連載最終回にお送りするのはこの2人。キャプテンとしてチームをけん引するCTB岡田一平主将(スポ4=大阪・常翔学園)とバイスキャプテンとして岡田と共にチームの中枢を担うNO・8佐藤穣司副将(スポ4=山梨・日川)だ。2年時より主力として活躍してきた2人に、大一番への意気込みを語っていただいた。
※この取材は11月3日に行われたものです。
それぞれの私生活
チームの中枢を担う佐藤穣(左)と岡田
――この対談の組み合わせが決まった時どのような印象を持たれましたか
岡田 普段と変わらないなと(笑)。
佐藤穣 昔もあったので。
岡田 確かに何回かあったね。
――学業との両立はいかがですか
岡田 4年生の後期になると単位的にはすごく余裕が出てきたので、学校がない午前中にリカバリーや車の教習所などへ時間を使えて充実しています。
佐藤穣 僕は教職が2つ残っていて、それを取れたら大丈夫という感じです。それを気にしながらやっています。
――お二人はゼミが一緒ということでしたが、ゼミではどういったことを勉強されているのですか
岡田 基本的にスポーツの文化を学ぶゼミです。ゼミ合宿でタイに行った時も名門大学と一緒に体育をして、タイの伝統スポーツを一緒にして文化交流をしました。そういう感じでスポーツ文化の歴史などの知識を増やしていくというゼミです。よく言ったら(笑)。
――ゼミの勉強は楽しいですか
岡田 楽しいです。ゼミ合宿もめちゃくちゃ楽しかったです。
――ラグビー部の方も多いのですか
岡田 多いですね。後輩だと桑野(詠真、スポ3=福岡・筑紫)、本田宗詩(スポ3=福岡)、山口(和慶、スポ3=福岡)、勝浦(秋、スポ3=愛知・千種)、中島(翼、スポ3=千葉・流通経大柏)もいます。同期だと盛田(志、スポ4=広島・尾道)、浅見(晋吾、スポ4=神奈川・桐蔭学園)、慶和(藤田慶和副将、スポ4=東福岡)ぐらいですね。
――皆さんは一緒に選ばれたのですか
岡田 布巻先輩(布巻峻介、平27スポ卒=現パナソニック)なども同じゼミで、先輩も多かったので入りやすかったということですかね。
――佐藤穣選手は教育実習に行かれていたということでしたがいかがでしたか
佐藤穣 実践の場を経験できたのはすごく大きな経験になり、大変なこともあったのですが、有意義に過ごすことができて、楽しく終われたかなという感じでした。
――オフの日にはお二人でご飯など食べに行かれるのですか
岡田 オフの日と言っても月曜日しかないので、どちらかといえば最近は日曜日の試合後に一緒にご飯に行ったりします。
――お二人だけで行かれるのですか
岡田 二人でも行きますし、他の4年生メンバーを含めることもありますし、試合に親が観に来ていたら親も含めて食べに行きます。
――4年生同士の仲は良い方ですか
佐藤穣 4年生は結構いいと思います。
――学年全体でどこかに出かけたりはしましたか
佐藤穣 川に行きました。
岡田 川でバーベキューと、飲んだりしたくらいですかね。
佐藤穣 まとまって集まったのはそれぐらいです。
岡田 教育実習も他に何人かいたのであまり時間が合う時がなかったので。
――そういった時企画してリーダーシップを取るのはどなたですか
佐藤穣 だいたい一平ですね。他の誰かが言ってきたとしても裏で一平が動いています(笑)。
――それは昔からなのですか
佐藤穣 そうですね。1年生の時から一平が企画しているのですが、一平がそれじゃ嫌だみたいな感じで言って、誰かにやらせるけど結局一平が関与しているっていう(笑)。結構学年会やりたくない?みたいな意見はみんなボソボソ言うんですけど、行動に移さなくて。
岡田 提案はするんだけどね。
佐藤穣 意見は持っているけどあんまり動かないみたいな感じです。
――いま同部屋の選手はどなたになりますか
岡田 僕はSHの吉岡(航太郎、スポ2=国学院栃木)です。
佐藤穣 僕は1年生の宮里(侑樹、スポ1=沖縄・名護商工)です。
――4年生の方が下級生を選ぶというお話を聞いたのですが、なぜそのお二人を選ばれたのですか
