ことしのワセダは、FWが強い。関東大学対抗戦において、スクラムの強さが際立っているように見える今季の早大。その強さの源となっているのが大瀧祐司(文4・神奈川=横浜緑ヶ丘)と須藤拓輝(スポ4=東京・国学院久我山)、主将の垣永真之介(スポ4=東福岡)からなるフロントローの3人だ。そのスクラムの強さの秘密から最後のシーズンに臨む4年生としての気持ちまでお話をうかがった。
※この取材は11月6日に行ったものです。
ピッチ外での3人
学校生活について語る須藤
――学校生活は楽しいですか
垣永 楽しくないです。
一同 (笑)。
――お二人は学校生活に関してはどうですか
須藤 楽しくないです。
一同 (笑)。
大瀧 まあ……、楽しくないです(笑)。
――勉強との両立が難しいからですか
垣永 いや、楽しくないから楽しくないですね(笑)。友達が少ないですし。
須藤 それはあるね。みんな友達は少ないです。
――同じ学部の人で一緒に授業を受けることはありますか
垣永 一緒に受けてますね。
大瀧 僕だけ学部が違うので。
――大瀧選手は考古学学科ということですが、何を学んでいるのですか
大瀧 遺跡の発掘に行ったりしてます。僕は一度しかないですが(笑)。
――何を発掘されるのですか
大瀧 考古学なので、土器など人の作ったものを発掘します。化石とかではないですよ(笑)。
――スポーツ科学部のお二人は他の競技を見に行くことはありますか
垣永 野球の早慶戦に行きました。
須藤 僕は陸上の国体(国民体育大会)を見に行きました。
――どなたかを応援しに行ったのですか
須藤 いや、高校生の桐生君を見に行きました(笑)。
――ラグビー以外にやりたい競技などはありますか
垣永 野球ですね。
須藤 僕は無いです。
大瀧 んー……。
須藤 サッカーじゃないの?
大瀧 いや、サッカーはあんまり好きじゃない。柔道とかですかね。
――垣永選手は野球が好きなんですか
垣永 野球は小学生のころにやっていたので。本当は野球がしたかったのですが、世界のカベが高かったので(笑)。
――4年生全体の仲は良いですか
須藤 そうですね。仲はいいですね。
――何か流行っていることはありますか
垣永 ……卒論じゃないですかね。
一同 (笑)。
――どんな研究をされているのですか
垣永 それはちょっとNGで(笑)。
須藤 僕は日本ラグビーの今後についてです。
――下級生の印象はいかがですか
大瀧 3年生は全体で仲がいいっていうよりかは仲がいい奴らでグループを作ってる、って感じです。
――寮の部屋は誰と一緒ですか
大瀧 僕は清水(新也、スポ3=宮城・仙台育英)と2人部屋です。
須藤 僕は黒木(東星、スポ4=東福岡)と石倉(庸平、人2=山梨・日川)の3人です。
――部屋の雰囲気はいかがですか
大瀧 まあ、普通です。あんまり喋らないですけど(笑)。気まずくはないので、居心地は悪くないです。
須藤 3人で楽しくやっていますね。
――部屋で過ごすことが多いのですか
大瀧 そうですね。あまり他の部屋に行くことはないです。
須藤 僕もそうです。いつもゲームをやってます。
――垣永選手は主将部屋ということで、寂しくはないですか
垣永 全然大丈夫です。
――ラグビー以外に趣味などありますか
垣永 趣味ではないですけど、人を驚かせるのが好きですね。
――どんなことをされるのですか
垣永 物陰に隠れて脅かします(笑)。
一同 (笑)。
――大瀧選手は何かありますか
大瀧 最近はゲームをやっています。
須藤 いつもやってるじゃん(笑)。
――須藤選手もゲームをされるのですか
須藤 はい。ウイイレ(ウイニングイレブン)をよくやっています。
――夏合宿でもゲームをされていたようですが
垣永 それは僕が一番強かったです。
須藤 いや僕の方が。
大瀧 いや僕が。
一同 (笑)。
――休日は何をされているのですか
大瀧 好きなだけ寝ていますね。
垣永 僕は車校(自動車学校)に行って、免許を取っています。
――大瀧選手は夏合宿のネタで優勝したそうですが
大瀧 あれはネタを真似しただけなので。間島(陸、商4=東京・早大学院)と廣野(晃紀、社4=東京・早実)と3人でやりました。
――どんなネタをやられたのですか
大瀧 東京03のネタをお借りして披露しました。
――北風祭ではフロントローの方でライオンキングを披露されていましたが
垣永 5日前ぐらいから練習しましたね。
須藤 1週間くらいじゃない?
