『最後の国立』で藤田が躍動。W杯出場権獲得に貢献!

ラグビー男子

 ラグビーの2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会の出場権を争うアジア五カ国対抗2014。この大会の優勝を懸けた香港代表戦にWTB藤田慶和(スポ3=東福岡)が日本代表として出場した。現行の国立では最後の公式試合となった一戦。藤田は3トライを挙げる活躍で日本代表の勝利、W杯出場権獲得に貢献。さらに日本代表歴代トライ数ランキングの7位に躍り出た。

 日本代表は前半3分、早大OBのFB五郎丸歩(平20スポ卒=現ヤマハ発動機)のPGで先制する。そして藤田の見せ場は12分。ロングパスを受けるとそのまま相手のFBをかわしインゴールへ。この試合初のトライを記録した。さらに見せ場は続く。香港代表にDGを決められた直後の28分。ラインアウト後の攻撃でパスをもらうと、見事なスワーブでディフェンスを置き去りにしフィニッシュ。「自分の中でもすごく良かった」と語る会心のプレーだった。このトライで勢いづいた日本代表は前半に2トライを追加。藤田がチームを活気付けた。

藤田はインゴールに飛び込みチーム初トライ

 迎えた後半。最初の20分はミスが多発し波に乗れない日本代表と同じく、藤田も良いプレーができなかった。しかしチームが徐々に流れを取り戻し始めた32分。外が余ったチャンスを確実に仕留める。代表通算19個目、日本歴代7位に入るトライだった。この後も優位に試合を進めた日本代表は最終的に49-8で香港代表に勝利。見事W杯行きの切符を手にした。

聖火を背に観客へ手を振る藤田

 『最後の国立』でのハットトリックにW杯出場権獲得。さらにトライ数日本代表歴代トップ10入りと、藤田にとってこの試合はメモリアルなものとなっただろう。しかし本人は「スキルをもっと上げていかなければ、世界のトップとは戦っていけない」とさらなる高みを目指している。今後日本代表は、5月30日にW杯でも対戦が決定しているサモア代表と、6月21日に北半球の強豪イタリア代表とテストマッチを行う。力のある相手に対し藤田のプレーがしっかりと通用するのかどうか。注目が集まる。

(記事 鈴木泰介、写真 森健悟)

コメント

WTB藤田慶和(スポ3=東福岡)

――W杯出場が決まりました。いまの気持ちをお聞かせください

うれしい気持ちと、ここからW杯でのジャパンの目標を達成するということをやっていかなければならないなという気持ちです。

――ご自身3トライを取りましたが、トライを挙げる秘訣(ひけつ)は何ですか

チームメイトが前で体を張って、(相手の)ディフェンスを寄せて外に(ボールを)振ってくれるので、そのおかげでトライを取れると思います。後、2本目のトライは外にスワーブして取れたのでよかったのではないかと思います。

――この試合の出来はW杯に向けてどれくらいのものでしたか

どれくらいかは分かりませんが、まだまだ世界のレベルは高いと思うので、高いレベルで通用するようなプレーをしたいと思います。

――試合を振り返って一番印象に残っているシーンは何ですか

個人のプレーとしてはやはり2本目のトライで外をスワーブで抜いたところが印象に残りました。

――海外組の選手がチームに入ると気が引き締まるということがありますか

それは分からないですが、海外組がいてもいなくてもハードワークしていますし、本当に(世界の)トップ10に入るために、日本にいる選手も海外にいる選手もしっかり個人を追い込んでやっているのであまり変わらないと思います。

――チーム最年少ですが、気を付けていることや思うことはありますか

プレー面に関しては年下だからといって引いたりはしないのですが、バスを降りて荷物を持つこととかは率先してやるようにしています。

――W杯に向け具体的な目標はありますか

個人的にはスーパーラグビーに早く行ってプレーして、トップレベルのラグビーを経験してW杯に入りたいと思います。

――春は日本代表の合宿に参加されていると思うのですが、アジア五カ国対抗2014を終えて成長したところはありますか

プレーでは安定してきた気がします。ボールキャリーも成長したと思うのでこれから強く体が大きい相手に対して通用するようにして、世界に太刀打ちしていきたいと思います。

――強豪と戦っていくに向けてやっていくこと、この試合でできたことについて教えてください

ミスが多く、自分たちのミスで流れを後半の最初とかに奪われた部分があったのでしっかり1人1人のスキルを上げていくことができれば世界でも戦っていけるのではないかと思います。