春らしい陽気の中、第26回日本学生ハーフマラソン選手権が開催された。駒大の篠原倖太朗が他の選手を寄せ付けない走りで初優勝を飾った。早大の選手では、菅野雄太(教2=埼玉・西武学園文理)が自己ベストを1分近く更新したほか、伊福陽太(政経2=京都・洛南)や石塚陽士(教2=東京・早実)らもセカンドベストをマーク。各選手が、収穫と次の戦いに向けた課題を得られた大会となった。
チームトップでゴールした伊福
レースは、先頭が最初の5キロを14分45秒で通過するペースで進むと、10キロを過ぎてから先頭集団のペースが徐々に上がる。その後は、15キロ地点でスパートをかけた篠原が、最後まで先頭を譲ることなく、ゴール。ハーフマラソン日本学生記録保持者としての貫禄を見せつけた。早大勢は、10キロまでは先頭集団でレースを進めたが、10キロを通過後、徐々に先頭集団から脱落。その中で、伊福は「10キロから15キロで(先頭から)離れてしまったことが悔しい」と語ったが、後半は「大きく垂れることなく、ペースを上げられる」という自身の強みを生かす走りを見せる。公園内で複数の選手を抜き去り、チームトップとなる24位でフィニッシュした。自己ベストに近いタイムで走れなかった悔しさは残ったが、それでもセカンドベストとなる1時間3分28秒をマーク。一方、「前半かなり想定通りに走れた」という菅野は、レース後半、公園内に入ってからラップが落ちそうになったこともあったと言う。しかし、「きつい中でも粘ることができた」と、最後まで大崩れすることなくゴール。タイムも、1時間3分30秒で自己記録を更新した。そのほかの選手も、多くが自己ベストやセカンドベストをマークするなど、最後までそれぞれの力を出し切った。
菅野は自己ベストをマーク。「ベースが少し上がったことをしっかり認識できた(菅野)」
今大会では、伊福や菅野ら一般入試組の選手が、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)後も好走を続けるなど、チームとして明るい材料もあった。その一方で、「(箱根で)シード権ではなく、さらに上位を目指す上では、まだまだ全体として力不足」(菅野)と、駒大を含めた上位校との差を痛感した大会でもあった。本格的なトラックシーズンの幕開けももう間もなく。エンジが輝きを放つために、それぞれの選手が持てる力を発揮したいところだ。
(記事 加藤志保、写真 戸祭華子、加藤志保)
結果
▽男子ハーフマラソン
伊福陽太(政経2=京都・洛南) 1時間3分28秒(24位)
菅野雄太(教2=埼玉・西武文理) 1時間3分30秒(25位)自己新
石塚陽士(教2=東京・早実) 1時間4分34秒(85位)
辻文哉(政経3=東京・早実) 1時間4分43秒(91位)
宮岡凜太(商1=神奈川・鎌倉学園) 1時間5分09秒(125位)
草野洸正(商2=埼玉・浦和) 1時間5分15秒(136位)自己新
藤本進次郎(教1=大阪・清風) 1時間6分13秒(240位)自己新
和田悠都(先理2=東京・早実) 1時間6分25秒(263位)
門馬 海成 (政経1=福島・会津) 途中棄権
濱本寛人(スポ3=熊本・宇土) 棄権
栁本匡哉(スポ3=愛知・豊川) 棄権
伊藤幸太郎(スポ1=埼玉・春日部) 棄権
コメント
伊福陽太(政経2=京都・洛南)
――今日のレースの位置づけを教えてください
青梅マラソン後、自分の中で練習を積みたかったので、練習量を落とさずやってきました。(学生ハーフに)出るかどうかは決めていませんでしたが、1週間前くらいに花田さん(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)と電話で話をして、出ることになりました。しっかり順位が狙える状態ではなかったのですが、ある程度練習をしてきた中で、どれくらい走れるかを確認するという位置づけでした。
――調子はいかがでしたか
5日前くらいからは練習の強度を落としてきたのですが、調子が上がり切っていないという感じがありました。
――レースプランはどのように考えていましたか
どうせ出るのだったら、何かしらにチャレンジしたいなと思っていたので、始めのほうは先頭集団に着いてレースを進めたいと考えていました。
――実際のレース展開はどのように振り返りますか
先頭は5キロを14分40秒ちょっとで入って、そこにはつくことができました。5キロから10キロはちょっとペースが落ちたのですが、自分は7キロくらいでもうきつかったです。その中で先頭集団は10キロからペースを上げてきたので、ついていくことができませんでした。
――レースの後半についてはいかがですか
後半になっても、大きく垂れない、または上げることができるのが自分の強みだと思っていて、実際公園内に入ってか人を何人か抜くことはできました。10キロから15キロで前と離れてしまったことが、自分の中では一番悔しいです。守りに入ったというわけではないのですが、パッとしないレースになったのかなと思います。
――自身の結果についてはいかがですか
