ホームグラウンドである上井草で行われた東海大Bとの一戦。練習の成果を披露し白星を勝ち取りたい早大Bだったが、細かいミスからリズムを崩し思うようなプレーができない。空いたスペースを突かれ独走トライを幾度も許してしまい、最終スコアは17-71。もどかしさだけが残った試合となった。
前半、早大Bはフィールドを広く使ったプレーでタテへの突破を図ると、開始7分でラインアウトからモールを形成し、フランカー田丸暖(法4=埼玉・早大本庄)がボールを押さえトライ。CTB高橋吾郎(スポ2=福岡・修猷館)のゴールキックも決まり幸先の良いスタートを切った。しかし、その後はゴール際に迫りながらも攻めきれず得点を生み出すことができない。ディフェンスにも徐々にミスが目立ち始め、20分にはノックオンからボールを奪われそのまま失点を許す。FW陣のアタックも精度を欠き、さらに4トライを決められ7-33で前半を終えた。
後半に一矢報いるトライを奪った高橋駿
流れを変えたい後半だったが、東海大Bの強力なフィジカルに押される時間が続いた。好機をつかみ敵陣に食い込むもボールを保持できず、相手に反撃を許してしまう。それでも後半8分、相手ペナルティーからのクイックスタートでSH山岡篤樹(教4=東京・本郷)がインゴールに飛び込み、5点を追加して意地を見せた。ミスが続きなかなか前進できない早大Bに対し、東海大Bは圧倒的な突破力でディフェンス網をかいくぐりフィールドを疾走。度重なる攻撃に早大Bは翻弄(ほんろう)され、次々と得点を奪われる展開に。ラスト10分、相手ディフェンスのスペースに素早く反応したCTB高橋駿(文構3=東京・早実)が執念のトライを決めるも、最後は駄目押しで失点を喫し17-71と惨敗で試合は幕を閉じた。
トライを取られうなだれる選手たち
「気持ちが入っていなかったのが敗因」(フランカー寺川賢太ゲームキャプテン、スポ4=福岡)とプレーのミスだけでなく精神面での甘さが大量失点を招く結果となった。劣勢に置かれた場面でも集中力を切らすことなく、突破口を探しアプローチしていく姿勢が求められる。次週の対戦相手は帝京大B。今回の東海大戦で見えた課題を修正し、最大の強敵との戦いに臨む。
(記事 副島美沙子、写真 新庄佳恵、稲満美也)
練習試合 | ||||
---|---|---|---|---|
早大B | スコア | 東海大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
1 | 2 | T | 5 | 6 |
1 | 0 | G | 4 | 4 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
7 | 10 | 計 | 33 | 38 |
17 | 合計 | 71 | ||
【得点】▽トライ 田丸、山岡、高橋峻 ▽ゴール 高橋吾 | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大登録メンバー | |||
---|---|---|---|
背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 石倉 庸平 | 人4 | 山梨・日川 |
2 | 周藤 直也 | 社3 | 東京・早大学院 |
3 | 渡瀬 完太 | 商4 | 東京・早大学院 |
4 | 吉満 慎吾 | 人2 | 東京・本郷 |
5 | 沢登 直也 | 法3 | 神奈川・鎌倉学園 |
6 | 市瀬 奨一郎 | 基理3 | 東京・早実 |
7 | 田丸 暖 | 法4 | 埼玉・早大本庄 |
8 | 水野 孟 | 基理2 | 東京・早実 |
9 | 杉本 峻 | 商3 | 東京・早実 |
10 | 浅見 晋吾 | スポ4 | 神奈川・桐蔭学園 |
11 | 小川 啓樹 | 社3 | 東京・早大学院 |
12 | 高橋 吾郎 | スポ2 | 福岡・修猷館 |
13 | フリン 勝音 | スポ1 | 福岡・筑紫丘 |
14 | 山川 慶祐 | 社3 | 東京・早実 |
15 | 伊藤 大貴 | スポ1 | 愛知・春日丘 |
リザーブ | |||
16 | 石川 敬人 | スポ4 | 茨城・茗溪学園 |
17 | 鷲野 孝成 | 基理1 | 神奈川・桐蔭学園 |
18 | 柴田 雄基 | 文2 | 愛知・千種 |
19 | 樋口 悦久 | 商3 | 大阪・早稲田摂陵 |
20 | 堤 悠 | 政経3 | 東京・攻玉社 |
21 | ◎寺川 賢太 | スポ4 | 福岡 |
22 | 江副 希典 | 社3 | 佐賀工 |
23 | 山岡 篤樹 | 教4 | 東京・本郷 |
24 | 杉本 頼亮 | スポ2 | 京都・桂 |
25 | 船越 明義 | 社1 | 東京・早大学院 |
26 | 桜井 正敏 | 政経4 | 東京・早大学院 |
27 | 高橋 駿 | 文構3 | 東京・早実 |
28 | 今岡 晃大 | 商4 | 東京・早大学院 |
29 | 神山 隆太 | 政経1 | 東京・早実 |
※◎はゲームキャプテン、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷) |
コメント
フランカー寺川賢太ゲームキャプテン(スポ4=福岡)
――この試合を振り返ってみていかがでしたか
15人で戦えていなかったです。気持ちが全然足りていなかったです。
――試合の前半をベンチから見ていて、チームの状態をどのように感じていましたか
前半の最初の10分くらいまでは良かったと思うのですが、こっちが自分たちでミスし始めてから、自分たちから気持ちが落ちていって、自滅していったように感じました。
――寺川選手がグラウンドに入ってから周りに対して声を張り上げる姿が多く見られましたが、それについてはいかがですか
