公式戦初戦、青学大にまさかの敗北

ラグビー男子

 新体制になってからの最初の公式戦・関東大学春季大会を迎えた。初戦の相手は早大が先月のセブンズで敗北した青学大。序盤、両チーム反則が多く慌ただしい試合展開となったが、良いテンポで3トライを決める。しかし、前半終了間際に連続失点を許し17-17の同点で折り返した。後半は前半の失点を引きずったのか流れを作れずに反則やミスを連発してしまう。2点を追う場面でラストチャンスを得た早大であったが、放たれたキックパスをグラウンディングすることはできず試合終了。29-31で悔しい敗戦となった。

 最初に仕掛けた早大は2分、ラインアウトからこぼれたボールをプロップ鶴川達彦(文構3=神奈川・桐蔭学園中教校)が拾い上げ独走すると、フォローに入ったNO・8宮里侑樹(スポ2=沖縄・名護商工)がパスをもらいトライを挙げる。キックは外れたが5-0で先制。しかし、その直後自陣のペナルティーからトライを奪われ5-7と逆転を許してしまう。追い上げる早大は17分、左サイドのスクラムから大きく右にボールを展開し、高麗大戦で4トライの活躍を見せたWTB本田宗詩副将(スポ4=福岡)がフリーでボールをもらい逆転のトライ。続いて30分、ゴール前のスクラムでFWが青学大を圧倒し、そのまま宮里がボールを沈めきょう2本目のトライを挙げる。BKとFW共にいい形でトライを奪った。しかし前半終了間際、ペナルティーキックで失点。その直後にもテンポの速い青学大の攻撃でディフェンスにほころびが生じトライを許す。一気に追い上げられ、17-17と同点で前半を折り返した。

先制トライを挙げた宮里

 試合は振り出しに戻ると、前半とは一変して激しいシーソーゲームとなる。4分、本田が右サイドを走り抜けポイントを作ると、素早く逆サイドに展開し最後はロック桑野詠真主将(スポ4=福岡・筑紫)がトライを奪った。しかし10分、タックルミスからディフェンスが崩れると、相手FWにボールをねじ込まれ、またも同点となる。15分、サインプレーからCTB桐ケ谷稜介(スポ2=群馬・太田)が切り込んでラインブレイクし、フォローに入ったFB伊藤大貴(スポ2=愛知・春日丘)がトライ。キックは外れ29-24となる。続く23分、スクラムの反則でピンチを招き、ラックからそのままタテを突かれトライを許す。するとここでキックを決められ29-31と逆転される。その後何度も得点の機会を得るがミスが重なり攻めあぐねた。そして38分、敵陣でペナルティーを得た早大に最後のチャンスが訪れる。ペナルティーキックが入れば逆転だったがあえてタッチキックで陣地を進めトライを狙った。しかしラストプレーのキックパスは無念の失敗。春の公式戦初戦は29-31で敗れた。

トライを決めた伊藤。レギュラー定着なるか

 強化ポイントのディフェンスはダブルタックルが随所で機能し相手を押し返す場面も見られたが、やはり一度崩されてからの立ち上がりがまだ遅い。また接点では圧倒しているのに、後半はミスで自らチャンスをつぶしている。やるべきことができていなかった。きょうの試合を「チームとして崩れた試合」と桑野主将は話す。春シーズンはまだまだ続く。大事な公式戦初戦は不安をかきたてる内容となった。

(記事 高橋団、写真 寺脇知佳、寒竹咲月、本田理奈)