――練習はかなりしたのですか
垣永 そうですね。寝ずにやりました。
一同(笑)。
――脚本は誰が書いたのですか
須藤 キャプテンが全部書きました。
垣永 いや、1個上の秋葉さん(祐太朗、平25教卒=東京・早大学院)にも手伝ってもらいました。
――自信はあったのですか
垣永 完璧でしたね(笑)。
――体も張っていましたね
垣永 おもてなしです。
一同 (笑)。
――須藤選手は出られていましたか
須藤 僕は音響です(笑)。
――大瀧選手は
大瀧 僕はシマウマ役でした。
「須藤はかっこいいの一言に尽きる」(垣永)
互いの印象を聞かれ、少し戸惑う場面もあった垣永主将
――話は変わりますが、出会った時のお互いの第一印象を教えてもらえますか。まずは垣永選手の印象をお願いします
大瀧 TVの中の人という印象だったので、「あれが垣永か」という感じですね。新人練習の時が最初に会った時ですね。
――大瀧選手から見て、垣永選手はどんな選手でしたか
大瀧 いや、もうすごい選手でした。自分が評価できるような選手じゃなかったです。
――須藤選手は垣永選手の第一印象ということですがどうでしたか
須藤 かっこいいな、と。
一同 (笑)。
須藤 初めて見たのが中学生の時だったので、こんなにかっこいい人いるんだなって(笑)。五厘刈りだったので目立っていました。
――須藤選手と垣永選手が初めて話をしたのはいつごろだったのですか
須藤 高校3年生の時ですね。
――では大学入学の時には親しかったんですね
須藤 いや、代表の時に唯一喋らなかった人でしたね。
――なぜ話をしなかったのですか
垣永 (須藤選手を指して)こいつが悪いんですよ。
一同 (笑)。
須藤 あまりにも(垣永選手が)かっこいいんで、話すとダメかなと。
一同 (笑)。
――では次に須藤選手の印象をお願いします
大瀧 顔が怖かったです。
――実際に話をしてみてどうでしたか
大瀧 最初に話をしたのがいつかも覚えてないです。
須藤 顔怖いですかね?
――垣永選手はどう思われますか
垣永 いや、かっこいいなと。
一同 (笑)。
――代表で一緒の時もあったと思いますが、垣永選手はどうして須藤選手に話しかけなかったのですか
垣永 こいつがなんか不愛想に対応してくるので、「もういいかな」って。
一同 (笑)。
須藤 いや、逆ですよ(笑)。
垣永 お前ふざけんなよ(笑)。
――仲良くなりたいとは思っていたんですか
垣永 そう思っていたんですけど、態度悪いし「こいつはちょっといいかな」って(笑)。
――同じ大学だと知ったときはいかがでしたか
垣永 知ったときはあれでしたけど、今ではもうマブダチなので。
――どうやって打ち解けたのですか
垣永 僕が社交的に、こう。
須藤 僕は人見知りなんで、あんまり喋らないんですよね。
――それでは最後に大瀧選手の印象をお願いします
須藤 無口ですね。あと、「こいつ本当にプロップか?」って思いました。
――それはどういう意味ですか
須藤 (大瀧選手が)78キロしかなかったので。
大瀧 いや。80(キロ)はありました(笑)。
須藤 78キロですよ(笑)。それくらいしかなかったので、「おい」って思いました。
大瀧 勉強していたので、そりゃあ痩せますよ。
須藤 俺らが(勉強)してないみたいに言うなよ(笑)。
一同 (笑)。
――では4年間一緒に過ごしてきて、今の印象という部分ではどうですか。まずは大瀧選手の印象からお願いします
垣永 実はめっちゃ頑張ってるみたいな。オフの日に筋トレしていたりして。言ったら悪いですけど(高校は)弱小校から来て、その差を埋めるべくあまり人に見られないところでこそ、すごい頑張っているというか…。だからこそ信頼できるという感じです。
須藤 スクラムが強いな、って感じです。
一同 (笑)。
――須藤選手は大滝選手の印象としてはそれだけですか
須藤 スクラムが強いと……。なんだろうな。本当にずっとゲームしているんですよ、こいつ。パソコンをこうずっと目の前でやっていて。
一同 (笑)。
須藤 イヤホンもつけて…。引きこもりだと思います(笑)。
一同 (笑)。
――それでは次に須藤選手の印象をお願いします。垣永選手は仲が良いとのことですが
垣永 マブダチですね。
――須藤選手はどんな人ですか
垣永 かっこいい奴です。
一同 (笑)。
――どういうところがかっこいいと思いますか
垣永 もう人間として全てです。かっこいいの一言に尽きます。
一同 (笑)。
――何か須藤選手のかっこよさを表すエピソードとかはありますか
垣永 いや、もう生き方ですね。生き方と振る舞いと顔と。それはもう表せないです。
――大瀧選手の須藤選手に対する印象はどうですか
大瀧 かっこいいと思います。人間として尊敬しますね。
須藤 ……次、行きます?
