学生日本一を決める舞台、日本学生対校選手権(全カレ)が9日からたけびしスタジアム京都で行われている。息の詰まるような蒸し暑さと時折の降雨の中競技が行われた大会1、2日目。早大勢の上位進出が期待された種目も多く行われたが、入賞は3種目にとどまった。関東学生対校選手権(関カレ)で入賞しており、今大会でも上位進出が期待された男子110メートル障害の池田海(スポ2=愛媛・松山北)、女子800メートルの新田望(スポ1=神奈川・法政二)らは予選で敗退。3連覇が懸かった男子4×100メートルリレー(4継)も筑波大に敗れ、無念の涙に暮れた。
一方で、2日目に予選が行われた男子200メートル予選では出場3選手全員が余裕の組1着通過。4×400メートルリレーも全体2位で翌日の決勝に駒を進めるなど、明るいニュースもあった。最終日はエンジの逆襲に期待だ。
表彰式で銀メダルを首に掛けた4継メンバー
(記事 及川知世、写真 戸祭華子)
★好記録も1歩及ばず、全員決勝進出を逃す(男女100メートル)
男子100メートルには、三浦励央奈主将(スポ4=神奈川・法政二)、稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟)、島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東)の3人、女子100メートルには鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東)、山越理子(人1=東京・富士)の2人が出場。三浦、島田、鷺が準決勝まで駒を進めたが、決勝進出とはならなかった。
女子100メートル予選は今大会の最初の種目として行われた。鷺は危なげない安定した走りを見せ組3着でゴール。着順で準決勝進出を決めた。初の全カレとなったルーキー山越は12秒19の組4着で予選敗退となった。午後に行われた準決勝では、鷺は2組に登場。久々の11秒台となる11秒92をマークしたが、決勝進出は叶わず。準決勝で姿を消した。
続いて行われた男子100メートル予選。部内トップの記録を持つ稲毛は10秒57で予選落ち。三浦と島田はともに組2着で準決勝進出を決めた。準決勝では、三浦は自己ベスト、そして早大歴代10位タイとなる10秒32、島田はセカンドベストの10秒40という好記録をマーク。しかし10秒30以下でなければ決勝進出できないというハイレベルな戦いでは力及ばず、決勝進出を逃す結果となった。
男子100メートル準決勝のレースを走る三浦
(記事 堀内まさみ、写真 及川知世)
★PB更新が止まらない400メートル陣 竹内が6位入賞!(男子400メートル)
新上健太(人3=東京・早実)、竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵)、藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館)の3選手が男子400メートルに出場した。新上と藤好は予選敗退、竹内は決勝で6位の成績を残した。
最初に出走した新上は自身よりも資格記録が速い選手が3人もいる中で、2着でフィニッシュ。46秒91を記録し、大舞台での自己ベスト更新を達成。それに呼応するかのように、続く組の竹内も46秒65の自己ベストを叩き出し、同じく2着でレースをまとめ上げた。本レースでは予選各組1着と2着以下のタイム1位のみが決勝に進出できるため、竹内が新上の記録を上回ったこの瞬間に、新上の予選敗退が決定。竹内は最後まで自身のタイムを上回る2着以下の選手が現れず、決勝戦へのチケットをものにした。
決勝戦での竹内は勢いをもってスタート。序盤は好調な出だしかと思われたが、バックストレートで他の選手の先行を許してしまう。何とか最終コーナーで追い上げ、懸命な走りを見せたが、6着でゴール。初めての全カレを終えた。
2人が自己ベストを更新するなど、調子の良さが伺える早大400メートル選手陣。その中で新上は悔しい予選敗退だったが、間違いなく決勝でも輝ける力を持っていた。出場した3選手はまだ来年もチャレンジの機会が残っている。次の全カレでは更に成長した姿を見せてくれるはずだ。
決勝のレースでゴールする竹内
(記事 湯口賢人、写真 川上璃々)
★女子は予選で、今季好調の筒井は準決勝で散る(男女800メートル)
男女800メートルには、早大から3選手が出場した。女子は、ラスト全カレの髙田真菜(商4=東京・早実)と、関カレ5位入賞の新田望(スポ1=神奈川・法政二)が登場。2選手とも、残念ながら予選敗退という結果に終わった。続いて行われた男子には、こちらも関カレ8位入賞の筒井航佑(スポ2=愛知・時習館)が登場。タイム順で予選を通過するも、決勝の舞台には届かなかった。