関東大学春季大会
早大 スコア 青学大
前半 後半 得点 前半 後半
17 12 17 14
29 合計 31
【得点】▽トライ 伊藤、桑野、宮里2、本田 ▽ゴール 広瀬(2G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
鶴川 達彦 文構3 神奈川・桐蔭学園中教校
  後半30分交代→16佐田    
峨家 直也 商2 兵庫・報徳学園
千葉 太一 教4 東京・早実
  後半20分交代→18柴田    
山口 和義 スポ4 福岡
◎桑野 詠真 スポ4 福岡・筑紫
堤 悠 政経4 東京・攻玉社
西田 強平 スポ2 神奈川・桐蔭学園
後半30分交代→20江副
宮里 侑樹 スポ2 沖縄・名護商工
杉本 峻 商4 東京・早実
10 広瀬 泰斗 政経4 東京・早大学院
11 フリン 勝音 スポ3 福岡・筑紫丘
12 桐ケ谷 稜介 スポ2 群馬・太田
13 千野 健斗 人2 東京・成蹊
14 本田 宗詩 スポ4 福岡
後半11分交代→23佐々木
15 伊藤 大貴 スポ2 愛知・春日丘
リザーブ
16 佐田 涼祐 社4 東京・早実
17 尾島 拓樹 商2 東京・早実
18 柴田 雄基 文2 愛知・千種
19 水野 孟

基理3 東京・早実
20 江副 希典 社4 佐賀工
21 杉本 頼亮 スポ3 京都・桂
22 高橋 吾郎 スポ3 福岡・修猷館
23 佐々木 尚 社2 神奈川・桐蔭学園
※◎は主将、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)
コメント

ロック桑野詠真主将(スポ4=福岡・筑紫)

――惜しくも敗れましたが、敗因はなんだと考えていますか

先週の高麗大戦で勝って、今週しっかり準備していこうという中で少し甘えた部分がありました。やってきたことをできなかったりこだわる部分をこだわれなかったり、そういうところがあってチームとして崩れた試合でした。

――ディフェンスで意識されているフォーピットの出来はいかがでしたか

フォーピットしてからの立ち上がり、タックルしてからの立ち上がりが遅いです。

――前半最後で連続失点されましたが、原因はなんだったと考えていますか

これからビデオを見直して、原因を徹底的に追及したいと思います。

――前半追いつかれてから後半が始まる前に、チームに呼びかけたことはありますか

後半は風上だったのでしっかり敵陣でプレーして、もう一回ディフェンスと自分たちがやってきたことをやろうと話しました。

――オフェンスではさまざまなかたちでトライを決めましたが、収穫はありましたか

オフェンスに関しては全く何も準備していないので、ブレイクダウンをこだわってやってきましたが、まだまだそこもできていない部分があるかなと感じました。

――後半の最初にタックルミスからディフェンスが崩れトライを奪われましたが、反省などはありますか

自分たちがやってきたディフェンス、横との連携などができていなかった結果、一対一になった状況で相手にうまくかわされてこちらがやってきたフォーピットなどができない状況になってしまいました。

――ラストプレーのキックパスはどのような判断だったのですか

キックパスの前にスクラムペナルティーをもらって、今年はスクラムを強みにしようとしているところで宮里のせいではないですけど、宮里がタップで行ってしまったことがまずおかしかったです。ことしのワセダはスクラムを強みにしようと言ってたんですけど、あそこでスクラムにこだわれずにゴーで行ってしまいました。

――スクラムでフッキングをしていなかったのには理由があるのですか

春シーズンはボールをフッキングせずに乗り越えていく、という新しい取り組みをしています。

――それは相手を押す意識をつけるためですか

そうですね。

――これからの試合に向けて意気込みをお願いします

春シーズンはまだ続きますが、僕たちの目標は日本一です。ぶれることなく来週からの厳しい状況の中で、ワセダがこれまでやってきたこととやろうとしていることをできるように一週間準備して、一人一人のレベルアップをしていきたいです。

WTB本田宗詩副将(スポ4=福岡)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

僕はきょうフル出場していませんが、前半風下の中粘れたと思います。後半は風上でのキックを有効にいこうということだったんですが、相手の10番の選手がすごくうまい選手で蹴り負けてしまったという印象です。

