暑い、アツい戦いが11日で幕を下ろした。日本学生対校選手権(全カレ)最終日は早大選手たちが躍動。田中天智龍(スポ3=鹿児島南)が男子400メートル障害を制し、男子4×400メートル(マイル)リレーも早大記録にわずかと迫る好レースで2位。男子200メートルでも主将の三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二)が3位に入るなど、この日だけで早大勢の表彰台が3回。対校得点も大幅に伸ばした。
競技3日間を終え、最終結果は男子総合6位、トラック順位は2位。チームとしての目標であった男子総合優勝には届かなかったが、選手たちは3日間を戦い抜いた達成感に満ちた表情でたけびしスタジアム京都を後にした。
マイルリレーの表彰式で撮影に応じるマイルメンバーとそれに参加する主将の三浦
(記事、写真 及川知世)
★三浦は「やれることはやった」3位 西も4位で3年連続の早大勢ダブル入賞(男子200メートル)
近年、学生大会のみならずグランプリ等の大会でもエンジに白のWのユニフォームが決勝で複数並ぶ男子200メートル。今大会でも早大3選手、三浦励央奈主将(スポ4=神奈川・法政二)、澤大地(スポ4=滋賀・草津東)、西裕大(教3=埼玉・栄東)が全員予選を余裕の組トップで通過するなど存在感を見せつけた。準決勝のレース中に澤が脚を痛め、悲願の「3枚残し」にはまたも1ピース揃わなかったものの、決勝では三浦が3位、西が4位。3年連続のダブル入賞で早大男子200メートルの強さを示した。
三浦はこの種目で資格記録ランクトップ。最後の全カレ、そして個人タイトルを争う競技生活ラストの大会で、もちろん優勝は狙っていた。準決勝を全体トップで通過して迎えた決勝のレースは、序盤より一つ外側のレーンの木村(明大)が先行。食らいつくようにしてホームストレートに入ると、今季多くのレースで競り合っているライバルの鵜澤(筑波大)が後ろから追い上げる。最後は鵜澤、木村に続く3着でゴール。得意の後半に順位を上げた西は三浦と0・01秒差の4位に入った。
レース後、ビジョンに映し出されたレースのリプレイ映像を最後まで見つめた三浦。大会終了後、まず口にしたのはやり切った清々しさだった。西も「その時できる一番の走りはした」とレースを振り返る。ともに前日の4×100メートルリレーにも出場し、悔しさも味わった今大会の三浦と西。最終日の200メートル決勝まで戦い終えた2人の顔には、充実感と少々の疲れが見えた。
レース後、リプレイ映像をともに見つめる三浦(左)と西
(記事、写真 及川知世)
★灼熱の5000メートル 終盤に意地は見せる(男子5000メートル決勝)
男子5000メートルには井川龍人(スポ4=熊本・九州学院)、山口智規(スポ1=福島・学法石川)が出走し、それぞれ16位と19位でゴールした。
灼熱の太陽がジリジリと肌を焼き付ける厳しいコンディションの下、2人はスタートラインに立った。2人はスタート直後から集団の中盤で、1000メートルあたり約2分46秒のペースを刻んだ。しかし、3000メートルに差しかかるところで山口が先頭集団から遅れた。その後すぐに集団のペースが上がると、ここまで先頭集団に食らいついていた井川も離されてしまった。だが、ここで簡単には引き下がらず、気温が30度を超える厳しい暑さの中でも、ラスト1000メートルはスパートをかけ、ペースを上げてフィニッシュ。井川は16位、山口は19位でのゴールとなった。
ともに持ちタイム通りの満足いく結果ではなかったが、合宿の合間で、暑さ等のコンディションも厳しい中、最後はペースを上げるなど意地も見せた2人。今後の駅伝シーズンではもっと良い走りを見せてくれるだろう。
苦しい表情でゴールする井川
(記事 浦野莉緒、写真 加藤志保)
★田中が再び自己ベストを更新し、初優勝を飾る!(男子400メートル障害)
今年も大量得点が期待された男子400メートル障害(ヨンパー)。早大からは部内選考を勝ち抜いた後藤颯汰(スポ4=長崎・五島)、田中天智龍(スポ3=鹿児島南)、盛岡優喜(スポ1=千葉・八千代松陰)の3人が出場。田中は順当に決勝へと駒を進めたが、後藤と盛岡はそれぞれ組3着、5着となり予選敗退に終わる。決勝では、田中が最後の接戦勝負をものにし、初優勝を飾った。また、田中の優勝で男子ヨンパーは、昨年の山内大夢(令4スポ卒=現東邦銀行)に続き早大勢が2連覇を果たした。