一同(笑)。
――では、最後にキャプテンの垣永選手の印象をお願いします
須藤 今の印象ですか?そうですね……。
大瀧 (垣永選手は)西野カナが好きなんですよね。
一同 (笑)。
大瀧 夏合宿で同じ部屋だったんですけど、毎朝流すんですよ(笑)。
――西野カナの曲は失恋ソングが多い気がします
大瀧 何だっけ、いつも流していた曲。
垣永 「私たち」ね。あれは失恋ソングじゃないので。
――話はそれましたが、須藤選手から見て垣永選手の印象はどうですか
須藤 失望しましたね。
一同 (笑)。
須藤 冗談冗談。輝きを増しているというか…。日に日にかっこよくなっていくなって(笑)。
一同 (笑)。
フロントローあるある
記者の質問に対し、丁寧に答える大瀧
――フロントローになったのはいつからですか
垣永 高校からです。
須藤 僕も高校からです。
大瀧 僕も高校から始めたので
。
――フロントローとなったきっかけは何かあったんですか
垣永 監督が…。自分の意思は全くないです。
須藤 僕はスローアーがしたかったので。小さかったですし仕方なかったです。
大瀧 僕は弱小校だったので、能力のない人がプロップに回されるんですよ。パスも全然投げられなかったし、走るのも遅かったので必然的にプロップになりました。
――やりたいポジションはありましたか
垣永 NO・8ですね。
須藤 僕もNO・8です。
大瀧 僕もですね。
――フロントローの魅力は何ですか
垣永 ないんじゃないですかね(笑)。
須藤 魅力……。ある?
垣永 ない。ないでしょ?
大瀧 うん(笑)。
――子どもたちにフロントローを勧めますか
垣永 いや、勧めないですね(笑)。
一同 (笑)。
――体が大きくて困ることはありますか
須藤 服がとにかく入らないです。
――買い物はどうされているのですか
須藤 一緒に行く人を選びますね。BKと一緒に行っても何も買えないです。サイズが大きいものも置いているお店しか行かないので。
――大瀧選手は何かありますか
大瀧 3年生まで実家から通っていて、電車で席に座るときにふつうに座ると横の人に絶対ぶつかるので、できるだけ小さくなって毎日座っていました(笑)。
――垣永選手はどうですか
垣永 やっぱり服ですかね。
――サイズはいくつなのですか
垣永 XXLですね。マイブランドで提供しているので。
一同 (笑)。
――『フロントローあるある』などありますか
垣永 スクラムを組むときに首がすごく擦れるんですけど、その痛みはたぶんフロントローにしかわからないです。
須藤 あと、そんなにご飯食べないです(笑)。牛丼並盛でも大丈夫です。
垣永 それは無理かな。
一同(笑)。
垣永 でも人の家に招待されたときに、やたら料理を作ってもらえるのですが、そんなに食べられないと思いますね。
――大瀧選手もそうですか
大瀧 僕は結構無理して食べています。もともとは痩せていたので、食べないとすぐ痩せてしまいます。
――体重管理は大変ですか
大瀧 そうですね。
垣永 もともと太ってるやつも大変なんだよ(笑)。
――3選手のスクラムの相性はいかがですか
垣永 すごくいいと思います。一人違うだけで結構変わると思います。特にフッカーが。須藤は本当に強いので。
須藤 一人違うと組み方も変えなければいけないので、結構面倒くさいです。ちょっと気を使わなければいけないですし。慣れている人と組むのが1番やりやすいですね。
ワセダのフロントロー、「みんな違って、みんないい」(垣永)
須藤はセットプレーのキーマン
――今季は途中からスクラムのルール変更がありました
垣永 新しい方が相性いいと思ったので、ラッキーでしたね。
須藤 僕は合っていないと思ったので苦戦すると思ったのですが、意外とこっちの方が合っていました。
大瀧 やってみたら意外とやりやすかったですね。最初に聞いたときはちょっとびっくりしましたけど、やってみたらそんなに問題はなかったです。
――ワセダはルール変更への対応力がある、という印象でしたが
須藤 対応したというよりは、もともとこのルールに合っていたのがワセダだったというだけで、他校と違うことをやっているか、と言ったらそんなことはないと思いますね。
