新人早慶戦での4年ぶりの勝利から約2週間、早大は最後の1年生試合となる新人早明戦に臨んだ。前半はスコアこそ開いたもののほぼ互角の戦いを見せる。後半に入ってからも一進一退の攻防を繰り広げるがスコア差は埋められず19-29でノーサイドとなった。
試合開始早々、早大は幸先よく先制トライを挙げる。敵陣で得たペナルティーをクイックスタートすると、そこでできたラックからSO杉本頼亮(スポ1=京都・桂)が鋭い突破をみせる。最後はサポートに走ったロック加藤広人(スポ1=秋田工)へパスをつなぎ中央に叩き込んだ。その後もNO・8鶴川達彦(文構1=神奈川・桐蔭学園中教校)の力強い好プレーも出て、序盤は早大が主導権を握る。しかし15分、体格で勝る明大FWに近場で押し込まれ、同点とされてしまう。流れを渡したくない早大は25分、敵陣中盤でペナルティーを得るとまたも素早いリスタートからBKに展開しCTB高橋吾郎(スポ1=福岡・修猷館)がインゴールに飛び込んだ。しかし、27分に再び相手FWにトライを許し、逆転されるとその後は明大ペース。一つ一つの接点で、大きくて強い敵に前に出られてしまい、35分に失点。杉本頼の仕掛けから何度かチャンスを作るもその後が続かず得点には至らない。さらに前半ロスタイム、正面ながら自陣10メートルライン付近からPGを決められてしまい、12-24で前半を折り返す。
先制トライでチームに勢いをもたらした加藤
後半に入るといきなりピンチを迎える。相手の強力FWにモールを組まれてしまうが、ここは早大が意地をみせ押し返す。その後はお互いに好機を演出するもあと一つがつながらない。そんな展開の中、均衡を破ったのは明大だった。30分にまたもゴール前のモールから、最後はFWに狭いサイドをこじ開けられ失トライ。しかし、早大も逆転を信じ果敢に攻撃を仕掛ける。35分に高橋吾が相手ディフェンスを突き破るとそこからFB黒木健人(教1=宮崎・高鍋)、WTB作田蓮太郎(教1=東京・早実)とつなぎそのまま作田がフィニッシュ。その後、チャンスは作るも得点にはあと一歩及ばず。最終スコアは19-29。悔しい敗戦となった。
高橋吾は何度もゲインラインを突破した
「ここからそれぞれが努力して、追い付いて、追い越していかないと」と試合後の作田が話すように、ここからまた新しい戦いが始まる。「選手として狙うのはみんな赤黒だと思う」(加藤)。しかし、それを目指すからには同期はもちろんのこと、多くの先輩とのポジション争いに勝っていかなければならない。その切磋琢磨(せっさたくま)の中でどれだけチーム全体がレベルアップしていけるか、今後の成長に注目していきたい。
(記事 進藤翔太、写真 関山萌瑠、稲満美也)
新人早明戦 | ||||
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早大 | スコア | 明大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
2 | 1 | T | 3 | 1 |
1 | 1 | G | 3 | 0 |
0 | 0 | P | 1 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
12 | 7 | 計 | 24 | 5 |
19 | 合計 | 29 | ||
【得点】▽トライ 加藤、高橋吾、作田 ▽ゴール 高橋吾(1G)、作田(1G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
コメント
SO杉本頼亮ゲームキャプテン(スポ1=京都・桂)
――まず試合全体を振り返ってみていかがでしたか
試合を通じて何度もトライを取れるようなチャンスはありましたけど、そこでいらないミスをしてしまって取り切ることができなかったので、その差が結果に出てしまったかなと思います。
――個人としての出来はいかがだったでしょうか
SOとしてもっとゲームメイクの部分でうまくやっていきたかったんですけど、まだ判断力が足りないところもあったので、もっとそこは意識していけたらなと思います。
――何度かご自身の仕掛けからチャンスが生まれていたように見えましたがその点はいかがでしたか
空いてるところとかがあったので、そこは積極的に行けたかなと思います。
――前回の1年生試合だった慶大戦からの課題はなにかありましたか
ディフェンスでBKとFWの連携をもっと良くしていこうとしてて、そこはこの試合では良かったと思います。
