雨が降りしきる中、早大所沢キャンパスでTOKOROZAWAゲームズSpring 2023(TOKOROZAWAゲームズ)が開幕。1日目のこの日は、3000メートルと1500メートルが行われ、3000メートル1組では山口智規(スポ1=福島・学法石川)が7分台の好記録を出し、1着でフィニッシュ。1500メートルでは石塚陽士(教2=東京・早実)がハイペースに耐えながら3分49秒をマークし、早大勢トップでゴールした。
まずは3000メートルが行われた。1組では三浦龍司(順大)や吉岡大翔(佐久長聖高)など錚々(そうそう)たるメンバーがエントリー。早大からは、山口と伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖)がレースに挑んだ。最初の1000メートルは三浦、モゲニ(遊学館高)を先頭に2分37秒で通過し、ハイペースなレース展開となる。そこに、山口も伊藤も遅れることなく先頭集団に食らいつく。2000メートル付近で山口、モゲニの先頭争いが行われたが、ラスト1周で山口が引き離しにかかる。他の選手も粘ったが、「あそこで仕掛けないと勝てない」という強い意志でスパートをかけると、そのまま見事逃げ切り混戦を制した。一方の伊藤は2000メートル付近で遅れをとり11着でのゴールとなった。2組では濱本寛人(スポ3=熊本・宇土)、伊藤幸太郎(スポ1=埼玉・春日部)がエントリー。入り1000メートルを2分48秒で刻むも、残り4周で2人は先頭集団から遅れ始める。濱本が伊藤幸の後ろにピタリとついていたが、残り2周で濱本が伊藤幸を離し、8着濱本、9着伊藤幸でフィニッシュした。3組では小玉瑞葵(文2=福島・安積)と伊藤大河(教1=福島・会津)が出走。レースは小玉を先頭に大澤直紀(狭山ヶ丘高)、伊藤大河の3人で集団となった。2000メートルを6分00秒で通過すると、小玉と伊藤大河の先頭争いに。ラストの直線で小玉が伊藤大河に競り勝ち1着でゴールした。
山口はゴールの瞬間、渾身(こんしん)のガッツポーズ
続いて行われた1500メートルでは伊藤、石塚、菖蒲敦司駅伝主将(スポ3=山口・西京)らがエントリー。伊藤ら先頭集団は1周目を59秒で入り、伊藤が集団を引っ張るかと思いきや失速。ついていけずに途中棄権となった。その後、キムタイ(城西大)を先頭にレースが進み石塚、菖蒲も遅れることなく粘りの走りを見せる。そのまま石塚、菖蒲は先頭に食らいつ。「最後差し切れなかった(石塚)」と語ったものの、石塚が3着、菖蒲5着でレースを終えた。
常に集団前方で粘りのレースを見せた石塚
3月1日の早大競技会でトラックインした選手たち。冬が明け、本格的なトラックシーズンの開幕はもうすぐそこまで来ている。今回のレースで得た収穫と課題を胸に、各選手の見据える目標に向け調整を重ねる。
(記事 近藤翔太、写真 加藤志保、戸祭華子)
結果
▽1500メートル
石塚陽士(教2=東京・早実) 3分49秒35(3着)
菖蒲敦司(スポ3=山口・西京) 3分53秒03(5着)
諸冨湧(文3=京都・洛南) 3分54秒12(6着)
草野洸正(商2=埼玉・浦和) 4分04秒06(10着)自己新
伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖) 途中棄権
佐藤航希(スポ3=宮崎日大) 棄権
栁本匡哉(スポ3=愛知・豊川) 棄権
日野斗馬(商2=愛媛・松山東) 棄権
間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工) 棄権
山口智規(スポ1=福島・学法石川) 棄権
▽3000メートル1組
山口智規(スポ1=福島・学法石川) 7分57秒68(1組1着) 自己新
伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖) 8分16秒19(1組11着)
須山向陽(スポ1=鹿児島城西) 棄権
伊藤幸太郎(スポ1=埼玉・春日部) 8分43秒28(2組4着) 自己新
濱本寛人(スポ3=熊本・宇土) 8分46秒68(2組5着)
小玉瑞葵(文2=福島・安積) 9分00秒71(3組1着)
伊藤大河(教1=福島・会津) 9分06秒89(3組2着) 自己新
間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工) 棄権
菖蒲敦司(スポ3=山口・西京) 棄権
