雨が降る中開催されたところざわアスレチックフェスティバルの2日目には多くの短距離・中距離の選手が出場。今大会を引退試合とする選手も多く、それぞれの選手がさまざまな思いを胸にトラックを駆け抜けた。
後輩たちに囲まれ笑顔の4年生(写真前列)
今大会が最終レースとなった池淵秀(法4=京都・洛南)は男子200メートルと男子100メートルにエントリー。200メートルでは22秒22をマークし全体トップでフィニッシュ。100メートルでは関口裕太(スポ1=新潟・東京学館新潟)に続き2着でゴールした。荒天の中でも前日に部員日記に記した「13年間積み上げてきたものを信じて、全力で」という自身の意気込み通り、最後の試合を全うした。
同じ洛南高校出身の後輩たちに囲まれ笑顔の池淵(写真前列中央)
400メートル障害を主戦場にし、この1年間女子主将を務めてきた川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘)は女子400メートルに出場。新田望(スポ2=神奈川・法政二)ら後輩3人と同組で出走し、レース後川村は「仲間でもありライバルでもある大好きな後輩たちと走ることができてとても楽しかった」と振り返った。「最後は意地で粘った」と、57秒01で1着を飾り、現役生活に別れを告げた。
同じく清水羽菜(スポ4=東京・白梅学園)も今大会を最終レースとし、女子400メートルハードルに出場した。仲間からの声援を受けて第3コーナー以降も力強く走り、61秒64でフィニッシュ。最後のレースについて、清水羽は「皆の応援に後押しされた、今は清々しい気持ち」と川村同様、競走部の仲間への感謝とともに締めくくった。
最後のレースを力走する川村
短距離4年生の多くはこの大会、または国民体育大会で引退を迎える。「最後まで自分を信じて、純粋に陸上競技を楽しむ気持ちを忘れずに」(川村)という言葉とともに、競走部のバトンが次代へ受け渡される。110代のエンジで染まる来シーズンを、一日千秋の思いで待っている。
(記事 髙杉菜々子、写真 戸祭華子、加藤志保)
結果
▽男子
▽100メートル
タイムレース
関口裕太(スポ1=東京学館新潟) 10秒63(+2・4)(1組1着)
池淵秀(法4=京都・洛南) 10秒79(+2・4)(1組2着)
平野智也(文構3=京都・洛南) 10秒89(+2・4)(1組4着)
片山大地(スポ1=東京・八王子) 10秒94(+2・4)(1組6着)
▽200メートル
タイムレース
池淵 22秒22(+0・6)(1組1着)
竹一虎(スポ2=滋賀・草津東) 22秒88(+0・6)(1組2着)
佐藤カルタ(スポ3=神奈川・厚木) 23秒00(+0・9)(2組1着)
寺澤大地(スポ2=京都・洛南) 棄権
大竹春樹(商3=東京・早実) 棄権
▽400メートル
タイムレース
森田陽樹(創理1=埼玉・早大本庄) 48秒10(1組1着)
佐藤 棄権
▽1500メートル
決勝
岩下和史(スポ1=神大付) 3分55秒88(1着)
▽110メートル障害
決勝
西徹朗(スポ2=愛知・名古屋) 14秒27(+0・7)(1着)
盛岡優喜(スポ2=千葉・八千代松陰) 14秒75(+0・7)(2着)
池田海(スポ3=愛媛・松山北) 棄権
▽400メートル障害
決勝
盛岡 51秒07(1着)
平田和(スポ1=鹿児島・松陽) 52秒32(3着)
西徹 棄権
▽走幅跳
決勝
佐々木悠人(スポ1=岩手・一関一) 6メートル74(1位)
▽やり投
決勝
梅澤祥吾(スポ2=神奈川・金沢) 62メートル55(1等)
岡本漠久(スポ1=栃木・宇都宮北) 55メートル52(2等)
鶴澤元基(スポ2=東京・富士森) 棄権
▽女子
▽100メートル
決勝
中村真由(政経3=東京・早実) 12秒33(+2・0)(1着)
▽200メートル
決勝
上島周子(スポ1=東京・富士) 25秒40(+1・4)(1着)
中村 25秒89(+1・4)(2着)
山本真菜(スポ1=三重・伊勢) 26秒42(+1・4)(3着)
清水羽菜(スポ4=東京・白梅学園) 棄権
▽400メートル
タイムレース
川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘) 57秒01(1組1着)
新田望(スポ2=神奈川・法政二) 57秒60(1組2着)
山本 57秒74(1組3着)
鈴木翼沙(スポ1=東京・日大桜丘) 59秒92(1組4着)
生田桃子(人3=愛知・時習館) 63秒27(2組1着)
上島 棄権
内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田) 棄権
▽400メートル障害
決勝
清水羽 61秒64(1着)
▽走高跳
決勝
