若い力で白星発進!

ラグビー男子

 7人制に続いてついに15人制ラグビーも開幕した。初戦の相手は長崎ドリームチーム。地元の社会人チームに所属する選手とトップリーグで活躍する選手などを擁する選抜チームだ。「層を厚くしていきたいということでチャンスを与えた」(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)ため、昨季Aチームで活躍した選手を除いたメンバーで挑んだ早大は、多くの時間を自分たちのペースで試合を進める。攻め込みながらもトライを取り切れないシーンがあったとはいえ、下級生も活躍を見せ勝利を収めた。

 セブンズ同様、この日も立ち上がりには課題を残した。前半4分、自陣ゴール前ラインアウトからモールを形成されるとなす術もなく失点。あっさりと先制を許してしまった。だがこのプレーで目が覚めたのか、ここから早大が試合を支配する。まず魅せたのはセブンズでの活躍が光ったWTB本田宗詩(スポ2=福岡)。キレのあるランでハーフウエーラインからインゴールまで駆け抜けた。またSO浅見普吾(スポ3=神奈川・桐蔭学園)のキックを織り交ぜたゲームメークもさえ渡り、敵陣でのプレーを続ける。その後、要所でのミスが相次ぎ点数を伸ばせなかったものの、両チーム7点ずつ加え前半は終了。14-12とリードを保って試合を折り返した。

久しぶりの実戦で存在感を示した浅見

 後半は立ち上がりから実力を発揮する。3分に連続攻撃から右に大きく展開。最後はサポートに走ったSH平野航輝(スポ4=長崎南山)が飛び込んだ。その後もなかなか得点には結びつかないものの、CTB勝浦秋(スポ2=愛知・千種)やWTB山本龍平(商4=東京・都武蔵)のスピードある走りなどで攻め立てる。守っては5点を献上するが、フィジカルで勝る相手に粘り強くタックルを浴びせ追加点を阻止。最後まで集中力を切らさず、終了間際にはSO小倉順平(スポ4=神奈川・桐蔭学園)の個人技を起点にダメ押し点も挙げ、28-17で開幕戦を白星で飾った。

鋭い突破を何度も見せた勝浦

 経験の浅い選手が多く、思うようにスコアできなかったこの試合。「ボールを片手で持ってしまったり、相手を抜いたあとに雑になった」(浅見)と課題は明白だ。その一方で、上々のデビューを飾った選手も見られた。特筆すべきは初めて赤黒に袖を通した勝浦だろう。好機を何度も演出し、トライもマーク。後藤監督が「この試合で言えば、勝浦は合格点」と話すように、レギュラー奪取へ猛アピールした。他にも本田や浅見など与えられたチャンスを生かした選手は多い。「1回のチャンスをものにできる精神的なタフさを見せてくれた人が最後に生き残っていく」(後藤監督)。赤黒をめぐる激しい戦いが幕を開けた。

(記事 菅原拓人、写真 山口智子)

☆PICK UP PLAYER

高校時にもプレーした場所でトライした平野

 この試合を特別な思いで迎えた選手がいる。開催地の長崎で高校時代の3年間を過ごしたSH平野航輝(スポ4=長崎南山)だ。Aチーム初戦となるこの試合。SHのポジションで先発すると精力的にグラウンドを走り回り、後半にはトライを挙げて地元ファンに勇姿を見せた。小中学校時代は東京にいた平野にとっていわば『第2の故郷』となる長崎での試合を本人は「とても楽しくラグビーができた」と振り返る。そんな平野にとって今季は勝負のシーズンだ。4年生となり「仕切るというイメージ」でチームをまとめながら、最も厳しいといっても過言ではないSHのポジション争いを勝ち抜かなければならない。平野の戦いは、ゆかりの地・長崎で幕を開けた。