「必ず全員で決勝に残る」ーー。男子ヨンパー陣は強い決意で2日目の予選に挑んだ。先陣を切ったのは対校戦初出場となるルーキー盛岡。前半から積極的に攻めたが、法大の黒川らを相手に後半遅れをとるかたちに。組5着でのフィニッシュとなった。続いて登場したのは田中。周りを寄せ付けない圧巻の走りを見せ、タイムも自己ベストに迫る49秒47をマーク。全体トップのタイムで決勝進出を決めた。早大勢最後の登場となった後藤は、前半から快調に飛ばしたが、10台目付近で失速。最後は2人に抜かれ、この組3着でゴール。タイムは50秒58のセカンドベストをマークしたが、無念の予選敗退となった。
翌日に行われた決勝。田中は、京都に来ることができなかった仲間たち、そして決勝に残れなかった2選手の分まで優勝すると意気込んで臨んだ。前半こそ慶大の豊田に先行を許すが、得意の後半から徐々に前との差を詰める。8台目を過ぎてからも余力があったという田中は、最終10台目のハードルを越えてから豊田とのデッドヒートを制し、見事に初優勝を飾った。タイムも2週間前に出した自己記録をさらに上回る49秒20をマーク。ゴール後はガッツポーズも飛び出すなど喜びを爆発させた。
優勝した田中は、5月の関東学生対校選手権(関カレ)ではケガの影響もあり予選敗退に終わったが、その後は調子を取り戻し、8月に入ってからは立て続けに自己ベストを更新。そして迎えた全カレでも、予選から自己ベストを狙いにいく強気の姿勢を見せ、決勝でも持ち味を存分に発揮して初優勝を果たすなど、成長著しい。今季の男子ヨンパーブロックは最上級生の後藤を中心に田中、盛岡を含め全員で切磋琢磨し合いながら、課題を克服し、飛躍を遂げる。この1年の集大成となる全カレでは、ブロック最大の目標であった「全員で決勝に残ること」は達成できずに終わり、「すごく悔しい」思いもした。うれしさ、悔しさ、全てを味わった今年の全カレは幕を閉じた。
ゴール後ガッツポーズをする田中
(記事 加藤志保、写真 及川知世)
★川村が6位入賞 連覇はならずとも収穫のあるレースに(女子400メートル障害)
女子400メートル障害(ヨンパー)には大川寿美香(スポ1=東京・三田国際)、川村優佳(スポ3=東京・日大桜丘)、津川瑠衣(スポ3=東京・八王子)が出場。昨年に続く全員での決勝進出が期待されていたが、大川と津川は予選敗退。唯一決勝に進出した川村は6位入賞を果たした。
予選に最初に出場したのは大川。初めての全カレとなる中で、前半を順調にこなしていたが、最終カーブでスピードダウン。ホームストレートに5番手で入り、最終的に組6着でレースを終えた。1年次以来の全カレヨンパー出走の津川は5組目に登場。中盤で遅れをとり、勢いを取り戻すことができないまま組7着、決勝進出を逃した。一方、予選4組に登場した川村は序盤より他を寄せつけないスピードでレースを展開。圧倒的1位で予選を通過。ディフェンディングチャンピオンの風格を見せつけた。
決勝では「前半スピードを出して、後半はその流れで走る」というレースプランを考えていた川村。しかし、想像以上に前半のピッチが上がってしまい、一時は上位に躍り出たものの、後半で失速。59秒20を記録し、6着でフィニッシュを迎えた。しかし、「前半がここまでうまくいけたことは初めて」と次につなげる収穫もあったようだ。
昨年の全カレでは3枚残しを達成し、圧倒的な力を見せつけた女子ヨンパー勢。しかし「先輩たちが引き継いでくれてきたものを、残せていない」と川村は語り、自分たち3年生がより引っ張っていきたいと意気込んだ。インターハイ上位の成績を引っ提げて、鳴り物入りで入学してきた3年生も来年がラストイヤー。思いを新たに、更なる高みを目指して、進んでいく。
10台目の障害を越える川村
(記事 湯口賢人、写真 戸祭華子)
★全カレで躍動、早大マイルに新風(男子4×400メートルリレー)
5月に行われた関カレで7位に沈んだ4×400メートル(マイル)リレー。その雪辱を果たすべく、眞々田洸大(スポ2=千葉・成田)、新上健太(人3=東京・早実)、藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館)、竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵)というオーダーで選手権獲得へ向けて走り出した。予選では危なげない走りで決勝進出を決め、決勝では一時は首位に立ちレースを盛り上げたものの、筑波大にアンカーで交わされ惜しくも2着となった。