大会2日目の午前中に予選が行われた男子800メートル。日体大の選手を先頭に54秒で通過した1周目で、筒井はまず2番目に位置し好機をうかがう。7月のホクレン・ディスタンスチャレンジでは、課題としている500メートル過ぎからギアを上げ、早大歴代5位のタイムを樹立した筒井だったが、今回はその再来とならず。追い上げにくい内側に位置してしまったことも相まって集団を抜けられず。その後、600メートルすぎに仕掛けるも、 4着でのフィニッシュとなった。予選全8組のうち、各組2着とタイム上位8人に与えられる予選通過は厳しいと思われたが、8枠目に滑り込み準決勝進出を決めた。
準決勝のレースでは、スタートから積極性を見せ、最初の100メートルで先頭に立つ。53秒で通過した400メートル過ぎ、集団が2つに分かれると、筒井は後ろ3人に。500メートルすぎから猛烈にスパートをかけるも、1度開いた差は大きく、先頭を捉えることはできず。5着でのフィニッシュとなり、本大会の目標を表彰台と定めていた筒井にとって、悔しい敗退となった。
自己記録を大幅に更新し、エンジデビューと対校戦デビューを果たした筒井。好調のシーズンで唯一目標達成に至らなかった全カレの悔しさを糧に、来季以降よりパワーアップする姿から目が離せない。
準決勝のレースを走る筒井
(記事 戸祭華子、写真 及川知世)
★諸冨粘りの走りを見せるも、昨年の借りを返せず惜しくも5位 (男子3000メートル障害)
男子3000メートル障害決勝には、昨年4位の諸冨湧(文3=京都・洛南)が出場した。終始集団前方で粘りの走りを見せたが、惜しくも、昨年と同様表彰台には届かず、5位に終わった。
レースについて「プランは特になく、流れに沿っていこうと思っていた」という諸冨。最初の1000メートルを先頭と約1秒差の4位で通過し、落ち着いた走りを見せる。しかし、集団が2000メートルを通過する前にレースが動く。黒田朝日(青学大)を先頭に集団がばらけ始めると、先頭のスピードアップについて行けず、先頭集団から差を広げられる。ラスト2周で青学大の選手にかわされると、先頭をとらえることはできず。その後は、「ラスト1周の余力はそこまでなかった」と、追い上げを見せることはできず。悔しい5位でのフィニッシュとなった。
今後の目標について、「箱根予選会(東京箱根間往復大学駅伝予選会)をしっかり走り、通過すること」と話す諸冨。昨年の箱根でメンバーに入れなかった悔しさを胸に、日々の練習により一層力が入る。
障害を越える諸冨
(記事 草間日陽里、写真 湯口賢人)
★3連覇叶わず、涙の2位(男子4×100メートルリレー)
「3連覇」。この言葉を掲げて挑んだ男子4×100メートルリレー。予選、決勝とオーダーを変えず1走から三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二) 、池淵秀(法3=京都・洛南) 、澤大地(スポ4=滋賀・草津東) 、西裕大(教3=埼玉・栄東)の4人が出走。全体2位で予選を通過し、迎えた決勝。予選でも先着された筑波大を抑えることができず無念の2位に終わった。
関カレからメンバーを変えて臨んだ今回のレースだったが、初日に行われた予選は安定したバトンパスと走りを見せ、難なく決勝進出をきめた。翌日、決勝レースに緊張した面持ちで登場した4人。1走三浦のスタートから勝負が始まり、池淵、澤とバトンは繋がるも、4走の時点で順位は3位。西の懸命な追い上げで2位に順位を上げるが、優勝には届かず3連覇達成とはならなかった。
2着でゴールする西
ゴール後、涙する4人を出迎えたのは早大の仲間たち。優勝には届かなかったものの、3連覇という偉業に向かって走った4人の健闘を讃えたい。4継メンバーの三浦、澤、西は最終日に控える200メートル準決勝の進出を決めている。屈辱を晴らすこの後の彼らの快走に期待だ。
レース後にチームメイトに迎えられる4継メンバー
(記事 川上璃々、写真 及川知世)
結果
1日目
▽男子
▽100メートル
予選
(9組2着+1)
稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟) 10秒57 (ー1・2)(3組4着)
三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二) 10秒40(ー0・9)(5組2着)準決勝進出
島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東) 10秒52 (ー1・1)(9組2着)準決勝進出
準決勝
(3組2着+2)
三浦 10秒32(+1・2)(1組5着) 自己新
>
島田 10秒40 (+0・6)(3組6着)
▽400メートル
予選
