セットプレーのミスが目立ち、大量失点。精度の低さ浮き彫りに

ラグビー男子

「悔しい」(プロップ佐田涼祐ゲームキャプテン、社4=東京・早実)。ホームグラウンドで行われた関東学院大Bとの練習試合。前半からラインアウトなどのミスを連発し、思うようにアタックすることができない。後半に修正を試みるも、ミスは減らず、自陣でのプレーを強いられてしまう。ディフェンスの隙を突かれてトライを何度も許し、7-59と大敗を喫した。

開始3分でトライを奪われたものの、立ち上がりはまずまずだった。相手のパスミスからボールを奪うと、SO辺津勘太(法2=東京・早実)などのキックで敵陣深くまで攻め込む。スクラムも相手を押し込む圧力があった。その後も、CTB高橋吾郎(スポ3=福岡・修猷館)のゲインなどで何度も攻めるチャンスは生まれるが、要所となるラインアウトでミス。得点に結びつけることができない。徐々に流れが悪くなると、自陣でのプレーを強いられる苦しい時間が続く。たびたびダブルタックルを含む鋭いタックルを見せるが、じりじりと攻め込まれ失トライ。無得点のまま前半を終えることはできない早大は、35分にSH緒形岳(スポ2=新潟・新発田)がラックからこぼれた球を拾うと、そのまま空いたスペースに走り込みトライ。高橋吾がキックを決め、7-17で折り返す。

トライを決めるなど存在感を示した緒形

後半になってもラインアウトのミスは減らない。ミスは悪い流れを生み、ディフェンスもほころび始める。ディフェンスの隙を突かれて抜け出されると、バックスリーの連携が合わず止めることができない。フィールドの半分ほどを独走されるようなトライを何度も献上し、点差はどんどん開く。アタックでも、SH杉本頼亮(スポ3=京都・桂)がたびたび抜け出したが、フォローがいない状態になり、攻撃が途切れてしまった。さらに、ラインアウトからモールでの得点を狙うが、相手を動かすことはできない。ダメ押しのトライを奪われ、7-59という大差でノーサイドを迎えた。

攻守に課題を残すゲームとなった

前半と後半で大きくメンバーが変わったとはいえ、セットプレーの精度の低さは問題だろう。また、コミュニケーションの面にも課題が残る。まだシーズンは始まったばかり。これからの勝利のために、さらに精度を突き詰めていくことが早急の課題だ。

(記事 本田理奈、写真 浅野純輝)

練習試合
早大B スコア 関東学院大B
前半 後半 得点 前半 後半
17 42
合計 59
【得点】▽トライ 緒形 ▽ゴール 高橋吾(1G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
◎佐田 涼祐 社4 東京・早実
  後半13分交代→16小澤    
鷲野 孝成 基理2 神奈川・桐蔭学園
  前半25分交代→17尾島    
柴田 雄基 文3 愛知・千種
  後半21分交代→18小笠原    
水野 孟 基理3 東京・早実
  後半23分交代→19三輪    
入谷 怜 スポ2 愛知・南山
小柴 大和 法2 北海道・函館ラサール
  後半5分交代→20増田    
佐藤 健 商2 東京・早大学院
江副 希典 社4 佐賀工
緒形 岳 スポ2 新潟・新発田
  後半18分交代→21杉本頼    
10 辺津 勘太 法2 東京・早実
  後半13分交代→22船越    
11 小谷 海知 スポ3 東京・国学院久我山
12 中野 厳 政経3 東京・早大学院
  後半13分交代→23野口    
13 高橋 吾郎 スポ3 福岡・修猷館
14 板垣 悠太 基理2 東京・玉川学園
15 作田 蓮太郎 教3 東京・早実
リザーブ
16 小澤 祐仁 法2 東京・早大学院
17 尾島 拓樹 商2 東京・早実
18 小笠原 優 商4 秋田中央
19 三輪 達哉 文2 三重・桑名
20 増田 宏人 文構3 埼玉・早大本庄
21 杉本 頼亮 スポ3 京都・桂
22 船越 明義 社2 東京・早大学院
23 野口 祐樹 人3 群馬・太田
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)
コメント

