逆転に次ぐ逆転!終盤の猛攻振り切り、慶大撃破!

ラグビー男子

 SO横山陽介(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がボールを蹴り出すと、ホイッスルが鳴り響く。その瞬間、赤黒たちが歓喜に沸いた。「接戦を制すことができて、とてもうれしい」(WTB本田宗詩副将、スポ4=福岡)。シーソーゲームとなった、ライバル・慶大との戦い。後半30分に25-23と早大が逆転して以降、自陣でプレーする時間が続いた。それでも、慶大の攻勢を耐え抜き、得点を許すことなくノーサイド。意地と意地のぶつかり合いとなった早慶戦は、劣勢に追い込まれても最後まで諦めなかった早大に軍配が上がった。

 SO岸岡智樹(教1=大阪・東海大仰星)の思い切りのいいプレーがトライを生んだ。6分、ラインアウトの流れから岸岡がふわりと相手の頭を越えるキックパスを供給。それを本田がキャッチしてインゴールに飛び込み、先制に成功する。しかし、11分にキックパスで崩され失点するとその9分後にも追加点を許し、たちまち5点ビハインドに。後を追う早大はワイドに展開し反撃に出る。慶大のBKに対してFWを当ててゲインを切り、敵陣深くに侵攻。左大外でパスを受けたフッカー貝塚隼一郎(政経4=埼玉・早大本庄)がBKを弾き飛ばしてトライし同点に。37分にも相手のライン取りが高くなっているのを見逃さず、岸岡が裏のスペースにゴロパント。そこにWTB梅津友喜(スポ1=岩手・黒沢尻北)が駆け込むと、相手からボールを奪い取りそのままインゴールに叩きつけた。前半終了間際にPGを決められるも、司令塔の好プレーを起点にトライを重ねた早大が15-13とリードし、ハーフタイムへ。

キックパスをキャッチし、先制トライを挙げる本田

 後半に入ると、慶大の攻撃は激しさを増した。後半6分、PGで早々にスコアをひっくり返されるとその後も猛攻に遭い、自陣に釘付けに。それでも、慶大のお株を奪うような出足の鋭いタックルでインゴールは譲らない。接点で食らい付き、なんとか攻勢に転じると22分に再び逆転。CTB中野将伍(スポ1=福岡・東筑)のオフロードパスをもらった本田がタックルを受けながらもインゴールを陥れた。その後もトライを取り合い、25-23で迎えた後半37分。試合終了間際、2点差の状況でPGのチャンスを献上する。入れば逆転されるという絶体絶命のピンチだったが、SO古田(慶大)のキックはポスト右へ。相手のミスに救われた早大は、岸岡に代わって入った横山のキックで陣地を回復する。その後はドロップゴールのある古田とFB丹治辰碩を警戒しつつ球際でファイトし、再三のピンチを凌ぎ続けた。長い長いロスタイムをなんとかやり過ごし、ここでようやくノーサイド。勝利の女神は80分間を通して愚直に戦った早大フィフティーンに微笑んだ。

岸岡が多くのトライをアシストした

 「気持ちの部分で勝っていた」(ロック山口和慶、スポ4=福岡)。慶大を倒すという執念が勝利をもたらしたことは疑うべくもない。確かに、水際でのふんばりには目を見張るものがあった。しかし、「課題が多い試合でした」とロック桑野詠真主将(スポ4=福岡・筑紫)が厳しく振り返るように、一対一で突破を許したり、ハンドリングエラーで自らチャンスを手放したりする場面が目立ったのも事実。また、もし古田がPGを外していなかったら、去年の早慶戦の結末を慶大に再現されてしまうところだった。薄氷の勝利であったのは間違いないだろう。次戦はいよいよ伝統の一戦・早明戦だ。早慶戦同様、苦しい試合となることが予想されるが、「ことしこだわってきたところを全面に出して勝利したい」(本田)と気合は十分。本日の試合で浮き彫りになった課題を修正し、より精度を高めることができれば、おのずと勝利が見えてくるはずだ。

