厳しい夏合宿を終え、いよいよ関東大学ジュニア選手権(ジュニア選手権)が開幕した。春シーズンを全勝で締めくくり、今大会でも優勝を狙う早大Bの初戦の相手は明大B。前半は両者一進一退の攻防を繰り広げ、10-10の同点で折り返す。しかし、後半は一時リードを奪うも早大Bのミスで失点を招き、ラストワンプレーでPGを献上。相手の大逆転の末25-27とわずか2点差で涙をのみ、ジュニア選手権初戦は無念の黒星スタートとなった。
反撃のトライを挙げた廣野
明大Bのキックオフで始まった前半。早大Bは大型FWを擁する相手に対しセットプレーで優位に立ち、序盤から積極的に攻撃を仕掛けるも、小さなミスの連発からなかなか陣地獲得に至らない。互いに決定機を作れないまま無得点の時間が続くが、膠着(こうちゃく)状態を断ち切ったのは明大Bだった。29分、スクラム時のペナルティーからもたらしたPGで相手の先制を許すと、31分にもトライで失点し、点差は大きく広がる。しかし、ここから早大Bも反撃を開始。41分、相手ラインアウトのボールを奪取すると、すかさず右へ展開し、最後は大外に構えていたFB廣野晃紀(社4=東京・早実)がインゴールに叩き込む。直後にもSO間島陸(商4=東京・早大学院)がハーフウェイライン付近からの難しいPGに成功し、なんとか同点まで追い付き前半を終える。
相手を突き放したい早大Bは後半3分、相手の反則からショットを選択し、間島がこの日2本目のPGを決め逆転に成功。しかし10分、スクラムから抜け出した相手を止め切れずインゴールを割られると、再び試合は明大Bペースに。19分には敵陣ゴール付近でトライチャンスを得るが、痛恨のハンドリングミスから捕球され、そのまま相手の独走を許してしまう。だが、11点差を追いかける早大Bも巻き返しを図る。25分に間島が放ったハイパントキックをロック近藤貴敬(社4=宮城・仙台育英)がうまく処理しゲインすると、SH平野航輝(スポ3=長崎南山)が手薄な守備網を崩してトライ。続く33分にもモールから好機をつかみ、CTB水野健人(人4=大阪・東海大仰星)が相手ディフェンスを押し切りトライを挙げる。再び逆転に成功し、得点は25-24。このまま逃げ切りたい早大Bであったが、夏季から課題に加わった『集中力不足』がここでも露呈。終了間際相手にPGを献上すると、3点を返されそのままノーサイドを迎えた。
平野は相手の隙を突き、インゴールに飛び込んだ
「『規律』、『集中力』、『賢さ』で負けた」(フランカー呉泰誠、スポ4=大阪朝鮮)との言葉の通り、春夏シーズンに掲げられたテーマの精度が改めて問われた本試合。昨年惜しくも決勝戦で苦杯をなめ、ことしこそジュニア選手権優勝を飾りたい早大Bにとっては痛い敗戦だが、課題に意識を向け直すきっかけとしては意味のある一戦となった。残りの試合での全勝は必須。来月控える次戦に向け、修正点の改善にいそしまなければならない。
(記事 大口穂菜美、写真 山口智子)
第35回関東大学ジュニア選手権 | ||||
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早大B | スコア | 明大B | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
1 | 2 | T | 1 | 2 |
1 | 1 | G | 1 | 2 |
1 | 1 | P | 1 | 1 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
10 | 15 | 計 | 15 | 17 |
25 | 合計 | 27 | ||
【得点】▽トライ 廣野、廣野、水野 ▽ゴール 間島(2G、2PG) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 光川 広之 | スポ3 | 神奈川・公文国際 |
2 | 須藤 拓輝 | スポ4 | 東京・国学院久我山 |
後半0分交代→17菅野 | |||
3 | 佐藤 勇人 | スポ3 | 秋田中央 |
後半19分交代→18千葉 | |||
4 | 河野 秀明 | 創理2 | 東京・早実 |
5 | 桑野 詠真 | スポ1 | 福岡・筑紫 |
6 | ◎呉 泰誠 | スポ4 | 大阪朝鮮 |
7 | 近藤 貴敬 | 社4 | 宮城・仙台育英 |
