格下相手に辛勝

ラグビー男子

 18日の高麗大戦に続き、合宿先である菅平での練習試合2戦目は、関学大と対戦した。テンポのいい攻撃を仕掛け、立ち上がりは上々であったが、終盤は自陣でのプレーが多くなり、チャンスを引き寄せられないままに前半が終了。メンバーを入れ替えBチームで臨んだ後半は4トライを決め、38―12で勝利した。

 早大のキックオフで前半がスタート。3分、ラインアウトから左右にフェーズを重ね、最後はロック大峯功三(スポ3=福岡・東筑)がインゴールへ叩き込み、先制点を奪う。立ち上がりでうまく攻めきれないのがここ何試合かの課題であったが、序盤から早大ペースで試合を進めていくことに成功。13分には、守備の穴を突かれ相手に独走を許すが、CTB坪郷勇輝(商4=東京・早実)がなんとかインゴールで追いつき、グラウンディングを阻止する。フランカー布巻峻介(スポ3=東福岡)のビックタックルで流れを手繰り寄せ、16分にはトライで追加点を重ねる。しかし、22分にラインアウトから攻め込まれトライを許すと、試合の流れは一気に関学大へ。終盤の10分間は、自陣ゴール手前でディフェンス中心の我慢の時間が続き、敵陣まで攻めることすらできない。結局最後まで自分たちのラグビーをさせてもらえず、12-5で前半を終える。

強烈なタックルでチャンスを手繰り寄せた布巻

 両チームともにBチームで臨んだ後半戦。序盤からスクラムで圧倒し、早大が主導権を握る。開始7分、CTB金澤男(社4=千葉・市川)がハンドオフで突破し、パスを受けたWTB土肥将也(人4=東京・三鷹)が左隅にトライ。19分には、空いたスペースにNO・8古賀壮一郎(教4=福岡・筑紫)が走り込み追加点。26分に一瞬の隙をつかれ、トライを許すものの、スクラムトライを含む2トライを奪い引き離しに成功。安定した試合運びを見せ、38―12でノーサイドとなった。先日の高麗大戦に続いて好ゲームのBチームに対して、後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)は「すごく規律を守ってしつこいラグビーをしている」と選手たちを称えた。

力強い走りでディフェンスを突破する土肥

 前半序盤を、後藤監督は、「タテに行くプレーを軸にして崩しにいっていたことがうまくいった」と評価する。しかし、立ち上がりが良かっただけに、前半終盤で相手のリズムを断ちきれなかったところに課題が残る。次戦の相手はターゲットの帝京大である。春につかんだ手応えを夏で発揮できるか。自信につながる勝利をもぎ取り、勢いをつけたい。

(記事 高橋真耶 写真 戸澤美穂)

夏季オープン戦
早大 スコア 関学大
前半 後半 得点 前半 後半
12 26
38 合計 12
【得点】▽トライ 大峯、布巻、古賀、土肥2 ▽ゴール 間島(1G)、浅見(3G)
※得点者は早大のみ記載

  

早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
光川 広之 スポ3 神奈川・公文国際
  後半0分交代→16大瀧    
清水 新也 スポ3 宮城・仙台育英
  後半31分交代→30貝塚    
◎垣永 真之介 スポ4 東福岡
  後半0分交代→17渡瀬    
  後半20分交代→29佐藤勇    
大峯 功三 スポ3 福岡・東筑
  後半0分交代→18近藤    
河野 秀明 創理2 東京・早実
  後半0分交代→19桑野    
金 正奎 教4 大阪・常翔啓光学園
  後半0分交代→20小谷田    
布巻 峻介 スポ3 東福岡
  後半0分交代→21呉    
  後半16分交代→32黒木    
  後半27分交代→31石川    
佐藤 穣司 スポ2 山梨・日川
  後半0分交代→22古賀    
平野 航輝 スポ3 長崎南山
  後半0分交代→23岡田    
10 間島 陸 商4 東京・早大学院
  後半0分交代→24浅見    
11 深津 健吾 スポ3 東京・国学院久我山
  後半0分交代→25土肥    
12 坪郷 勇輝 商4 東京・早実
13 飯野 恭史 商3 東京・早実
  前半23分交代→26金澤    
14 荻野 岳志 先理3 神奈川・柏陽
  後半0分交代→27杉    
15 滝沢 祐樹 基理2 福島
  後半0分交代→28廣野    
リザーブ
16 大瀧 祐司 文4 神奈川・横浜緑ヶ丘
17 渡瀬 完太 商2 東京・早大学院
18 近藤 貴敬 社4 宮城・仙台育英
19 桑野 詠真 スポ1 福岡・筑紫
20 小谷田 祐紀 文構3 東京・早実
21 呉 泰誠 スポ4
22 古賀 壮一郎 教4 福岡・筑紫
23 岡田 一平 スポ2 大阪・常翔学園
24 浅見 晋吾 スポ2 神奈川・桐蔭学園
25 土肥 将也 人4 東京・三鷹
26 金澤 男 社4 千葉・市川
27 杉 聡司 政経4 福岡・西南学院
28 廣野 晃紀 社4 東京・早実
29 佐藤 勇人 スポ3 秋田中央
30 貝塚 隼一郎 政経2 埼玉・早大本庄
31 石川 敬人 スポ2 茨城・茗溪学園
32 黒木 東星 スポ4 東福岡
※◎は主将、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)
コメント