プロップ佐田涼祐ゲームキャプテン(社4=東京・早実)

――試合を終えて、率直な気持ちを教えてください

悔しいですね。やってきたことを出して負けるぶんには次につながると思うのですが、それすらできませんでしたし、(ゲームキャプテンとしてチームを)まとめきることもできなかったので。悔しいです。

――ゲームキャプテンとして、チームを引っ張ろうという意識はあったのでしょうか

もちろん、それは意識していました。でも、意識しているだけで、チームをまとめきることはできなかったので、この試合の敗因は僕にあるのかなと思います。

――まとめきれなかったというのは具体的にはどういった部分ですか

アップから良くない空気をつくってしまって。変えようと思っても変えられなかったです。それは僕の力不足ですね。試合に入る前からふわふわしてしまっていて。

――ラインアウトが不安定だった印象です

そうですね。言い訳になってしまうんですけど、メンバー全員がそろって練習する時間があまりなかったというのもあります。でも、そうだとしても試合の中で修正すべきなのに、それができなかったというのが問題だと思います。

――一人一人の実力うんぬんではなく、チームとしてということでしょうか

そうですね。チーム全体として、すぐに修正できなかったというのがFWとしての問題だったと思います。

――ほかにこの試合での反省点はありますか

(ディフェンスのときに)それぞれの間を均等にして立てなかったり、ディフェンスのセットができていなかったりという部分ですね。監督(山下大悟監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)から、いままでやってきたことをやろうともしていない、という話もあって、重く受け止めています。

――スクラムに関してはいかがでしたか

もっと8人で押したかったというのはあります。少し、後ろからの押しが弱かったなと。あとは、フロントローが急いでしまって、スクラムが上に向かってしまいました。そこは修正していかなければと思います。

――ケガの具合はいかがですか

きょうが復帰戦でした。もう問題ないですね。

――鶴川達彦選手(文構3=神奈川・桐蔭学園中教校)がライバルと先日話していましたが、まさにその通りになっていますね

そうですね。鶴川は本当に吸収力があって、スクラムもどんどん良くなっていますね。でも、僕もスクラムでは負けられないと思うので、もっと良いものを出していきたいですし、フィールドプレーも僕はここから伸びるので。鶴川に負けじと頑張りたいと思います。

――あしたの試合ではどのようなプレーをしたいですか

まず、僕の強みはスクラムなので。スクラムでは、僕がいないとスクラムが成り立たないんだ、というくらいの存在感を出していきたいです。フィールドプレーに関しても、悪くないじゃん、と思わせられるようなプレーをしたいです。フィールドプレーに関しては、もともとBKだった鶴川のほうが上なのはわかっているので。僕はその差をいかに努力で埋められるかだと思っています。

NO・8江副希典(社4=佐賀工)

――きょうの試合のディフェンスを振り返っていかがですか

前半からなかなか自分たちがやりたいことが出せなくて、それを修正しようと後半に臨んだのですが、それでも修正できていない部分がまだまだあって、自分たちのやりたいフォーピットというラグビーができていませんでした。

――具体的にはどういったことをやろうと思って試合に臨んだのですか

いまチームディフェンスを大事にしていて、個人でタックルにいくのではなく、2人でタックルにいって、しっかり鎖になってディフェンスをしようということをやっています。しかし、きょうの試合では一人一人の距離が近かったり、1人で飛び込んだりしてしまったので、そこが修正しなくてはいけない点です。

――スクラムはいかがでしたか

前半はけっこう押すことができていて、ペナルティーを何回か取られたところもあったのですが、ポジティブなミスだったので、すごく良かったと思います。後半メンバーが変わってからは修正ができなかったので、そこが課題かなと思います。

――ラインアウトではミスが目立ちましたが、原因はどこにあったと思いますか

ことしのラインアウトはチームがどうこうよりも個人のスキルを大切にしているのですが、飛ぶ人がしっかり飛ぶ、上げる人がしっかり上げる、投げる人がしっかり投げるというスキルがAチームに比べるとBチームには足りていないと思います。