矢野夏希(スポ1=愛知・時習館) 棄権
▽走幅跳
決勝
中尾心春(スポ1=兵庫・長田) 5メートル48(1位)
▽やり投
決勝
鈴木真帆(スポ1=茨城・水戸一) 38メートル15(1等)
コメント
川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘)
――ラストレースを終えての心境をお願いします
57秒台とタイムはよくありませんでしたが、最後まで走り抜いたので後悔はありません。仲間でもありライバルでもある大好きな後輩たちと走ることができて、とても楽しかったです。また、わざわざ応援に来てくれた友人もいて、走っている間もたくさんの声援が聞こえて、本当に応援やサポートに支えられて陸上ができていたことを改めて実感しました。また、雨が降り寒い中朝から運営をしてくださった運営の方々やマネージャー、トレーナーさん、補助員の人たちにも本当に感謝しています。
――今日のレースは振り返っていかがですか
連戦の疲労もあってか、なかなか体は動きませんでした。前半にしっかりとスピードを出して後半につなげるイメージでしたが、前半の通過自体が遅かったので後半にも良い流れを持っていけませんでした。ですが、300メートル地点で新田(望、スポ2=神奈川・法政二)が並んできていたので、絶対に負けられないと思い、最後は意地で粘りました。
――早稲田での4年間を改めて振り返って
うれしいこと、楽しいこと、つらいこと、悲しいことが全てが詰まった本当に濃い4年間でした。大前さん(大前祐介監督、平17人卒=東京・本郷)、久保田さん(久保田裕是女子短距離コーチ、平24スポ卒=千葉・東海大浦安)、金井さん(金井直障害コーチ、令2スポ卒=神奈川・橘)をはじめとする監督・コーチ陣の方々、先輩方や同期、可愛い後輩に恵まれ、つらい時でも踏ん張ることができましたし、こんなに人に恵まれた競技生活を送ることができた私は幸せ者だと思います。そして4年間いつも側で支え合ってきた清水(羽菜、スポ4=東京・白梅学園)、津川(瑠衣、スポ4=東京・八王子)、星合(和美主務、商4=静岡・沼津東)には感謝の気持ちでいっぱいです。この3人がいたから折れずに頑張ることができました。この4年間で得た経験や、出会った方々をこれからも大切にしていきたいと思います。
――同期や後輩はどのような存在でしたか
特に最後の一年は、同期や後輩たちの存在が原動力になっていました。つらい時も、みんなと一緒に頑張りたい、みんなのために頑張りたい、と思わせてくれた同期や後輩には感謝してもしきれません。
――最後に後輩たちへのメッセージをお願いします
私の一番の原動力になってくれた後輩たちには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。全員が伸びしろのある選手なので、最後まで自分を信じて、どうか純粋に陸上競技を楽しむ気持ちを忘れずにいれるように切実に願っています。これから冬季練習に入りつらい時もあるかと思いますが、目標を常に忘れず、みんなで支えあい、高めあいながら取り組んでいってほしいです。私にとってはみんないつまでも可愛い後輩なので、原動力になってくれた分、引退してもつらくなったり悩んだりした時はいつでも頼ってほしいなと思います。陰ながらではなくずっと全力で応援しています!
清水羽菜(スポ4=東京・白梅学園)
――今日のレースを振り返って
前半で力を使ってしまい、ラストはバテバテでした。後半は歩数に余裕がありませんでしたが、ここで思い切らないと絶対に後悔が残ると思っていたので、頑張りました。8台目まで17歩、以降19歩という高校から変わらないレース展開を貫くことができて良かったです。最終ハードルからゴールまでの余力はほぼゼロでしたが、皆の声援に後押しされました。
――ラストレースを終えての感想をお願いします
ラストレースという実感がありません。しばらくして走りたくなる頃になって初めて、引退したんだという実感が湧いてくると思います。本当は自己ベスト更新するくらいの快走をしたかったんですが、清々しい気持ちです。両親が応援に来てくれていて、よく頑張ったと声をかけられた時は込み上げるものがありました。
――早稲田での4年間を改めて振り返って
同期の大半がそうだと思いますが、辛い事や苦しい時期の方が多かったです。私も走れるようになるまでの3年間は大変でした。支えて下さった全ての方々へ、感謝の気持ちでいっぱいです。
――同期や後輩はどのような存在でしたか
同期に関しては、決してすごく仲の良いわけではないと思いますが、私自身が助けられたことも多く、一人ひとりのことを尊敬しています。
――最後に後輩たちへのメッセージをお願いします
『無病息災』ですね。心も身体も元気で、頑張ってください!