8 | 古賀 壮一郎 | 教4 | 福岡・筑紫 |
9 | 平野 航輝 | スポ3 | 長崎南山 |
10 | 間島 陸 | 商4 | 東京・早大学院 |
11 | 中島 翼 | スポ1 | 千葉・流通経大柏 |
12 | 金澤 男 | 社4 | 千葉・市川 |
13 | 水野 健人 | 人4 | 大阪・東海大仰星 |
14 | 杉 聡司 | 政経4 | 福岡・西南学院 |
後半5分交代→23千年原 | |||
15 | 廣野 晃紀 | 社4 | 東京・早実 |
リザーブ | |||
16 | 高橋 俊太郎 | 社3 | 東京・早実 |
17 | 菅野 卓磨 | 教3 | 東京・早実 |
18 | 千葉 太一 | 教1 | 東京・早実 |
19 | 仲元寺 宏行 | 社2 | 広島・尾道 |
20 | 山岡 篤樹 | 教2 | 東京・本郷 |
21 | 浅見 晋吾 | スポ2 | 神奈川・桐蔭学園 |
22 | 盛田 志 | スポ2 | 広島・尾道 |
23 | 千年原 旭 | 法3 | 東京・早大学院 |
※◎はゲームキャプテン、監督は後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷) |
コメント
フランカー呉泰誠ゲームキャプテン(スポ4=大阪朝鮮)
――最後の最後で逆転を許しました。試合を振り返って感想をお願いします
いまワセダがテーマにしている『規律』、『集中力』、『賢さ』で負けたと思います。
――関東大学ジュニア選手権の初戦でしたが、どんな気持ちで臨みましたか
公式戦の初戦、またAチームに上がるための大事な試合ということで、すごく気持ちを入れて臨んだつもりだったんですけど、いざ試合が始まると4年として引っ張ることもできませんでした。きつい時間になって自分たちの課題が浮き彫りになってきたときに、うまく修正できなかったことは、余裕がなかったという証拠です。絶対に勝ちたい、絶対に赤黒を着たいという気持ちが薄かったんではないかと思います。このような試合をしていたら赤黒を着る資格はないです。
――前半優位に立っていたスクラムも、後半は押される場面が目立ちました
後半は足が止まって自由にされてしまいましたが、メイジにとってスクラムは心臓なので、それを止められなかった、相手に優位に組ませてしまったのは、敗因の一つだと思います。
――アタックに関してはいかがでしたか
ボールをロストせずに継続してやれば、問題ないと思っていたんですが、一つのパスやブレイクダウンで簡単にロストしてしまって、集中力が欠けていたと思います。堅実なプレーで連続攻撃をすればトライが取れたと思うんですけど、長いパスを放るなど練習でやっていないことをしたのが良くなかったと思います。
――次の戦いに向けて一言お願いします
このような不甲斐ない試合をしたのは、キャプテンである自分の責任なので、まずはチームを引っ張り切れなかったことに関してしっかりと反省します。また、しんどい展開で流れを変えれないような人間が赤黒を着る資格はないとはっきり痛感したので、次の試合は自分がチームを体で引っ張っていきたいです。
フッカー須藤拓輝(スポ4=東京・国学院久我山)
――試合を振り返っていかがでしたか
今週の練習で悪かった所が全部出てしまった試合かな、と思います。
――早大Bのミスからの失点が多かったですが、反省点はありますか
今週は特に集中力が欠けている練習が多くて、そういう所が試合にも出てしまったのかな、と思います。
――良かった点はありましたか
前半のセットプレーは良かったんじゃないかな、と思います。ペナルティで自陣にずっといてしまったので、ペナルティをしない、ということに気を付けたいです。
――関東大学ジュニア選手権の初戦で負けてしまいましたが、どのように巻き返していきますか
もう一つも落とせない戦いになってくると思います。優勝を目指してやっていると考えれば、なおさら負けられないです。
――春シーズンから変わった点はありますか
ことしに入ってから体を大きくしてきたので、スクラムは強くなったと思うのですが、逆にあまり走れてないので、もうちょっと走れるように秋は絞っていきたいと思います。
――Aチームに向けて課題などありますか
きょうが復帰戦だったというのもあるんですが、個人的にはあまり良くなくて、Aチームで試合に出るときまでに調子を戻せるようにしていきたいと思います。