新上、竹内は大会1日目に行われた400メートル予選で自己ベストを更新。マイルリレーへの期待が大きく高まることとなった。大会2日目に行われた予選。スタート直後から早大は圧倒的な速さで首位につけ、その後も首位をキープ。3分7秒56をマークし、他大を大きく離す1着でゴールした。8月からの新オーダーで難なく決勝進出を決めた。
翌日、今大会最終種目として行われた決勝。全カレを締めくくる選手の走りに会場中が注目した。1走眞々田は予選であったバトンミスを見事に修正し、着実に2走新上へと走りをつなげた。新上は序盤6番手あたりにつけ、300メートルあたりから大きく加速。一気に順位を上げ、2位で3走藤好へとバトンをつないだ。2位でバトンを受けた藤好は先頭を走る筑波大の選手につき、様子を伺う落ち着いた走りを見せる。300メートルあたりで、スパートをかけ首位へと躍り出た。バトンは4走の竹内へとトップで渡された。竹内は1番に渡されたバトンに「気持ちが先行した」と言う。後ろから選手が追ってくる中首位を死守したものの、ラスト50メートルで筑波大に交わされ2位でゴールした。最後は競り負けたが、今シーズンから始まった4人で紡いできた走りで大幅なタイム更新となる3分4秒79を記録した。
今シーズン初めから、同じ4人でつないできたバトン。関カレで悔しさの残る結果になろうが、偉大な早大のエースたちから実績が劣っていようが、4人一丸となって努力を重ね、速さに磨きをかけてきた。全カレという大きな舞台で約3秒のタイムアップを成し遂げたことは、早大マイル勢にとって今後の大きな糧となるだろう。この4人のマイルは右肩上がりで進化を遂げている。早大マイル勢は来年新たな歴史をつくるべくまた熱い1年を駆け抜ける。
表彰式でメダルを掲げるマイルメンバー
(記事 堀内まさみ、写真 及川知世)
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結果
3日目
▽男子
▽200メートル
準決勝
(3組2着+2)
西裕大(教3=埼玉・栄東) 21秒16 (−1・0)(1組2着)決勝進出
澤大地(スポ4=滋賀・草津東) 21秒36 (−1・0)(1組7着)
三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二) 20秒86 (+0・4)(2組1着)決勝進出
決勝
三浦 20秒76 (+1・6)(3着)
西 20秒77 (+1・6)(4着)
▽5000メートル
決勝
井川龍人(スポ4=熊本・九州学院) 14分26秒29(16着)
山口智規(スポ1=福島・学法石川) 14分30秒32(19着)
▽400メートル障害
決勝
田中天智龍(スポ3=鹿児島南) 49秒20(1着)自己新
▽4×400メートルリレー
決勝
早大 3分4秒79 (2着)
▽女子
▽200メートル
準決勝
(3組2着+2)
鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東) 24秒86(-1・6)(1組5着)
山越理子(人1=東京・富士) 24秒93 (-0・9)(2組6着)
▽400メートル障害
決勝
川村優佳(スポ3=東京・日大桜丘) 59分20秒(6着)
コメント
▽男子
▽200メートル
三浦励央奈主将(スポ4=神奈川・法政二)
――大会を終えての率直な感想をお願いします
案外清々しいです。
――心残りはありますか。やり切った感の方が強いですか
やり切った感です。心残りは無いです。
――大会前はどういったイメージでしたか
大会前のイメージと比べると全然ダメです。
――調子はいかがでしたか
調子は良いけど、イメージとは全然違います。
――それは結果についてですか
結果に対しての理想と実際の結果が全然違いました。
――結果というのは順位ですか、それとも自分のパフォーマンスですか
順位です。
――自分のパフォーマンスはいかがでしたか
自分のパフォーマンスは悪くなかったです。できることはしました。
――100メートルの自己ベストについてはどう捉えていますか