佐藤穣 同じポジションというのもあって、あとは宮里が結構ひどいというのを聞いていたので、一緒に生活してみようと思いました(笑)。
岡田 僕はちょうど二人の生活感が合うんですよね。いい意味で適当だけど、例えば部屋を汚いなと思って綺麗にするタイミングや思うことが一緒だったりします。そういうのもありますし、僕が32インチくらいの少し大きめのテレビを持っていて、吉岡がプレステ3とそれにつないで録画できるトルネを持っているんです(笑)。それを足せば完璧で、プレステ3でDVDも見れますし、便利なのでそういう意味でも合うという(笑)。
――同部屋の選手ともご飯に行かれたりしますか
岡田・佐藤穣 行きますね。
――別のところでは部屋会というのもあると伺ったのですがお二人はされましたか
岡田 部屋会はまだやってないな。 僕は1年間一緒なので全部終わった後で何かやってあげようかなと思っています(笑)。
佐藤穣 そうですね。落ち着いてからの方が楽しめるかなと思うので。
「ぶつかり合うことで得られるものがある」(佐藤穣)
今季は副将を務める佐藤穣
――主将、副将に就任されてから何か意識などで変化はありましたか
岡田 やはり変わりますね。あんまり意識しすぎないようにと思いながら始めたのですが、いざ自分たちのシーズンが始まるとチームのことや、選手一人一人がどんなことをしているのか、どういう感情を抱いているのかなどすごく気になってきました。穣司も含めてリーダー陣だけでも何を思っているのかすごく気になることが多いですし、それを探ろうとする自分もいるし。変化はありますね。練習中も、いまこのAチーム15人の中で、誰が何を思っているのかというのを引き出したいと考えるようになりました。下級生の時は、自分の思っているものや考えたことをどんどん発信していきたいという気持ちが多かったのですが、いまキャプテンという立場になると、みんなが思っている意見だったり感情だったりを知りたいという気持ちが生まれてきました。
佐藤穣 一平が言っていたこともそうなんですけど、それをどう引き出すかというか、どういう風にすればいいのだろうというのは最近考えるところです。自分の中でどういう風に声掛けしたらうまく伝わるかなど考えながらやっています。自分自身、周りに捉われていても自分のプレーができなくなってしまうので、自分のプレーは全うして集中してやりつつ、もっと周りを見られたらなと思っています。いままで先輩がいて頼っていた部分というのはすごい大きかったので、僕らが最上級生になって僕らがやらなければいけないというのを認識して、どういう風にしたらいいのかなというのを思ってやっています。
――周りを意識するようになって見えてきたものというのは何かありましたか
岡田 正直、プレーしていて僕らが引き出す前までは「こいつら本当に考えてんのやろか」とか「ラグビーのこと考えてんのか」という疑問がいっぱいあったのですが、いざミーティングとかで話を聞いてみたり、個人的にも話を聞いてみたりするとそういうわけではなくて、発信する機会などを伺っているだけなんだなと思いました。思っていることはそれぞれあるみたいです。それを意見交換できる場をこれこらどうやって作っていくかというのが僕たちの仕事かなと思いました。
佐藤穣 みんな内に秘めているものは絶対にあると思います。何も考えずにやっている選手は本当にいないと思いますし、そういうのをみんなでご飯に行ったりミーティングだったりの機会で話して、もっとラグビーのことを考える時間を増やせればいいのかなと思います。
――佐藤穣選手はアンケートでは岡田選手の印象をクレイジーと書かれていましたが、お互いの印象はいかがですか
佐藤穣 クレイジーですね(笑)。
――それはどういった意味合いでしょうか
岡田 いい意味でやろ(笑)。それを伝えなきゃ。ほんまにクレイジーやったらアカンやろ(笑)。
