日本一への道は遠かった 関西王者・立命大に力負け

米式蹴球

全日本大学選手権 準決勝 12月1日 ヤンマースタジアム長居

TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 10 14 27
立命大 PANTHERS 28 10 52

 先日、全日本大学アメリカンフットボール選手権(全日本大学選手権)の準々決勝で関大に勝利した早大BIG BEARSは、関西リーグ1位・立命大との甲子園ボウル出場権をかけた一戦に挑んだ。試合は序盤から相手オフェンスのランプレーを止められず、第2クォーター(Q)に大量失点を許す苦しい展開に。後半に入っても流れを引き寄せることができない。第4QにWR入江優佑(商4=大阪・関西大倉)とRB安藤慶太郎(社3=東京・早大学院)のタッチダウン(TD)で一矢報いるが、最後まで追いつけず。関西王者相手に27-52と力負けで、悲願の日本一への道は絶たれた。

TDを決めたRB安藤

 早大キックで試合開始。ファーストシリーズで相手オフェンスを4thダウンに持ち込ませるが、ここでパントフェイクのスペシャルプレーを決められ1stダウンを更新される。その後もランで押され、最後は13ヤードを走られTDで先制を許した。追いつきたい早大は、オフェンス最初のプレーでRB安藤がスピードを生かしロングゲイン。その後もRB安藤のラン、WR吉規颯真(政経3=東京・早大学院)のパスキャッチで1stダウンを更新する。敵陣レッドゾーンに侵入し、WR平田裕雅(文4=東京・早実)のフィールドゴール(FG)で3点を返した。3-7で迎えたディフェンスでも、ラン中心の攻撃に押される。要所でのパスプレーも止めることができず、自陣レッドゾーンに進まれる。第2Qに入り、中央突破のランでTDを許した。

 リードを11点に広げられ、迎えたこの試合2回目のオフェンス。QB八木義仁副将(政経4=東京・早大学院)からのロングパスをWR角井春樹(文構4=東京・早大学院)がキャッチ。相手ディフェンスを振り切り、そのままエンドゾーンまで駆け抜けTD。攻撃時間およそ20秒で得点を挙げた。ディフェンスで流れを引き寄せたい早大だったが、相手のランプレーに太刀打ちできず。1stダウンを4回更新され、最後もランでTDを決められた。再び11点ビハインドで迎えた攻撃では、QB八木副将からフリーのWR小鮒晴(文4=神奈川・鎌倉)へパスが通ると、ランアフターキャッチで敵陣13ヤードまで一気に前進。しかしその後は1ヤードも進めず、WR平田のFGによる3点止まりで、徐々に点差が広がっていく。続くディフェンスでもランで押される。TDランを許し、13-28となる。攻撃をスリーアンドアウトに抑えられて迎えた前半終盤のディフェンスでは、QBスクランブル、さらにパス中心の攻撃を展開される。自陣37ヤードからの3rdダウン、ここでも相手QBにスクランブルされると、空いたスペースを走られエンドゾーンまで持っていかれた。前半残り30秒で迎えた攻撃では、QB八木副将からWR小鮒のパスプレーを決め、48ヤードのFGを選択。WR平田のキックは飛距離十分だったが、惜しくもゴールポストをたたき無得点。13-35で前半を終えた。

TD後、セレブレーションをするWR角井(写真右)

 早大レシーブで後半開始。WR角井のパスキャッチで1stダウンを更新すると、続くプレーでは相手の反則があり敵陣に侵入する。しかしQB八木副将からWR角井へのパスをインターセプトされてしまう。絶対にTDが欲しい場面だったが、ターンオーバーとなった。自陣から始まったディフェンスでは、相手に4thダウンギャンブルを決められる。それでもフロント陣がランを止め、DB木村大地(法4=東京・早大学院)のパスカバーもあり、FGでの3点に失点をとどめた。続く攻撃では1stダウンを更新できず、パントの際には早大が反則を取られ、自陣からのディフェンスとなる。ここではランパス交えたオフェンスをドライブされ、最後はQBにTDランを決められ、13-45と32点にリードを広げられた。

