早実高出身の代表として集まっていただいたのは、フッカー菅野卓磨(教4=東京・早実)、プロップ高橋俊太郎(社4=東京・早実)、千葉太一(教2=東京・早実)の3人。決して強豪校ではないが、早大で赤黒を着るために早実高を選んだというこの3選手に、春季の総括から高校時代の思い出など様々なことを伺った。
※この取材は7月13日に行われたものです。
「赤黒を着ていろいろな経験ができた」(菅野)
ラストシーズンのこれまでを振り返る菅野
――まずは春シーズンを振り返っていかがでしたか
高橋俊 スクラムの方は順調に組んでいたのですが、後半になってきてスクラムのルールが変わってきた中で戸惑う部分もありました。
千葉太 個人としては素晴らしいシーズンとはなりませんでしたが、トップのレベルで戦うことの大事さを感じられたシーズンになったと思います。
菅野 途中で清水(フッカー清水新也、スポ4=宮城・仙台育英)がケガしてスターターとして出る機会があったのですが、赤黒を着ていろいろな経験ができたので充実した春になりました。
――お互いのプレーの印象はいかがですか
千葉太 俊さん(高橋俊)は同じポジションなので少し専門的になってしまうのですが、スクラムの時に安定感が一番ある人かなと思います。
菅野 一瞬のスピードによるタックルでずば抜けた瞬間がたまにあります(笑)。
――千葉太選手に関してはいかがですか
菅野 でかいです(笑)。フィールドプレーはセンスフルですね。パスもうまいし。
高橋俊 同じく(笑)。
――菅野選手に関してはいかがですか
高橋俊 細かいところに気が付きますし、そつなくあらゆることをこなすオールラウンダーだと思います。
千葉太 何かずば抜けてすごいわけではないですけど、全てにおいてアベレージが高く常にチームのトップレベルにいる選手だと思います。
――スクラムの話が出ていましたがスクラムの手応えの方はいかがですか
高橋俊 比較的良かったシーンもあったのですが、ペナルティーで相手にボールを渡してしまう場面も何度かあったのでそこが課題ですね。
千葉太 1番をやるにしても3番をやるにしてもスクラムの核ですし、そこで自分の課題を克服できず押し込まれるシーンがあったので夏に向けてそこは克服しなくちゃいけないのかなと感じました。
菅野 スクラムに関しては押し込まれたりして劣勢になる場面は少なかったのですが、最後の帝京大戦で押し込まれてしまいました。帝京大相手にもスクラムで勝つということを目標にしている以上、まだまだ足りないなという感じですね。
――その帝京大戦を振り返ってみていかがでしたか
高橋俊 コンタクトが強いなと思いました。ただ1年の時からずっとやっていく中で、徐々に差は縮まっているのかなと思っています。
千葉太 コンタクトの部分はそう簡単に負けてはいないのですが、ラグビー偏差値ではまだまだ向こうが上だなと思います。学習能力というか、そういった部分ですね。僕もスクラムで勝ててないので克服したいと思います。
菅野 1年生のときからずっと試合をしてきて、ことしが一番距離が縮まったのかなと感じています。1年のときは何にも通用しなくて、とりあえず早く試合終わってほしいなと思っていました(笑)。でも4年にもなると戦える場面も増えましたし、フィジカルの部分でもそこまで差は感じなくなってきていますね。
――1年生のときの試合というのはかなり圧倒されたのでしょうか
菅野 あれはきつかったですね(笑)。スクラム組んではターンオーバーされてという感じで。何度もやられてチームに迷惑を掛けたのを覚えています。
高橋俊 20分間くらいずっとゴール前スクラムで張り付けにされて、苦し紛れにスクラム崩して反則もらっての繰り返しでした。
――春シーズンを通してのチームとしての課題はどのようなところでしたか
菅野 毎週委員会があって週の振り返りをしていくのですが、そこでいつも議事録の中にあるのはブレイクダウンですね。試合の中でもいいタックルをして終わるのではなく、そこから立ち上がってボールを奪うっていうのをもっと徹底していかなくちゃいけないと思います。チームとしてのクレバーさも大事ですけど、ブレイクダウンが一番課題ですかね。