招待試合
早大 スコア 長崎ドリームチーム
前半 後半 得点 前半 後半
14 14 12
28 合計 17
【得点】▽トライ 平野、勝浦、本田、仲元寺 ▽ゴール 浅見(3G)、小倉(1G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
光川 広之 スポ4 神奈川・公文国際学園
後半0分交代→16高橋俊
清水 新也 スポ4 宮城・仙台育英
後半3分交代→17菅野
佐藤 勇人 スポ4 秋田中央
後半11分交代→18渡瀬
◎大峯 功三 スポ4 福岡・東筑
河野 秀明 創理3 東京・早実
池本 翔一 スポ3 愛知・千種
後半0分交代→19仲元寺
小谷田 祐紀 文構4 東京・早実
後半20分交代→20吉田
山口 和慶 スポ2 福岡
平野 航輝 スポ4 長崎南山
10 浅見 晋吾 スポ3 神奈川・桐蔭学園
後半32分交代→21小倉
11 今岡 晃大 商3 東京・早大学院
12 秋吉 孝一 文構4 埼玉・早大本庄
後半0分交代→22丹野
13 勝浦 秋 スポ2 愛知・千種
14 本田 宗詩 スポ2 福岡
前半27分交代→23山本
15 滝沢 祐樹 基理3 福島
リザーブ
16 高橋 俊太郎 社4 東京・早実
17 菅野 卓磨 教4 東京・早実
18 渡瀬 完太 商3 東京・早大学院
19 仲元寺 宏行 社3 広島・尾道
20 吉田 有輝 人4 大分舞鶴
21 小倉 順平 スポ4 神奈川・桐蔭学園
22 丹野 怜央 教4 北海道・札幌山の手
23 山本 龍平 商4 東京・都武蔵
※◎は主将、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)
コメント

後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)

――試合の総括をお願いします

若いメンバーが多かったので、特に前半の序盤などは細かいミスや雑なプレーが目立ったんですが、後半は粘り強く我慢して守れたと思います。欲を言えば少ないチャンスを全部ものにしてほしいというのはありました。最後に1本トライが取れたのは良かったです。

――試合に向けての練習が少ないということも影響していますか

そうだけども、チームとしてのコンビネーションが上手くいかないのはいいんですが、一人一人の基本プレーの部分で雑な部分が見受けられたということです。そこを少し調整しないとですね。

――この試合のテーマを教えてください

基本的にはトップリーガーを含めた対社会人ということで、コンタクトのところやスクラムの部分を重視しました。スクラムに関してはできていたと思います。コンタクトは相対的には良かったのですが、相手のトップリーガーにことごとくやられていました。あのレベルの選手が15人集まったら、この試合のメンバーでは通用しないということですね。

――新しいメンバーを多く起用した理由と評価できる選手がいたら聞かせてください

春に関して言えば最後の帝京大戦に向けてチームを仕上げていくのですが、いまの早大の問題の一つに層が薄いということがあります。なので層を厚くしていきたいということでチャンスを与えてみました。選手には言っていますが、1回のチャンスをものにできる精神的なタフさを見せてくれた人が最後に生き残っていくということです。この試合で言えば、勝浦(CTB秋、スポ2=愛知・千種)は合格点を与えていいのではないかと思います。

ロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)

――試合の振り返りをお願いします

春の初戦ということで準備期間が短い中で基本的なプレーがどこまで通用するかということがテーマでした。敵に1対1で強い選手がいてそこで負けてしまったということが課題かと思います。

――基本プレーという点についてはいかがでしたか

アタックについてですが、一人が大きくゲインした後にフォローをして取り切ることができませんでした。やっぱり帝京大と対戦するときは少ないチャンスをものにしないといけないので、そういう場面でトライに持っていけなかったことが数多くあったち思います。

――一方のディフェンスについてもお願いします

課題はしっかりと分かっていて、内側のディフェンスが立てていないというのがあるのですが、粘り強くできたと思います。

――対社会人ということで、体を当ててみた感想を聞かせてください

トップリーグの選手はやっぱり強かったとは思いますが、例えそこで負けたとしても2人や3人で止めて、その後すぐに立ち上がるということが大切だと思います。

――相手スクラムをターンオーバーするなどスクラムが好調に見えましたが、手応えはいかがですか

相手は選抜チームということで前日などに集まって合わせたチームなので、一人一人は強いと思いますが、僕たちのスクラムは8人で押すスクラムなのでその点で通用したのかと思います。次は大学生との試合でしっかり準備をしてくる相手になるので、そこでどれだけやれるかだと思います。

