慶応義塾大学定期戦 4月28日 早大東伏見弓道場
4月とは思えない猛暑のなか、早大東伏見弓道場において伝統の一戦が行われた。今年の早慶戦(慶應義塾大学定期戦)は早大の先攻でスタート。初立は早大11中-慶大10中という僅かな差でリードを獲得した。二立目以降は安定した的中を積み重ね、慶大を寄せ付けない。最後までリードを保ち続けた早大は、山﨑琴葵副将(社4=東京・早実)が20射皆中をみせるなど、60中-50中で勝利をつかみとった。
早大の出だしはチームの団結力の良さが光るものとなった。誰かが外してもその後の選手は的中させる一進一退の攻防。大前の山﨑が皆中、弐的の後藤万結(人4=福岡・明治学園)と落の首藤菜那(先理3=東京・吉祥女)が3中を出し、計11中で慶大にプレッシャーをかける。対する慶大は初立を10中にまとめ、その差を1本とした。
研ぎ澄まされた空気感の中、射位に入る選手たち
続く二立目で慶大を大きく引き離したい早大。落前の岩坂玲奈(スポ2=熊本・熊本学園大付)は3中とし、初立からの立て直しをみせた。ここで慶大は調子を落とし、1中が二人出てその差は5本に。完全に試合の主導権を手繰り寄せた早大は、三立目で大きく的中を伸ばし慶大をさらに突き放す。山﨑、後藤、首藤の3名が皆中、岩坂が羽分けを出しこの日最多の14中。勝利に向かって最高の展開を作り出した。
20射皆中を出しチームを引っ張り続けた山﨑
後半、慶大は12中を出すなど巻き返しをみせるが、好調の早大には及ばない。四立目で後藤が皆中のチャンスを迎えるが止め矢を抜いてしまい3中。しかし、大前の山﨑と落の首藤が安定した射をみせ皆中を出す。後藤の悔しさを振り切らせるようなものとなった。最終立は山﨑以外の選手が止め矢を当てることができず10中に留まったが、目標としている60中はきちんと達成した。山﨑はこの日20射皆中。試合後には笑顔も見られた。一度もリードを超されることなく進んだ本試合。結果として早大60中-慶大50中と大差をつけて試合を締めくくった。最後まで魅せつけた集中力と精神力、そして強固な団結力を生かした試合展開がリーグ戦(東京都学生連盟リーグ戦)でも期待される。
(記事 富澤奈央 写真 新井沙奈、富澤奈央)
結果
大前 山﨑 20射20中
弐的 後藤 20射14中
落前 岩坂 20射9中
落 首藤 20射17中
○早大60中-慶大50中
コメント
藤井千裕(スポ4=山口・宇部フロンティア大香川)
――今日の試合を振り返ってみていかがでしたか
最近は授業期間に入り、練習にベストメンバーが揃わないことが多いのですが、それでもきちんと60中を出せるチームになってきているので、誰が試合に出ることになっても全員でちゃんと積み上げて、目標としている60中を超えることができると実感しているので、これからも練習でベストメンバーが揃わないとしてもしっかり60中を超えることを目標に続けていきたいと思います。
――今日の試合で60中を出せたことは、チームとしてどのように捉えていますか
実力的には65中くらいは出せるメンバーだったと考えているので、1人崩れてしまっても60中を達成できたことはよかったのですが、本当のことを言えばもっと積み上げることはできたなと感じています。
――改善点がありましたら教えてください
止め矢、最後の1本を抜いてしまうことや最後の立の際、緊張やプレッシャーにより当たるべきところを緩んで抜いてしまうことが多いので、そこの緊張した雰囲気を作った練習をしていくことが改善していくべきところだと思います。ですが、今日調子の悪いメンバーが多くいた中で、1本ずつ修正しながら自分のやるべきことをしっかりできていたので、そこはしっかり褒めてあげようと思います。
――最後に、今季の目標をおねがいします
今季の目標は日本一になることです。このメンバーがいれば日本一は絶対達成できると思うので、これからも自分の課題を突き詰めながら問題点を1つずつつぶしていき、リーグ戦では1部で1位をとることを目標にやっていきたいです。
山﨑琴葵副将(社4=東京・早実)
――試合全体を振り返ってみていかがでしたか
今シーズンが始まり、まずプレリーグ戦を4試合やってきて、その集大成となるのが今日の慶應定期戦だったと思うので、自分のなかではきちんと確信を持って引くことができたと感じています。チームとしても確実に4試合を通して強くなってきていると実感しているので、各々思うことはあったと思うのですが、それについてもしっかりと自分の中で考えることができたので、学びのある試合になったと思います。
――20射皆中という結果はどのように捉えていますか
プレリーグ戦4試合を通してだんだん的中が上がってきていたので、それよりももっと的中を超えたいという思いが自分の中にあったので、的中に対するこだわりを持ちながら引き続けていました。自分の射の目標としてはやるべきことを3つに絞っていたので、20本同じように引けることを心がけました。結果として、全て的には入っているけれどやり切れなかった部分もあったので、どこかで甘えがあったかなと感じています。しっかりとやり切れていれば矢所が安定し、真ん中に当てることができたと思うのですが、的には入っているけれど自分としてはしっくりきていない矢が多かったので、そこは次の試合に繋げていきたいです。
――今季がラストイヤーとなりますが、個人としての目標を教えてください
これまで、関東優勝やインカレ(全日本学生選手権)準優勝など何度か大きな試合で入賞という結果を残してはいるのですが、まだ全国優勝はできていないので、それを目標にやっていきたいです。また、昨年はあと2本足りないというギリギリのところで東西(東西学生弓道選抜対抗試合)に出場できずとても悔しかったので、しっかり最後まで突っ走れるように頑張ります。
――最後に、今季の試合に対する意気込みをお願いします
最終的な目標として日本一と王座に行くというものを掲げているので、そこに向けて総力をあげて取り組んでいきたいです。自分が幹部としてなにができるのかをしっかりと考えていき、みんなが集中して弓を引けるような環境を作れたらと思います。