(7組1着+1)
新上健太(人3=東京・早実) 46秒91 (1組2着)自己新
竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵) 46秒65(2組2着)自己新 決勝進出
藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館) 47秒37 (6組3着)
決勝
竹内 47秒36(6着)
▽110メートル障害
予選
(5組2着+6)
池田海(スポ2=愛媛・松山北) 14秒20 (ー2・2)(1組4着)
▽3000メートル障害
決勝
諸冨湧(文3=京都・洛南) 8分49秒58 (5着)
▽4×100メートルリレー
予選
(8組0着+8)
早大 39秒36 (3組2着)決勝進出
▽棒高跳
平川巧(スポ4=静岡・磐田南) 記録なし
▽女子
▽100メートル
予選
(7組3着+3)
鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東) 12秒04 (-0・8)(3組3着)準決勝進出
山越理子(人1=東京・富士) 12秒19(-1・1)(4組4着)
準決勝
(3組2着+2)
鷺 11秒92 (+0・4)(2組4着)
▽400メートル
予選
(5組1着+1)
新田望(スポ1=神奈川・法政二) 57秒50(1組6着)
2日目
▽男子
▽200メートル
予選
(6組2着+4)
西裕大(教3=埼玉・栄東) 21秒21 (-1・0)(2組1着)準決勝進出
澤大地(スポ4=滋賀・草津東)21秒07(-0・6)(3組1着)準決勝進出
三浦 21秒 07(-0・1)(6組1着)準決勝進出
▽400メートル障害
予選
(7組1着+1)
盛岡優喜(スポ1=千葉・八千代松陰) 52秒51 (2組5着)
田中天智龍(スポ3=鹿児島南) 49秒47 (3組1着)決勝進出
後藤颯汰(スポ4=長崎・五島) 50秒58 (4組3着)
▽4×100メートルリレー
決勝
早大(三浦―池淵―澤―西) 39秒09 (2着)
▽4×400メートルリレー
予選
(8組0着+8)
早大(眞々田―新上―藤好―竹内) 3分7秒56(1組1着)決勝進出
▽800メートル
予選
(8組2着+8)
筒井航佑(スポ2=愛知・時習館)1分51秒92(3組4着)
準決勝
(3組2着+2)
筒井 1分53秒54(1組5着)
▽女子
▽200メートル
予選
(6組2着+4)
鷺 24秒59(+1・2) (2組3着)準決勝進出
山越 24秒79(+1・2)(1組3着)準決勝進出
▽400メートル障害
予選
(5組1着+3)
大川寿美香(スポ1=東京・三田国際学園) 61秒46 (3組6着)
川村優佳(スポ3=東京・日大桜丘) 59秒72 (4組1着)
決勝進出
津川瑠衣(スポ3=東京・八王子) 64秒90 (5組7着)
▽女子800メートル
予選
(7組3着+3)
新田 2分12秒29 (2組5着)
髙田真菜(商4=東京・早実) 2分17秒90 (4組8着)
▽1万メートル競歩
決勝
木村和(人4=秋田・横手) 50分00秒80 (12着)
▽4×400メートルリレー
予選
(5組1着+3)
早大(山越―川村―清水――津川) 3分43秒77 (3組3着)
▽走高跳
決勝
山田実来(人4=神奈川・桐光学園) 1メートル65 (22位)
コメント
▽3000メートル障害
諸冨湧(文3=京都・洛南)
――今日はどういうレースプランでしたか
特になく、レースの流れに沿っていこうと思っていました。
――今日の調子はいかがでしたか
そこまで悪くなかったです。
――今日の目標と結果についての感想を教えてください
表彰台は目標にしていました。序盤から動きが固く、そのままずるずる中途半端な走りになってしまったと感じています。
――ラスト1周の余力はどうでしたか
そこまでなかったです。
――今期初めての3000メートル障害の手応えはいかがでしたか
障害を飛ぶ感覚はそこまで悪くなかったように感じました。
――最後に、今後の目標、駅伝シーズンへの抱負をお聞かせください
箱根予選(東京箱根間往復大学駅伝予選会)をしっかり走り通過した上で、全日本(全日本大学駅伝対校選手権)、箱根本戦とチームの戦力として戦えるように一日一日大事に過ごしていきたいです。
▽4×100メートルリレー
三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二)、澤大地(スポ4=滋賀・草津東)、西裕大(教3=埼玉・栄東)、池淵秀(法3=京都・洛南)
――率直に2位という結果をどう受け止めますか
三浦 これが勝負だなー、勝負の世界だなーってめちゃくちゃ思いました。
――去年のチーム状況と比べて今回のチーム状況はどうでしたか