――初めて赤黒を着る選手も多かったですが、コミュニケーション面はいかがでしたか

まだまだだと思いますけど、一人一人は頑張っていたと思います。本田(WTB宗詩、スポ2=福岡)や勝浦は強みを出してくれたので良かったです。今後も強みを出しやすいように4年生がいい土台をつくってあげたいです。

――練習の雰囲気も変わってきましたか

しっかり課題が見えているのでやることをしっかりやるだけです。後はその内容をどれだけ濃くできるかです。

――次戦に向けて修正したい点などがあれば教えてください

これからまた連戦が続いていって、その中で一つずつ課題がでていくと思うので、それを一段階ずつ消化していくことです。春の最後の帝京大戦ではすごいチームになっていたいです。僕自身もすごくわくわくしています。火曜日からの練習が楽しみです。

SO小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――今季初の15人で挑む試合でしたが、どのような意味を持っていたでしょうか

昨季のメンバーがほとんど出ていない状況でやったので、みんながすごく意識していたのは、どれだけこの一試合で良いプレーを見せてレギュラーをつかめるかということでした。一人一人がレギュラーをつかむことを意識していたと思います。

――試合を見ていて評価できる選手はいましたか

全体的にやるべきことが確立できていない状況で、疲れるのも早かったかなと思います。チームとしてやるべきことが固まっていなかったので、できている人もいましたが、全体としてもっと意識付けないとだめかなと思いました。

――確立できていないというのはどの部分でしょうか

見ていて感じたのは、チームの攻め方などが分からない人がいたということです。

――パスダミーでトライを生むプレーがありましたね

相手が疲れていたので、いけると思ってやりました。

――来週の同大戦で意識したい部分をお願いいたします

ディフェンスですね。一試合でどこまで崩れずにできるかが重要だと思います。

プロップ佐藤勇人(スポ4=秋田中央)

――この試合を振り返って、いかがでしたか

対社会人ということで、強い相手、速い相手に対して思い切りの良いプレーをしようという気持ちで試合しました。

――スクラムを組んだ感触はいかがでしたか

重い相手に対して、ヒットを速くして自分たちのスクラムが組めれば、やはり強い相手にもいいスクラムが組めるということが実感できたので、良かったのかなと思います。

――社会人と対戦して、自分たちに足りないところなどは見つかりましたか

ディフェンスセットのところがまだルーズというか、そういうところは少し感じました。

――ラインアウトからのモールで失点がありましたが、そこに関してはいかがですか

最初のプレーで少しコミュニケーションが取れなかったのかなとは思います。

――自分たちのプレーで良かったところはどこですか

BKが良い攻撃をしてくれたので、やはりBKが強みだと思います。BKが決定力があるので、FWが今後も良い球出しをして、BKがトライを取るという形になっていくのかなと思います。

――今後に向けた意気込みをお願いします

自分の持ち味であるスクラム、セットプレーを中心に、チームにうまく順応するというか、うまくプレーしていきたいと思います。

フランカー池本翔一(スポ3=愛知・千種)

――この試合を振り返って、いかがでしたか

15人制では今シーズン初めての試合ということで、準備の時間は少なかったのですが、その中でどれだけやれるかということを課題にしていました。アタックなども課題にしていたのですが、あまりライン参加することができなくて自分からチャンスをつくっていくことができなかったので、それはやはり来週の試合への課題だと思いますし、今シーズンかけての自分のテーマにしていきたいと思っています。