佐藤穣 そうですね(笑)。試合とかを見ても分かるように激しいプレーでチームを引っ張ってくれたり、それ以外でもしっかりチームのことを考えてくれたりして、それだけじゃなくて食事とか学年会とかそういう色々な会でも先頭に立ってやってくれていたりします。オックスフォード遠征にも行ったのですが、一平が全チームの中の中心みたいな感じになって、一平を中心に外国選手たちも動いていたような感じでした。そういうのを見ていてもやっぱり一平はクレイジーだなって思いますね。さっきの学年会の企画を1つ例に取ってもそうですけど、常に先頭に立ってやってくれているなという印象です。
――それを聞いていかがですか
岡田 そう思っていてくれていいと思います(笑)。でもそういう場では他の奴がでてきてもええんちゃう?色んな場面において僕が前に出るところがことしのチームというのがあるかもしれません。
――岡田選手から見た佐藤穣選手の印象はいかがですか
岡田 調子がいいときも調子が悪いときも僕らがいけいけドンドンでやってるときも、僕らがすごく落ち込んでいるときもちょっと一歩引いて見ようとしている人間かなと思います。僕らが調子に乗り出した頃にそれにブレーキを掛けるような一言を掛けてくれますし、違う角度から物事を見てくれる人間はすごく意見としてありがたいです。穣司は普段から真面目な人間で、まぁ僕が真面目じゃないっていうわけではないんですけど(笑)。僕とは少し違うような意見を持っているので、慶和もジャパンに行って経験を積んだ意見もあって、主将、副将が三人で違った意見を持って、しかもそれを言い合えているのでそういう面では穣司の意見を聞けたり、僕の意見を言えたりできているのですごくいい関係だと思います。でももう少しと思うところは、もっと怖い穣司を見せて欲しいなというのはあります。練習中も含めてもっとほんまは怒ったら怖いのになあと思っていて。そういう厳しさをもっと持ってるんちゃうかなと、それを出していってくれてもいいんじゃないかなと思いますね。
――4年生になって主将副将に就任されて、お互いの印象というものは変わりましたか
佐藤穣 一平はラグビーでも私生活でもさほど変わりはないですけど、やっぱり主将ということで本当にチームのことを考える時間が増えていると思います。大変なときだと思うんですけど、さっき一平が言ったように少し僕が頼りすぎたというか、任せている部分が多くて、一平の負担が大きいのかなというのは少し前から思い始めていています。そうしてすごく孤立させてしまっていて、大変だったかなというのはあります。もっと協力していかなければいけないなと思います。
岡田 キャラとかは変わんないですね。1年生、2年生の時に比べたら同期からイジられる機会は増えたかなと(笑)。
佐藤穣 確かに(笑)。
岡田 最初は少し真面目な部分があるからどこまでいじり倒していいのかっていう部分があったんだと思います。僕は前から知っていたので軽く穣司に喋り掛けていたのですが、他の奴らは学年を積むにつれていじるようになりましたね。キャラも見えてくるし色々知ることが多くなったのでそういう部分は増えたかなと思います。それ穣司も喜んでいるんで(笑)。
佐藤穣 喜んでいるっていうわけでもないけどな(笑)。
岡田 周りが穣司に対しても、穣司が周りに対しても変わったかなという感じです。
――春シーズンを振り返ってということで、まずチームとしてはいかがでしたか
岡田 みんなよく頑張ってくれたなと。自分がいない中、穣司がゲームキャプテンとしてやってくれていたので。ゲームキャプテンになったということで力が入った部分はあると思うのですが、その中でも冷静にやろうとしていて、出ている選手も頑張ってくれたかなと思います。頑張った上で課題がたくさん出てくるので夏合宿を含めて色々克服してきたつもりです。
佐藤穣 チーム全体として少し元気がなかったかなという印象があります。一平がいない中で僕が引っ張っていかなければいけなくて、うまくコントロールし切れない部分があったのかなと思います。どんな状況でも前を向いていかなければいけない中でうまくできずに、ラグビーの根本であるぶつかり合いの部分で機能していなかったのかと思います。フォーメーションも変わってそっちに集中がしがちだったのかなというのもチームで思うところです。
