1年時の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)では5区で出走を果たすも、その後は3大駅伝での出走は叶っていない諸冨湧(文3=京都・洛南)。しかし今季は、日本学生対校選手権(全カレ)の3000メートル障害で4年連続となる入賞を果たすなど、調子を上げている。そんな諸冨選手に、最後の箱根への意気込みを伺った。
※この取材は12月15日に行われたものです。
「悔しい気持ちの方が大きかった」対校戦
関東学生対校選手権(関カレ)のレースを走る諸冨
――前回の箱根(東京箱根間往復大学駅伝競走)が終わり、新チームへと代替わりするにあたり、諸冨選手個人としてはどのような思いでスタートしましたか
僕自身は今シーズンで引退というように決めていたので、ラストシーズン良い形で結果を残して終われたらなと思いスタートしました。
――春からのトラックシーズンでの具体的な目標はありましたか
トラックは3000メートル障害がメインでしたが、シーズン序盤で日本選手権やシニアの記録の標準を切れたら良いかなというように考えていました。しかし、それは叶わなかったので、関カレ(関東学生対校選手権)や全カレ(日本学生対校選手権)などの対校戦でしっかり入賞して、得点を取るということを目標にしてやっていました。
――3月には1500メートルのレースに複数出場されていましたが、どのような意図がありましたか
前回の箱根の後、1月と2月はけがをしていました。しかし、4月の日本学生個人選手権(学生個人)に向けて急ピッチで仕上げる必要がであったので、試合に向けたスピードであったり、刺激を入れるという目的で1500メートルに出場しました。
――その後は、5月に関カレに出場されました。具体的な順位の目標はありましたか
3位以内を目標にしていました。
――6位入賞という結果を残されましたが、振り返っていかがでしたか
正直、あの結果は全然良くなかったです。調子もそこまで良くなくて、レース展開的にもうまくいかなかった部分もあって、自分の中で良くなかったというような印象が残っているレースです。
――夏合宿での個人的な目標などはありましたか
個人としては、あまり距離を踏んでいけるタイプではないので、毎回のポイント練習を大事にしつつ、つなぎのジョグなどで、できる範囲で距離を踏んでいくというところを花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)とも相談しながらやっていきました。
――夏合宿でのチームの雰囲気はいかがでしたか
良かったと思います。故障者も多くなかったので、例年と比べても結構良い雰囲気で夏合宿はこなせたと思います。
――夏合宿の消化具合や手応えはいかがでしたか
練習メニューが結構ハードな中で、序盤は多くの人がこなせていたので、みんな調子良いなという雰囲気だったのですが、9月に入ってから全員に疲労が見え始めて、若干下がっていったなという印象がありました。それでも練習の消化率は例年に比べて、悪くはなかったのかなと思います。
――夏合宿の前後で、諸冨選手個人的に変化したと感じる部分はありますか
少しだけ距離に強くなったと感じています。
――9月には全カレの3000メートル障害で4年連続入賞という結果を残されました。振り返っていかがですか
全カレでも最後にもう一度表彰台に登りたかったのですが、いつも微妙な位置で、悔しい気持ちの方が大きかったです。上につながる試合でもないので、ただできる限り良い順位を目指してという感じだったので、表彰台をつかめず悔しかったですね。
――9月以降は様々なレースに出場する中で、5000メートルとハーフマラソンで自己ベストを更新されています。要因などは何だとお考えですか
5000メートルで自己ベストを出した時も、調整せずに出てしまった形なので、狙っていればもっと良い記録が出せたかなと思ったりもします。ハーフマラソンに関しては、自己ベストではありましたが、元のタイムが遅く、特に良いタイムでもなかったです。一方で、コンディションが良くない中で出場して、うまくまとめられたので、意識しすぎない方が良いのかなと感じました。
――続いて、駅伝シーズンについてお伺いします。駅伝シーズンに入ってからのチームの雰囲気はいかがですか
良くも悪くも変わらず、一年を通してみんなモチベーションの波が無く、普段通り過ごせていると思います。
――出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)と全日本(全日本大学駅伝対校選手権)について、振り返ってみてどのように捉えていますか
出雲は夏合宿後半の影響で、調子が落ち気味だったので、そのような状況で出場した選手たちが頑張って、なんとか入賞したという結果で、まずまずだったと思いました。そこから全日本までのアプローチが、練習内容なども含めてあまり良くなく、「全日本はやばいな」というように僕は思っていました。結果としてあのような順位になってしまったので、大会までの過程やアプローチに関しては今年の結果を踏まえて、来年以降修正していくと良いのではないかと考えています。
――具体的に、全日本に向けてどのあたりが「やばいな」と感じられましたか
きつい練習が続く中で、練習に対して集中力を高めすぎることが続きました。山口(智規、スポ2=福島・学法石川)や伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖)といった力のある選手は耐えれて、試合に向けてピーキングが出来ていましたが、それ以外の選手は練習でいっぱいいっぱいになっていて、試合に向けてうまく調整ができないまま全日本を迎えたので、厳しい大会になってしまいました。
来たる箱根に向けて
上尾シティハーフマラソン(上尾ハーフ)を走る諸冨
――箱根に向けて、チームの雰囲気はいかがですか
今も夏合宿前後と変わらず良い雰囲気で、個人がやるべきことを淡々とこなせており、良い意味で変わらないと思います。箱根という今年最後の大きな大会であるので、少しピリッとした締まりある雰囲気ではありつつ、いつも通り良い雰囲気でやれていると思います。
――諸冨選手個人の調子はいかがですか
上尾ハーフが終わって、一瞬体調を崩しましたが、そこから最近になってやっと調子が上がってきました。箱根まで残り2週間強ですが、ピーキングが大事なので、箱根当日にベストコンディションに持っていくということだけを意識してやってます
――箱根当日にピークを持っていくために、現在はどのような練習を行っていますか
今は仕上げの段階です。ポイント練習もレースに近いスピードや距離で、ある意味選考のような練習です。来週の半ばくらいで練習を積む期間は終わるので、今は最後の仕上げの段階です。
――箱根で生かしたいと考えているご自身の強みはありますか
1年時の結果があるので、あまり上りに強いとは言えませんが、起伏などには対応できる方であると花田監督にも言われているので、後半の8区や10区など少し起伏のある区間は、自分の強みが生かせるのではないかと考えています。
――箱根に向けて、チーム内外で意識している選手はいますか
僕はあまり意識する選手はいません。一方で、どこの大学もですが、直前で調子を崩したりなどで、ベストメンバーを組むことが難しいです。力のある選手が確実に走れないと、早稲田は層が薄いので、絶対に勝てないので、力のある選手がしっかり走ってほしいと考えています。(力のある選手が走れず)よく弱体化するので(笑)。前回、山口君は力を持っていながら胃腸炎で走れなかったので、山口くんや伊藤大志くんや間瀬田(純平、スポ2=佐賀・鳥栖工)くんの心配はしています。
――箱根での個人の目標はありますか
個人では、8区で区間5位以内が目標です。
――最後に箱根への意気込みをお願いします
泣いても笑っても最後なので、しっかりやれるだけのことをやって、悔いなく終われるように頑張りたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 松平将太朗)
◆諸冨湧(もろとみ・わく)
2001(平13)年10月12日生まれ。168センチ。京都・洛南高出身。文学部3年。終始穏やかな雰囲気で質問に答えてくださった諸冨選手。最近は、阪神タイガースの日本一をきっかけに、チームメイトとともにプロスピAで遊ぶことにハマっているそうです!