――今シーズン初めての15人制の試合ということで緊張などはありましたか

いつもと同じくらいで、特別緊張したということはありませんでした。

――トップリーガーも擁するチームとの対戦でしたが、強いと感じたところはありましたか

相手のフィジカルの強さは感じましたが、でも全然負けているところばかりではなかったので、戦えているなという自信にはつながりました。

――通用したところは具体的にどこですか

1対1のタックルであったりとか、しっかりタックルが入ったときには相手を倒せていたので、そこはやはり通用しているなと思いました。

――来週以降の試合に向けた意気込みをお願いします

自分でチャンスをつくってアタックに参加していくという課題がこの試合で出たので、来週の同大戦に出られたら、しっかり自分でチャンスをつくってライン参加できるように頑張っていきたいと思います。

SH平野航輝(スポ4=長崎南山)

――きょうの試合を振り返っていかかでしょうか

高校3年間ここでプレーをしていたということもあって、とても楽しくラグビーができました。

――その高校時代を過ごした長崎での試合、今季のAチームの初試合ということでどのような意気込みで臨まれましたか

まだチーム練習を全然しておらず個のコンタクト、タックルだとか体を張る部分でどのように前に出るかという部分にフォーカスしていました。セットプレーもでき、あとは前にもっと上がることだと思うので同大戦では前に上がることにフォーカスしていきたいです。

――ご自身のプレーを振り返っていかがでしょうか

自分のミスからトライを奪われた部分があったので、その件に関しては次の試合までに必ず修正して自分がスムーズに試合を進められるようにしたいです。

――ゴールまで迫りながら攻めあぐねる場面もありましたが振り返っていかがでしたか

抜け出してしまうと球出しという部分がきょうの試合ではできていなかったと思うので追い上げの部分でもっとできなければならないなと思いました。

――密集サイドのディフェンスについてはいかがでしょうか

相手が大きくて強かったので1人に対して2人でタックルに入るということに関してはもう一回見直さなければいけないなと思います。

――今後の意気込みをお願いします

ラスト1年なので、仕切るというイメージできょうの試合はよくできました。また次の試合からは自分のやるべきことをやっていきたいと思います。

SO浅見晋吾(スポ3=神奈川・桐蔭学園)

――どのようなゲームメイクをしようと思いましたか

風もあって雨も降っていたので、キックでいこうということで、エリアを取る意識はしていました。

――攻めていて取りきれなかった部分はなぜだったのでしょうか

ボールを片手で持ってしまったり、相手を抜いた後に雑なプレーになってしまったためだと思います。

――チーム全体のディフェンス面はいかがでしたか

セットディフェンスはできたのですが、飛び込むなどの技術的な部分が足りなかったです。

――ご自身のプレーの評価をお願いいたします

エリアは取れたと思いますが、まだまだ課題が残りました。

――その課題とはどこでしょうか

僕自身はディフェンス面で、大きい選手に対して低くタックルしてはいたのですが足が止まってしまったので、もっと踏み込んでタックルしたいと思います。

――春シーズンの目標をお願いいたします

僕の目標は小倉順平なので、ちょっとでも近づけるように頑張ります。

CTB勝浦秋(スポ2=愛知・千種)

――今シーズン初の15人制の試合となりましたが、振り返ってみていかがですか

初めてのAチームで緊張していた部分もあるのですが、この日の課題が思いっきりプレーすることで、ミスを恐れずに自分らしくできたかなと思います。

――初めての赤黒ジャージーは緊張と楽しみではどちらの方が大きかったでしょうか

緊張も多少あったのですが、課題が思いっきりやるということで、チーム全体でも楽しんでやっていこうと話していたので、楽しみの方が大きかったです。

――個人のアタックについてはどう評価していますか

スピードを出してボールをもらえたシーンが何度かあったのですが、自分が抜けた後に外にボールを放ればもっと簡単にトライが取れたところもありました。抜けたところまではよかったのですが、その後が悪かったなと思います。

――自身のトライシーンについてはいかがですか

とにかくトライを取ろうと思っていたので、本当にうれしかったです。

――ディフェンスについてはいかがでしたか

ディフェンスは全然ダメでした。

――赤黒に定着するため、自分のアピールポイントはどこだと思いますか

スピードに乗ってボールをもらえるところだと思っています。

――今シーズンの抱負をお願いします

まずは赤黒の定着、そして帝京大を倒して日本一になりたいです。