早慶定期戦 11月17日 神奈川・慶大日吉キャンパスレンジ
今年で36回目を迎える伝統の早慶定期戦が幕を開けた。選手だけでなく両校のOBOGも応援も駆けつけ、にぎやかな中試合が行われた。現役戦は70mラウンドとオリンピックラウンドの二つが行われ、男子は惜しくも慶大に敗れたが、女子は昨年に引き続きどちらも勝利し、2勝2敗という結果となった。
肩を組み応援する選手たち
8人中6人が1、2年生と、フレッシュな顔ぶれで臨んだ男子70mラウンド。丸尾風瑛男子主将(スポ3=福岡・柏陵)が全エンドで50点以上を安定して射ちつづけ、最終エンドでは40金を獲得し57点の高得点を射つ活躍を見せた。第5エンドで梅澤徹太(政経2=東京・攻玉社)が30金を達成し、このエンドで55点を獲得した。また森田もこのエンドで30金を獲得し、チームに貢献した。
40金を達成し手を挙げる丸尾
女子は園田稚(スポ4=エリートアカデミー)が圧倒的な強さを見せた。50点台後半をエンドごとに連発するハイレベルで安定した行射で、計670点を獲得。塚本美冴(スポ4=東京女学館)、髙橋梨杏(スポ2=神奈川・横浜)も600点超えを達成した。目標としていた4人合計2470点にはあと5点届かなかったものの、慶大の得点を上回り勝利を手にした。
矢取りから戻る選手たち(写真左から廣瀬、髙橋、笹原)
70mラウンドのあと、3人で6射を射つセット戦で行われるオリンピックラウンドが実施された。男子は梅澤、山﨑聖史(社2=東京・芝)、野田慶一郎(スポ1=エリートアカデミー)の3人が出場。第1エンドは梅澤の矢の不具合もあったが立て直し、計56点の高得点で慶大からこのエンドを先取する。しかし第2エンドを2点差で奪われ、健闘した第3エンドもわずかに慶大に届かず惜敗を喫した。
行射する梅澤
女子は渋谷樹里女子主将(スポ3=エリートアカデミー)、西村友杏(先理3=東京・錦城)、髙橋が出場。第1エンドは33点と伸び悩み慶大に先制を許すが、第2エンドで髙橋が2射ともに10点を射ち良い流れをつくり、このエンドを奪う。続く第3エンドは同点に終わり接戦となるが、第4エンドを1点差で制し見事慶大に勝利した。西村は選手としてオリンピックラウンドに出場するのは初めてだったが、経験のある渋谷、髙橋とこの舞台に立ち「実力以上のパフォーマンスを発揮できた」と振り返った。
初めてオリンピックラウンドに出場した西村
4年ぶりに慶大の射場での開催となった早慶戦。選手たちにとって慣れない環境だったが、好敵手に引けを取ることなく戦いを繰り広げ、実りある試合となった。点数面で「課題の多く残るもの」だったと渋谷女子主将は振り返る。冬シーズン、そして来年の全日本学生王座決定戦(王座)を見据え、選手たちはさらに鍛錬を重ねていく。
(記事・写真 神田夏希)
結果
70mラウンド
◇男子
上位6名計
早大●3561-3664〇慶大
丸尾 628点
野田 618点
梅澤 607点
小渕 596点
山﨑 569点
森田 543点
桑原 527点
藤田 503点
◇女子
上位4名計
早大〇2465-2379●慶大
園田 670点
塚本 604点
髙橋 602点
渋谷 589点
笹原 503点
西村 501点
小出 433点
廣瀬 411点
オリンピックラウンド
◇男子
早大●2-6〇慶大
◇女子
早大〇5-3●慶大
コメント
丸尾風瑛男子主将(スポ3=福岡・柏陵)
――ご自身の行射を振り返って、良かった点や課題はありましたか
良かった点は、点数を大きく下げることなく、最後まで安定した点数を射ちつづけたことです。課題は、点数水準の低さです。チームを引っ張って行かなければならない立場であるのに、高得点を射つことができませんでした。
――選手の皆さんに声かけもされていました。チームとしての戦いを振り返っていかがですか
試合開始時の雰囲気は大変良かったように思えます。しかし、途中から慶應との点数が開きはじめ、慶應の盛り上がりに押されている場面もありました。試合終盤、応援の力もあり、盛り上がりを取り戻しましたが、慶應に追いつくことができずに敗北してしまいました。今年は、選手として射線に立つ下級生が多く、この選手達が雰囲気面でも点数面でも頑張ってくれて大変助かっています。しかし、エイト戦にまだ慣れていない選手やアーチェリーを大学からはじめた選手もおり、今回のような緊張する試合では、点数を落としてしまいます。これを支えるような存在がいないといけません。私含めた3年生がこの存在となり、下級生にはのびのびと競技をしてもらえるようなチームにしていきたいと思います。