佐藤航希(スポ3=宮崎日大) 棄権
間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工) 棄権
コメント
▽1500メートル
菖蒲敦司駅伝主将(スポ3=山口・西京)
――今日のレースの位置づけを教えて下さい
シーズン一発目のセンゴ(1500メートル)ということで、タイムや順位というよりはスピードに刺激が入ればという思いで走りました。
――レース展開についてはいかがでしたか
大志(伊藤大志、スポ2=長野・佐久長聖)や、城西の選手が引っ張って走ってくれるというのは分かっていたので、どこまでハイペースに耐えられるかというレースをしようと思っていました。
――合宿の充実度はいかがでしたか
ずっと長い距離をやっていて、この合宿を境に一気にスピード重視に切り替えようと思っていました。2回あったポイント練習、どちらともいい内容で終えることができました。ですので、充実度は高かったのかなと思います。
――次のレースは何を予定されていますか
来週の六大(東京六大学対校)でサンショー(3000メートル障害)を走って、再来週の金栗(金栗記念選抜中長距離大会)ではセンゴ(1500メートル)を予定しています。
――タイムや順位の目標はありますか
前半(シーズン)の大きな目標として、学生個人(日本学生個人選手権)でユニバ(ユニバーシティーゲームズ)内定というのがあるので、タイムや順位というよりは、そこに向けていい刺激が入ればと思っています。
石塚陽士(教2=東京・早実)
――今日の調子はいかがでしたか
合宿明けではありましたが、そこから調子を上げてきて、悪くもなく良くもなく普通でした。
――今日のレースはどのような位置付けでしたか
2週間前に学生ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)があったのですが、全然調子が良くありませんでした。そこで一回心身ともに切り替えたいと思っていたので、センゴ(1500メートル)に出て、刺激を入れてから4月5月のトラックシーズンに入ろうと思って、1500を走りました。
――レースプランはどのように考えていましたか
先頭がそれなりに引っ張ってくれるということだったので、そこについて行き、最後どれだけ粘れるかというところでした。最後の直線が一番きつくなるところだと思うのですが、そこでどれだけ落ちずに行けるかということを狙って走りました。
――レースを振り返っていかがですか
目的通りと言いますか、刺激を入れて、最後粘るということができたので、そこに関しては良かったと思います。
――タイムや順位についてはどのように捉えていますか
タイムに関しては、(3分)50秒切り、48秒から50秒くらいだと思っていたので、そこに関しては良かったと思います。ですが、最後差しきれなかったので、そこはトラックシーズンに向けても改善していきたいです。
▽3000メートル1組
山口智規(スポ1=福島・学法石川)
――今日の状態はいかがでしたか
香港遠征から帰ってすぐに合宿に行ったので、疲労がある中でのレースになりました。
――今日のレースはどのような位置づけでしたか
5000メートルと主軸に今シーズンは戦っていきたいと思っているので、それに向けた3000メートルという位置づけです。
――レース序盤、先頭は三浦選手とモゲニ選手が引っ張っていましたが、どのようなことを考えて走っていましたか
とにかく三浦さんについていって、ラストチャンスがあれば自分のペースでいこうと思っていたので、仕掛けるまでは集団の中にいようと思っていました。
――2000メートル付近でモゲニ選手と先頭争いをし、その後先頭に立ちました。ここでスパートをかけるつもりだったのでしょうか
三浦さんがやっぱりラストすごいものを持っているので、そこで仕掛けないと勝てないと思ったので、思い切っていきました。
――三浦選手など名だたるメンバーの中、1着でゴールできたことを率直にどのように思いますか
高校在学中と大学入学してから1年間、日本トップの選手たちとなかなか勝負できたレースがなかったので、今回はしっかりと勝ち切りたいなと思っていました。また、学生トップや世界を目指すうえでしっかりとここで勝負しておきたいと思っていたので、勝ち切れてよかったと思います。
――次のレースの予定と意気込みをお願いします
次は金栗記念に出場する予定なので、そこでタイムももちろん、勝負にしっかりこだわってレースに臨みたいと思います。