コロナ禍により中止が続いていた上尾シティハーフマラソンが実に3年ぶりに開催された。全体トップはボニフェス・ムルア(山梨学院大)の1時間1分17秒。涼しい気候、走りやすいコースも相まって日本人選手も1分台、2分台のタイムが続出。大盛り上がりの大会となった。
早大からは箱根駅伝のエントリー、そして出走を争う計10人が出場。チーム内トップとなった伊福陽太(政経2=京都・洛南)は大学生の部16位の1時間2分50秒をマーク。続いてチーム内2番手で辻文哉(政経3=東京・早実)が1時間3分56秒でゴールした。
東京箱根間往復大学駅伝競走予選会(箱根予選会)、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)で補欠だった伊福は「タイムを出さないといけない」という強い決意を持ってスタートラインに立った。序盤は位置取りに苦労し、先頭のペースにつくことができなったが、走りながらレースプランを上方修正し、ペースをじわじわとあげた。最後は実業団選手や留学生も抜き、1時間2分台でゴール。ハーフマラソンのタイムは部内2位に躍り出たが、「推薦組の人たちに割って入れるようにしたい」と謙虚に語った。
レース終盤、単独走で順位をあげた伊福
久しぶりの学外戦となった辻は1年次に日本学生ハーフマラソン選手権で出した自己ベストを更新した。「しっかり力を溜めて15キロ以降が勝負」とのレースプラン通り最初の5キロは1キロ3分前後のペースで刻む。しかし、「10キロ以降足が重くなった」と話す辻はペースダウン。ただ、そこから耐え続け1時間3分台でまとめてみせた。辻は1年次に全日本で好走したもののケガが重なり、それ以降の駅伝出走はない。箱根へ向けて頼もしい男が帰ってきた。
ゴールする辻
箱根出走ボーダー付近の選手が結果を残した一方で、伊福が「駒澤大の選手に割って入るだけの力はなかった」と話すように他大学との力量差も鮮明になった。いざ箱根駅伝へ、上位校に近づくためにボーダー層の底上げは必要不可欠だ。箱根まで残り1カ月強。今日のレースの収穫と課題を胸に、選手たちは己の走りを磨き上げる。
(記事 飯田諒、写真 梶谷里桜、及川知世)
結果
▽ハーフ大学生の部
伊福陽太(政経2=京都・洛南) 1時間2分50秒(16位)自己新
辻文哉(政経3=東京・早実) 1時間3分56秒(64位)自己新
栁本匡哉(スポ3=愛知・豊川) 1時間4分30秒(88位)自己新
宮岡凜太(商1=神奈川・鎌倉学園) 1時間4分35秒(91位)初
和田悠都(先理2=東京・早実) 1時間5分14秒(119位)初
須山向陽(スポ1=鹿児島城西) 1時間5分57秒(151位)初
草野洸正(商2=埼玉・浦和) 1時間6分09秒(157位)初
門馬海成(政経1=福島・会津) 1時間6分35秒(173位)初
濱本寛人(スポ3=熊本・宇土) 1時間7分41秒(196位)自己新
伊藤幸太郎(スポ1=埼玉・春日部) 1時間10分00秒(232位)初
小指卓也(スポ4=福島・学法石川) 棄権
安田博登(スポ4=千葉・市船橋) 棄権
藤本進次郎(教1=大阪・清風) 棄権
コメント
辻文哉(政経3=東京・早実)
――今日のコンディションはいかがでしたか
箱根予選会(東京箱根間往復大学駅伝予選会)前後は、少し足に不安があったので、少し練習を抑えていたのですが、それ以外9月に入ってからは、ある程度ハーフに向けた練習ができていたので、ぼちぼちいい感じだったと思っています。
――今日のレースプランはどのように考えていましたか
15キロ以降が勝負かなと思っていましたが、実際は集団に人がかなり多かったです。入りの5キロが、14分57秒くらいだったと思うのですが、そんなに速くなかったので、しっかり力を溜めて、15キロ以降で(ペースを)上げようかなと思っていました。
――実際にそのレースプラン通り走れましたか
10キロ過ぎくらいからは、少し(足が)重くて、15キロ以降は少し耐えるような形になってしまったのですが、18キロくらいから、少し自分で(前を)追いに行けたという点はよかったかなと思っています。
