東京六大学秋季リーグ戦 11月12日 神宮球場
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
明 大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||
早 大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | ✕ | 4 | |||||
(早)○伊藤樹-印出 ◇(二塁打)吉納、小澤 (三塁打)なし (本塁打)なし |
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あと1勝すれば優勝の状況で迎えた早慶戦で慶大に意地を見せつけられて連敗を喫した早大。これで明大に勝ち点4、勝率.727と並ばれ、優勝の行方は明大との優勝決定戦へと持ち込まれることとなった。後がない中で臨んだ「11.12」決戦。先発の伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)が初回から全力投球で明大打線を封じると、打っては2回に中村敢晴(スポ4=福岡・筑陽学園)の適時打で先制する。さらに5回に小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)、石郷岡大成(社3=東京・早実)の適時打で3点を追加する。伊藤樹は4点の援護を守り切り、9回115球を投げて9奪三振、被安打3と大一番での完封劇を披露。これで早大が春秋連覇を達成し、リーグ最多48度目の賜杯を手にした。
早大の先発はもちろん、エース・伊藤樹。立ち上がり苦手とする伊藤樹だが、慶大1回戦の初回失点の反省を生かし、初回から最速145㌔の直球を繰り出す。力強い真っ直ぐとカーブの緩急自在な投球で明大の強力上位打線を手玉に取り、前回登板と打って変わって三者凡退と上々の立ち上がりを見せた。
先発の伊藤樹
対する明大は毛利海大(3年)が先発マウンドに上がった。初回こそ早大打線は三者凡退に抑えられたものの、2回に先頭の印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)が右前安打、前田健伸(商3=大阪桐蔭)が三遊間を破る連打で無死一、二塁に。さらに小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)の進塁打で1死二、三塁とし、続く中村敢が左前適時打を放ち貴重な先制点をあげた。
2回に適時打を放った中村敢
先発の伊藤樹は3回まで三者凡退に抑え、明大を寄せ付けず。4回、直井宏路(4年)にこの試合初の安打を浴びるが、続く飯森太慈(4年)から空振り三振を奪うと、宗山塁(4年)の打席で直井の盗塁を印出主将が見事盗塁阻止。さらに宗山を遊ゴロに抑え、この回も3人で攻撃を終わらせて明大の得点を許さなかった。
しかし5回、小島大河(3年)に右中間を破る二塁打を浴び、初めて得点圏に走者を背負う。それでも後続をしっかりと断ち、窮地を脱すると流れは早大に傾く。ピンチの後にはチャンスあり。その裏、2番手の千葉汐凱(4年)から吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)が右翼手の頭上を越える二塁打を放ち、好機を演出。続く印出主将、前田が連続四球で1死満塁とすると、小澤が初球を左翼へ2点適時二塁打を放つ。さらに石郷岡が左前適時打でこの回3点を奪った。
5回に適時打を放った小澤
6回以降、伊藤樹は得点圏すら踏ませない圧巻の投球を披露。対する明大も毎回ピンチを背負うものの、山田翔太(4年)、藤江星河(4年)の粘投リレーで無失点に抑える。8回には5番手で北海道日本ハムファイターズに3位指名を受けた浅利太門(4年)が登板。尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)が四球で出塁し、同じく日本ハムに5位指名を受けた山縣の犠打でチャンスを拡大する。しかし吉納副将、印出主将は連続三振に倒れ、いよいよ頂上決戦も最終回に突入した。
9回も伊藤樹がマウンドに上がる。疲れを感じさせない投球でわずか3球で2死まで明大を追いこむと、最後は飯森を143㌔の直球で空振り三振に取って試合終了。早大の9年ぶりとなるリーグ連覇が決まり、マウンドに集まり喜びを分かち合った。
優勝を決めマウンドに集まる選手たち
最終カードで連勝中の明大と連敗中の早大。あまりにも状況が対照的な優勝決定戦、負けてもおかしくはなかっただろう。そんな中でも、たった1日の間に本来の実力を取り戻した早大が劇的な連覇を遂げた。これで明治神宮大会への切符を手にし、現体制での野球はまだ終わらない。「日本一にふさわしいチームを作れ」。小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)の指令の下、秋季リーグ戦を戦ってきた早大。ようやくスタートラインに立ち、これから本当の戦いが幕を開ける。春の忘れ物を取り返し、最高の置き土産を来年のチームへ。最後は笑って大学野球の聖地を後にしたい。
(記事 丸山勝央、写真 沼澤泰平、梶谷里桜)
※監督、選手のコメントは後日掲載いたします。