――江副選手がメインジャンパーを務めていましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

きつくなってきたり、ミスが続いたりすると、自分もパニックになってしまって、タイミングなどで規律を守って飛ぶことができていなかったので、そこが自分の課題かなと思います。

――ラストイヤーに出場機会も増えてきましたが、どのように感じていますか

4年が強いチームが絶対に強いチームになると思うので、そこでどれだけやれるかが大事になってくると思います。

――次戦への意気込みをお願いします

個人としてのプレーが第一ではあるのですが、4年生としてしっかり前に出て声を出して戦いたいです。

CTB高橋吾郎(スポ3=福岡・ 修猷館)

――きょうの試合の感想はいかがでしたか

点数に表れた通り、やろうとしている、自分たちがフォーピッドと呼んでいる、ダブルタックル、ブレイクダウン、セットピースが安定しなかった。ことしのチームが武器にしている点が発揮出来なかったと思っています。

――きょうの試合ではBK陣を束ねるシーンが目立ちました。何か心がけたことはありますか

BK陣に4年生がいなかったので、自分が中心になろうとのことだったのですが、アタックで良いところがなくて、トライを取りきれず、この点数に表れてしまったと思います。

――ディフェンス面について、どう思いますか

前半はディフェンスラインを引きすぎてしまい、相手の能力の高いBK陣に走らせるスペースを与えてしまいました。自分たちのやりたい、前で止めるディフェンスが出来ませんでした。

――前半では何度かBKを中心に突破するシーンが目立ちましたが、突破の要因となったものは何だと思いますか

前半、抜けたのはサインプレーではなく、シンプルなプレーで相手のディフェンスが甘かった点です。何度かゲイン出来たことは良かったのですが、トライを取りきれず、点数を取れなかったのが良くなかったと思います。

――FW陣との連携はどうされていましたか

練習通り、自分たちのシステムでどんなときでもやれるように意識していたのですけれども、アタックが継続出来なかった点が残念でした 。

――次節に向けての意気込みをお聞かせください

ことしのチームテーマはスクラム、チームディフェンス、ブレイクダウンなので、これらのレベルを上げて、50点以上取られているようでは話にならないので、1日1日ディフェンスを積み上げていきたいと思います。

FB作田蓮太郎(教3=東京・早実)

――惜しくも1トライという結果になりましたが、オフェンスの反省はなんですか

今までやってきた二人目の寄りであったりそういうところが、練習より意識できていなくてボールが停滞してしまったのが原因だと思います。

――バックスのハンドリングエラーが多かった印象でしたが、原因はなんですか

練習で自分の間合いでポジショニングすることを意識していましたが、オフェンスを通してあまりできていなかったです。それで相手が詰めてきたり引いてきたりで対応できなくて焦ってボールを落とすというのが何回かあったので、そこは次修正して、しっかり間合いをつかんでいかなければならないと思います。

――相手が抜けてきた後のディフェンスでタックルミスが多かったと思いますが、反省はありますか

バックスリーの連携が取れていなかったことが大きいです。抜かれてはいけないところを抜かれることが多かったのでもっと声をかけて、一対一ではなく二人で挟むとかそういうことができればもっと止められたと思います。

――バックスのファーストタックルはよく決まっていました。全体で意識していたことはありますか

今フォーピットというのに取り組んでいて、二人でタックルに入って4つの足でボールにプレッシャーをかけるというのをやっています。完ぺきできはないのですが、意識はついてきているかなと思います。あとはそこからもっとターンオーバーになっていけば完ぺきなディフェンスなのですがまだ行けてないので、そこがまだ課題です。

――ご自身のきょうの反省はありますか

アタックにもっと積極的に参加したかったのと、裏の抜けてきたのを簡単にトライにしてしまったというのは、個人的な反省です。処理のところをバックスリーでもっと声をかけなければならないと思います。何個か相手のキックをそのままキャッチできないこともあったのでそこは声をかけて、全員でやっていきたいです。

――春の試合に向けて意気込みをお願いします

自分の持ち味はアタックだと思っているので、もっと積極的にボールをもらってもっとトライというかたちでチームに貢献できるように頑張っていきたいと思います。