(記事 佐藤諒、写真 寺脇知佳、桝田大暉)

☆PICK UP PLAYER

ボールキャリアーとしても強さを発揮した山口

  ブレイクダウンで泥臭くファイトし、セットプレーで器用に立ち回る。派手さはないが着実に仕事をこなす選手。そんな評価だったロック山口和慶(スポ4=福岡)がこの早慶戦の舞台で輝きを放った。得意とするディフェンスや、ブレイクダウン、セットプレーではもちろんのことだが、この試合は特にアタックで大車輪の活躍を見せた。ボールを持つたびにタテへ突っ込み、ゲインラインを突破。慶大の魂のタックルにも引かずに前に出ることができた。そんな山口の活躍に、山下監督も「アタックが良かった」と賞賛の声を送る。山口は指揮官の言葉に対し、「僕自身、そんな実感はないんですけど」と謙遜しつつも、「これを毎試合続けられるように頑張っていきたい」と笑顔を見せた。普段は派手なプレーでスタンドを沸かせる下級生中心のBK陣を陰から支えている山口。しかし、このゲームでは華々しいBK陣に負けないほどの強い光を放ち、ラグビーの主役がBKだけではないことを示した。ここにきて確かな成長を見せる山口だが、スタメンに定着したのは4年生の春。最上級生であるにもかかわらず、まだまだ伸びしろを残す遅咲きのロックはいったいどこまで実力を伸ばしていくのだろうか。底知れぬポテンシャルを秘める『いぶし銀』から、今後も目を離せない。

(記事 佐藤諒、写真 大庭開)

関東大学対抗戦
早大 スコア 慶大
前半 後半 得点 前半 後半
15 10 13 10
25 合計 23
【得点】▽トライ 貝塚隼、加藤広、梅津、本田×2
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
鶴川 達彦 文構3 神奈川・桐蔭学園中教校
貝塚 隼一郎 政経4 埼玉・早大本庄
千葉 太一 教4 東京・早実
山口 和慶 スポ4 福岡
◎桑野 詠真 スポ4 福岡・筑紫
加藤 広人 スポ3 秋田工
佐藤 真吾 スポ2 東京・本郷
  後半19分交代→20柴田徹    
宮里 侑樹 スポ2 沖縄・名護商工
齋藤 直人 スポ1 神奈川・桐蔭学園
10 岸岡 智樹 教1 大阪・東海大仰星
  後半34分交代→23横山    
11 梅津 友喜 スポ1 岩手・黒沢尻北
12 中野 将伍 スポ1 福岡・東筑
13 黒木 健人 教3 宮崎・高鍋
14 本田 宗詩 スポ4 福岡
15 桑山 聖生 スポ2 鹿児島実
リザーブ
16 井上 大二郎 スポ2 愛知・千種
17 鷲野 孝成 基理2 神奈川・桐蔭学園
18 小笠原 優 商4 秋田
19 沖野 玄 商1 北海道・函館ラサール
20 柴田 徹 社1 神奈川・桐蔭学園
21 吉岡 航太郎 スポ3 国学院栃木
22 高橋 吾郎 スポ3 福岡・修猷館
23 横山 陽介 スポ3 神奈川・桐蔭学園
※◎は主将、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)

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関東大学対抗戦Aグループ星取表(11月23日終了時)
  帝京大 明大 筑波大 早大 慶大 青学大 日体大 成蹊大
帝京大 ○42-15 12/3 14:00

