ラグビーワールドカップ2015イングランド大会(W杯)まで約1ヶ月を残すのみとなった日本代表。強化試合として世界選抜と対戦した。元南アフリカ代表ロックのバッキース・ボタ、元オーストラリア代表FBジェームズ・オコナーら、その名に偽りのないスター選手がそろう相手に、日本代表はアタック面で奮闘しながらも苦戦。早大の副将FB藤田慶和(スポ4=東福岡)は後半に途中出場し精力的にプレーしたが、代表は20―45と世界選抜に及ばなかった。
日本は序盤から老練なFWを相手に圧力を受けるが、アタックでは有効にゲインをして一時は逆転となるトライを奪う。しかし徐々に地力の差を見せつけられ、ミスも相まってスコアが開いた。それでも代表は食い下がり、後半には前半押されたスクラムを修正。さらに必死にアタックを続ける。その中で藤田は早大の先輩であるFB五郎丸歩(平20スポ卒=現ヤマハ発動機)に代わってピッチに入り、本職であるFBとしてプレー。アタック面では「成長できた」(藤田)と振り返るように貢献したが、自らのミスをトライに結びつけられる場面も。日本代表全体でもミスからトライを奪われる場面が増え、最終的に世界選抜に25点差をつけられて敗れた。
アタックでは積極的なプレーを見せた藤田
世界的に名の知れた選手と対戦し、藤田が一番に感じたのはスタンダードの高さだと言う。とりわけディフェンス面でその差を痛感した。しかしこのままでは終わらない。残された時間は短いが「個人のスタンダードを上げる」と語るように、日本代表で生き残るために、そしてその先の世界の舞台で戦うためにも。今後の練習や次なる強化試合のウルグアイ戦において、努力を続けることを惜しまない。
(記事 鈴木泰介、写真 進藤翔太)
FB藤田慶和(スポ4=東福岡)
――試合を振り返っていかがですか
決めきれなかった、いいトライを取ったあとにミスをしてしまったなどパシフィックネーションズカップ2015(PNC)での課題がそのまま出てしまったという面はありますね。
――相手が世界選抜でしたが対戦してみていかがでしたか
戦えないということはないと思いました。これが世界のスタンダードなのだなということが実感できたので、W杯での南アフリカ代表とかそのレベルというものを体感できたのはW杯に向けていい準備になったのではないかと思います。
――通用した部分はありますか
チームとしては通用する部分もありますが、個人ではタックルのちょっとしたミスでトライまで持っていかれているので、個人のスタンダードを世界レベルに上げていかないといけないなと思いました。
――FBでの出場についてはいかがですか
自分のやりたいところでもあるので少し嬉しかったですし、何回かWTBにいい形でパスできたり、前にゲインできたりした点はよかったのですが、タックルのところで個人のスキルが足りなかったので精度を上げてあのような場面で粘れるようにしていきたいと思います。FBで出られるように準備をしていますし(PNCの)米国戦でもアタックの方はよくなった場面もあるので、そこをもっとよくして、いま課題のディフェンスをW杯までにスタイルを見つけられるようにしたいと思います。
――後半からの出場について、短い時間の中でプレーするにあたりどのようなことを意識していますか
どんどんボールタッチを増やしてチャンスに絡んでいかなければならないポジションなので、少ない時間でどれだけボールに触れるかというところが課題になると思います(PNCの)フィジー戦では、WTBで途中出場して15分で1度もできなかったのですが、この試合は5回ほどできたので、その部分では成長できたのではないかと思います。
――PNCを振り返っていかがでしたか
課題のディフェンスという面が浮き彫りになったので改善するために宮崎での合宿でいろいろとやってきました。アタックに関しては、通用するのではないかと自信を持てました。スピードとステップを使い分けて前に出られたのではないかと思います。
――ウルグアイ戦への意気込みをお願いします
まだウルグアイの分析はしていませんが、自分たちのスタイルでやっていきたいですし、課題である相手を仕留めきる、息の根を止めるということを意識して、勝たないといけない相手なので、しっかりとポイントを抑えていきたいと思います。