千葉太 「いまレギュラーで出ているやつらは自分たちが強いんじゃなくて下が弱いだけであって、本当に日本一になりたかったら自分たちがもっとレベルアップしなくちゃいけない」と以前布巻さん(フランカー布巻峻介副将、スポ4=東福岡)が言っていて、下からの底上げをもっと意識を高く持たなくてはいけないと思いました。僕は2年生ですけど、2年でAチームで出ている選手は少ないと思うし、みんな最初は赤黒を着ることを目標として入部していると思うので、もっと意識を高くもってやってほしいと思います。
高橋俊 後半の集中力が切れて失点してしまう場面が春に何度かあったので、そこがチームとしての課題なのかなと思います。
――では次に個人のプレーの課題を挙げてください
高橋俊 まずはスクラムにおいてのルール変更にしっかり対応することです。後はもっとボールに絡んでいきたいです。
千葉太 まずは安定したスクラムを組むことです。後は守備のときにクレバーさが必要なのかなと思います。
菅野 フッカーとしてセットプレーもラインアウトももっと安定させなくちゃいけないなと思います。後はフィールドプレーでもっとボールに絡んでいって、仕事量を増やしていきたいなと思っています。
――春に印象に残っている試合をそれぞれ1つ挙げてください
高橋俊 同大戦ですかね。ランナーとして遠目からもらって内に切り込んでいくというのができたので、印象に残っています。
千葉太 僕は佐賀でやった明大戦は忘れられないものになりました。初めて早明戦という誰もが夢見る舞台で試合できたのもそうなのですが、明大のスクラムが強烈で、自陣ゴール前スクラムで僕があまり押すことができずそれでトライを許してしまってずっと印象に残っています。
菅野 自分も早明戦かなと思ったのですが、高橋君の話を聞いていると同大戦もありかなと思いましたね(笑)。同大戦は花園でやったのですが、スタメンで花園ということでテンションも高く良い練習もできていて、試合も走れていたので印象に残っています。というかそれをいま思い出しました(笑)。あと早明戦もナイターゲームで観客もかなり入っていたので興奮しました。
――春を通して主将、副将の印象はいかがですか
高橋俊 大峯(ロック大峯功三主将、スポ4=福岡・東筑)は仲が良いですし信頼できる選手です。副将の2人はラグビーを真面目にやっているなという感じです。布巻とか最初適当にやっていそうに見えたのですが、いろいろなこと考えていますし、順平(SO小倉順平副将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)もプレーでチームを引っ張っていっていると思います。
千葉太 功三さんはこのチームにぴったりな主将だと思います。プレーで引っ張るというより精神的な面でうまく自分たちをリードしてくれています。副将の順平さんはラグビーしている姿を見て楽しそうだなと感じますし、そう感じることで自分たちのモチベーションにもつながっています。布巻さんはプレーヤーとしてチームを強くしようとしてくれているのを見ていて感じますし、副将の2人はすごくプレーで引っ張ってくれています。大峯さんも自分がミスしたとき必ず鼓舞してくれて助かっていますし、あの3人で良かったなと思います。
菅野 大峯は熱い男ですね。どんなきついときでも体を張って声も出しているのでいい主将だと思います。順平と布巻はプレーで引っ張ってくれていて、勉強にもなりますし頼りになります。
「早大でラグビーがしたかった」(千葉太)
千葉太は豊富なエピソードで場を盛り上げた
――それではここからは早実高時代のことを振り返ってもらいたいのですが、まずこの3人で組むと聞いてどんな印象を持ちましたか
高橋俊 この3人で試合をしたこともあるので納得しましたけど、まあ俺と菅野の2人だけでもいいかなと思いました(笑)。