もう少し出たかなという感じはします。
――まだ後100メートルを走る機会はありますか
早慶戦で走ります。タイムは出したいですけど、あまり欲張らずに。
――生涯ベストが10秒32だとしたらどうですか
俺の車のナンバープレートが1032になります。100メートル10秒台と200メートル20秒台だったら100メートルの方が凄さがわかりやすいので。
――100メートルの、準決勝敗退という結果についてはいかがですか
決勝に残りたかった気持ちも当然あるのですが、僕以上に強い選手が決勝の枠8枚以上いたという現実がそこにあったので、受け入れることに切り替えました。その後4継もあったので、あまり引きずらないように切り替えました。走り自体は悪くなくて、タイムも10秒32で、動画を見た時に「ここをこうしてたら決勝行けたじゃん」みたいなところがあまり無くて、普通に自分より足の速い人が8人以上いたという感じです。
――200メートルの3位という結果については率直にいかがですか
当然勝負の世界だし、最後なので勝ちたいなという気持ちはあったのですが、自分が3番で鵜澤(飛羽、筑波大)が勝って、案外清々しさの方が大きかったです。10年間陸上をやって、200メートルを8年くらいやって、楽しかったなあという思いは強いです。100メートルと一緒なのですが、振り返って「あーここの動きが」とか「ここの展開がもう少しこうだったら」とか考えるよりも先に、ゴールして3番目に自分の名前がポーンと出た時に、「良い競技の良い種目に出会えたな」と、「鵜澤ありがとう」と思いました。
――走り自体は納得のいく走りでしたか
そうですね。
――チームの結果についてはいかがですか
難しいよね。長距離がエントリーするかどうかなど色々ありましたが、取りこぼさないようにするって難しいです。速さはあるけど残る強さが無いとか、俺もランキング1位だけど3番だし、そういう速さとはまた違う強さが早稲田大学には足りないんだよ、って言われたような結果になった感じがします。
――後輩たちに来年以降、どのようなことを期待しますか
関東インカレから比べて、(後輩たちは)だいぶ頼もしくなったなと思っていて、僕がああした方がいい、こうした方がいいとか言わずとも、自分たちが作りたいチームを作ってもらって、上手い方向に進んでいくのでは無いかなと勝手に思っていますし、そっちの方が上手く行きそうな気がします。
西裕大(教3=埼玉・栄東)
――まず、今大会の調子はいかがでしたか
最初の日の時点で身体が軽くて脚がどんどん進む感覚がありました。逆に身体が軽すぎていつもと違いコントロールが難しいくらいに調子はすごく良かったです。
――まず、余裕を持った走りで1着で通過した予選を振り返ってください
予選は相当余裕があって、カーブ抜けの時点で自分が明らかに一着だったので、そこからはその日の4継(4×100メートルリレー)の決勝に備えるではないですけど、軽く行きました。
――続いて準決勝のレースについて振り返っていかがですか
準決勝の進出条件は2組3着+2なので最悪組5着まで、組3着に入れれば絶対に行けます。前半でガツンと行くというよりは、僕の持ち味である後半をしっかり走るために、前半はついて行って後半でしっかり3着を取りに行こうと思っていました。カーブ抜けの時点で電光掲示板を見ながら走っていたら、明らかに自分が2位だと分かったので、1位になるというよりは確実に2位をキープする走りをしました。
――決勝のコンディションはいかがしたか
4継と200メートルを2本ずつ走っていたため、相当疲れやハムストリングスの痛みなどを抱えながらではありました。ですが、調子自体は悪くなかったですし、自分は浪人していて、三浦さん(三浦励央奈主将、スポ4=神奈川・法政二)などの同い年の人たちと本気で戦うのはこれが最後の機会なので、最後絶対勝ってやるという気持ちで決勝に向かいました。
――関カレ(関東学生対校選手権)のときからおっしゃっていたハムストリングスの痛みは今大会いかがでしたか
前と比べて良くはなりました。日本選手権のときに痛みでダメになってしまって、その後は長めに休んでもう一回積み直して、全カレだけを目標にやってきたので、しっかりピーキングは全カレに合っていたのかなと思います。
――決勝のレース全体の走りを振り返ってください