秩父宮
○75-3 ○42-31 ○111-0 ◯134-3 ◯91-0
明大 ●15-42 ○48-28 12/4 14:00

秩父宮
◯31-29 ◯60-5 ◯79-0 ◯70-0
筑波大 12/3 14:00

秩父宮
●28-48

●12-46 ●20-28 ◯15-13 ◯46-14 ◯82-14
早大 ●3-75 12/4 14:00

秩父宮
◯46-12 ◯25-23 ◯48-19 ◯45-40 ◯71-0
慶大 ●31-42 ●29-31 ○28-20 ●23-25 12/3 14:00

熊谷B
○55-0 ◯85-7
青学大 ●0-111 ●5-60 ●13-15 ●19-48 12/3 14:00

熊谷B
○31-24 ○21-3
日体大 ●3-134 ●0-79 ●14-46 ●40-45 ●0-55 ●24-31 11/26 14:00

江戸川
成蹊大 ●0-91 ●0-70 ●14-82 ●0-71 ●7-85 ●3-21 11/26 14:00

江戸川
※秩父宮は秩父宮ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、浜川は高崎市浜川陸上競技場、月寒は札幌月寒ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、熊谷Bは熊谷ラグビー場Bグラウンド、江戸川は江戸川区陸上競技場、海老名は海老名運動公園陸上競技場、慶大日吉Gは慶大日吉グラウンド、三ツ沢はニッパツ三ツ沢球技場。
関東大学対抗戦Aグループ順位表(11月23日終了時)
順位 チーム 試合 得点 失点 得失 トライ
帝京大 495 52 443 75
明大 303 104 199 45
早大 238 169 69 38
慶大 251 98 153 36
筑波大 203 163 40 30
青学大 89 261 -172 13
日体大 81 390 -309 12
成蹊大 24 420 -396
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。
コメント

山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)

――試合を振り返ってみていかがでしたか

帝京大戦から2週間半、今季の強みにしていかなければならない部分(スクラム・チームディフェンス・ブレイクダウン)をぶらさずにやってきました。慶大は、そのうちのチームディフェンスとブレイクダウンの部分で、帝京大や明大に対しても非常にファイトしていたので、そこでまずしっかり戦おう、と。帝京大戦で、ワセダが今季の強みにしていかなければならない部分で弱く見えてしまった原因として、アタックの出口の精度が悪かった、ということが言えると思います。BKがしっかりゲインして、FWがセットプレーでトライを取り切る、ということをアタックの出口にしているのですが、帝京大戦ではその精度が低かったですね。この試合に向けてその精度を上げていこうとしていたのですが、まだまだでしたね。ただ、選手たちには「絶対に勝ってこい」と言ってグラウンドに送り出したので、そういう結果を出してくれた選手たちを誇りに思います。

――岸岡選手を中心に、タテにシンプルに出るアタックが目立っていました。それはこの試合に向けたゲームプランとしてあったのでしょうか

そうですね。ゲームマネジメントとして、各エリアごとに選択するサインプレーをかなり細かく岸岡、齋藤直、本田のリーダー陣に伝えていました。この試合に関しては、そういう戦い方をしました。

――一対一のディフェンスで抜かれてしまう場面が多かった印象です

そこは大いに反省ですね。ファンダメンタルなスキルに対して、何かしらの対策をしていきたいと思います。

――修正する部分について、具体的にはどういった部分になるのでしょうか

一対一のディフェンスの問題なのか、それともチームディフェンスの問題なのか、それぞれの場面で違うと思います。端にボールを運ばれたときにFWがスペースを埋められなかった場面や、中盤で当てられたときにFWが順目に行きすぎてしまう場面などといろいろ原因はあったと思うので、そこはしっかりとビデオを見て確認したいですね。