垣永 きょねんとやっていることはあまり変わらないですね。
――練習ではどのくらいスクラムを組まれるのですか
垣永 週に1、2回ですね。1回で平均10本ぐらいやっています。そんなにたくさんは組まないです。
――夏合宿ではどうでしたか
垣永 相当組みましたね。
――プレーの中でスクラムにはどのくらい比重を置いていますか
大瀧 1番優先するのがスクラムですね。スクラムができてこそ、フィールドがあると思うので。
須藤 まず仕事がスクラムとラインアウトなので、(フィールドプレーとセットプレーで)50:50ぐらいですかね。
垣永 とりあえず仕事がスクラムなので。比重は結構置いています。
――スクラムの調子はフィールドプレーにも左右しますか
須藤 気持ち的には楽ですね。
垣永 押し勝った方が力を使うのできついです。拮抗している方が楽なので、逆に結構きついと思います。
須藤 それは人によりますね(笑)。
――試合中のBKのミスはどう受け止めていますか
垣永 僕は寛大な心の持ち主なので。
一同 (笑)。
須藤 僕もですね。
大瀧 僕も気にしないです。
――筑波大戦ではスクラムで圧倒していました
垣永 やってきたことがやっと実になった、って感じですね。やっていることは今までと変わらないので、1年半かけてようやくここまで来たのかな、と思います。
須藤 1番影響が出るところに力の差があっただけ、と思いますね。うちの3番と向こうの1番に力の差があったので、それが大きかったかなと。
大瀧 やっぱり須藤がいたので。僕はすごく楽でした。
垣永 確かに後半から押したもんね。
須藤 ん?
垣永 ターンオーバーしてたのって後半からじゃなかった?
須藤 前半から俺はいたし、ターンオーバーも前半の方が多かったし(笑)。
垣永 あ、そうだ(笑)。
――試合前に自信はありましたか
垣永 なかったですね。自信がある試合はあまりないです。
須藤 (スクラムを)組んでみないとわからないですね。
大瀧 押されない自信はあったのですが、あんなに押せるとは思っていなかったので、まあよかったですね。
――帝京大戦でスクラムを組んでみていかがでしたか
須藤 あまり上手くいかなかったなと思いましたね。レフリーとの兼ね合いも含めたマネジメントができなかったかな、と。
垣永 ある程度はいける、と思っていたので、もっとプレッシャーをかけるべきでしたね。
須藤 確かにもうちょっと上手く押せたな、っていうのはありますね。でも、あれしかできなかったということはあれくらいが実力だということなので、もっと良い結果がでるように頑張ります。
大瀧 僕が相手の3番の組み方に上手く対応できなかったので、あまりプレッシャーがかけられなかったです。
――相手の組み方は分析しているのですか
須藤 ある程度ですね。実際に組んでみないとわからないので。(帝京大の)3番が春、夏と変わっていたのでまったくわからなかったです。
――ラインアウトはいかがでしたか
須藤 いつもは自信を持って取れていたところで少しミスが多かったので、そこを修正しよう、というのはきょうの練習で挙がりましたね。プレッシャーはあまりなかったです。
――ゴール前でいつもとは異なるサインがありましたが、準備はされていたのですか
須藤 そうですね。出すところはちょっとミスしてしまったのですが。
――NO・8佐藤穣司(スポ2=山梨・日川)選手のサイン出しはいかがですか
垣永 上手くやってくれていると思います。
――須藤選手にとってラインアウトは大切なものですか
須藤 そうですね。それを含めてフッカーだと思っているので、責任だと思っています。
――お二人は須藤選手のラインアウトはどう思いますか
垣永 ワセダは須藤が守っているようなものなので(笑)。
大瀧 安心して見ていますね。
垣永 見ています、っておかしいだろ(笑)。
大瀧 いや、ラインアウトではあまり役割がないので…(笑)。
――ワセダのフロントローはずばり何だと思いますか
垣永 みんな違ってみんないい、ですかね。みんなタイプが違うので。三位一体ですね。
須藤 え?