横のレーンが鵜澤(飛羽、筑波大)で、その1つ外のレーンが三浦さんで、その外のレーンに木村(稜、明治大)がいて、視界の端に自分より先に行っているのが分かったので、取り返そうと思ってちょっと力んでしまったところはありました。レース全体として考えたときに、今思えば改善できるところはいっぱいあったとは感じましたが、そのときできる一番の走りはしたのではないかなと思います。その上で、鵜澤や木村には力負けしたし、三浦さんにはトルソーで0・01秒の負けという結果になり、これが実力と思いました。
――改善できる点というのはどのようなものですか
前に行かれても焦らずに力まないとか、もう少し最後に脚が動いたのではないかとかもっとスタート出れたのではないかとかです。たらればでしかないですが、それがあったら逆にもっと順位が上がったかもしれないし逆に下がったかもしれないと感じています。
――最後に、全カレで個人種目に出場したのは初めてですが、大会全体を振り返ってどのように感じていらっしゃいますか
楽しかったですが、悔しさのほうが大きいです。僕は4継の4走を任せてもらったのに、筑波大を抜けきれずに三浦さんと澤さん(大地、スポ4=滋賀・草津東)を負けさせてしまいました。また、僕の一番仲が良かった先輩で4継を二連覇した佐野陽さん(令4スポ卒)や、良くして頂いた松本さん(松本朗氏、令4スポ卒)と三浦さんと澤さんの4人が繋いできた二連覇というバトンを自分が途切れさせてしまったという悔しさや情けなさ、自分の練習に甘さがあったのではないかとか、色々思うところはあります。200メートルは、もっと自分が速くならなければいけないなという結果だと感じています。やれることをやった上で不甲斐なさ、情けなさ、弱さを実感しました。来年は個人、リレーともに優勝できるよう頑張ります。
▽400メートル障害
田中天智龍(スポ3=鹿児島南)
――予選の前に男子の選手3人で何か言葉を交わしましたか
去年から1年間、(女子も含めて)6人で絶対に残ると言っていて、後藤さん(颯汰、スポ4=長崎・五島)がちょっと硬かったので、僕が「やりますよ!」って言って、僕が走った後も後藤さんが見えたので鼓舞しあってスタートしました。
――予選の走りを振り返っていかがですか
予選は、土曜日、日曜日で一本一本だったので、結構流している選手もいたんですけど、僕は最初から流す気はなくて、ベストを狙いに行く気持ちでいって、結果が49秒47でセカンドベストだったので、それは結構周りの選手にプレッシャーを与えることができたと思って、決勝に挑みました。
――一緒に切磋琢磨してきた後藤選手と盛岡選手(優喜、スポ1=千葉・八千代松陰)は予選敗退という結果に終わりましたが、それについてはどのように思いますか
本当にみんなで、このためにやってきたではないですけれど、6人で絶対(決勝に)残ろうというので、結果は結果なのですごく悔しかったですが、その分僕が優勝しないとなという気持ちになりました。
――予選から決勝に向けて何か修正したことはありますか
本当にもう同じというか、レースパターンも同じ感じでいくことに加えて、内側に黒川(法大)、豊田くん(慶大)がいたので、間違いなく来ると想定して、僕は後半に自信があるので、捕らえられる場所で8台目を迎えるというのだけですね。あとはもう同じ感じで、8台目入った時にちょっと開いているかなと思ったのですが、僕は余力がまだあったので、「行ける!」と思って頑張りました。
――ゴールしたときの気持ちはいかがでしたか
信じられなくて。動画を見たら分かるんですけど、(優勝が)僕か分からなかったんですよ、最初。横見て、「俺だ!」と思って、本当に良かったです。やっぱり京都に来られなかった新井(公貴、スポ3=神奈川・逗子開成)とか金本(昌樹、スポ2=東京・日大桜丘)もいるので。後藤さんに召集前に、「俺に金メダルをかけてくれ」というクサイ言葉を言われて、絶対にかけようと思ってスタートラインに立ったのでそれを達成できて本当にうれしいです。
――タイムも自己ベスト更新されましたがそれについてはどう思いますか
さっき金井コーチ(金井直氏)とも話したのですが、49秒20というタイムは悪く言えば何にもつながらないタイムで、世界陸上選手権標準は48秒70で、そこを見据えて、レース展開はこれを確立して、この質をどう上げていくかというのを考えて冬季練習をやっていきたいです。