後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)

――高麗大戦で硬さが見えたという試合の入りですが、今回の試合はいかがでしたか

硬さ自体は無かったと思いますし、序盤2本いい形でトライを取れて、そこまでは良かったんです。けれど簡単にトライを取れたことで、その後の時間帯に楽にトライを取ろうとして安易に外に回してミスやターンオーバーが増えてしまうパターンで、最後は自陣にくぎ付けになってしまいました。

――序盤のテンポが良かった要因にあげられることはありますか

ある程度タテに行くプレーを軸にして崩しにいったことがうまくいって、崩し切ってトライに持ち込めたと思います。2本目の布巻(峻介、スポ3=東福岡)のトライもそうでしたが、タテに強いプレーでゲインして、厚くサポートをするというのがこのチームの根幹なんですけれども、そこの部分が2本取った後に希薄になってしまいました。

――春からペナルティーーの多さが目立ちますが、改善策は何か考えていますか

夏合宿の練習でそういう意識付けをしていて、ある種類のペナルティーについてはうまくいっているんですけれども、あと2つの種類がまだまだ改善しきれていないので、引き続きやっていきたいと思います。

――後半から出たBチームがいい試合を見せてくれましたね

この合宿でBチームが非常に調子が良くて、日ごろ強いAチームとやっている成果なのかもしれないですけど、すごく規律を守ってしつこいラグビーをしているので、ぜひAチームにも見習って欲しいですね。

――帝京大との試合が控えていますが、それまでどのように過ごしていくのでしょうか

基本的にはこの夏合宿でやってきたことをやります。あとは先程のペナルティーーのことも含めて、この日の試合や高麗大戦で出た課題に取り組んで、ある程度はコンディションを整えて臨みたいと思います。

――帝京大との試合に向けて一言お願いします

僕が監督になってからずっと目標は帝京大なので、Aチームだけじゃなくてどのチームも全力を尽くして、悔いのない試合をしてもらいたいです。

プロップ垣永真之介主将(スポ4=東福岡)

――試合の中盤から終盤にかけては、自陣にくぎ付けになってしまいました。何が原因だと思いますか

練習でやってきたことをひとつも出すことができなかったですし、自分たちの形を徹底しきれなかったのが原因だと思います。

――具体的にどのような練習をされていますか

ブレイクダウンで取り返して、そこから攻めるかたちのイメージで練習していたんですけど、そこが全く出なかったです。夏合宿を通して出せていないですね。

――FW全体の動きはいかがですか

動き自体は悪くないんですけど、テンションとかを含めるとあまり良くないと思います。

――キャプテンの目から見て、夏合宿に入って選手たちに変化はありましたか

ちょっとふわふわしているかなと。雰囲気など緩いと感じています。

――帝京戦まで残り時間は少ないですが

帝京戦までにしっかりと引き締めて、いい形で臨めたらと思います。

――SO小倉選手(順平、スポ3=神奈川・桐蔭学園)やフッカー須藤選手(拓輝、スポ4=東京・国学院久我山)などキープレーヤーが抜けているの影響は大きいですか

二人の存在は大きいですけど、このような状況はシーズン中にも起こらないとは限らないので、そこも考慮してやっていきたいと思います。

――最後に帝京大戦に向けて抱負をお願いします

春は負けているので、少しでも追いつけるように頑張ります。

フランカー布巻峻介(スポ3=東福岡)

