関東大学ジュニア選手権準決勝での敗退から1週間が経ったこの日、早大Bはトップイースト所属の横河武蔵野と対戦した。試合は前半の開始直後、いきなり社会人の体の強さを見せつけられて失点する。しかし、終盤の連続トライで逆転に成功。後半は両チームともにターンオーバーの応酬となったが、早大Bは最後までリードを守り続け26―20で白星を飾った。
横河武蔵野のキックオフで試合は幕を開ける。そのボールを早大Bは確保したものの、激しい圧力をかけられて相手ボールに。そこから自陣でのディフェンスが続き、5分にラインアウトモールから失トライ。この後はBKを中心とした外に展開していくラグビーを披露した早大B。しかし、23分にターンオーバーを起点とされて0-10と点差を広げられる。なんとか反撃したい早大Bは直後、敵陣での相手ボールスクラムをFWが意地を見せて奪い取る。フェーズを重ねていき最後はSH中尾康太郎(スポ3=福岡)がラック横をすり抜けてトライ。終了間際にはキックカウンターからWTB近田望(法2=東京・早大学院)が右サイドを駆け抜け逆転。14―10で前半を終える。
ゲームキャプテンを務めた宮島
「後半から切り替えて近場をタテで攻めるプランに変えた」(ロック宮島大地、商4=茨城・茗溪学園)と言うように、オフェンス面で早大Bはスピードを生かして切れ込む作戦に変更。これが功を奏し敵陣でのプレーが増えていく。すると8分には相手ボールラインアウトをスチールし、プロップ千葉太一(教1=東京・早実)がインゴールに押し込んだ。16分にもCTB水野健人(人4=大阪・東海大仰星)が中央にトライ。攻撃が機能する一方、守備ではタックルなどで受けに回り、相手に2つのトライを謙譲してしまう。終盤は目まぐるしく攻守が入れ替わる展開だったが、6点差を守った早大Bが26-20で勝利した。
水野のトライで相手を突き放した
今季も残り試合は少なくなり、Bチームの選手にとって以前のように試合でアピールする機会が減ってきた。「Aチームに上がるために試合をやりたかった」というSO間島陸(商4=東京・早大学院)の言葉に今回の試合の貴重さが伺える。どの選手も最後に上で活躍するために――。赤黒奪取への猛アピールが繰り広げられている。
(記事 御船祥平、写真 栗田麻里奈)
練習試合 | ||||
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早大B | スコア | 横河武蔵野 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
2 | 2 | T | 2 | 2 |
2 | 1 | G | 0 | 0 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
14 | 12 | 計 | 10 | 10 |
26 | 合計 | 20 | ||
【得点】▽トライ 千葉、中尾、水野、近田 ▽ゴール 間島(3G) | ||||
※得点者は早大Bのみ記載 |
早大Bメンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 千葉 太一 | 教1 | 東京・早実 |
2 | 菅野 卓磨 | 教3 | 東京・早実 |
後半0分交代→16石川 | |||
3 | 高橋 俊太郎 | 社3 | 東京・早実 |
4 | ◎宮島 大地 | 商4 | 茨城・茗溪学園 |
後半0分交代→17住友 | |||
5 | 仲元寺 宏行 | 社3 | 広島・尾道 |
6 | 中庭 悠 | 人2 | 茨城・水戸一 |
後半0分交代→19呉 | |||
7 | 池本 翔一 | スポ2 | 愛知・千種 |
後半0分交代→18小谷田 | |||
8 | 山口 和慶 | スポ1 | 福岡 |
9 | 中尾 康太郎 | スポ3 | 福岡 |
後半0分交代→20平野 | |||
10 | 間島 陸 | 商4 | 東京・早実 |
11 | 近田 望 | 法2 | 東京・早大学院 |
12 | 丹野 怜央 | 商3 | 北海道・札幌山の手 |
後半0分交代→21金澤 | |||
13 | 水野 健人 | 人4 | 大阪・東海大仰星 |
14 | 山本 龍平 | 商3 | 東京・都武蔵 |
後半0分交代→22杉 | |||
15 | 滝沢 祐樹 | 基理2 | 福島 |
後半0分交代→23三村 | |||