垣永 違うか(笑)。
須藤 三位一体は違うね(笑)。
――目標とするフロントロー像とはなんですか
垣永 スクラムがしっかり組めて、動きがしっかりできるフロントローが、やっぱり素晴らしいと思うので、そういうフロントローを目指しています。
須藤 セットプレーで100パーセントいいボールを供給できて、ディフェンスもフロントローが1番信頼されていると思うので、そこがしっかりできるようになりたいですね。
大瀧 須藤と同じ感じです。
――フロントローとしてゴール前のディフェンスはどう意識していますか
須藤 この前はやられてしまったのですが、もう少しフロントローが頑張るべきです。
最後のシーズンを振り返る
フィールドプレーでも存在感を放つ垣永主将
――改めて、春シーズンを振り返っていかがでしたか
垣永 山あり谷ありでしたね。色々なことがありましたし、その中で色々と成長できたのかなと思います。
須藤 あまり試合に出れていなかったので最後の方の明大戦と帝京大戦くらいしか覚えていないですけど、上手くいかないことも多かったですけどその分秋に良い成長が出来始めているのかなって感じです。
――春は清水選手がフッカーのポジションで出場されていましたが、どのように見ていましたか
須藤 元フランカーの選手なのでフィールドプレーは見習うべきところがあって、そういうところはケガしている時だったので刺激になりました。
――話を戻しまして、大瀧選手は春シーズンを振り返っていかがでしたか
大瀧 結構自分のことでいっぱいいっぱいだったので、正直チームのことはあんまり考えてはいなかったですね。
――上田竜太郎選手(平25スポ卒=東福岡)という大きな選手の後釜ということで、プレッシャーなどはあったのでしょうか
大瀧 そういうプレッシャーはなかったですけど、それまでそんなにAチームで試合に出たことがなかったので、そういったプレッシャーはありましたね。
――AチームとBチームではやはり全然違うものですか
大瀧 そうですね。責任感が違いますね。
――昨年は後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)になって初めての春シーズンでした。昨年を振り返って、今年はどういったところを意識して臨まれたのでしょうか
垣永 体作りは徹底的にして、サイズ感とかは上手く作れたんじゃないかなと思います。
須藤 体作りですかね。秋のために、明確な目標を持って取り組めたんじゃないかなって思ってます
。
大瀧 同じですね。
一同 (笑)。
――春シーズンの中ではチームとして早慶戦が一つの大きなポイントになったのではと思うのですが、振り返っていかがですか
垣永 いいきっかけになったというか、あれから自分たちを見直せる良い時間になったというか…。良い意味で良い敗戦だったかなと思います
大瀧 自分自身不甲斐ないプレーを結構してしまったので…。思い出したくない試合ですね。チームも大敗してしまったので。
――垣永選手は春、サントリーに帯同していた時期もありました。振り返っていかがでしたか
垣永 日本一になるべくしてなっているなというか、日本一のチームがあれだけのことをして、日本一でないチームがこれしかやっていないというのは差を感じましたし、すごく良い経験になりました。
――そのサントリーで得た経験を早大に帰ってきて、どうチームに還元しようと思いましたか
垣永 全体的にですね。サントリーの人とも色々と話をして、「おまえらのやっていることって口だけだな」って言われて、「あ、確かにそうだな」って感じて。そういうことも全部伝えて、みんなもすごく良い意味で受け取ってくれて、あれからチームがすごく変わったんじゃないかなって思います。
――須藤選手と大瀧選手はその垣永選手の話を聞いて、刺激を受けた部分はあったのでしょうか
須藤 そうですね。帰ってきてミーティングで話をしたんですけど、意識が変わっていったなっていうのは感じています。
大瀧 食事だったりリカバリーだったり、そういったところが変わりましたね。
――食事の話で言いますと、須藤選手は今季コンディショニングの委員をやられていますが実際にやってみてその辺はいかがですか