SH平野航輝(スポ3=長崎南山)
――開幕戦を終えていまの気持ちを教えてください
すみません、僕のせいで負けました。
――それはどうしてでしょうか
ラストワンプレーの集中力が足りなかったからです。
――この試合に向けてどのような部分に力を入れて臨まれましたか
相手がFW勝負をしてくることは予想がついていたので、まずは相手のスクラムに勝とうということで、プレッシャーをかけていきました。
――チーム全体でペナルティやハンドリングエラーが多かったのですが、どのようなことが原因でしょうか
それがいまの実力だと思います。
――ご自身の試合の出来についてはいかがでしょうか
負けてしまったので最低、最悪としか言いようがないです。
――今後に向けて一言お願いします
このまま引き下がれないし、1敗して後がなくて、残り試合を全部落とさないのはもちろんなのですが、まず1勝しないといけないので、全員の意識を変えていきたいと思います。
SO間島陸(商4=東京・早大学院)
――試合を振り返っていかがでしたか
自分たちで自分たちの首をしめてしまいました。Aチームに上がるチャンスの場でもある中でそういった試合をしてしまうことは自分たちの意識の低さの表れなのでしっかり改善していこうと思います。
――試合プランとしてはどのようなものがありましたか
まずはエリアをしっかり獲得していこうということと、後藤さん(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)がDCCという言葉をおっしゃっていて、規律と集中力とクレバーさのことなのですが、規律の部分でペナルティが多くて前半に苦しい流れになってしまいました。
――その中で良かった点と悪かった点は何ですか
前半はペナルティが多くて自陣でプレーする機会を多くしてしまったのと、後半は敵陣に入れたのですが集中力の部分でミスを処理できずに相手につけ込まれて一個のミスで相手にトライを取られてしまったようにDCCの部分ができてなかったです。
――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか
最初の部分でチームとして固く入らないといけないというところでミスが多かったので、入りの部分から落ち着いたゲーム運びができればよかったです。
――今後の意気込みをお願いします
もう一回自分自身と向き合って、Bチームだけでなく自分がいかにAチームでプレーできるか突き詰めて考えて、残り4ヶ月しかないので自分自身ができることをやっていきたいです。
FB廣野晃紀(社4=東京・早実)
――競った末の敗戦となってしまいましたが、試合を振り返って感想をお願いします
夏合宿のときと変わらなくて、やはり最後の集中力とクレバーさの課題というところに尽きると思います。僕の最後のプレーと最後のパスは本当に反省というか引き締めなければいけないところだと思いました。
――早大Bのミスによる失点が目立ちましたが、その点についてはどう捉えていますか
やはり集中力不足ですね。ラスト一つのパス、一つのプレーが集中し切れていなかったんだと思います。この調子でAチームの試合ではちゃんとできるのかと言ったらできないと思いますし、本当に反省しなきゃいけないところだと思います。
――ハーフタイム前後は好調に思えましたが、ハーフタイムではどのようなことを話し合いましたか
前半ラストで追いつけて同点で終えることができたので、この調子でやっていこうと。あとは一つ一つチャンスで取り切っていこうという感じですね。
――春季はA・Bチーム共に勝利しながら、今日は敗戦を喫してしまいましたが、相手の印象は夏を越えて変わりましたか
やはり相手のチームの方が一つのチャンスで取り切れていたという印象ですね。相手にチャンスを許してしまったというのがこの差になってしまったのかなと感じています。
――関東大学ジュニア選手権は黒星スタートとなりましたが、巻き返しを図るために早大Bに必要なことは何だと思いますか
全勝するしかないと思います。そのために僕自身ももっと戦っていけるように頑張ろうと思います。
――翌日のAチームの日体大戦にもリザーブ入りしていますが、意気込みをお願いします
きょう出た課題を今度は自分の長点に変えられるようにやっていきたいなと思っています。