――来年以降に向けて意気込みをお願いします
まずは、後藤さんが抜けて僕がヨンパーを引っ張らないといけないので、常々みんなには言っているのですが、ヨンパーの早稲田でないといけないと僕は思っているので、来年は必ず6人決勝に残って、2連覇を目指していけたらいいなと思います。
▽4×400メートルリレー
新上健太(人3=東京・早実)、竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵)、藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館)、眞々田洸大(スポ2=千葉・成田)
――予選を圧倒的な速さで通過されましたが、どう捉えていましたか
新上 他大の顔ぶれと(決勝進出条件が)0+8着ということもあり、圧倒的なレースをしないと予選は通過できないだろうということで、想定通りというか、事前に話していました。それぞれが決められたラップタイム通りに走ることが目標だったので、その結果予選のようなレースができました。
――事前に圧倒的なレース展開にしようと考えられていたということですか
眞々田 設定タイムを作って結果的に圧倒的になったという感じです。
――大会2日目、3日目のコンディションはいかがでしたか
眞々田 僕は3人の先輩方と違いマイルに専念というかたちで、予選も非常に身体の調子がよくて大前(祐介、平17人卒=東京・本郷)監督から設定されたタイムをしっかりときることができたので、予選の走りは自分の中で評価していいかなという感じでした。決勝の身体のコンディション的には若干疲労はありましたが、アップのときに動きを確認したら予選のいい感覚のままアップができたので、今日もしっかりタイムを狙えるんじゃないかなという身体の状態にはできていました。
新上 北麓(富士北麓ワールドトライアル)から200メートルの自己ベストが出て、1日目の400メートルもベストだったので、マイルの予選はベストラップに近いタイムで走ることができるだろうと思っていました。1走から2走のバトンで僕の出るタイミングがかみ合わなくて、ロスをしてしまったので、そこさえ修正できればというイメージがありました。3日間通してずっと身体のコンディションはいい状態で走ることができました。
藤好 マイルの予選で400メートルの疲労が結構溜まっていて、1本しか走っていないのに疲労と少し熱中症のような状態になり、身体的にも昨日はきつかったです。今日は昨日より体調的にもよくて、昨日の分の脚が残っているくらいで、なんとなくいけるかなという気持ちはありました。
竹内 僕は個人の予選で自己ベストを出すことができて、決勝は2本目で自己ベストを出したときに力を使ってしまい、両ハムつりそうになったまま走りました。つらずに最後まで走ることができましたが、次の日のマイルの予選で筋肉痛がひどかったです。予選は危なげなく通過でき、今日は予選よりは筋肉痛もだいぶ収まりましたが、万全とは言えない状態でした。その状態の中でどれだけ戦うことができるか、そこがまだ自分が本数をこなせないところが弱く、最後に抜かれないような走力が自分にはなかったのかなと思うので、これからは日数を重ねて走る力と個人の自己ベストを1本走る力も高めていきたいと思います。
――決勝はどのようなレース展開を考えられていましたか
新上 4走に東洋大の中島選手が置かれることは想定していたので、竹内に渡す時点で東洋大と15メートル差をつけようという意識がありました。これは予選からそれを想定したレースをしようとタイムを設定していました。決勝では予選から1段階上げるという目標があり、タイム通りにいけば確実に東洋大と15メートル差つけられるだろうと考えていました。基準のタイムが大前監督から与えられていたので、ひたすらそれ通りで走ることに徹するというイメージで走りました。
――決勝の走りを振り返っていかがでしたか
眞々田 1走として1番で渡す、リードをつけて渡すことが最低限の役目だと思います。予選からラップはあげられたものの、大前監督から設定されたラップに少し足りなくて、かつ走り的にも後半少し固まって、まだまだ課題のある走りになってしまいました。自分の中で理想としていた走りにならなかったという部分が大きく、もう少し前の位置で渡すことができたらよかったという悔しさが個人的にあるレースでした。