須藤 コンディショニングというか体重管理が主なんですけど、なかなか思った通りに数字が伸びていかないですし、シーズンに入ると体重が落ちて行く選手が多いので…。そこをどうするかっていうのを考えるのが仕事なんですけど、アイディアが行き詰まったりすることはありますね。
――その中で春シーズンを終えて夏合宿を迎えましたが、最後の夏合宿はいかがでしたか
垣永 キツかったんですけど、楽しかったです。余裕があるというか、心に。
――4年目にもなると気持ちの持ちようがも変わってきますか
垣永 そうですね。すごく楽しくできたな、というのがありますね。
――須藤選手、大瀧選手は夏合宿に関していかがでしたか
須藤 二度ともうここに来たくないなって思います。
一同 (笑)。
須藤 夏合宿もそんなにやっていないのでプレー面に関してはあまりないんですけど、4年間の中でチームが成長していくところが一番見れたのが夏合宿だったんじゃないかなって思います。
大瀧 Bチームに落とされたりしたんですけど、自分の中でスクラムに関して発見があったというか、一皮むけたかなっていうのが夏合宿の中でありますね。
――夏合宿の締めくくりとして帝京大戦がありました。夏合宿の成果という部分で振り返るといかがでしたか
垣永 昨年の全国大学選手権(大学選手権)準決勝で大敗して、それで春もやってみてなんとなく上手く行って。それが夏になって明確になったというか、やってきたことが間違っていなかったっていうのと、まだ足りなかったということがあって。夏合宿で足りないことが大きく分かったというか…。負けましたけど、良い結果を残したのかなって感じです。
大瀧 あまり覚えていないんですけどスクラムでプレッシャーがかけれたので、成果というものは感じました。
――そうした中で夏合宿を終えて関東大学対抗戦(対抗戦)が開幕しました。まずは序盤の山場となった筑波大戦を振り返ってみてどうでしたか
垣永 最初に迎えた一つの山場というか、筑波大とやるって言ったら最近は負けているイメージしかなかったんですけど…点数的には拮抗してましたけど、僕らにとっては自信になったのかなって思います。
須藤 久しぶりのタイトな試合だったので正直自分の仕事を全うすることしか考えてなくて、あんまりチームのことは考えていなかったんですけど、今思えばいいきっかけになった試合だったんじゃないかなって思います。
大瀧 2年間勝てていなかった相手に勝てたのは良かったと思います。
――20-17というスコア以上に上手くやれているのかな、と見ていて感じたのですがその辺はどうでしたか
垣永 さっきも言ったんですけど、点数は拮抗してましたけど僕らの感触的にはやってきたことをしっかり出来たというか、点数よりかは余裕を持って試合を進められたんじゃないかなという実感はあります。
須藤 きょねんの負けた試合の時より余裕を持って、じゃないですけど、自分たちのラグビーが出来たかなって思います。
大瀧 どうなんですかね…。スクラムの調子は良かったんですけど…あんまり分からないです。
――対抗戦の最中でしたが先日、サントリーとの合同練習がありました。練習をやってみてどうでしたか
垣永 改めてトップレベルのコンタクトを体感できたというのと、それまでの一か月間で取り組んできたことが要所要所で出ていたので、ある程度は自信につながったんじゃないかなと思います。
須藤 個人的には思った以上にスクラムが上手くいったので、それは自信になりました。
大瀧 スクラムが上手く行く場面もありましたし、チームとしてもやってきたことが間違いじゃなかったということで自信につながったと思います。
――そんなサントリーとの合同練習を終えて迎えました帝京大戦、数日経って振り返ってみていかがですか
垣永 被るんですけど、良いところもあり悪いところもありという感じですね。まだ終わりではなくてチャンスはあるので悲観的に考えないことと、まずは良い意味で受け止めています。これから何をしていくのかということも明確になりましたし、ある程度の感触も得ています。負けはしましたけど、先につながるいい試合だったんじゃないかなと思います。
須藤 足りないことが分かったので、それだけが収穫ですかね。
――具体的にどういった部分が足りないと感じましたか
須藤 全体的に言ったら、落ちた分のサイズを取り戻すことが必要かなと感じました。それだともう少しコンタクトの部分で楽に戦えるんじゃないかと思いますね。