――個人のプレーを振り返ってはいかがでしたか
佐藤穣 春はウエイトに力を入れていて、個人としてはぶつかり合いの部分でやられるシーンが少なくなったのかなという印象はありました。少しは成長できたのかなと思います。
岡田 あまり経験のない長いケガをしたのでね。
佐藤穣 リカバリーの大切さを学んだんじゃないの(笑)。
岡田 そう。お前が言うなよ(笑)。キャプテンになってすぐセブンズで手をケガして、復帰した東海大戦の次の週の練習でケガをしました。キャプテンになって意外とすぐにケガをしたのですが、ケガ人から見るチームというのは初めての経験だったので、ケガをしている人たちはどんなことをしているのかなど、ケガ人の立場からチームを色々と見ることができて、すごく良い経験だったと思います。リハビリに集中しとけばいいのかという葛藤もありましたし、キャプテンなのでAチームの試合を気にしないといけないんですけど、他の選手は果たしてリカバリーに集中してればいいのかというと、そうではないなと思いましたね。復帰してからもいろいろな見方があるというのも分かったのでいい経験になったなと思います。夏合宿になってからはケガした選手にも声を掛けやすくなりましたし、リハビリしている選手とも話しやすくなりました。治療してくれるトレーナーともコミュニケーションを取りやすくなったのでそういう面では、ケガが良いとはいいませんがいい経験にはなりました。
――Aチームにも現在ケガをしている選手がいらっしゃいますが、秋シーズン中もそういった選手とは話をされていましたか
岡田 僕と同じ肉離れのケガをした本田宗詩などがケガをした時は、復帰するタイミングであったり、それまでの準備であったり、参考になるかは別として話していました。こういうことをやってから復帰した方がいいと話したり、他のケガの選手からも状態を色々聞いたりできるので。聞いたからといって分かるかは別として、いつ戻ってくる予定かなどを聞くことで、リハビリをしている選手たちも、その時までにしっかり準備しようという気持ちになってくれると思うので、話しかけやすくなりました。
――ベンチから見てチームをどのように捉えられていましたか
岡田 プレーをしていないのでもちろん穣司やプレーしている選手から話を聞くのはもちろんなのですが、課題や特化して練習したことができているかどうかということを見ることができました。試合をやっていると色々なことが課題として出てくるのですが、僕はそこを割り切ってポイントだけに絞って試合を見ることができたので、練習が試合に出ているかどうかを見て、できていればその試合は勝ち負けも大事なのですが、出来た点については良かったと思えることができました。そういった見方を春はしていました。
――佐藤穣選手はゲームキャプテンとして試合に出られることが多かったですが一番苦労したことは何ですか
佐藤穣 あんまり言葉が響かないことがあったことや、みんなの覇気がない時にどういう風に勢いに乗らせるかということに苦労しました。
――思うように勝てない中でチームの雰囲気というのはいかがでしたか
佐藤穣 結果が出ないのは苦しい時間帯も多いと思いますが、先程一平が言っていたように、できたことやできなかったことを明確になることが多かったです。特化して練習してきた部分ができたらそれはそれでプラスになりますし、春は色々と試す期間でもあるので、勝ち負けも大事なのですが本気でそれをやって通用するのかどうかを見ていたのかなと思います。
――チーム内で話し合われたことなどはありましたか
佐藤穣 試合ごとによって違うと思うのですが、一平からも「100パーセントでやらなければ、80パーセントの力でやってもそれは本当の課題ではない」と常に言われていたので、ぶつかり合いのところでしっかり入っていき、ぶつかってこそ得られるものがあるという感じでした。
――春シーズンを終えて最後の夏合宿はいかがでしたか