新上 予選でバトンのミスがあったのでそこは確実に修正しようと、アップの段階から確認しながらやっていました。そこはうまくバトンの受け渡しができました。2走はコーナーからオープンになって位置取りが始まる区間です。最初の200メートル地点で先頭に立てなかったので、2走としての役割というのは果たせなかったのかなと思います。それでも個人でしっかり力がついていた分、だいぶ早い段階から前にしかけることができたので、そこは今大会の収穫なのかなと思います。
藤好 新上がかなり前の方でバトンをつないでくれたので、前にいた筑波大にしっかりついて、竹内に先頭で渡さないといけないなという意識がありました。何度か前に出ようかと悩みましたが、250メートル地点まで筑波大の後ろにつき、残り100メートルで前に出たら先行して渡せるかなという感じがあり、そのイメージの走りができたことはよかったです。ラスト50メートルくらいで動きが止まってしまったので、そこが課題としてあったのかなと思います。
竹内 3人が1着でつないでくれたバトンだったので、気持ちが先行してしまって、リラックスはしていましたがスタートからいつもより固い動きになり、追いつかれないように速いスピードで行こうと走りながら思っていました。いつもスパートがラスト120メートルくらいですが、ラスト130メートルくらいで足音が聞こえて、もう行っちゃえという感じで行って最後に抜かされてしまいました。今後、レースプランをうまく考えて絶対抜かされない、1着で渡されたら1着で帰って来られる選手にならないといけないなと思いました。
――藤好選手は300メートル地点で先頭に立たれましたが、そのために余力を残していたという感じですか
藤好 余力を残していたというより、ずっとそこまで前の筑波大の選手のスピードを使って走っていたという感じだったので、自分で走ってないという感じでした。
――ここまで1年間4人でやってきた4×400メートルリレーを振り返っていかがですか
眞々田 六大(東京六大学対校)で4人でマイルを組ませてもらい、最初は優勝というかたちでスタートできましたが、3分9秒89でそれぞれ課題のある走りとなり、関カレ(関東学生対校選手権)では7位で悔しい思いもしてきました。練習の取り組み方や大前監督やコーチの方々の支えやご指導があり、確実に個々の力があげられて、今リレーというものにつながってきたと思うので、1年間通して上り調子、右肩上がりで上がっていっているチームだと思います。もう1年このメンバーでリレー組めるので、今後の自分たちに期待できますし、今回は2位という記録だったので悔しさがもちろんありますが、楽しみという気持ちがあります。
新上 僕と藤好は去年からマイルの6人に入っていて、昨年の予選は走って決勝は200メートルの澤(大地、スポ4=滋賀・草津東)さんや西(裕大、教3=埼玉・栄東)が走って、竹内も眞々田も昨年は一緒に来ていましたが、なかなかマイルには出場できませんでした。そのメンバーが今年の春先にあった六大からマイルメンバーとして起用し続けていただき、監督やコーチ陣の方々に期待というか信じてもらえたということが、記録が上がっていった要因だと思います。同じメンバーでずっと試合に出るというのはこれまでの早大ではなかなかない、そのときに勝っていた選手を起用していて、400メートル陣だけでマイルを組むことがなかなかありませんでした。それを今年はこの4人で体現できたというのが、シーズンを通して記録を上げ続けた、しっかり戦う力がついた要因なのかなと思います。
――これからの目標や意気込みをお願いします
藤好 今回2位という結果で終わってしまったので、これから3週間後の日本選手権リレー、そこで1位を獲るというのが直近の目標です。また、来年の関カレや全カレで優勝を狙っていけるように個々でもチームでも、しっかりタイムを上げていけたらなと思います。
新上 今大会早稲田記録を狙っていましたが、そこに届きませんでした。今年は早稲田記録で来年は学生記録を狙うと大前さんから言っていただいているので、そこに応えられるように残りの日本選手権リレーで早稲田記録を更新して、来年3分3秒台の学生記録を更新できるように同じメンバーでやっていきたいなと思います。