――今日のタイムや結果についてどのように考えていますか
63分台でしっかりまとめきれたら、ぎりぎり及第点かなとは思っていたので、(今日のタイムは)想定内というか、悪くはないくらいの感じだと思っています。
――今後に向けて一言お願いします
今日、結構伊福(陽太、政経2=京都・洛南)に差をつけられてしまったのが悔しいところではあるのですが、逆に彼くらいの練習がしっかりできればあれくらいのタイムが出るだろうという、1つの指標になるんじゃないかと思うので、いいライバルというか、いい目標として、箱根(東京箱根間往復大学駅伝)まではしっかりあれくらいのタイムで走れる力をつけていきたいと思っています。
伊福陽太(政経2=京都・洛南)
ーー東京箱根間往復大学駅伝予選会(予選会)と全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では当日メンバーから外れてしまいましたが、最近の調子はいかがですか
予選会の時はメンバーの流れで練習をやっていたのですが、全日本はスピードとかを見た時に上でやっている選手のほうが全然力があったのでほぼほぼ走らないということは決まっていました。練習でいうと別のことを一人でやっていて、逆に一人で淡々と走る練習ということを周りが全日本の調整をしている中でもやっていたので、そういった練習の成果が今日出たのかなと思います。今日も集団でなくずっと一人だったので、一人で自分のペースで走るということはできたかなと思います。その練習があったからできたのだと思います。
ー-メニューは一人で考えていたのですか
メニュー自体は花田さん(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)の指示があって、完全に別の練習をやっていたという感じです。
ー-今大会の位置づけを教えてください
箱根駅伝までは1カ月半で、アピールの場がここしかなかったので、タイムを出さないといけないということはありました。しかしあまりに気負いすぎても(身体が)固くなってしまうので、2日前くらいは緊張していたのですが、花田さんが「練習通りにやればそれなりのタイムが出ると思う」と言っていて、ここ2日くらいは楽しんで練習通りに走ろうと思えるようになって、スタートも割と安定した気持ちでできたかなと思います。
ー-今日のレースプランはどのように考えていましたか
走る前までは前半を速めに入って、10キロから15キロを少し抑えて、最後上げていけるようなレースが出来たらいいなと思っていたのですが、スタート位置が少し悪かったことと、思ったより道路が狭い中で人が多かったことで前半でかなりゆっくり入ってしまったので、焦りもありました。しかし10キロを通過した段階でかなり余裕があってそこからだんだんとペースを上げていくことができたので、走りながら3キロごとに目標(タイム)を調整しました。元々が63分台が出ればいいなと思っていたのですが、15キロ地点で63分30秒を切れるかなと思い、残り3キロくらいでもしかしたら62分台出るかなと思ったので、走りながら目標を修正しつついきました。
ー-走り出してから身体の動きが良いと思ったのですか
ずっと調子は良くプラスで調整をしてきたので、調子は悪くないかなと思いました。
ー-今日出した62分台というタイムはいかがですか
周りが結構速く、駒澤大の選手が集団で走っていたのですが、そこに割ってい入れるような力はまだなかったのかなと感じました。ですが、チームの平均的な部分の底上げにはなったと思いますし、当初の目標よりも速いのでそこに関しては良かったです。
ー-箱根駅伝や今後に向けて一言お願いします
早稲田は人がいないということをよく言われていて、実際今日の手駒の数を見てもらったらわかると思うのですが、箱根で上位に食い込んでくるようなチームよりかは(選手層が)薄く一人のケガがチームにとって痛いものになるので、ケガせずに残りの1カ月半練習をして推薦組の人たちに割って入れるようにしたいなと思います。