岡田 春に出た課題を潰すことと、帝京大との試合もあったので、それに向けて準備をしっかり詰めてやっていました。試合数も少なかったので、どちらかといえば対帝京大ということで、春の帝京大戦での課題をなくす練習にほとんど時間を費やしていました。結果的には勝つことができなかったのですが、うまくいくパターンとうまくいかなくなるパターンがはっきりした夏合宿になったと思います。
「絶対に勝つ」(岡田)
主将として伝統の一戦に挑む岡田
――今季『Innovation』というテーマで始まりましたが、ここまで9カ月経って変化は感じますか
岡田 戦術ももちろん大きく変わったところがありますし、周りの環境ではバイクやローイングのマシーンが加わりました。それに村上さんというS&Cコーチ(村上貴弘S&Cコーチ、平8人卒=東京・早実)が入って、いままでになかったようなコンディションの整え方であったりウエイトトレーニングだったりが始まって、同時に治療院もできたことで自分の体と向き合える環境は昨年よりもできたと思います。ただ、結果が出ていないということはラグビー面でまだまだ変えるところがあると思います。
佐藤穣 そういうところも変わりましたし、食事面でも変わったりして、春などはトレーニングに特化したことで体つきも変わってきたので、そういう成果は得られているものの、結果が出てないので、一人一人の考え方などは徹底しないといけないところもあると感じます。
――お二人はどれくらい体重が昨季から増えたのですか
佐藤穣 僕は6、7キロ増えました。
岡田 僕はポジションがCTBに変わったこともあり2、3キロですね。
――特に体重が増えた選手などいらっしゃいますか
岡田 お前じゃない?(笑)
佐藤穣 (桑野)詠真とかも増えたなと思いました。
岡田 みんな増えていますが、一気に増やし過ぎてもよくないので、自分のベストに持っていっている感じだと思います。
――村上コーチとのエピソードなどありますか
岡田 村上さんに代わって初めて思ったことは、一つ一つの練習に意味があって、僕たちを納得させたうえでやってくれているなということです。自分たちがいままでやっていなかったランニングセッションでは、どうしてこの走り方なのかがいいのか、トレーニングではこういう上げ方をすればこの筋肉に効くといったことも教えてくれます。ちょっと村上さんの変態チックなところもありますが(笑)、このプロテインはこれだけタンパク質が入っているからすごいとか情報もくれるので、納得した上でプロテインを飲んだり、トレーニングできたりしています。
――GPSも導入されましたが、効果はいかがですか
岡田 僕は秋から試合に復帰してGPSを付け始めたのでデータとか完ぺきに見られているわけではないのですが、自分の最高速度とかを見て上がっていたら嬉しく感じますし、走行距離を見てけっこう走っていたらきちんとリカバリーしないといけないなとか意識できています。いまは試合が終わった1、2時間後にはデータが出て全体LINEで送ってくれるので、すぐ見られるのでみんな上手く活用できていると思います。
佐藤穣 それを見ることできょう自分がどれだけできていたのかとか、走ったと思いきやいい数値が出ていなかったりとかするので、自分がどの時間に走れていてどの時間に走れていないのか分かるので、いい導入だったと思います。
――岡田選手はSHからCTBにポジションが変更されましたが、CTBとしてのプレーについてどう捉えていますか
岡田 できているかどうかは違和感がありますね。CTBとしての実力で言えば未熟で、マイナスではないのですが特にいま悩んでいる部分でもあるのですが、悩めることもいいかなと思っています。
佐藤穣 一平の闘争心や激しさが出せるポジションなのかなと思っていて、ディフェンスでもアタックでも前に出て一平らしさも生かせるのかな。あとはハンドリングなど他の選手より長けているので、一平がSHでもいいとは思いますが、チーム的には一平がCTBをやった方がいいのかなという感じですね。
――帝京大戦から2日経って、あの試合を振り返ってみていかがですか