――主将として今後の意気込みをお願いします
春に予定している練習試合・定期戦の全てでリーグ戦突破の基準となる6人計3600点を超え、勝利し続けます。そのために、この冬季期間でチームを見つめ直し、成長して参ります。
渋谷樹里女子主将(スポ3=エリートアカデミー)
――ご自身の行射は振り返っていかがでしたか
全日本選手権から上手く調子を戻すことが出来ず、思うように点数を出すことは出来ませんでした。ただ、後方からの声かけもあり、ミスに怯えるのではなく思い切り射つことを心がけたことで、途中から10点に入る本数も少し増やすことが出来ました。
――今大会の収穫について、競技面とチームづくりの面のそれぞれをお聞きしたいです
女子全体の目標としていた2470点まであと5点という結果でしたが、現役部員のみの点数は目標を大きく下回っており、課題の多く残るものでした。チームの雰囲気としては、明るい声かけや笑顔を試合中でもみんな心がけられていたと思うので良かったと思います。これから冬のシーズンに入り、リーグ戦へ向けて力を蓄えていく時期なので、全員でレベルアップ出来るようにまた気を引き締めて頑張っていきます。
――主将として今後の意気込みをお願いします
最後の王座は必ず勝ち取ります。人数は少ないですが、だからこそ全員が今より成長して王座に臨めるよう、チームを導いていきたいです。
西村友杏(先理3=東京・錦城)
――ご自身の行射を振り返って、良かった点や課題はありましたか
スコーパーをしてくださった遠藤監督のおかげで、後半はグリップを思い出し、いつも通りの射ち方ができました。試合になっても、前日に分かったグリップで射てたことや、ミスをしても切り替えられたことは良かった点です。一方で、押手と引手の下ろしてくるタイミングがバラバラで、クリッカーが切れなかったり、早切れしたりすることが多かったので、今後の練習で改善していきたいと思っています。
――オリンピックラウンドは接戦のなか勝ち切りました。振り返っていかがですか
チームとしては、終始良い雰囲気で試合に臨めたこと、お互いのミスをカバーし合えたことで勝ち切ることができたと思います。個人としては、オリンピックラウンドに選手として出場するのは初めてでした。緊張や不安もありましたが、樹里と梨杏が絶対に当ててくれるという安心感や部員をはじめとする応援してくださった方々のおかげで、落ち着いて射つことができ、実力以上のパフォーマンスを発揮することができました。
――今後の意気込みをお願いします
来年のリーグ戦や王座で64代のチームとして有終の美を飾れるよう、冬の間に体力や技術を向上させ、まずは自身の点数を上げていきたいと思っています。直近では、2週間後に学連インドア(関東学生インドア個人選手権)があるので、今年こそインカレ(全日本学生室内個人選手権)に行けるように調整していきます。
梅澤徹太(政経2=東京・攻玉社)
――ご自身の行射について、良かった点や課題はありましたか
前半はいつも通り射てたとは言えない内容でした。特にMを射ってしまった時はそこからもう巻き返せないのではないかと一瞬思いました。しかし前半4エンド目あたりから「もうテンポ良くいい意味で適当に射とう」と切り替えられたのが良かったと思います。後半はいつも通り、あるいはいつも以上の実力が発揮できました。終わってみれば607点と、定期戦の中では自己ベストを出すことができました。しかし課題の立ち上がりは今回も悪かったので、前半から点数を上げられるように頑張りたいです。
――オリンピックラウンドは振り返っていかがですか
2年連続で出場しました。去年は初めてで緊張していましたが、今年は比較的落ち着いて射つことができました。最初のエンドの1射目で矢の不具合から暴発してしまった時はめちゃくちゃ焦りましたが、その後10点、10点と射つことができて自分のペースを掴めたと思います。その後は点数を伸ばすことができず負けてしまいましたが、課題が明確にわかったいい機会であったと思います。
――冬シーズンへの意気込みをお願いします
4月にあるリーグ戦がだんだん近づいてきているので、そこでしっかり自分の実力を出せるように体づくり、フォームの見直しを図り、また一段と成長してチームに貢献できるようなアーチャーになりたいと思いますので、応援よろしくお願いします!