リザーブ | |||
16 | 石川 敬人 | スポ2 | 茨城・茗溪学園 |
17 | 住友 裕哉 | 政経4 | 徳島文理 |
18 | 小谷田 祐紀 | 文構3 | 東京・早実 |
19 | 呉 泰誠 | スポ4 | 大阪朝鮮 |
20 | 平野 航輝 | スポ3 | 長崎南山 |
21 | 金澤 男 | 社4 | 千葉・市川 |
22 | 杉 聡司 | 政経4 | 福岡・西南学院 |
23 | 三村 将広 | 人3 | 神奈川・桐蔭学園 |
※◎はゲームキャプテン、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷) |
コメント
ロック宮島大地ゲームキャプテン(商4=茨城・茗溪学園)
――試合の振り返りをお願いします
各人いいプレーはあったと思うのですが、こんなにも点を取られてしまってはやっぱりだめだと思います。チャンスがあるか分かりませんが、帝京大と試合するときにあのように点を取られていたら前と一緒だという話を最後にチームで話しました。相手が外に行ったときに味方が内側を埋めるディフェンスや、タックルを高くいって受けてしまっています。そういうところにこだわりきれないことが失点の大きな原因だと思うので引き締めていきたいと思います。この試合の相手は帝京大と同じような攻め方をしていて、対帝京大のイメージがつかめたと思うので、反省を生かして残り少ないチャンスですが、Aチームに負けないようにやっていきたいと思います。
――急きょ決まった試合でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
基本的にはチームの勝利を第一目標としていますが、それ以上に自分たちでビックタックルやゲイン、キックカウンターができるように、目立っていいプレーをしようということも目標にしていました
――ゲームについては具体的にどのようなプランを持っていましたか
全く未知の相手だったので、しっかり陣地を取ってやっていこうという気持ちでした。最初BKが外に振って攻めていたのですが、相手が流してくるディフェンスをしてきて、きれいにとめられてプレッシャーを受けて、いい流れにできていませんでした。後半から切り替えて近場をタテで攻めるプランに変えたのが成功したと思っています。
――ご自身のプレーについてはどう評価していますか
ディフェンスはそれほど受けてしまう場面はなかったと思います。低くタックルできていたと思いますが、まだ敵の動き出しについての反応やターンオーバーできると思った瞬間に判断を迷ってしまったということがありました。オフェンスに関してはあまり良くボールを運べなくて、回数も少なかったので、ボールを上手に運べるように動いていけたらなと思います。
――後半の終盤はターンオーバーが頻繁に起こっていましたが、あの場面では何があったのでしょうか
この試合のレフェリーはブレイクダウンで手を使うことに寛容でしたので、両チーム共に相手を倒しながらボールに絡んで、その絡む過程でボールを落としたのを確保したりしなかったりでした。相手に倒されるのではなくて、自分たちで相手を切ってボールをしっかり置いてコントロールするということを意識したいと思います。
SO間島陸(商4=東京・早大学院)
――試合を振り返っていかがでしたか
まずは勝ててよかったというところと、個人的にはゲームメイクのところでもっといい組み立てができたのではないのかなと思うので、しっかり調整していきたいと思います。
――キックの調子はいかがでしたか
ノータッチキックも1本蹴ってしまったし、蹴るべきところで蹴れなかったので、全体としては悪くはなかったのですが、大事な部分での精度が悪かったので、そこはだめだったと思います。
――チームの雰囲気はどうでしたか
相手が社会人ということで、自分たちも数で勝つラグビーをやろうとしていて、FWもしっかり走ることができていたのでよかったです。
――突然決まった練習試合でしたが、準備はできていましたか
はい。自分がAチームに上がるために試合をやりたかったので、できたことはすごくうれしかったですね。
――アピールの場となりましたか
まだ足りなかったですね。
――Aチームへの意気込みをお願いします
残り時間はもうないのですが、日ごろの練習からやれることをしっかりやっていくしかないので、誰よりも練習をして戻れるように頑張りたいと思います。