――試合を振り返って感想をお願いします

もう少しタテに強く行きたかったなと思います。

――前半の途中からは自陣深くまで攻め込まれる時間帯が多かったですが、ディフェンスに関してはいかがですか

(トライを)取られる気はしなかったですし、1本取られたところはもったいなかったですけど、うまく集中してディフェンスできていたと思います。

――前半で思ったよりトライを取れなかったという印象はありますか

前半はどちらのチームもスタミナがあるし、力の差があったとしても点差というのは開かないものなので、そこは我慢だと思います。

――タックルの手応えはいかがでしたか

それが基本的な仕事なので、レベルをもっと上げていきたいと思います。

――夏は残り2試合ですが、そこで意識すべきことは何ですか

もう少し精度を上げることと、もっと強気にボールを前に運ぶこと。その中でいろんな動きが求められると思うので、まず前に出るという基本的なことから逃げずにやっていきたいと思います。

SH岡田一平(スポ2=大阪・常翔学園)

――後半を振り返っていかがですか

(相手も)チームが変わったんですけど、ショートサイドを攻めてくるのはしっかり止めようということで入りました。でもちょくちょくショートサイドに切り込まれるところがあったので、そこは修正したいなと思います。

――相手のミスに救われた場面もありましたね

相手がつないでこようとしたところをこっちがしっかりタックルしてミスを誘ったというのもあります。ミスをチャンスボールにしてトライにつなげたというのは、チームとしてはいいことだなと思います。

――BKでパスをつないだことがトライを導いたと感じられたのですが

後半の後藤監督(禎和、平2社卒=東京・日比谷)の指示は、まずはタテで強いプレー、外に逃げないということです。大きくパスを回して振るのがワセダのラグビーなんですけど、やっぱりラグビーはブレイクダウンが中心なので、そのタテの強いプレー、ブレイクダウンを作って、余ったときに外に大きく振るというのが根本的な攻め方かなと思っています。

――相手にトライを許した場面についてはいかがですか

僕のミスからですね。あれは油断したといえば油断しました。僕がミスしてトライまで持っていかれたというのが問題だと思います。ああいうミスが起きても、みんなでカバーして止められたらと思います。

――夏はあと2試合となりました

自分はやるだけやったので、次はどのチームにいるかわからないですが、帝京大相手となれば勝つしかないです。ずっと負けていて、負けるのが当たり前になってしまっているので、ここで一発逆転して秋につなげたいと思います。

SO間島陸(商4=東京・早大学院)

――ゲームを総括して一言お願いします

最初の10分は攻める時間も長かったのですが、無駄にフェーズを重ねすぎてしまったというか、メリハリのないアタックになってしまいました。横に振ってはいたのですがゲインする場面はあまりなくて、もっとタテにタテに強いプレーをやっていけば良かったなと思います。ディフェンスメインになった時間帯もあったのですが、そこは粘り強く守れたので収穫かなと思います。

――12―5というスコアをどう捉えていますか

もっと前半勢いに乗ったところで流れをつくらなければいけなかったのですが、ペナルティーでその流れを失ってしまって、相手にペースを握られてしまったのが残念です。

――SOから見てBKの出来はいかがでしたか

BKがタテに攻めるところで外に流れたままパスしていて、これは後藤監督(禎和、平2社卒=東京・日比谷)にも言われたのですが、もっとメリハリのあるアタックをしないとFWが疲れてしまうのでここは修正しなくてはならないと思います。

――前戦の高麗大戦に比べキックが少なかったですが、意図を教えてください

菅平はキックの飛距離が出るというのもあって、相手のキックの蹴り返しも飛ぶので、極力キックを減らしました。蹴るとしてもハイパント中心ということでやるようにしていました。ハイパント自体はうまくいったのかなと思います。

――次戦に帝京大戦を控えています。目標や意気込みを教えてください

帝京大にはずっと勝てていなくて、夏に勝てないと秋まで引きずってしまうのでここでしっかり勝ってチームに勢いをつけたいなと思いますし、全てをぶつける気持ちで望みたいと思います。