竹内 直近の日本選手権リレーで今大会の修正点を活かして優勝して、日本一になって、いい雰囲気で冬期に入りたいです。今年、メンバーの自己ベストのアベレージが上がったので、冬期で来シーズンに向けてしっかり蓄えて、全員が46秒前半や45秒をもっているようなかたちで、関カレや全カレに挑めるようにします。
▽女子
▽400メートル障害
川村優佳(スポ3=東京・日大桜丘)
――今日の予選を含めたレースを振り返って、気候など外的コンディションはどうでしたか
京都は蒸し暑くて、日差しが強いなと感じました。
――結構バテたりしましたか
バテないように日陰でアップしたりなど工夫をしました。
――競技に挑む前の身体的な調子はいかがでしたか。
直前の1週間前まで疲労はありましたが、何とか抜けて、本番は結構身体が動いていました。
――ヨンパー(400メートル障害)の予選、決勝を振り返っていかがだったでしょうか
日本選手権では、後半は走れましたが、前半に全然スピードが出せなかったことが課題だったため、今回は、前半にスピードを出して後半もその流れで走れるようにというレースプランを組み立てていました。予選は、しっかり前半に(スピードを)出せて、後半は9台目、10台目は間延びしてしまったんですけど、決勝に向けての感触を感じることができました。決勝は、自分の感覚的に、ピッチを上げてつまらないようにすることを意識していましたが、前半かなりピッチが上がってしまっていて、後半に余力を残せずに、後半が良く走れなかったというのが今回のミスだと思っています。しかし、前半がここまで流れよく行けたことは初めてだったので、後半をより走れるようにして、今後の試合に繋げていきたいと思いました。
――決勝などで隣の選手を意識されたりとか、そういうことはされましたか
自分の思い描くレースができれば勝てると思っていたので、あまり他の選手を意識することはしていませんでした。
――前回王者として望んだ心境や、プレッシャーなどはありましたか
プレッシャーなどは特になくて、私自身、昨年の全カレ(日本学生陸上競技対校選手権大会)は、実力と実績の差を感じてしまって、実際、関本さん(萌香氏、令4スポ卒)の方が実力が上でしたし、津川(瑠衣、スポ3=東京・八王子)なども出れていなかったため、優勝したけど悔しかったですし、自分の実力で勝ったと言えるような優勝ではありませんでした。しかし、2連覇はもちろんしたいと思っていて、今回は優勝できるという自信を持ちながら優勝しようと思っていたので、特にプレッシャーなどはなく、それを糧にしようという感じでやっていました。
――前半シーズンにおいて課題があったと思うのですが、夏合宿を通して解決されたりしましたか
夏合宿では坂練習が多かったので、その坂練習で遊脚の使い方を考えたり、(その遊脚を)体に叩き込んだりして、練習でもトラックの走りを最後まで崩さないことを意識しました。また、スピードが足りなかったので、スピード練習を取り上げたりしました。
――昨年の全カレは3枚残しを達成しましたが、今回の全カレは川村選手のみの決勝進出でした。これからの早稲田のヨンパーにおける課題や、必要なことはありますか
今回は、田中(天智龍、スポ3=鹿児島南)が優勝したのが大きかったのですが、やはり、みんなヨンパーの先輩たちが引き継いでくれてきたものを、今しっかり残せていないと思うので、みんなで走力を磨いたりだとか、あとは、チーム力をさらに上げたりなどして、ヨンパーが一致団結して頑張っていきたいと思っています。
――最後に、これからの個人としての意気込みをお願いします
個人では、来年は日本選手権優勝と、この大会でしっかり56秒台を出して優勝したいです。
――4×400メートルリレー(マイル)はいかがでしたか
今まで早稲田のマイルはメンバーが少なかったため、個人競技がある中で予選、決勝の組み合わせが大変だったんですけど、今回は1年生の層が揃ってきて、1年生が頑張ってくれたため、すごく頼りにしています。来年も同じメンバーで走れるということで、しっかり私と津川の3年生は一緒に引っ張っていきたいと思います。
――ヨンパーをメインにやられていて、その後でマイルの練習であったりとか、そのあたりの棲み分けたりなどはしているのですか
セット走などの練習メニューの際にバトンを持って、バトンを繋いで走ったりするなどバトン練習を意識はしていたので、そういう練習をまた今後も取り入れて、マイルの練習もしていきたいと思います。