――1年生試合としては最後ということでしたが、チームの雰囲気はとても良かったようにみえましたがいかがでしょうか
そうですね。1年生の明慶戦で明大が勝っていたので、明大に勝とうと意気込んでやっていきましたし、後藤監督(禎和、平2社卒=東京・日比谷)とかからも盛り上げて思い切っていけっていうことを言われていたので、ゲームキャプテンということもあって声を出して盛り上げていこうっていうことを意識して臨みました。
――Aチームでの先発出場もありましたが、1年チームとの違いなどはいかがでしたか
周りの動きがやっぱりAと1年では全然違ったので、そういう意味でやりにくかったっていうのはありましたね。
――最後に、これから夏に向けての目標を聞かせてください
春戦ってみて、早大の1年はまだまだ体が小さくて、フィジカルの部分で劣るところがあったので、夏に向けては体大きくしていきたいと思います。
ロック加藤広人(スポ1=秋田工)
――試合を振り返っていかがでしたか
ゴール前で取りきれるところで取れなくて、自分たちも取らせないということは出来たのですが、FWが守るところやモールで前半にあっけなく取られてしまったところがあったので、FWとしては悔しかったです。
――試合にはどのような意気込みで臨んでいましたか
1年生として同期全員で臨む最後の試合だったので、楽しんで、悔いの無いように戦って勝とうという気持ちでした。
――個人としてプレーを振り返っていかがですか
ロックとして、もっと走って運動量を多くしたり、体を張って空中戦やタックルなどの接点で自分の身長を生かしたプレーをしなければいけないと痛感しました。
――先制しましたが、試合の入りとしてはいかがでしたか
ゲームキャプテンの杉本くん(SO杉本頼亮、スポ1=京都・桂)がいいパスをくれたので、僕は空いているところをガムシャラに走っただけです。
――逆転された要因としては何があげられますか
自分たちが取った後に、密集の近場やモールであっけなく2本取り返されてしまったことだと思います。
――チームの雰囲気はいかがでしたか
対慶大のときと違い、スクラムも勝てたわけではありませんがしっかりボールをきれいに出せましたし、チームのラインアウトの成功率も何回かサインミスでごちゃごちゃとした場面もありましたが良くなってきました。こう言えば言い 訳になるかもしれませんが、まだまだ伸びしろがあって、どんどん伸びてきていいチームになってきたと思います。
――夏以降に向けての意気込みをお願いします
一選手として狙うのはみんな赤黒だと思うので、体を大きくして赤黒を狙える選手に、もっと上のチームに上がれるように努力していきたいです。
NO・8鶴川達彦(文構1=神奈川・桐蔭学園中教校)
──試合の振り返りをお願いします
新人早明戦での勝利は先輩たちもあまり成し遂げたことがないことだったので、絶対に勝ちたいと思っていました。
──NO・8という慣れないポジションでの出場でしたがいかがでしたか
やりづらいところもありますけど、コーチの方々から基本は普段と同じCTBの動きをして良いと言われていたので、前回の慶大戦よりは良く動けたと思います。
──持ち味を存分に出せた試合となりましたね
突破するところまでは良かったのですが、抜けた後のプレーということをもう少し考えていきたいと思います。パスするのか自分でいくのかという判断をこれからできるようにしていきたいと思います。
──1年生チームとしての雰囲気はいかがでしたでしょうか
1年生は普段は別のチームでやっていますが、同期ということもあって一体感が出ていたと思います。
──この試合で見えた通用した部分、しなかった部分を教えてください
アタックもディフェンスも通用する部分はあったのですが、自分たちのミスで自滅してしまったというところがあります。
──夏や今後に向けて一言お願いします
この試合に負けてしまって悔しかったので、夏には上のチームでプレーできるように頑張っていきたいと思います。
CTB高橋吾郎(スポ1=福岡・修猷館)
――この試合を振り返って感想をお願いします
相手はサイズもあってフィジカルも強くて、体の面とかで負けた気はしませんが、やはり一つ一つの寝方とかブレイクダウンのスイープなしとかで1つミスをするだけですぐターンオーバーされてしまったシーンがありました。一つ一つ基本を決めてかないと、こういう競った試合で勝てないなと思いました。