声を出すだけでは絶対に勝てないので、自分ももっとタックルにいきたかったです。あまり言葉が出ないんですけど、先ほども言ったように、まず気持ちが入っていなかったのが敗因だと思うので、そこのところを自分なりに盛り上げようと思ったんですけど、だめでした。
――この試合で出た課題としてはそういった気持ちの部分が大きかったのでしょうか
そうですね。スキルとかポッドとかフォーメーション以前に、戦う気持ちができていなかったです。
――昨季の最後の相手となった東海大との試合でしたが、なにかチームとして意識するものはあったのでしょうか
きょねん負けた相手だからというのはあまり口には出していなかったのですが、岡田一平主将(スポ4=大阪・常翔学園)からも、15人で戦おうというのをテーマに東海大との試合に臨んだので、やっぱりみんなそういう思いを持っていたと思います。なので、先ほど敗因に挙げてしまった気持ちの部分を強く持って臨んだつもりだったんですけど、そこが全然だめでした。
――来週の帝京大戦に向けて何かしていきたいことなどは見つかりましたでしょうか
この試合で収穫はなかったと思うので、今のままでは絶対に勝てない。ただそれだけです。
ロック吉満慎吾(人2=東京・本郷)
――試合を振り返っていかがですか
前半の最初の20分は勝てると思って試合をしていたんですけど、スクラムやターンオーバーから一気に流れが悪くなって、FWの雰囲気も悪くなってしまって、そこから一気に4トライくらい取られてしまいました。ハーフタイムに後藤さん(禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)に「FWがチームを壊している」と言われて、後半は切り替えようと思ったんですけど、結局ポイントサイドでFWがやられてしまって、BKにうまくボールを供給できなくて負けてしまったので、きょうは完全にFWが体を張れなかったことに責任があると思います。
――冬からフィジカル面の強化に取り組まれているということですが、感触はいかがでしたか
根本的にきょうは体をぶつけられなかったんですけど、ぶつけたときに関しては負けてる気はしないです。でも、スピードのある相手に対してこっちがしっかり入れてないので、気持ちの勝負で負けている気がします。
――セットプレーを振り返っていかがですか
ラインアウトのコールが聞こえないっていうのがあって、ぐちゃぐちゃになってしまって、うまくボールを供給できないところがありました。(スクラムは)最初の方は安定してたので、こっちが押された時にどう対応するかが課題だと思います。
――相手に一気に抜かれる場面も多くありましたが原因は何だったのでしょうか
ファーストタックラーが入れてないのと、内側を埋めるマスクが役割を果たせていなくて、セットプレーから抜かれてしまいました。スキルもそうなんですが、それは意識の問題で、一人一人が意識できなかったので、そこの改善をまずしていきたいです。
――収穫はありましたか
収穫と言われても、負けてしまったので。前半の20分に関しては自分たちのラグビーができていて良い試合ができていたと思うのでそれは良かったんですが、崩れた時に自分たちで打開することができなくて悪い流れのまま終わってしまったので、試合の核となるFWが試合を変えられるように頑張っていきたいです。
――次週の帝京大戦に向けて意気込みをお願いします
帝京は東海より強い相手だと思うので、きょうの意識のまま挑んだら絶対勝てないと思うので、きょうの反省を生かして残り1週間どうやっていくかが問題だと思います。
FB伊藤大貴(スポ1=愛知・春日丘)
――本日の試合の感想をお願いします
40分、40分というゲームが自分は大学に入ってから3試合目なのですが、まだ慣れていなくて最後まで走り切ることができなかったというのが反省点です。15番のFBというポジションをやっていて、周りの選手を後ろから見てどのようにうまく動かすか、という部分に懸けているところがあるので、そこは学年に関係なくやっていかなければいけないところだと思うので修正していきたいです。
――FBとして試合を見ていて、チームの動きをどのように感じましたか
FWのポイントサイドで東海大につながれてしまって、ワセダはつかんでおくことができずに離されてゲイン、トライを決められてしまうというシーンが何度もあったので、早いセットをして声をしっかり掛け合ってやっていくべきだと思います。
――ミスやペナルティーなどもあり苦しい展開が続きましたが、どのようなプレーを心掛けていましたか
今週のチーム全体の目標として、80分間ボディーランゲージといって辛い時や点数で負けているときもしっかりと気持ちだけは前にという姿勢で一人一人が意識するということを決めていたので、そういった姿勢でプレーしました。
――ディフェンス面では本日の試合はいかがでしたか
チームの目標として全員が一人一人前に出るという意識を持ってやろうということでやっていたのですが、もっともっと前に出て止められるシーンがあったと思うので、そこは来週の帝京大戦でもできるようにもう一度今週やっていきたいと思います。
――ご自身のプレーの強みはどのようなところですか
状況判断だと思います。走りには自信がないので、そこは4年間で培っていきたいと思っています。やれることをしっかりとやって下積みをしていきたいです。
――課題として挙げていらっしゃった持久力はどのようにつけていかれますか
フィットネスの練習のときから、試合を見据えてしっかりと80分間大学のプレーで走り切れるような意識を常に持ってやっていきたいと考えています。
――今季の目標を教えてください
1年生なのでチームの仕事であったりやるべきことをしっかりとやった上で、自分のスキルアップであったりチームのために何ができるか考えていければと思います。チームとしては帝京大を倒して日本一になりたいです。