――この試合では、梅津選手と桑山聖選手のポジションを入れ替えていました。その意図を教えてください

慶大はエリアマネジメントがすごく上手なチームで、エリアごとにやってくるプレーがすごく整備されています。それに対して、早大がどうエリアマネジメントしていくかというところで、今回の慶大戦では中盤からでもコンテストキックを上げていこうと思っていました。そこで、桑山聖はそういったキックがすごく上手なのでFBとして起用してみました。あと、帝京大戦でケガ人が出た時に桑山聖がFBをやったのですが、そこで桑山聖がボールキャリアーとして良かったので。真ん中のスペースでボールを持たせたほうが力を発揮するんじゃないかと思いました。梅津に関しては、ハンドリングの部分がまだ不十分なところもあるので。グラウンドの端でボールを持たせて、彼の瞬発力を生かしてもらいたいと思って起用しました。

――二人のこの試合での出来はいかがでしたか

梅津のプレーに関しては、この試合でもあったように大きなノックオンをする場面もあるんですけど、ポジションによるパフォーマンスのぶれはそんなにないと感じていますし、きょうも果敢にやってくれたと思います。桑山聖には「きょうは桑山の日になるよ」と言っていたのですが、そうはならなかったですね(笑)。

――終盤に横山選手を投入しました。意図は何だったのでしょうか

横山のロングキックを期待して試合に出しました。あと、横山は昨年の早慶戦でもあったように、最後の5分に持っている男だと思っていたので。

ロック桑野詠真主将(スポ4=福岡・筑紫)

――早慶戦を勝利で終えました。今の気持ちを聞かせてください

たしかに勝ったという結果は良かったんですけど、課題が多い試合でしたね。特にチームディフェンスで、一人一人のタックルの部分はまだまだだったと思っています。個人としてもそこは意識していましたし、改善の必要がありますね。

――試合を振り返ってみていかがでしたか

モールで押し切ることだったりアタックの出口の精度がこの試合でも低かったと感じています。スクラムを押して、ペナルティーを取って、ラインアウトモールで必ずスコアをする、という流れをつくりたかったのですが、この試合ではそういったスコアができなかったので、それは大きな反省点としてありますね。ただ、その中でも勝ち切れたということはすごく大きかったです。

――岸岡選手を中心にしてワイドにボールを動かしていた印象です。それは早慶戦に向けたゲームプランとして用意していたのでしょうか

そうですね。慶大はファーストタックラーがすごく速くて低くて鋭いので。そこに対して一人目のボールキャリアーがしっかりとレッグドライブして、二人目が慶大よりも早く寄る、ということを意識していました。

――試合での出来はいかがでしたか

できていた場面とできていなかった場面がありましたね。ブレイクダウンの局面で慶大の勢いを受けてしまったところも多くあったので。そこはこれからも引き続き強くやっていきたいと感じています。

――ファーストスクラムでいきなりペナルティーを獲得しました

どこの大学に対してでも、FWの強みとしてスクラムを出していかなければいけないと思っています。マイボールスクラムではペナルティーを取って当たり前、というレベルにしていきたいので、まだまだこだわり抜いてやっていきたいです。

――一方でマイボールスクラムをターンオーバーされてしまう場面も前半にありました

そうですね。あのスクラムではSHとのボールインのタイミングが少し合わなかったです。

――後半のスクラムは終始優勢だった印象です

自分たちのスクラムにもう一度立ち返ることができましたね。貝塚さんを中心にしっかり組めていたと思います。

――相手ボールラインアウトに手をかける場面が目立ちましたね

そうですね。大峯功三ジュニアコーチ(平27スポ卒=福岡・東筑)がすごくいい準備をしてくれました。その落とし込みも、Bチームが慶大に負けないくらいの精度で相手役をやってくれたので。いい準備ができたな、ということは感じていますね。試合では相手が前のタワーでボールを取るように働きかけていたので、そこは良かったと思います。

――試合前の校歌斉唱の際に、目に涙を浮かべていました。どういった思いだったのでしょうか

このあいだの日曜日にCチーム対Dチームの部内マッチがあって。試合に出られない4年生の気持ちもすごく感じていました。それに加えて、今季の初めに学生コーチになってくれた大輝(渡辺大輝、社4=国学院栃木)と海(山崎海、スポ4=神奈川・桐蔭学園)の気持ちを考えると、自然に涙が出てしまいました。

