ユニバ代表の二人が世界を体感! 実力者相手に充実のレースを展開

陸上競技

 『世界体感』ーー。今年もセイコーゴールデングランプリがやってきた。オリンピックメダリストをはじめとする世界のトップ選手が集うこの大会。早大からは、男子100メートルに井上直紀(スポ2=群馬・高崎)、男子3000メートル障害に菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)が出場した。

レース後、小池祐貴(写真手前、住友電工)と健闘を讃えあう井上

 昨年の世界陸上100メートル王者であるフレッド・カーリー(アメリカ)が参戦した同種目に出場したのは井上。今大会、関東学生対校選手権(関カレ)からの連戦ということもあり、疲労はあったという。それでも「勝ち切るつもり」で挑み、スタートから果敢(かかん)に飛び出す。しかし、中盤以降は、「スピードにのる場面でうまく走れなかった」とやや失速。それでもトップクラスを相手に堂々の走りを見せ、5着でフィニッシュした。タイムも10秒19と、自己ベストタイをマークしたが、決勝進出には、わずかに届かず。悔しさをにじませた。

 惜しくも予選敗退に終わったが、「いい感触を得られた」と、日本選手権に向けて弾みをつけられた試合でもあった。そして、井上が見据えるのは、2025年に東京で開催される世界陸上の舞台。今大会の経験は、今後に向けても間違いなく大きな一歩になったはずだ。

水濠を超える菖蒲

 男子3000メートル障害に出場したのは菖蒲。レースは東京五輪、世界選手権代表の三浦龍司(順大)、同代表の青木涼真(ホンダ)を中心に展開された。三浦を先頭に、1000メートルを2分47秒で通過する。このタイムは菖蒲にとって「自分のイメージ通り」。その後、集団は2つに分かれると、第2集団で展開をうかがう。大会前、「シニアの選手を相手にチャレンジしたい」と意気込んでいた菖蒲。自身の課題としている1000メートルから2000メートルでありながら、実力者の集うこの集団の先頭を引っ張る場面も多くみられる。ここで、「自分の走りやすいペースで走ることができた」。これまで、ラスト1周で会場を湧かせるスパートを見せてきた菖蒲。ここでも、自身の強みとも語る圧巻のスピードで駆け抜け、6位でフィニッシュ。タイムも8分31秒92と自己記録と早稲田記録を更新し、「こういう大会で、初めてしっかりと自分のレースをできた」と充実感に満ちた表情を見せた。

 両選手とも、世界の猛者たちを相手に、自分の力を遺憾(いかん)なく発揮した今大会。8月のユニバ(ワールドユニバシティゲームズ)にむけ、視界は良好だ。

(記事、写真 加藤志保、戸祭華子)

結果

▽100メートル

予選(2組3着+3)

井上直紀(スポ2=群馬・高崎)  10秒19(+1・7)(2組5着)

▽3000メートル障害

菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)  8分31秒92(6着)

自己新、早稲田新記録

コメント

井上直紀(スポ2=群馬・高崎)

――調子はいかがでしたか

 関東インカレ(関東学生対校選手権)から1週間後の試合だったので疲労を抜きながら調整を行いました。正直あまり良い状態ではありませんでしたが、できる限りの準備はできました。

――どのような気持ちで挑みましたか

 素晴らしい選手達と走ることのできる機会でしたが、その人たちに勝たないと世界はないので、勝ち切るつもりで挑みました。

――レースを振り返っていかがですか

 スタートからの前半はうまくいきました。しかし、思っていたよりも体が疲弊していたのか中盤からスピードののる場面で、うまく走ることができませんでした。

――惜しくも決勝進出はなりませんでしたが、タイムや結果についてはどのように受け止めていますか

 まず決勝に行けなかったことが非常に悔しいです。(10秒)1台くらいは出るとは思っていましたが、技術的にはもっと出ても良かったと思います。連戦の疲れが来てしまったので、日本選手権までにはしっかり戻せるようにしたいです。

――世界のトップ選手が集結した今大会の雰囲気はいかがでしたか

 たくさんの観衆の中で走ることができ、とても楽しかったです。カーリーと走ることはできませんでしたが、日本のトップと走ることができ、現在の自分の位置を知ることができました。

――今大会の経験を今後、どのようにつなげていきたいですか

 いい感触を得られた試合でした。悔しい結果となりましたが、日本選手権へ向けての自信にもなりました。日本選手権でしっかり戦えるよう頑張ります。

菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)

――まず、本日の調子はいかがでしたか

関カレ(関東学生対校選手権)からの連戦ではあったものの、疲労も抜けいい状態で臨めたと思います。

――国内外の選手と走る貴重な試合でした

なかなかない機会だったので、そこは楽しんで走ろうと思って走りました。

――会場の盛り上がり、雰囲気についてはどのように感じていましたか

スタート前からかなり声援を感じたので、いつもの試合と違うなというのは感じました。ですが、そこに負けないように集中しようと思っていました。

――実際のレースを振り返って

最初の1000(メートル)は自分のイメージ通りのタイムで走れました。1000(メートル)から2000(メートル)が課題だったので、そこでどれだけ耐えられるかと思っていました。いい感じに集団も分かれてくれて、自分の走りやすいペースで走ることができたので、うまくラスト1000(メートル)も切り替えることができたと思います。

――先日、「シニアの大会でチャレンジしたい」とおっしゃっていた中で、実際に第2集団の先頭を走る場面もありました

本当はもっとチャレンジして先頭集団に食らいつかないといけないと思いました。ですが、途中第2集団になったところでも、その中で勝たないといけないと思っていたので、そこは前の方を譲らずに走ることができたと思います。

――最後のスパートを振り返って

ラストスパートは自分の強みだと思っているのと、順位が大切になってくる大会だったので、できるだけいい順位を取ってポイントを稼ごうと思ってラスト動かしました。

――最後に今大会の収穫と課題をお願いします

こういう大会で、初めてしっかりと自分のレースをできたというのが収穫です。その中でも、まだチャレンジしきれなかった部分もあったので、そこは日本選手権までに修正して、日本選手権ではもっと前に行きたいと思います。