藤 大貴 | スポ3 | 愛知・春日丘 |
リザーブ | |||
16 | 木下 隆介 | 文構1 | 東京・本郷 |
17 | 鷲野 孝成 | 基理3 | 神奈川・桐蔭学園 |
18 | 柴田 雄基 | 文4 | 愛知・千種 |
19 | 水野 孟 | 基理4 | 東京・早実 |
20 | 西田 強平 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 |
21 | 貝塚 陸 | スポ3 | 東京・本郷 |
22 | 中野 厳 | 社4 | 東京・早大学院 |
23 | 神山 隆太 | 政経3 | 東京・早実 |
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
SH杉本頼亮ゲームキャプテン(スポ4=京都・桂)
――前回の東海大戦ではディフェンスの部分で押されて敗れてしまいましたが、今回の試合へ向けどのようなことを意識しましたか
FWもBKもタックル回数を多くするというか、一人一人がタックルをしっかり狙いにいくことを意識しました。
―そのタックルですが低く入っているように見受けられましたが、振り返っていかがでしたか
全体的に凄い良かったですし、中野幸英(文構2=東京・本郷)が一番率先して(タックルに)いっていたので、良かったと思います。
――後半からスクラムでフッキングをするようになりましたが、意図はありましたか
鷲野(孝成、基理3=神奈川・桐蔭学園)が入って良くなったのですが、入る前は押され気味だったので、フッキングをしようかと決めました。相手によって対応することも大事だと思うので。
――後半にキックを多めに使った印象でした
自分なりには前半も使っていたんですけど。雨で滑るのでキックを増やしていこうという戦術でした。
――アタックでは前半から得点を積み重ねることが出来ましたが、先週から変えてきた部分はありますか
アタックではレッグドライブをして、相手に足を掴まれても前に進んでいくことを意識していたので、それも前半はできていなかったんですが、後半は意識できていたと思います。
――今後へ向けて一言お願いします
今Aチームで出られていないということなので、自分に足りない部分を補ってAチームで出られるように頑張りたいと思います。
フッカー三隅寛己(法3=東京・早実)
――きょうは雨の中での試合となりましたが、なにか普段とは違うゲームプランなど考えていたのでしょうか
良いところでしっかりと(ボールを)取って、フィールドの方ではパスをあまり回さないで、監督がよくおっしゃるんですけど際のところを激しくするというのはチームで意識できていたのかなと思います。
――その意識は結果にもつながっていましたか
前半は監督にも「できているところはできている」と言っていただいていて、まだまだではあるのですが、しっかり出せていたと思います。
――前半のアタックやディフェンスについてはいかがでしょうか
監督が東海大戦で負けてから1週間、「際のところを」とおっしゃっていたので、きょうはそれを自分の中ですごく意識していてやっていて、それが結果に出たのかなと思います。
――スクラムは後半の方が良く感じられたのですが、いかがでしょうか
最後の方はまた出たのですが、後半途中に鷲野に変わったので。それはもっと追求していかなきゃなと自分の中で思いました。
――課題や収穫はありますか
ディフェンスは良かったのですが、アタックのタックルされた後に足をかき続けるだとかまだまだ際のところができていなかったので、そこを意識しつつ、精度を上げて行きたいなと思います。
――次戦、どのようなプレーをしたいと思いますか
自分が良いタックルをして、そのまま起き上がって相手のボールをターンオーバーできるようなプレーを何度かできるように、良い準備をしていきたいと思います。
FB伊藤大貴(スポ3=愛知・春日丘)
――雨ということでしたが、今日のゲームプランはどのようなものだったのですか
雨だったので長いパスはいつものようにはいかないと思うので、FW戦やキックゲームになるかなと思っていました。近場近場を意識して攻めました。
――後半の方がキックが増えましたが、何か意図があったのですか
ハーフタイムに敵陣でやろうということを掲げて、自陣でやってしまうとミスも増えて相手のトライにもつながってしまうので、まず敵陣に入って自分たちのアタックをしていこうということでした。そこで、BKから積極的にキックを使って、相手の陣地に入って攻撃しようと。ただ、スコアには結びつけることができなかったので、そこは修正していかなければいけないなと思います。
――先制トライとなった、ご自身のトライシーンを振り返っていかがでしたか
久々のトライだったので正直嬉しかったですし、最初のトライということでチームに勢いづけられたかなと思います。
――きょうの試合は失点も少なく、簡単には突破を許しませんでした。個人としてはディフェンスでどのようなことを意識したのですか
FBなので、いかに前の面が抜かれないように後ろから指示を出すかを意識しました。自分の持ち味である声でみんなを動かせたかなと思います。
――チームとしてはディフェンスに関してどのようなことを意識していたのですか
ディフェンスは特に意識していて、一人一人がどのくらいハードワークできるか、自分がタックルするという気持ちでゲームに臨んだので、多少タックルミスもありましたが、そこまで大きなゲインにはつながらなかったと思います。
――今後への意気込みをお願いします
春シーズンまだ試合が続いていくので、チームのやりたいことと自分のやりたいことができるように、毎試合毎試合積み上げてやっていきたいと思います。