――次は早明戦です。やっていくことに変わりはないですか

そうですね。どんな試合であれ、やることは変わらないです。それに加えて、早明戦に関してはFWの勝負だと思っています。明大のFWに対しても引かずに、しっかり戦っていきたいです。僕たちがやっていることは変わらないので、そこを最後までこだわってやっていきたいです。

WTB本田宗詩副将(スポ4=福岡)

――率直な今のお気持ちは

ここ数年間の早慶戦を見ても、実力に関わらず接戦になるなとは思っていたので、その接戦を制すことができてとてもうれしいです。個人としてもずっと調子が悪かったので、2トライという結果を残せてよかったです。

――4年生としてラストとなる早慶戦、試合にはどのような心持ちで臨まれましたか

泣いても笑っても最後の早慶戦ですし、勝つか負けるが今後の人生に響いてくるほど大きなことだと思っていたので、絶対に勝ってやろうと思っていました。

――トライシーンを振り返って

(二つ目のトライは)練習でもずっと(中野)将伍はオフロードパスが得意でした。突っ込んできた時点で狙っているなとわかったので、あそこは練習通りだったと思います。

――後半には点を取り合う展開となりましたが、何か意識されていたことはありますか

ああいった展開になると、こっちも向こうも死に物狂いになるので、ルーズボールへの反応が一番大事になってくるかなと思っていました。実際に帝京大戦でもそこで後手を踏んでしまっていましたし、そこは意識して声掛けしていましたね。

――早明戦への意気込みをお願いします

また早慶戦と同じかそれ以上の観客の中でやれるという喜びをしっかりと感じたいです。その中でも流されずに、ワセダが今季こだわってきたところを全面に出して勝利したいと思います。

プロップ鶴川達彦(文構3=神奈川・桐蔭学園中教校)

――きょうは早慶戦ということでどのような気持ちで臨みましたか

伝統の一戦なので1点でも多く取って勝つことをテーマにやりました。

――何か特別な思いはありましたか

僕は1年生以来だったので、体を張ってチームに貢献したいと思いました。

――帝京大戦での反省を踏まえ、どのようなことを意識しましたか

チームのルールを大きな舞台でもぶれずに遂行するのと、ブレイクダウンをもっとしっかりファイトするということを意識しました。

――かなりの接戦でしたがいかがでしたか

特に前半ですが、(トライを)取れるところでミスしたりターンオーバーされたりしてしまって。それがなければもっとスコアが取れたと思うのでそこを課題にしていこうかと思います。

――実際に戦ってみて慶大はどのような印象でしたか

ファーストタックルが強いイメージがあったのですが、ワセダはしっかりボールキャリアーが前に出られたので良かったです。

――試合序盤はスクラムを押されている場面がありましたが、思い当たるところはありますか

相手のスクラムが、かなり低くて自分たちが浮いてしまって、そこを突かれました。

――ラインアウトのあと、ボールをもらって起点となってBKに展開していましたが、どのような考えでそのようにしたのですか

チームとしてそのようなサインを今までもしていたのですが、きょうは少し変えてタイミングをずらしました。

――試合終盤、トライをアシストするパスをしていましたが、どのような判断でしたか

外に2、3枚いたのでその中で最も足の速いランナーにパスをしました。

――きょうの振り返っていかがお思いですか

自分たちの良さを出せた部分もあったのですが、ミスだったりスクラムでいけると思ったら低く入られて押されてしまったりと、精度の部分が低かったと思います。

――次回への意気込みをお願いします

慶大戦と同じようにまずは勝つことが前提で、あとはFWとしてはまずはスクラムにとてもこだわっているチームなので、スクラムでしっかり勝って結果的に試合も勝てたら良いと思います。

フッカー貝塚隼一郎(政経4=埼玉・早大本庄)