千葉太 それ言っちゃ駄目でしょ(笑)。大好きな2人なので良かったです。
――3人は高校時代は仲が良かったのですか
菅野 仲良くないですね(笑)。
高橋俊 まあ俺と菅野は同期なので仲良いですね。
千葉太 僕はあまり高校のときは話さなかったですね。1年のときはガキだったので。
菅野 うるさいな(笑)。
千葉太 まあでもいい先輩だったなと思います。菅野さんは主将だったのですが、センスあるのに泥くさいプレーもするので格好良かったです。
――大学に入ってから話すようになったということですか
菅野 うーん(笑)。
高橋俊 別にそんな話すわけではないよね(笑)。
菅野 そうだよね。誤解されるとあれなのでいま言いますけど、別に3人でご飯行ったりとか遊びに行ったりとかするような仲ではないです(笑)。ただ高校が同じだけです(笑)。
千葉太 スクラムの時に話すくらいですね(笑)。僕はあんまり人と話すのが得意ではないので、いつも遊びに誘ってほしいなとは思っているんですけどね。
菅野 お前が言うなよ(笑)。
高橋俊 俺ら早実同期は仲いいよ。
千葉太 僕らはみんなが自由にやっているので団結力とかはないですね(笑)。この2人の学年は仲良い代でしたけどね。
――早実に入ろうと思ったきっかけを教えてください
高橋俊 僕は中高大とエスカレーターで行けるという理由です。あとは家から近かったからですかね。
千葉太 早大でラグビーがしたかったのが理由なのですが、そこに入るのに最短距離が早実だなと思ったので中学受験して入りました。
菅野 僕は兄貴がいるのですが、兄貴が大学受験の勉強しているのを見てこれはやばいなと思って。浪人とかして1年間も勉強とか絶対無理だと思ったので、付属校にしました。早大学院は男子校で男しかいないのが嫌だったし、早実はスポーツの成績を残していると入れる推薦枠があったので、そこで入ろうと決めました。高校からですね。
高橋俊 自分は中学から入ったのですが、小学校の時は相当勉強しましたね。多分その頃がピークです(笑)。
――早実のラグビー部は強いのですか
菅野・高橋俊・千葉太 非常に弱いです。
一同 (笑)。
千葉太 どっからどう見ても弱いです(笑)。
高橋俊 俺らの1個上の代が1回戦負けです(笑)。
千葉太 菅野さんの代が結果をある程度残してくれて少し変わりましたかね。自分たちの代も東京都ベスト8まで行けたので。ただ部員数が結局少ないので勝ち抜けないんですよね。1学年10人くらいです。
菅野 練習も自分たちで考えるんですよね。コーチがフルタイムでいないので、学生主体でこれやろうとか決めて。土日にコーチに来てもらって見てもらうという感じですね。結構走ってたよね?
千葉太 かなり走ってましたね。
菅野 走らないと駄目だなと思っていて、かなり走っていました。ただコンタクトはあまりしていなかったので体は弱かったです(笑)。
千葉太 ウエイトは大学入ってからって感じですもんね。ただその中でも僕が見ていた中で一番ウエイトやっていたのは飯野さん(CTB飯野恭史、商4=東京・早実)ですかね。かなりストイックにやっていたので、それがいまの地位を築いてるんじゃないかなと思います。
菅野 お前飯野のファンかよ(笑)。
――菅野選手の主将というのはいかがでしたか
高橋俊 順当だったと思います。
千葉太 厳しいとかいう感じではなく、どちらかというとチームに良い雰囲気を与えてくれる主将でした。優しかったし言うことが的を得てたので良い主将でした。
菅野 今度なんかおごるよ(笑)。
――3人がそれぞれ最初に会った時の印象を教えてください
菅野 俊太郎に会った時は、こいつめちゃくちゃ老けているなと思いました(笑)。学食で初めて見かけて、先輩だと思っていました(笑)。あとがさつでしたね。靴下とか逆に履いていたので。
千葉太 ラグビー面だと、フィールドプレーは本当に下手だなと思っていました(笑)。ただタックルとかで仕事をしっかりする人で、ボールのあるところにちゃんといるので、ボール持たないときは本当にすごいなと思っていました。
菅野 千葉は?
