2年ぶりの開催となった富士北麓ワールドトライアル。過去には日本記録も誕生したこの大会で、早大の選手が躍動した。
早大勢最初の出場となったのは男子200メートル。午前に第1レース、午後に第2レースが行われ、400メートルを主戦場とする新上健太(人3=東京・早実)が今季3度目の自己記録を更新。澤大地(スポ4=滋賀・草津東)がシーズンベストをマークしたほか、三浦励央奈主将(スポ4=神奈川・法政二)も20秒7台の好タイムを2本そろえた。
シーズンベストの20秒95をマークした澤
続いて行われた男子100メートルには、稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟)、島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東)、井上直紀(スポ1=群馬・高崎)、寺澤大地(スポ1=京都・洛南)の4人が出場。午前の第1レースでは、6組に登場した寺澤が自己ベストを更新する10秒52をマークした。午後の第2レースは、全員が同じ組での出場となり、井上が組トップとなる10秒57でフィニッシュした。
第2レースで1着となり笑顔の井上(中央)と同じレースを走った早大選手3名(手前)
また、男子400メートルでは竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵)が自己ベストを更新。最終4組に登場した竹内は、先頭が45秒台でフィニッシュするハイペースな展開となったが最後まで食らいつき、先月更新した自己記録をさらに100分の1秒更新する46秒79をマークした。「底力はついてきている」と話す竹内の自己記録をはじめ、藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館)がシーズンベストタイ、眞々田洸大(スポ2=千葉・成田)もセカンドベストをマークするなど、多くの選手が好調さをアピール。今季自己記録ラッシュに沸いている400メートルだが、「全カレ(日本学生対校選手権)でも自己ベストを出す」(竹内)と、まだまだ上を見据える。
400メートルのレースを走る竹内
さらに男子400メートル障害でも田中天智龍(スポ3=鹿児島南)が早大歴代4位となる好記録をマークした。先日の日体大競技会で49秒71の自己ベストをマークした田中は、前半落ち着いて入り、6台目を過ぎたあたりから徐々に順位を上げる。最後は接戦を制し、この組1着でゴールした。自己記録を更新し、全体でもトップとなる49秒45をマークした田中はレース後「うれしい」と語り、笑顔が見られた。それでも、「前半もっとスピードに乗ればまだまだタイムが出る」と前半での走りを課題に挙げた田中。「一番の目標である」全カレに向けて残り2週間、己の走りにさらなる磨きをかける。
400メートル障害のレースを走る田中
今大会、出場した全ての種目で自己記録更新者が出た早大短距離ブロックは、全カレに向けて大きな手応えをつかむことができただろう。勝負の全カレまでは残り約2週間。ここからはいよいよ最後の仕上げに入る。
(記事 加藤志保、写真 及川知世)
結果
▽男子100メートル
第1レース
稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟) 10秒51 (+0・0)(1組5着)
島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東) 10秒52(+0・0)(2組3着)
井上直紀(スポ1=群馬・高崎) 10秒57 (ー1・6)(4組1着)
寺澤大地(スポ1=京都・洛南) 10秒52(+1・5)(6組1着)自己新
第2レース
井上 10秒57 (ー1・1)(6組1着)
稲毛 10秒58 (ー1・1)(6組2着)
寺澤 10秒69 (ー1・1)(6組5着)
島田 10秒69 (ー1・1)(6組6着)
▽男子200メートル
第1レース
三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二) 20秒72(+0・6)(1組2着)
西裕大(教3=埼玉・栄東) 20秒96(+0・6)(1組4着)
澤大地(スポ4=滋賀・草津東) 20秒95(+0・2)(2組2着)
千田杜真寿(スポ2=茨城キリスト教学園)21秒29(+0・2)(2組4着)
新上健太(人3=東京・早実) 21秒15(ー0・1)(3組1着)自己新
