連覇目前で投打共に精彩を欠き大敗/慶大1回戦

野球

東京六大学秋季リーグ戦 11月9日 神宮球場

TEAM
早 大
慶 大
(早)●伊藤樹、越井-印出
◇(二塁打)中村敢、印出 (三塁打)なし (本塁打)なし

 ここまで全てのカードで勝ち点を獲得している早大は、春秋連覇に王手をかけて早慶戦に臨んだ。しかし先発の伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)が7回までに5点を失う苦しい投球となり、打線も慶大のエース左腕・渡辺和大(2年)の前に沈黙。終始相手ペースに押され、攻守共にいいところなく1-9と大差をつけられて初戦を落とした。

 今季の防御率1位・伊藤樹と、2位・渡辺和という好投手による投げ合いで幕を開けた1回戦。先にマウンドに上がった渡辺和は早大を無失点に抑え、その裏の伊藤樹。先頭の水鳥遥貴(4年)に初球を痛打され、いきなり無死二塁のピンチを招く。その後1死三塁となり、吉野太陽(2年)の一ゴロの間に走者が生還。今季、立ち上がりを苦手としている伊藤樹だが、この試合でも初回に先制点を許すことになった。

 援護したい打線は渡辺和のストライク先行の投球に苦しみ、なかなか自分のスイングをさせてもらえない。チーム打率リーグトップを誇る打線も、相手バッテリーの術中にはまり、反撃の糸口をつかむことができず。3回に2死から尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)が中前へチーム初安打を放つも、後続が倒れてこの回も無得点に終わった。

 2回以降、立ち直りの気配を見せていた伊藤樹。しかし4回、安打と死球で得点圏に走者を背負うと、迎えた本間颯太朗(4年)に左翼線に適時二塁打を浴び追加点を献上した。さらに6回には清原正吾(4年)に直球を完璧に捉えられ、左翼席へのソロ本塁打を許す。主砲に手痛い一発を浴び、試合の流れは慶大へ大きく傾いた。3点を失った伊藤樹は、エースとして懸命な投球を続けるも、7回にも2死から走者を出し、続く水鳥にはバックスクリーンへ運ばれてさらに2失点。試合前までリーグトップの6勝、防御率1・19と大黒柱として圧倒的な成績を残してきた伊藤樹だが、ここまでの疲労が影響したのか5失点と、本来の姿とはかけ離れた結果でマウンドを後にした。

清原に本塁打を浴びた伊藤樹

 対照的に自分の投球を続ける渡辺和の前に、これらの5失点が重くのしかかった早大。7回までわずか1安打と、強力打線もこの試合では鳴りを潜めた。8回、後がない早大は挽回を図ろうと代打攻勢に出る。寺尾拳聖(人2=長野・佐久長聖)、田村康介(商3=東京・早大学院)は打ち取られて二死となり、打席には中村敢晴(スポ4=福岡・筑陽学園)。3球目を振り抜くと左中間を破る二塁打となった。ここまでレギュラー争いに敗れ、悔しい思いをしてきた中村敢だが、最後の早慶戦で意地の一打を放った。続く尾瀬が四球を選んで一、二塁。渡辺和から初めて好機をつくったが、山縣秀(商4=東京・早大学院)が遊ゴロに倒れこの回も無得点に終わった。

 8回裏、マウンドに上がった2番手の越井颯一郎(スポ2=千葉・木更津総合)は、3連打を許して無死満塁のピンチを背負う。2死までこぎ着けたが渡辺憩(1年)に右前へ運ばれると、これを右翼手・吉納副将が痛恨の後逸。打球が外野を転々とする間に、全ての走者と打者の渡辺憩が生還。まさかの4失点で、試合を決定づけるかたちとなってしまった。

2番手の越井も流れを止めることができず

 ここまでいいところなく、重い空気が漂う最終回。1死から印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)が左中間への二塁打を放ち、後続へつなぐ。2死となるが、ここで早慶戦に強い小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)が右前適時打を放ち、二塁から印出が生還。苦しんできた打線が最後に一矢報いた。結果的にこの1点のみに終わり、1ー9で敗戦。慶大に投打で圧倒され、完敗する屈辱を味わった。

9回に適時打を放った小澤

 2季連続の頂点を目前に、まさかの大敗を喫した早大。依然として王手がかかった状態に変わりはないが、明日の戦いに暗雲が立ちこめる結果となった。だが激戦を勝ち抜いて、目の前に手繰り寄せた賜杯をつかむためにも、伝統の一戦で宿敵を倒すためにも、このままの流れでは終われない。改めて一戦必勝の精神でチーム一丸となって、次の戦いに臨んでくれることだろう。ここから絶対に負けられない戦いとなるが、意地とプライドをかけて必ずや壁を乗り越え栄冠をつかみ取りたい。

(記事 廣野一眞、写真 近藤翔太)

◆コメント

印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)

――試合を振り返っていかがですか

 いろいろとうまく噛み合わなかったのが最後まで修正できず、こういう結果につながったと思います。

ーー配球についてどのような点を意識されていたのでしょうか

 インコースをしっかり使いながらボールを低めに集めるというところを意識していましたが、浮いたボールを結果的に捉えられたというところです。

ーー個人としては反撃の口火を切る二塁打を9回に放たれました。打席を振り返っていかがでしょうか

 打球自体は良かったですけど、そこで打っても何にもならないので、明日こそ修正していきたいと思います。

ーー明日への意気込みをお願いいたします

 慶応にこういうかたちで屈辱的な負けを喫したので、明日こそはしっかりと勝って、月曜日につなげたいと思います。