――早慶戦を勝利で終えました。今のお気持ちをお聞かせください

純粋にほっとしています。逆転されず勝ち切れたことはよかったと思います。しかし自分たちの精度の甘さだったり、ファーストタックルにしっかり入れないなど、反省点は何個かあります。

――伝統の一戦だけあって緊張はありましたか

2日前くらいは緊張していました。きょうは自分のやれることをやるだけだと開き直ることができました。

――前半のスクラムは相手に回されることが多かったと思います。その原因は何でしょうか

スクラムを組んだ後の姿勢の低さの部分を徹底できず、押し返されてしまいました。

――後半は慶大を押し返す場面がありました。どのような修正しましたか

相手と当たった後の姿勢の低さやバインドにおける駆け引きで修正できたと思います。

――大外でトライを決めました。外側に配置していたのはミスマッチを狙ってのことですか

ミスマッチも狙いの1つです。オーバーラックの部分で人数の優位性を作ることも狙いです。

――ラインアウトスローはいかがですか

満足していないです。どれほどうまくいったとしても最後の大事な場面でミスしたので。

――お互いに点を取り合う展開となりました

トライされることも多かったですが、自分たちのやるべきことは共有できていたので、焦りはありませんでした。

――きょうの試合で勝ち切れた意義は大きいですか

大きいです。対抗戦の順位もありますし、試合に勝ち切ることをテーマにしてきた中で結果を出せました。

――早明戦に向けて意気込みをお願いします

去年の借りもありますし、今後の試合に向けてもチームとして伸びていかないといけません。この試合から、さらにステップアップしたいです。

プロップ千葉太一(教4=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

個人としてはミスも多かったのですが、勝てて良かったです。ほっとしました。

――千葉選手にとって最後の早慶戦でしたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか

最後でもありますし、勝って終わりたい。それだけでした。

――前半スクラムで押されている印象でした

相手のスクラムに付き合ってしまったということもあって、自分たちのペースに持っていけませんでした。前半の途中から少しずつ、自分たちのスクラムに持っていけたのが良かったです。

――慶大のスクラムは重心の低さが持ち味ですが、重心が上がっていたということはありましたか

すごく低かったですが、そこに屈せず自分たちのスクラムに持っていけたので良かったと思います。

――自分たちのスクラムに持っていけた要因というのは何でしたか

やってきたことをやるということと、途中コーチからのアドバイスも飛んできました。

――今回レフェリーとの相性はいかがでしたか

やってもらったことのある方なのですが、まあまあですかね。来週のレフェリーにもアジャストしていかなければいけないと思います。

――勝利の瞬間というのはいかがでしたか

気持ちよかったです。勝ってほっとした、それだけです。

――春慶大と戦った時と比べて、良かった点は何でしょうか

意地が出たと思います。あとは、ディフェンスが簡単に崩れなかった部分も春より良かったと思います。

――借りは返せましたか

内容はどうであれ、結果で返すことはできました。

――早明戦に向けての意気込みをお願いします

去年は負けて、スクラムでも完敗で。何も良いところがなかったので、ことしはまずスクラムで勝つ。そこから勢いに乗って、チームを勝利に導きたいと思います。

ロック山口和慶(スポ4=福岡)

――接戦を制しました

とりあえず、うれしいという気持ちが大きいですね。

――前半は慶大の低いスクラムに苦しむ場面もありましたが、後半は押せていました

最初の方は不利になる場面もあったんですけど、後の方になったら修正できました。いつものワセダのスクラムで、しっかりゲームをつくることができました。

――ブレイクダウンではジャッカルされる場面もありましたが、おおむね優勢でした

前半の方は勝っていたと思うんですけど、後半になってプレッシャーを強く受けて相手にリズムよく出させてしまったので、ディフェンスやブレイクダウンはまた修正したいです。