高橋俊 でかいやついるなという感じかな(笑)。
菅野 俺も同じだわ(笑)。こいつラグビーがめっちゃ好きで、海外の選手がどうたら、あの選手がどうたら、っていつも言ってくるんですよ(笑)。
高橋俊 何年前の早慶戦が何対何だったとかね(笑)。
千葉太 でも絶対その情報必要だと思うんですよね。やるのも好きなのですが、見るのも好きです。暇さえあれば監督部屋でビデオを見ていましたし、花園にも見に行っていました。順平さんとかの試合も見てましたよ。こんな人やるのは恐ろしいなとか思っていましたね。
高橋俊 菅野ね。中学から高校に上がって、どんないかついやつが来るんだろうと思っていたら、「え、背小さい」となって。オリエンテーションとかではすごいコミュ力が高くて、「こいつやるな」と思っていました(笑)。
千葉太 僕は菅野さんと初めて話したのは高1のときでした。特に話すことはないなと思っていて。すごい怖い人だなと思っていたので近寄らないようにしていたんですよ(笑)。
菅野 印象なしということですね(笑)。
――高校時代の試合での思い出はありますか
菅野 そりゃあ、あれでしょ。
千葉太 たぶん意見一緒なのですが、菅野さんの代で最後に明大中野と試合をしたんですよ。その時は僕たちもすごく気持ちが入っていて絶対負けたくないと思っていました。後半25分くらいまでで11点ほどリードしていたのですがそこから一発取られてしまって、ラストワンプレーの時に思い切り抜かれてしまったんです。
菅野 待って待って、ちゃんと話せよ(笑)。俺は鮮明に覚えてる。敵陣22メートルラインのところで相手がペナルティーを起こして、もうボールを出したら終わりだってなったのですが、小谷田(フランカー小谷田祐紀、文構4=東京・早実)がチョンって蹴って1人で突っ込んでいったんです。みんなが「おい、小谷田!」ってなって遅れて付いていったら、相手にボールを取られて外に回されたんです。それでなぜか外に俊太郎がいて、一番足速い相手選手とマッチアップして抜かれたんです。結局それは小谷田が止めて、みんなで止め続けたのですが、ゴール前で貼り付けになってトライされてしまって20―21になって正面からコンバージョンを決められて終わり。早実の弱点はメンタルですね。みんなボンボンなので土壇場で頑張ろうっていう泥くささがない(笑)。残り5分くらいで気の緩みが出て負けましたね。
――早実ラグビー部あるあるを教えてください
千葉太 でかいおにぎり。100円払うと食堂のおばちゃんがでかいおにぎりをくれるんですが、すごく固いんです。中にから揚げが入っていて、食べづらかったのを覚えています。お米って食べるとバラバラになっておいしいはずなのに密着していて固まっているんです。
高橋俊 帰りはファミマに寄ったりしたよね。
菅野 ミニストップでカップラーメンとかソフトクリームを買ったりもしました。
千葉太 買ってた買ってた。
菅野 そこのミニストップはもうつぶれました。
千葉太 TSUTAYAに変わるっていう。
高橋俊 俺たちの代はミニストップで5時間くらいたまっていました。ミニストップにはだいたいラグビー部がたむろしているという(笑)。帰ろうとしても飯野が引き止めて。
菅野 休みの日も遊ぶ相手は結局ラグビー部しかいなくて、オフの日でもラグビー部でミニストップに行ったりとかしていました(笑)。ミニストップの店員ととても仲良くなりました。
千葉太 先輩が先に帰るのですが、その後行くと必ずミニストップに先輩がいるんです。
菅野 俺たちはちゃんと補食してたんだよ。
千葉太 いやいや、カップ麺は補食じゃないですよ(笑)。
――何か他にはありますか
千葉太 グラウンドの隣に中央線が走っているのですが、小谷田さんか誰かがボールを蹴ったらネットを越えてしまって線路に入ってしまったんです。電車を止めてしまいました。
菅野 ありましたね。「やばいやばい」って言って。校則が厳しいので怒られてしまうんですよ。
千葉太 校則はすごい厳しかったですよね。女子のスカート丈とか髪の長さとかもそうですし。
菅野 携帯を持ってきているのが見つかったら2週間返してもらえないとか。
高橋俊 写真撮影していたら取られたよ(笑)。
菅野 そうだ(笑)。部活終わって夕焼けがきれいだったので「いいなー」とか言って携帯を出してグラウンドを撮っていたんですよ。そうしたら真横から生徒指導部の教師が走ってきて「何やってんだー!」って言って。携帯折られたんだっけ?