相手オフェンスを止めるディフェンス陣

 WR角井のパスキャッチで1stダウンを更新し、迎えた最終第4Q。WR吉規、WR入江のランアフターキャッチで敵陣中央まで進む。QB八木副将がエンドゾーン深くにパスを投げ込むと、WR入江がジャンピングキャッチでTDを決める。相手オフェンスにパントを蹴らせ攻撃に移ると、QB八木副将からWR松野雄太朗(社3=東京・早大学院)へのパスで1stダウンを更新。さらにRB安藤が中央突破の60ヤードを走り切り、TDランを挙げる。WR平田がポイントアフタータッチダウン(PAT)をしっかり決め、27-45と徐々に追い上げる。しかし、続くディフェンスではランプレーで時間を使われる。最後まで止めることができず、TDランを許し27-52となった。試合時間残り4分を切って迎えたオフェンス。RB安藤のランで1stダウンを更新するが、QB八木副将のパスをインターセプトされてしまい、再びディフェンスに。ランプレーでロングゲインを許しながら、それでも相手の4thダウンギャンブルを止める。試合時間残り28秒、オフェンスに移った早大はビッグプレーで少しでも追いつきたかったが、QB八木副将のパスは相手ディフェンスの手に渡り、万事休す。最後はニーダウンで時計を進められ、27-52で試合終了となった。

試合後、整列する選手たち

 日本一への道は遠かった。「うちのディフェンスがこんなにやられるとは思わなかった」(髙岡勝監督、平4人卒=静岡聖光学院)と、大きな武器である堅いディフェンスも、関西王者・立命大の攻撃を最後まで止めることはできなかった。試合後、涙を流す選手たち。この試合を最後にチームを引っ張ってきた4年生は引退となる。夢は残った下級生に託された。この悔しさを来年にどうつなげていくのか。早大BIG BEARSの進化をこれからも見届けていきたい。

(記事 沼澤泰平、写真 髙田凜太郎、田部井駿平、沼澤泰平)

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
立命大 RUN #22山嵜 #9横井 0-7
早大 FG #11平田       3-7
立命大 RUN #23蓑部 #9横井 3-14
早大 PASS #18八木→#16角井 #11平田 10-14
立命大 RUN #23蓑部 #9横井 10-21
早大 FG #11平田       13-21
立命大 RUN #22山嵜 #9横井 13-28
立命大 RUN #5竹田 #9横井 13-35
立命大 FG #9横井       13-38
立命大 RUN #5竹田 #9横井 13-45
早大 PASS #18八木→#8入江 #11平田 20-45
早大 RUN #7安藤 #11平田 27-45
立命大 RUN #37横井 #9横井 27-52

コメント

※選手のコメントは後日掲載いたします

髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――今日の試合を振り返って

 うちのディフェンスがこんなにやられるとは思わなかったです。本当に立命館さんのハイパーオフェンスに完敗でした。

――相手オフェンスのランを止められませんでしたが、いかがでしたか

 想像以上にOLの機動力がありましたし、蓑部君(雄望、2年)と山嵜君(大央、4年)に押し切られて、力負けしました。

――オフェンスは序盤、終盤と良い攻撃がありました

 安藤の良いランと八木もパスを通したというところで、そこに光明がありました。ただやはり(相手オフェンスに)時間を使われて、プレー数で78対44と圧倒的に立命館さんの方がドライブしていたので、時間をうまく使われたなと思います。

――関西王者の壁というのは感じましたか

 関西王者というよりは、今年強いと言われているチームに対しての課題がまた出たなというように感じました。

――引退となる4年生にはどのような言葉を掛けましたか

 今年の4年生は本当に良いチームを作ってくれたので、自分や社会のためになるようなことをこれからも続けていってほしいということを伝えました。

――来季への意気込みをお願いします

 今年は4年生中心のチームだったので、下級生がどうやって同じマインドを持ち、さらに強いチームを作るのかというところを学生と一緒に頑張っていきます。