――ラインアウトではスチールする場面が目立ちました

リサーチして、取るつもりではいたのですが、すごくうまく取れてびっくりしました。良かったです。

――アタックに関して、山口選手がボールを持つことが多かった印象を受けましたが、チームとして集めるという方針だったのでしょうか

いや、そんなことはないのですが、ボールキャリアーになることが多かったです。それでも前に出ようという気持ちがあったので、そこで前に出られた部分もありましたし、受けて良くないかたちになったこともあるので、全部いい球を出せるようにしていきたいです。

――かなり活躍されていましたね

僕自身そんな実感はないんですけど。監督からも、「良かった」と言われました。これを毎試合続けられるように頑張っていきたいです。

――監督はどこがよかったとおっしゃっていましたか

アタックですね。

――ディフェンスに関して、慶大の魂のタックルに劣らず、早大も気合が入っていた印象を受けました

今週ずっと、僕や千葉や詠真が、4年生から気持ちで前に出るということで、タックルを練習してきてはいたんですけど、相手にうまくかわされたり飛び込んでしまったり、技術面で足りないところもありました。もっと前に出てタックルに入って、ターンオーバーして良いかたちがつくれるように修正してやっていきたいです。

――終盤、DGで逆転されることも想定されましたが、その対策はされましたか

僕自身はDGはあんまり考えていなかったですね。

――終盤、慶大の猛攻に遭っている最中はどのような気持ちでしたか

落ち着いて、いつも通りやったら大丈夫だとは思っていたので、変に焦って自分たちのかたちを崩すことのないように、周りに声を掛けていつも通りやっていこうとは思っていました。

――ずばり、本日の勝因は何だと考えていますか

早慶戦は理屈じゃないと思うので、ワセダは気持ちで勝てていたのかなと思います。

――次戦は早明戦です

早明戦も負けられないし、伝統ある戦いなので、理屈ではなく、気持ちの面で負けないようにしたいです。そこで勝って、試合でも勝ちたいです。

フランカー加藤広人(スポ3=秋田工)

――率直に今の気持ちを聞かせてください

チームとしても個人としても課題の残る試合となったのですが、しっかり勝ちきれたというのが一番の収穫だと思うので、これから次の早明戦につなげていきたいと思います。

――きょうはスクラムが回ってしまったり、コラプシングを取られたりしてしまいました

こちら側に優位になるようなときもあったのですが、あちら側に取られてしまうこともあったので、そこはしっかり修正していきたいなと思います。

――ラインアウトの成功率が高かったですね

そうですね。成功率は高かったのですが、最後の大事なところで取られてしまうようではまだまだ詰めが甘いなと思ったので、ラインアウトのリーダー中心に修正していきたいと思います。

――ラインアウトでスチールする場面もあり、競っている印象を受けましたが、ご自分のプレーを振り返ってみていかがですか

ラインアウトは自分の強みの一つなので、しっかり成果を出せて良かったと思います。

――キックオフボールなど、ハイボールキャッチも良かったと思います

それを目的にずっと練習してきたので、それを出せて良かったです。

――ブレイクダウンに関してはいかがでしたか

相手に(プレッシャーを)かけられてしまってターンオーバーされる部分もありましたし、相手ボールの時にこちらがプレッシャーをかけてとることがあまりできなかったので、これからもブレイクダウンにこだわっていきたいと思います。

――鶴川選手のパスからトライを取りましたね

(鶴川選手は)元CTBの選手なので、前向いてしっかり外のスペースが空いている僕に放ってくれると思って、しっかり声を出したらやっぱり放ってくれたので。そこを信頼し合えて良かったなと思います。

フランカー佐藤真吾(スポ2=東京・本郷)

――今日の試合を振り返っていかがですか

結果としては勝ったんですけど、個人的にもチームとしてもまだまだブレイクダウンやディフェンスのところで課題が残ってしまったと思います。

――早慶戦という大舞台でしたがどういった意気込みで臨みましたか

普段通り落ち着いていつも練習でやっていることをしっかり出そうと思っていました。早慶戦だから特別ということではなく、しっかり淡々とプレーしていこうと思っていました。