――大瀧選手は帝京大戦を振り返ってみてどうですか
大瀧 まだまだコンタクトの部分で差があるなという風に感じました。
――常に先手を取っていた中で前半のうちに逆転を許してしまいました。プレーしていてどのように感じていましたか
垣永 最高の入りをしてうまくいっていたのを最後の15分で3トライ奪われて、前半だったのでもっとタイトにやれたと思いますし、ツメの甘さが出たなという感じです。
須藤 正直、感覚としてはきょねんの対抗戦の試合と似ていたので…。きょねんはずっと危ないと思って試合をやっていたんですけど、ことしはまだいけると思えたは思えたんですけど…。同じような負け方をしたので、ここから何をするかで大学選手権の結果が変わってくると思うので、これからどうするかを考えたいと思います。
大瀧 それが今の実力なのかな、と思います。
「やられている分、やり返したい」(大瀧)
大瀧はひたむきなプレーでチームを支える
――対抗戦も残すところ、早慶戦と早明戦だけになりました。大瀧選手は昨年の早慶戦を振り返っていかがでしたか
大瀧 楽しかったですね。あんなに観客が多い中で試合をしたのが初めてだったので、純粋に楽しかったです。
――今季、慶大は筑波大と明大に勝利するなど好調のように見えますが、その辺は気にしたりはしますか
垣永 あんまり他のチームのことは気にはしなくて、その都度その都度という感じなので。春は慶大にやられましたしこのままでは終われないので、しっかり次の試合に向けて準備していきたいと思っています。
須藤 高校時代の同期が多く居るので、その同期とやれる最後の試合だと思うので楽しみにしています。
大瀧 例年以上に良いチームだと思うんですけど、春にやられている分、やり返したいというのはあります。
――ことしは国立でやる最後の早明戦ということになります。ラグビー部としてはもちろんですが、個人単位で何かプロモーションをやっていたりしますか
垣永 僕らにできることは最高のプレーとパフォーマンスを見せることなので、それに向けた準備くらいですかね。あとはプロジェクトに関して、出来ることがあればやらしてもらうという感じで色々なことをしていますね。
――ノルマがある、という風にお聞きしたのですがその辺はどうなっているのですか
須藤 1人10枚売りさばくというノルマがあります。家族は数に入らないです。
――それでは最後にファンの方に向けてメッセージを一言お願いします
垣永 いつもたくさんの声援をいただいているのでそれを返せるように、あと2か月頑張っていきたいと思います。
須藤 もうここからは試合を落とせないので…。一戦一戦大事に戦っていくので、応援よろしくお願いします。
大瀧 応援よろしくお願いします。
垣永 もっとなんか言っとけよ(笑)。
――ありがとうございました!
(取材・編集 坂田謙一、八木和基、山口智子)
最後はかわいくポーズを決めてくれました
◆垣永真之介(かきなが・しんのすけ)
1991年(平3)12月19日生まれ。180センチ、115キロ。東福岡高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはプロップ。部内一のいかつい体格ながらも心優しい垣永選手。同期の誕生日には率先してサプライズ計画を練り、絆を深めているとのこと。チームの和を誰よりも大切にするキャプテン、素敵です!
◆須藤拓輝(すとう・たくる)
1991年(平3)11月15日生まれのA型。174センチ、96キロ。東京・国学院久我山高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはフッカー。部内では委員として、選手の体重管理をしているという須藤選手。牛丼は並盛でも大丈夫、と意外な一面も。試合中の力強いプレーの源はどこにあるのでしょうか。
◆大瀧祐司(おおたき・ゆうじ)
1991年(平3)9月28日生まれのA型。177センチ、104キロ。神奈川・横浜緑ヶ丘高出身。文学部4年。ポジションはプロップ。ラグビー部内でも珍しい文学部に在籍されている大瀧選手。遺跡の発掘には「一度しか行ったことがない」とのことでしたが、遺跡の現場でフィールドワークをする大瀧選手の姿をぜひ見てみたいです。