第56回全日本大学駅伝対校選手権 11月3日 名古屋・熱田神宮〜三重・伊勢神宮
立冬も間近に迫る11月3日、冬目前とは思えない、23度まで気温が上がる厳しい状況の中、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)が開催された。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)を走った6人を中心としたメンバーで、3位以内を目指した早大。エース・山口智規(スポ3=福島・学法石川)が2区で13人抜きの好走を見せながらも、1区間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工)、3区藤本進次郎(教3=大阪・清風)が区間2桁順位に終わり、出雲に続いて序盤から出遅れる格好となった。それでも、当日変更で5区に起用された山口竣平(スポ1=長野・佐久長聖)と8区に起用された工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)が共に区間3位の好走を見せ、最終的には5位フィニッシュ。今回も3強の牙城(がじょう)を崩せなかったものの、収穫のあるレースとなった。
この日1区を任されたのは、昨年の全日本でも1区を走り、区間2位の好走を見せた間瀬田。これまで出走した三大駅伝のほとんどで1区を走ってきた経験を生かし、早大が課題とする序盤戦を優位に進めることが期待された。1キロ3分超のスローペースで進んだレース展開の中で、間瀬田は7キロ付近まで集団の前方を走り、積極的にレースを進める。しかし、終盤にかけて徐々に遅れ始め、ラストのスパート勝負に加われず。先頭との差は12秒と致命的な遅れとはならなかったものの、18位でタスキをつなぐ結果となった。
1区を走る間瀬田
2区には、エース・山口智が登場。5秒程度前でタスキをつないだ前方の集団をすぐさま捉えると、以降は先頭集団からこぼれた選手を拾い続け、区間5位、13人抜きの走りを見せた。しかし、中盤以降は先頭集団に迫りながらも、最後までその背中は捉えられず。先頭との差も拡大し、本人も順位に関しては「納得のいくものではない」と振り返る悔しいレースとなった。他の選手であれば好走と評価される結果でも、早稲田のエースとしては不本意な結果。東京箱根間往復大学駅伝(箱根)では、出雲1区での出遅れ、そして今回味わった悔しさを晴らす好走に期待したい。
2区を走る山口智
続く3区を任されたのは藤本。今シーズン好調を維持していた藤本だったが、この日は中継所で1分半差をつけていた駒大に抜かれるなど苦しい走りに終始した。最終的に区間15位に終わり、順位も5つ落とす結果に。この時点で先頭を走る青学大との差は2分以上に拡大。優勝争いから離脱する格好となった。
3区を走る藤本
悪い流れを断ち切りたい4区。この区間には、伊藤大志駅伝主将(スポ4=長野・佐久長聖)が起用された。出雲と同様、下位でのタスキリレーになったが「とにかく落ち着いて集中していた」と冷静に中継所を飛び出した。伊藤大主将は、中継所で約1分差をつけられていた中大など3校をかわし、7位までチームを押し上げる気迫の走りを見せる。試合後には「ある程度いい走りができたかな」と語った伊藤大主将。個人としても区間5位の好走で、悪い流れを見事に断ち切ってみせた。
4区を走る伊藤大駅伝主将
5区では、当日変更で山口竣が登録。三大駅伝デビュー戦となった出雲は区間11位と悔しさが残る結果となった山口竣は、2戦目にして本領発揮。早稲田記録を更新する走りで順位を1つ上げ、6位でタスキをつないだ。レース後には「出雲から建て直すことができて良かった」と振り返った山口竣。将来の早大を背負うことが期待される若きエースの今後の活躍に注目だ。
5区を走る山口竣
6区を任されたのは、今季駅伝初出走となった伊福陽太(政経4=京都・洛南)。良い流れに乗りたい伊福だったが区間10位といまいち流れには乗り切れず。それでもチーム順位を落とさない粘りの走りを見せ、自らの仕事をこなした。
6区を走る伊福
7区には長屋匡起(スポ2=長野・佐久長聖)が登場。久々の三大駅伝となった出雲では区間3位とその好調ぶりを見せた長屋は、この日も快調なレース運びを見せる。「自分の中ではうまくレース展開を運ぶことができた」と振り返ったように、この日は各校の主力選手が集う7区で区間5位の好走を披露。前を行く城西大との差を1分近く縮め、10秒差で最終8区の工藤にタスキをつないだ。
7区を走る長屋
8区の工藤はこの日も抜群の走りを見せた。10秒前を行く城西大を捉えると、突き放して5位に浮上。4位の創価大を捉えることはできなかったものの、最終的に区間3位の走りでチームを押し上げた。駅伝シーズンに入っても好調を維持している工藤。引き続きの活躍に期待が懸かる。
8区を走る工藤
目標とする3位以内でフィニッシュすることができなかった早大。出雲に続き、序盤の出遅れが響いた格好となった。それでも、山口竣が本格化を果たしつつあり、長屋、工藤の2年生コンビも好調をキープ。山口智も復調傾向と、収穫も多い一戦となった。出雲、全日本共に上位3校は、国学院大、駒大、青学大の3強が独占している。集大成となる箱根駅伝では3強を撃破するべく、早大は進み続ける。
(記事 林田怜空 写真 早崎静、髙杉菜々子、草間日陽里、石垣拓也、植村皓大、石澤直幸、會川実佑、鶴本翔大)
※監督・選手コメントは別記事にて、後日掲載いたします