――後半でのメンバー交代に意図はあったのでしょうか

昨年ケガしたところが少し張っていたので、フル出場はないかなという感じでした。

――ラインが浅い印象を受けたのですがいかがでしたか

相手のすごく外から攻めてくるディフェンスに対して、僕らが修正できずに浅くなってしまったので、もっと深くというところを練習から意識していきたいと思います。

――敗戦という結果について、どうお考えですか

早稲田はたぶん、創部史上初、青学大に負けたと思うんですけど、去年からずっと負の記録が続いているので僕たちの代でしっかり止めたいという思いはあったのですが、、、。でも新体制になって、やりたいことはやろうとしていた試合だったと思うので、悲観しないと言ったらおかしいですけど来週しっかり切り替えてがんばりたいと思います。

――最重要課題は何でしょうか

一番こだわっている、チームディフェンスのダブルタックルは足が疲れてくるとダブルタックルできずにターンオーバーできません。無駄に二人をかけてしまうと人数が上回られてしまうのでダブルタックルからのターンオーバーというところが最大の課題だと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

しっかり体のケアをして80分しっかり出ることができる体を作るというのが自分にとっては一番大事です。しっかりトライをとって来週は勝ちたいと思います。

プロップ千葉太一(教4=東京・早実)

――きょうの試合の感想を聞かせてください

一言で言うと、ミスとラグビー偏差値が低いということが負けた原因だと思います。

――前回の高麗大戦に比べて、スクラムで相手を圧倒するシーンが目立ちましたが修正した点などはありますか

セットアップは修正出来たと思うのですが、結局ペナルティーを取りきれていないので、ペナルティーを取ってタッチキックで陣地を得るということができず、自分たちに優位な形で試合が進められなかったと思います。

――ダブルタックルの成功率は上がっているように見受けられました。ディフェンスについてはいかがでしたか

ダブルタックルの成功率は以前よりも全然上がってはいると思います。しかし、ターンオーバーができていないのできょうの試合はダブルタックルからのターンオーバーを意識していたのですが、ターンオーバーできたのが少なかったので、その分は修正点かなと思います。

――きょうの試合ではボールキャリアーとして前へ出るシーンが多く見受けられました。アタックに対してはどのような意識で臨まれていますか

ことしはアタックが出来る選手が少ないので、自分から前に出ないとチームとして前に出ることができないと思ってやっています。

――次節に向けた意気込みをお願いします

一つ一つ勝たないとこのチームは自信にならないので、勝つことを第一に、自分たちのやることをやって勝つことが次のステップに進むために必要かなと思います。

FB伊藤大貴(スポ2=愛知・春日丘)

――今の心境を率直に聞かせてください

チームとしてはやってきた事だけを試合でやろうということだったので、その上にもちろん勝つことがあると思うのですが、やっぱり2点差というゲームで勝ちきれなかったのはすごく悔しいです。

――きょうの試合のディフェンスの面を振り返っていかがですか

ことしのワセダはチームディフェンスで、ライフラインといってチェーンという横とのつながりや連携を崩さないという考えがあるのですが、一人一人が意識してできた部分もあったし、まだまだ詰めが甘いなという部分もあったので、そこはワセダとして出ている以上100%できるようにしないといけないと思います。

――オフェンスはいかがでしたか

きょうはバックスで敵陣へ敵陣へという考えを持っていて、広瀬さんや自分がキックを使って敵陣へ行って、自分たちのアタックをするという考えでした。キックの精度としては、できていた部分もあったし、後半の入りなど、まだまだ精度が低いなという部分が出てしまったので、練習から一本一本のキックを意識して蹴らなきゃいけないと思いました。

――きょうはトライを決めましたがご自身としてはどのように感じていますか

自分としても久しぶりで、仲間がつないでくれたボールをトライまで持っていくことができて、素直にうれしいです。

――大きな声で指示を出す姿が印象的ですが、意識して行っているのですか

そうですね。やはりFBというポジションとして後ろからみんなに指示を出して盛り上げたり、的確な指示を出たりすることを意識しています。試合前ミーティングでも大悟監督から、お前は後ろから声を出せと言われていたので、その分意識してやりました。

――Aチーム定着に向けて意気込みをお願いします

できていた部分は継続して、やってきた事でできなかった部分はもっともっと練習からできるまでやるということを意識して、必ずレギュラーに定着したいです。