▽男子200メートル
第2レース
千田 21秒33(+1・5)(3組4着)
三浦 20秒75(ー0・7)(4組3着)
澤 21秒06(ー0・7)(4組6着)
西 21秒17 (ー0・7)(4組7着)
▽男子400メートル
藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館) 47秒04(3組1着)
眞々田洸大(スポ2=千葉・成田) 47秒36(3組3着)
村木渉真(スポM2=愛知・千種) 48秒51(3組6着)
竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵) 46秒79(4組5着)自己新
新上健太(人3=東京・早実) 棄権
▽男子400メートル障害
田中天智龍(スポ3=鹿児島南) 49秒45(3組1着)自己新
コメント
▽男子400メートル
竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵)
――今日の目標はどのように設定していましたか
46秒5以下は出そうと思っていました。3日前の刺激でタイムは良かったのですが、自分の調子が良くなくて、今日もそこまで調子が良くない中で最低限の走りをして0・01秒ながら自己ベストが出たので、全カレではそこをしっかりはめて、自己ベストを更新して決勝に進むという流れでいこうかなと思います。
――合宿の疲労などはありましたか
合宿は調整の合宿だったので、そんなに疲労はない感じで、いつもと違った感じで調整ができたので、それで記録が出たのはうれしいです。
――本日のレースを全体的に振り返って、どう評価しますか
さっきも言ったように主観的には全然良くなくて、あんまりタイムも良くないのかなと思ったら、タイムが0・01秒出たので、底力的なものはついているのかなと思います。
――タイムについては率直にどう感じますか
タイムについては、安心30、不安70です。
――その不安というのは
不安は、底力はついて46(秒台)がコンスタントに出せるようになったんですけど、ここから全カレまであと2週間ではめていかないといけないのと、はまらなかったらまた同じようなタイムが出ちゃうので、しっかりはめられるのかなというか、その不安があります。
――残りの2週間で強化していくところや、やりたいことはありますか
今日の動きを見て、空中の動作がバラバラだったので、そこの主観と客観を合わせられるように練習でビデオを見て、毎回自分の走りをチェックして主観と客観を照らし合わせてやっていこうかなと思います。
――最後に全カレの目標を改めてお願いします
まずはベストを出して決勝進出して、そこからはもう一本勝負で1位を目指して走れるように頑張ります。
▽男子400メートル障害
田中天智龍(スポ3=鹿児島南)
――今日のレースを振り返って率直にいかがですか
多分僕の人生の中で一番、社会人の有名な方と走れる大会だったので、もうずっとワクワクしていました。走る前も「走りたい、走りたい」という気持ちが先行していたので、落ち着いていこうと思ったら、思いのほか落ち着きすぎて、前半離されすぎたのですが、後半は自信があったので、6台目あたりから「よし行こう」と思って。1周を通しての流れは良かったんですけど、前半がちょっともたついた部分があるので、それを全カレまでに修正したいなと思います。
――今日の調子はいかがでしたか
良くはなかったです。あくまでも全日本インカレが一番の目標なので、調整をほとんどせずに挑んだ試合だったので、もう一本49秒出れば100点だなと思っていました。
――自己ベスト狙いというわけではないということですか
タイムは全く狙っていなかったです。
――49秒45というタイムについては率直にどう感じますか
うれしいです。
――全カレに向けて修正したいところや強化していきたいとこを教えてください
前半、流れとしてはいいので、それをどうもっとリラックスした中で前半スピードに乗れるかというところで、今日は乗れていなかったので、そこを修正すればまだまだタイムが出るかなと思います。
――もっとタイムを上げるとなった時に縮めるのは前半ということですか
そうですね。僕の中で前半に対して苦手意識があるので、さっき金井コーチ(金井直氏、令2スポ卒)とも、前半苦手という意識ではなくて、後半が強いという意識に変えて、前半しっかり組み立てていこうと話したので、前半の苦手意識を少しでも減らして、後半の自分の強みを生かせる前半にしたいと思います。