岡田 いま思っていることは、点差はもちろん離れたという現実はあるのですが、勝敗が決まった3、4トライの部分をどれだけ抑えられたか、そこができればもっと展開が変わっていたと思うので、点差が広がった原因や最初の4トライについてフォーカスして、課題を克服していきたいです。これだけ大敗をしたということは変える必要もあると思いますし、このままだと歯が立たないので、僕たちが貫き通すところはぶれてはいけない反面、改革できるところは思い切っていきたいと思います。
佐藤穣 大敗をしましたし、自分のディフェンスなどにも、そしてここまでいい準備ができた中での大敗に悔しさや思うこともあります。ただ、いい準備をしてきたとはいえもっと突き詰められる部分もあって、もっと細かく詰めればいまのチームより全然伸びるんじゃないかという思いもあるので、負けを受け止めて、まだ残された時間もあるので諦めずに信じてやっていくしかないのかなと思います。
――今後貫き通すのはどのような部分でしょうか
岡田 戦術的なところにもなりますが、帝京大に対して自陣で戦っていてはトライが取れないですし、相手の武器のフィジカルに負けてしまうので、しっかりエリアマネージメントをしていくということを突き詰めていきたいと思います。そして、エリアマネージメントにプラスしてダイナミックなアタックとか継続したラグビーをして変えていきたいと思っています。
――筑波大、帝京大に大敗して、チーム全体の雰囲気は落ち込むところもあったのでしょうか
岡田 まだ話せていない部分もあってみんながどう思っているのか全部は分かりませんが、4年生にしたら焦りを感じている選手も多いと思いますし、Bチーム以下も帝京大に完敗して引きづっている選手もいると思います。でも、悪いことばかり考えるよりも、次に向けて考えて準備をしていくことが大事ですし、そうじゃないと楽しくないので、前向きな気持ちを持つ姿を僕が見せていきたいです。
佐藤穣 落ち込む部分もあると思うのですが、諦めてしまったらそこで終わりですし、そんなのは絶対に嫌なので、やるからには絶対勝ちたいです。常にそのような気持ちを持ち、チームに浸透させたいですね。あとは一平も言っていたように課題や反省はいくらでも出てきますが、自分たちの通用した部分や、これをしないと勝てないという部分を信じて明確にしてやり続けるしかないかなと思います。
――春は勝敗よりも練習でやってきたことを出せるかに焦点を絞っていましたが、秋戦ってみてこれまでの成果は感じますか
岡田 自分たちのフォーメーションなどできている部分もあるのでそこは継続していきたいなと思います。でも、やっぱり精度の部分ですよね。キック、パス、ブレイクダウンなど、大舞台でのプレッシャーはあると思いますが、何を準備しても精度が悪いと隙を見せることになってしまいますし、帝京大などレベルの高いチームは見逃してくれず、失点につながってしまいます。準備して積み上げてきたものはあるので、強いプレッシャーのなかでも精度高くできるかどうかがこれからの僕たちの課題であって生命線になると思います。
――春はフィジカルの強化も行いましたが、帝京大などとのフィジカル差はいかがですか
岡田 体格差については僕たちが大きくなっても帝京大さんの方が大きいので差を感じる部分もあったのですが、フィジカルの部分で負けたというよりは精度の部分であったり準備の突き詰め方であったりした部分で負けたのかなと思います。
佐藤穣 もちろん一人一人の体格差は僕らが大きくなったとしても依然としてあります。でもそれをワセダは1対1ではなく2対1で止めるというのをやっているので、それが出来ている時間は止めることはできていましたし、それができない時間になるとうまく機能せず歯車が全くかみ合わなくなっていました。なので、上手くできる時間を増やしていけるようにしたいです。フィジカルの部分では相手はもちろん強いですが、昔よりは圧倒的に違うと感じなくなっています。
――11月に入りまずは早慶戦がありますが、どのような気持ちで挑みたいですか