スタートラインに立った以上、自分のベストタイム近くでは走りたかったので、悔しいなというのはあります。逆にある程度練習を積んできた中でも、63分30秒くらいでは走れるのか、とは思いました。
――今日のレースの課題はありますか
上の選手との実力差はまだまだあるなと思います。優勝した駒大の選手や2位の中学大の選手は僕と同期ですし、今日出ていなくて強い選手もたくさんいます。今回、早大で僕が1番でしたが、三大駅伝を戦っていく中で、チームとしても個人としてもあまり良くないのかなとは思いました。
――トラックシーズンの目標をお願いします
現段階では、関カレ(関東学生対校選手権)のハーフマラソンに向けて、4月のトラックを頑張りたいと思います。やはりスピードもある程度ないと、ハーフの余裕度も全然違います。ですので、長い距離に対応できるようにしながらも、これからの1カ月はキレのある動きを高めることができるように、スピードの方に少し重きを置いてやっていきたいです。
菅野雄太(教2=埼玉・西武学園文理)
――今日の調子はいかがでしたか
今日の調子は、前回(3月1日早大競技会)のインタビューでも言ったのですが、2月の中旬まで少し調子を落としていて、復調途上という感じでした。ですが、先日の1万メートルでかなりいい刺激が入ったので、調子は悪くはなかったと思います。
――先日の1万メートルのレースから1週間ほどでしたが、疲労などはありませんでしたか
そうですね、1万も出し切ったというわけではないので、特にレース後も疲労感はなくて、そのままポイント練習とかにも参加できたので、疲労感的には問題なかったです。
――今日はどのような目標を立てていましたか
順位としては30番以内を目標にしていて、タイム的には63分半を切るぐらいを想定していました。
――このレースに向けてはどのようなことを意識して練習していましたか
正直、2月の中旬まで練習が積めていなかったので、溜めはありませんでした。ですが、ハーフは疲労とかがごまかせないと思うので、どちらかと言えば12月までの練習の溜めを信じて、疲労は抜いてという感じでやっていきました。
――レースプランはどのように考えていましたか
レースプランは、平均して3分のペースに収まればいいかなと思っていました。普段は後半ビルドアップのレース展開が多いのですが、相楽さん(相楽豊前駅伝監督、平15人卒=福島・安積)ともお話しした上で、引き出しも増やしたいなと思っていたので、最初はならしたペースよりも速いペースで突っ込むことができればと思っていました。30分を切るくらいで前半を通過して、後半も30分前後で耐えられればと思っていました。
――前半の走りは振り返っていかがですか
最初の1キロが、スタート位置の関係で少し出遅れてしまったのですが、そこから10キロまでは全部(1キロ)2分56、7秒で押して、通過タイムもそんなに遅くはないと思うので、かなり想定通りに走れたと思います。
――後半10キロ以降の走りは振り返っていかがですか
後半は、本当は3分のラップはかけたくなかったのですが、最初突っ込んだこともあって、思ったより公園内がきつく感じる所もありました。その辺りでラップもかなり落ちそうにはなったのですが、時計を頻繁に見ながら(1キロ)3分というのをベースに意識してやっていたので、そこまで大崩れはせずに、後半もきつい中粘ることができました。
――タイムは自己記録を更新されましたが、結果は振り返っていかがですか
箱根駅伝の(ハーフの)通過で、63分台がギリギリ出たので、63分台は絶対に出ると思っていました。ですが、やはり調子がいいわけではない状況だったので、練習の溜めがない中63分半で走れたのは自信になりましたし、順位を見ても、周りはそうそうたるメンバーが多いので、そういう観点では昨年と比較して、関東インカレとかの対校戦でも少しは通用するようになったのかなと思います。
――今日のレースで得られた収穫と課題を教えてください
収穫は、ベースが少し上がったことをしっかり認識できたことです。課題点は、レース後に相楽さんや花田さんとも話したのですが、やはり今回は突っ込むと言いつつも、最初の1キロが出遅れてしまったりという感じで、突っ込みきれていないところです。例えば、今年の箱根で同じ区間を走った国学院の選手のような突っ込みとかを考えると、もう少し経験が必要だなというのは思いました。
――チーム全体としては今日の結果をどのように受け止めていますか
(箱根で)シード権を狙うチームとしては、まずまずの出来と思うのですが、今年の目標はシード権とかではなくて、もっと上位を目指しているので、そう考えると、他大学で出走した選手を見ても、結構上位に固まっていたりという感じで、そういった面で層の薄さを痛感しましたし、まだまだ全体として力不足かなと感じました。
――今後に向けて一言お願いします
今回のレースは関東インカレも見据えて走ったのですが、関東インカレで、もしハーフを走ることになれば、しっかり入賞ラインを狙って、昨年よりもさらに飛躍していきたいと思います。