――前回の帝京大戦からどのように気持ちを切り替えましたか

帝京大戦はもう終わったことだから、なるべく引きずらないようにしていました。

――僅差のとても厳しい試合でしたがいかがでしたか

相手のブレイクダウンの強さであったり、一人一人のボールキャリーの強さであったりが目立って、前半から本当にきつい試合でしたが、結果として勝てたことはとても嬉しく思います。

――サイドディフェンスなどでしっかりと粘れているように見受けられましたが、ご自身としてはやはり先程おっしゃったように満足はしていないのでしょうか

そうですね。自分としては最近の試合の中でも最低のパフォーマンスだったなと思っています。

――具体的な課題を挙げるとすれば何でしょうか

フランカーなのでタックルの最初の部分であったり、ブレイクダウンなどはもっとかけることができたんじゃないかなと思いました。

――ラインアウトではジャンパーとして機能していましたが

相手のビデオをよくスカウティングしてちゃんと普段から練習することができたので、ディフェンスでボールをスチールできたりといった結果に結び付いたのかなと思います。

――早明戦への意気込みをお願いします

チームディフェンスの最初のタックルのところだったり、ブレイクダウンの部分が全然だめだったので、早明戦に向けてそこを日々しっかり練習していきたいと思います。

SH齋藤直人(スポ1=神奈川・桐蔭学園)

――初めての早慶戦でしたが、試合前との印象の違いはありますか

観客も多くて歓声も他の試合とは別物で、伝統ある一戦のすごさを感じました。

――花園とはまた違った雰囲気でしたか

あまりプレー中は気にならないんですけど、同じくらい興奮しました。

――伝統の試合は気持ちの戦いになると山下監督も言っていたようですが、接戦の中でそれは感じましたか

チームとしては気持ちも入っていて、いいタックルも多かったですけど、そのなかでも精度が低いプレーもありました。気持ちという部分ではしっかり全員入っていたと思います。

――自らタックルにいく場面も多かったですが、ディフェンスを振り返っていかがですか

ディフェンスのコントロールと個人的なタックルも意識してやったんですけど、外される場面がありました。ゲインされるということは自分の指示が悪かったということなので、もう少し意識してやっていきたいです。

――ロスタイムで慶大のDGのチャンスがあったと思いますが、その時はどのようにコントロールしていましたか

特に意識はしていなかったですけど、後ろで10番と15番が左右をうかがっていたので、左によりながらバランスを整えるように意識していました。

――きょうもボックスキックを積極的に蹴っていましたが、出来はいかがですか

ボックスキックもまだまだ精度は低いので50点くらいですね。試合中の流れで多く蹴ったつもりが有効的ではなかったので、そういうところの使い方を考えてきたいです。

――前半のラインアウトのムーブはどのようなイメージでしたか

早慶戦用に準備していて、モールダミーから少し自分が仕掛けて次のランナーに当てるということで、仕掛けすぎず、かといって早く投げるとずらされるのでいいタイミングを狙って投げました。

――順目に選手がタテに来るようにしていましたね

それはゴール前ですが、そこのさばきも少しよくなかったです。

――中野将選手がポイントをつくり、そこから展開するという攻撃が目立ちましたが、チームとしてのコンセプトがありましたか

そうですね。役者がボールを持ってゲインしてつなぐ、という監督に言われていた通り準備していたことができたと思います。

――岸岡選手のキックの調子が悪かったと思いますが、プレー面は齋藤選手から見ていかがでしたか

いつも通りでした。冷静に後ろから指示してくれたので助かりました。SOは判断とかいろんな面で負担が多いと思うので、もう少し自分が解消できるようにやれることをやりたいです。