高橋俊 折られてないよ。でも取られた。
――では真面目に学校生活を送っていたのですか
菅野 真面目風にね。怒られない程度に。
千葉太 僕はすごい怒られました。学校の物を壊しまくったので。壁と椅子と机と…。壁は三段跳びで天井に行こうと思ったその1歩目で壁を突き破ったんです。
一同 (笑)。
菅野 三段跳びで?
千葉太 壁に手を着きたいときがあるじゃないですか。
菅野 そんな気持ちのときあんまりないよ(笑)。
千葉太 その一発目で壁を突き破ってしまったので、先生にかなり怒られました。弁償しろと言われて。
菅野 僕たちは普通に過ごしていました。
――ラグビー以外で思い出に残っていることはありますか
菅野 たくさんありますよ。早実の良いところとして、僕はスポーツ推薦で入ったのですが、他の高校だとスポーツ推薦の人たちはその人たちで3年間同じクラスとか理系はここ、文系はここって分かれたまま行くじゃないですか。でも早実は中学から来た人も高校から来た人もスポーツ推薦で入った人もみんなごちゃ混ぜで一緒になれるのですごい友達ができて、文化祭もクラスで出し物したり。自分は劇をやってみんなで練習したりして楽しかったですね。
千葉太 僕も文化祭が一番楽しかったです。男子チアとかもあって。高校でしか味わえないことを体験できて良かったなと思います。
菅野 ラグビーだけでなくて、普通の高校生らしいこともしています。
高橋俊 むしろ普通の高校生だけどね(笑)。ラグビーラグビーって感じではないです。
菅野 早実はそんな感じではないです。そこが弱い理由かもしれないです(笑)。
「部員全員で『荒ぶる』を歌いたい」(高橋俊)
最終学年としての意気込みを話す高橋俊
――4年生になって意識の変化はありましたか
高橋俊 ありましたね。これまでは自分のことだけを考えてやってきたのですが、いまは周りのことを考えて4年として引っ張っていかなければいけないという意識と、僕が妥協していたら下の人たちも手を抜いてしまうようになるので妥協しないようにしています。
菅野 自分も1、2年生のときは4年がやっているからやらなければいけないと思いましたし、4年がやっていなかったら自分もやらなくていいと思っていました。4年がやればそれは絶対に下に影響するので、後輩に見られているということを意識してやるようになりました。
――レギュラーをつかむために、どのような点が必要だと感じていますか
高橋俊 気持ちの面ではより貪欲に、がむしゃらに、赤黒を着たいという思いで、毎日自分のベストを出していけるようにやりたいです。
千葉太 僕はまだ4年生みたいに最後というわけではないのですが、4年生とやれるこの時間をいかに有効に使えるかが大事だと思います。昨年の4年が残してくれたものもあるのですが、でもやっぱりそれは自分たちから取りに行かなければいけないものなのでいまの4年生からも取れるものは取って、それを自分のものにして努力して、赤黒を着ることが僕の目標です。赤黒を着てレギュラーに定着して『荒ぶる』を4年生と一緒に絶対歌いたいので、それを意識してやっていければと思います。
菅野 フッカーとしてスクラムとラインアウトのスキルを他の人と差をつけて抜きん出るしかないので、スクラムには特にこだわって、この夏取り組んでいきたいと思います。
――菅平合宿が迫っています。特に4年生の方は最後となりますが、お気持ちはいかがですか
菅野 最後だと考えると多少気は楽です。お前(千葉太)はあと3回あるんだよ?
千葉太 いやでも菅平っていいじゃないですか?