岡田 早慶戦以降は本当に負けられないという気持ちですし、伝統の一戦ということでみんなプレッシャーを感じているかもしれません。でも僕はみんなに発信してきたように、対抗戦の中の大事な一戦だと思っているので、あまり気負いすぎず、それでも対抗戦の大事な一戦なので勝ちにこだわりたいと思います。帝京大戦に向けて準備してきた以上に突き詰めていけば、必ず勝てると思っています。
佐藤穣 伝統の一戦ということは間違いなくありますが、いま筑波大、帝京大と負けが込んでいて、苦しいところなのでまずは結果というところに拘っていきたいです。あとは一平が言ったように対抗戦の一試合として大事な戦いになるので、そこで結果を出すためにいま何をしないといけないかを考えて、残りの期間を過ごして、大学選手権に向けていい流れでいけるよう、改善点や修正点を克服しながら諦めずにやっていきたいと思います。
――早慶戦から藤田慶和副将(スポ4=東福岡)も復帰予定ですが、どのようなところに期待していますか
岡田 全てにおいて期待していますし、フル活用します(笑)。
佐藤穣 慶和の高いレベルから見た視点もあると思うので、うまく取り入れながら、ただ慶和が帰ってくることによってみんなが頼ってしまうだけならいままでのチームと変わらないので、戻って来ることによって改善していけるところを付け加えて、チームがいい方向に進められればと思います。
――今後自身でどのようなスキルを磨いていきたいですか
岡田 ディフェンスの部分で自分が活躍しないと意味がないと思っていて、自分のタックルももちろんですが、周りが安心して整備して前に出られるようにもっとコミュニケーションを取るなど、総合的なディフェンススキルを磨いていきたいです。
佐藤穣 帝京大戦で僕がディフェンスで抜かれるシーンが多く反省していて、コースや体を当てる部分で自分が負けていてはいけないなと思っているので、ディフェンスで体を張れるようにしたいです。あとはチームがきついときに周りを鼓舞する声掛けやプレーができるようにならなければと思います。
――早慶戦への意気込みを聞かせてください
岡田 絶対に勝ちます。
佐藤穣 絶対に勝って、やってきたことに対しての成果や自信が得られるように、熱い気持ちを持ってプレーしたいです。
――思うように勝てないなかで心配するファンの方も多いと思います。ファンの方に向けて一言お願いします
岡田 結果出ずに応援してくださる方には申し訳ない気持ちが非常にあります。でも、選手たちには諦めている選手はいないですし、みな100パーセント頑張っています。僕たちは決して諦めず、しつこいタックルやしつこい試合をしていくので、これからも熱い声援をしていただけると非常に力になります。よろしくお願いします。
佐藤穣 筑波大戦、帝京大戦と結果が出ていない中でファンの方も心配になる部分もあると思います。それでも、これからどうすれば勝てるかを考え、いままでやってきたことを信じて僕たちはやっていくしかありません。一平が言ったように、諦めているやつはチームに誰もいないので、これからどう貫き通せるかが大事になってきます。そのなかでファンの皆様の声援が絶対に力になるので、これからも応援をよろしくお願いします。
――ありがとうございました!
(取材・編集 菅原拓人、藤巻晴帆)
意気込みを書いてもらいました!
◆岡田一平(おかだ・いっぺい)(※写真左)
1994年(平6)2月16日生まれ。166センチ、80キロ。大阪・常翔学園高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはCTB。リカバリーの大切さを実感したという岡田選手。取材後も治療院に向かわれていました。残り少ない時間ですが、ケガせず頑張ってほしいです!
◆佐藤穣司(さとう・じょうじ)(※写真左)
1993年(平5)8月3日生まれ。184センチ、105キロ。山梨・日川高出身。スポーツ科学部4年。真剣な表情で質問に答えてくださった佐藤穣選手。試合でも真面目にひたむきなプレーでチームを鼓舞してくれるでしょう!