三浦 ちょっとバトンワークのところで不安な要素は去年よりどの区間も多かったと思うのですが、それでもあんまりそこに対して気にしすぎることなくシンプルにつないで走ってつなぐっていうサイクリングの一周を意識していました。雰囲気は悪くなかったです。みんなが同じ方向を向いて1年間練習できましたし、3連覇っていう簡単じゃない目標だったと思うのですが、それに向かって結構本気になってやれていたので。チームとしての雰囲気もそうですし、各個人の状態も良かったかなと思います。
――この走順が決まったのはいつですか
西 予選当日ですね。予選の日に決まって決勝の日も変えるか変えないか迷っていました。
――どのあたりを変えようとしていたのですか
三浦 池淵か稲毛(碧、スポ3=新潟・東京学館新潟)か。
――調子が良い方というかたちですか
三浦 誰を使うのかっていうのはコーチングスタッフさんが決めるので、それに従って調整しました。
――予選と決勝で変えたことありますか
三浦 各区間のバトンで予選にもたついたところがあったので、そこを修正できるようにしていました。
――予選を終えて2位通過という結果をどう皆さんで受け止めていましたか
澤 多分どれだけバトンミスっても組で1番だとは思っていたのですが、筑波大が抜けてちょっと気持ち焦った感じです。
――筑波大はあまりマークしていなかった感じでしたか
澤 筑波大はそんなに。東洋大とか日大かな。
――他大の結果を踏まえて変えたことや修正したことはありますか
澤 筑波大はバトンがうまくはまって流れていたので、バトンをうまくはめてあとは最後勝ちたい気持ちが強い方が勝つのかなと思っていました。
――では、決勝の敗因は何だと考えますか
澤 総合力じゃないかな。うまくはまった方でチームベストですし、39秒09ってここ数年で1番早いと思いますし、みんな走れたし、バトンもうまくいったのですが、筑波大の方が勝って(まさって)いました。
――西選手と池淵選手は来年に受けて抱負をお願いします
西 総合力と先ほど澤さんが言っていましたが、僕ら2人が4年生2人を負けさせてしまったというのは2人の意見としてあって、めちゃくちゃ悔しい思いもしたし、めちゃくちゃ泣きました。ここ2人と稲毛がこれまで引っ張ってくださった2人(三浦、澤)を負けさせてしまったと思っているので、この3人でもう1回チームを作りなおして澤さんたちに育てていただいた自分たちが来年こそ表彰台の1番上に立てるように頑張りたいです。
池淵 その通りですね。自分これぐらいで走れたらいいなというラップタイムは大まかに走れて、予選よりタイムも上がったのですが、それでも自分の両隣にいた2人は世代トップで、今回僕は大学で初めて2走を走ったのですが大学の2走って、今までやってきた高校とかと違って本当に日本のトップが集まるので、今回稲毛があまり調子が上がりきらず、自分が穴埋めという形で入らせてもらい、胸張って早稲田のエース区間務める気持ちで行けなかったですし、結果も力負けしてしまいました。来年はこの2人が引っ張ってきたようにどんな区間でも勝ちきれるチームを作っていくと同時に、自分自身も速くなりたいなと思います。
――池淵選手は初の大きい対校戦のリレーでプレッシャーは感じていましたか
池淵 あんまり感じているっていうのはなかったです。3連覇と言われていてそれも考えてはいましたけど、走る前に三浦さんが「守る立場じゃない、俺らは挑戦者だから」っていうお話をされて、3連覇に向けて一つの走順を任されたという責任を感じると同時に、守る立場じゃないとは分かっていました。なので、大きなプレッシャーとかではなかったですが、招集場抜けていろんなチームがいる感じたことのない緊張感とか、リレーの決勝はインターハイでも行っているのですが、そんなレベルじゃない本当にどのチームも命かけてやっているっていう雰囲気の中で手が震えたり、顔が引きつったりっていう頭で考えているよりは体に出ていたとは思うので、プレッシャーも感じていたんだろうし、緊張もしていたのかなと思います。
――4年生から来年以降のリレーに向けて後輩へメッセージをお願いします
澤 それはもう優勝してほしいと思っています。今回2人とも全カレ(日本学生対校選手権)で4継走ることが初めてだったと思うので関カレ(関東学生対校選手権)と全カレでやっぱり雰囲気は違って全カレの方が雰囲気は高まりますし、緊張感も関カレ以上にあると思うので、その全カレの決勝の舞台を経験した2人がチームの中心になって、稲毛とか島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東)とか千田杜真寿(スポ2=茨城キリスト教学園)とかもっといるのですが、その人達が中心になって強いチームを作ってほしいなと思います。