菅野 ちょっと別ですね(笑)。参考になりません。
千葉太 僕にとっては、菅平は小学校のときから行っているので全然問題はないです。4年生とできる時間を過ごしたいので、その時間を大切にしたいです。
菅野 熱いね(笑)。
高橋俊 二度と行きたくない(笑)。
菅野 同じく。
千葉太 いや、楽しみです。
――部内でも合宿の話は出ますか
高橋俊 あえて触れないようにしているのはあります(笑)。
菅野 気付かないようにしています(笑)。
――そんなにきついのですか
菅野 きついですね。
千葉太 でもきつくなかったら日本一になれないです。一番きついことをやらなければ日本一になれないのは部員一人一人が思っているので。こういうふざけたふうに見えていますけど、そう思っているはずです。
――合宿中には帝京大との試合もありますが、そこに向けてはいかがですか
高橋俊 僕個人としては、スクラムで劣勢だったのでイーブンかそれ以上に押し込みたいと思っています。チームとしては、BチームでもAチームでも少し出さしてもらったのですが、Bでは1点差で負けたので1点でもいいので夏は勝ちたいと思います。
千葉太 帝京大は絶対に超えないとといけないカベであることは間違いないです。スクラムとかのセットプレーの安定は絶対で、そこを特に意識して帝京大戦を迎えたいと思います。
菅野 春はBチームに出て、Aにはリザーブで入ったのですが出られなかったので、Aに出られるようにすることはもちろんです。春は良い試合でしたが勝っていないので、俊太郎が言っていたように1点でもいいので勝ちという結果にこだわって帝京大に向かっていきたいです。
――チームとしては合宿でどのような点を高めて、秋に向けて完成させていきたいと考えていますか
千葉太 この1、2カ月で帝京大は間違いなく体を大きくして試合に臨んでくるので、早大はそれに追いつき追い越さないと絶対に勝てないと思います。この時期はとても大事だと思っています。
――最後にこの夏、そして秋の関東大学対抗戦(対抗戦)へ向けて意気込みをお願いします
千葉太 チームとしての最大の目標は1月の大学選手権(全国大学選手権)決勝で帝京大を倒すことなのですが、その前の対抗戦や大学選手権セカンドステージでいい試合ではなくて勝ちにこだわることを意識したいです。僕個人としては常に高いレベルでプレーして、チームの日本一に貢献できるようにしたいと思っています。
高橋俊 レギュラーとして試合に出て、部員全員で『荒ぶる』を歌いたいです。そのために個人としては「自分に嘘をつかない」ということをやりたいと思います。
菅野 最後の年なので、まず自分が赤黒を着て1試合でも多く出たいです。『荒ぶる』に関しては1年から3年のときは正直あまり強く思ったことはなかったのですが、4年にもなると最近は優勝したいとすごく思います。でもそれが難しくて遠いことだといままでの4年生を見て感じているので、これからもっと4年が頑張っていかないといけないと思っています。なので頑張っていきましょう。
高橋俊・千葉太 はい!
――ありがとうございました!
(取材・編集 伊藤なつ実、増山祐史)
4年生と2年生が分かれての撮影!
◆菅野卓磨(すげの・たくま)(※写真中央)
1992(平4)年12月25日生まれ。168センチ。95キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。ポジションはフッカー。「会話がうまい」「コミュ力が高い」と高橋俊・千葉太両選手から称賛を受けていた菅野選手。今回の対談でもたくさんの話題や的確なツッコミで場を和ませてくださいました。
◆高橋俊太郎(たかはし・しゅんたろう)(写真右)
1992(平4)年8月12日生まれ。172センチ。101キロ。東京・早実高出身。社会科学部4年。ポジションはプロップ。中学から早実に入学した高橋俊選手。早実中の卒業時には『深海生物』をテーマに卒論を書いたそうです。どのような内容なのか気になりますね!
◆千葉太一(ちば・たいち)(※写真左)
1994(平6)年9月22日生まれ。176センチ。112キロ。東京・早実高出身。教育学部2年。ポジションはプロップ。早実高時代には壁だけでなく、椅子の背もたれや机も破壊してしまったという驚きのエピソードが!菅野選手からは「問題児です」とお墨付きをもらっていました(笑)。