――1年生試合ということでしたがどのような意気込みでしたか
監督(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)からも早慶戦と早明戦しか同期でやる試合はもうないと言われていて、慶大戦も勝っていい雰囲気で楽しくやれてたと思います。けれど、もっと厳しさの面でお互いにつめていって全員タックルを目指してやるなかでしっかりそういうことやっていきたいなと思いました。
――ご自身のプレーを振り返ってみていかがでしたか
パスの精度だったり、アタックのスピードの切り返しとか練習でやってる部分が出せない部分もありましたし、そういう少ないチャンスをものにできなかったところがあったので、チャンスをしっかりものにできるプレーができるようにしたいです。
――試合の入り方についてはどう思いますか
入り方は最初に点が取ることができ最高だと思うんですけど、その後に攻めて2、3本自分たちが取ることができるるシーンがあって、自分のパスのせいとかで、逃してしまったシーンがあったのでそこで返しで3本くらい決ていたらまた違う試合だったと思います。
――逆転されてしまいましたがその要因は何だと思いますか
フロントスリーの多分失点自体もフロントスリーのディフェンスミスだと思うんで、単純なところで抜かれてたら絶対勝てないです。しっかりスターターとかで抜かれることのないように、しっかりこれから夏とか秋で絶対にそういうことがないように修正していきたいと思います。
――声が良く出ている印象を持ったのですがチームの雰囲気はどんな感じでしたか
チームの雰囲気として走られるというか声を出せるプレイヤーも多いですし、どちらかというとフィットネスもあるチームだと思うのでその辺りは良かったと思います。だけど、やはりただの活気とかだけじゃなくてもっとプレーの精度とかで声とかを高めていけたらいいなと思います。
――BKの出来はどうでしたか
BKの出来はまあその個人で抜けだすシーンもありましたけどそこでブレイクダウン出来なかったり、ディフェンスでもスターターから簡単に抜かれたりとかチャンス生かせなかったので、そういうところをしっかりものにできないと勝てないと思うから、しっかり取りきれて、しっかり守りきれるBKを目指してやっていきます。
――夏に向けての抱負を教えてください
体づくりが重点になってくると思うので、しっかり帝京大とか明大に負けないような体づくりをしていきたいと思います。
WTB作田蓮太郎(教1=東京・早実)
――この試合を振り返って一言お願いします
もったいないプレーが多くて勝ちきれなかったです。結果として時間が足りずに追い付けずということで、ゴール前まで攻め込んだのに取りきれないことが多かったなと思います。
――試合後にチームでどのようなことを話しましたか
この試合で個々の課題が見つかって、いまは1年生なので、次までにフィジカルの面などでもメイジに勝つようにそれぞれが努力しようと話をしました。
――BKのアタックについての手応えを教えてください
チャンスの場面で外で取りきれなかったり、ノックオンをしたりともったいないミスが多くて、仕事ができていないかなという感じです。
――ディフェンスについてはいかがですか
ラインディフェンスなどはよかったです。しかし、BKだけの話ではないのですが、ペナルティーで自陣深くまで入られて、大きいFWにモールやサイド攻撃でいかれてしまいました。小さなミスをなくさないと、もっと相手も強くなるので勝てないなと思いました。
――作田選手はトライもありましたが、ご自身の出来についてはどう思いますか
トライはしたのですが、一時退場となるプレーをしてしまい、チームに本当に申し訳なかったので、せめて1本は(トライを)返さないとという思いでプレーしました。
――この試合でチームとして収穫があれば教えてください
メイジの1年と自分たちワセダの1年で、フィジカルやチーム力の差が分かりました。なので、ここからそれぞれが努力して、追い付いて、追い越していかないといけないと思いました。
――新人早慶戦、新人早明戦と1年生だけの試合はいかがでしたか
練習の時から雰囲気が良くて、4年間ある大学生活のなかでこのチームでやるのは2試合だけなので、絶対に勝とうということで、みんな一つになっていたと思います。
――最後に夏シーズンの意気込みを聞かせてください
自分は体が小さいので、相手のAチームにも通用するように、もっと体を大きくして頑張っていきたいと思います。