『漢』の称号を茂木がもぎ取った!!

陸上競技

  2日後に東京箱根間往復大学駅伝(箱根)を控える中で、早大所沢キャンパスでは年末の風物詩ともいえる『漢祭り』が開催された。早大からは5000メートル1組、1万メートル1組に10人の選手が出場。1万メートルで茂木平(スポ4=東京・早実)が30分11秒41の早大トップでゴールし、2021年の『漢』に輝いた。

5000メートルを走る草野

 5000メートルには早大から5人が出場した。2周目で早くも集団が分かれると、草野洸正(商1=埼玉・県浦和)は先頭集団の後方に食い込んだが、佐藤皓星(人4=千葉・幕張総合)らはおのおののペースでレースを展開。2500メートルで草野は徐々にペースダウンすると、集団から離され、追いつくことを繰り返した。3000メートルを過ぎると集団がばらけ、辻文哉(政経2=東京・早実)小玉瑞葵(文1=福島・安積)相川賢人(スポ1=神奈川・生田)佐藤皓の並走がトラック上で目立つようになった。

 早大トップでゴールしたのは1年生の草野。最後の漢祭りとなった4年生の佐藤皓は全体21位、早大勢5位という悔しい結果に終わった。レース後、佐藤皓は「もうちょっとましな走りができていたら。悔しい気持ちが大きい」と振り返った一方で、「4年間の悔しさを今後の人生に生かしたい」と前向きに語った。

笑顔でゴールする茂木

 1万メートル1組には、早大から5人が出場した。他大学の選手が3名飛び出す中、早大勢は大きな第2集団の中で焦ることなく自分たちのペースを刻んだ。レースが動いたのは3000メートル付近で集団前方がペースアップした場面。それにあわせて茂木と菅野雄太(教1=埼玉・西武文理)はスピードを上げて食らいついた。その後方では、濱本寛人(スポ2=熊本・宇土)がペースを維持して別の集団でレースを進め、向井悠介(スポ4=香川・小豆島中央)は単独で濱本らを追いかけるというかたちに。一時は向井と白井航平(文構3=愛知・豊橋東)が並列する場面もあったが、6000メートルで向井が白井を突き放す。その後は全体のペースや順位に大きな変動はないまま進んでいった。最後の1周は単独走となった茂木の懸命なラストラン。30分11秒41で全体3着、早大勢1位という結果を残し、見事『漢』の称号を手にした。茂木も「納得いくかたちで陸上競技を終えられた」と満足げに話した。

 箱根にエントリーされなかった4年生である佐藤皓、向井、茂木にとって、今回の漢祭りが最後のレースとなった。茂木はゴール後、同学年の室伏祐吾(商4=東京・早実)と抱き合い、お互いに喜びを爆発させた。4年間苦楽をともにしてきた彼らにとって、このレースは大きな意味を持つものだ。箱根を控える選手にとっても、彼らの力走は大きな力になっただろう。真の漢たちの思いは必ず箱根路に届くに違いない。

(記事 湯口賢人、写真 山崎航平、名倉由夏)

結果

▽男子5000メートル

草野洸正(商1=埼玉・県浦和)  15分10秒09(17着)

辻文哉(政経2=東京・早実)   15分25秒54(18着)

小玉瑞葵(文1=福島・安積)   15分27秒06(19着)自己新記録

相川賢人(スポ1=神奈川・生田) 15分50秒11(20着)

佐藤皓星(人4=千葉・幕張総合) 15分52秒35(21着)

 

▽男子1万メートル1組

茂木平(スポ4=東京・早実)    30分11秒41(3着)

菅野雄太(教1=埼玉・西武文理)   30分19秒19(5着)自己新記録

濱本寛人(スポ2=熊本・宇土)    31分15秒02(16着)

向井悠介(スポ4=香川・小豆島中央) 31分36秒27(20着)

白井航平(文構3=愛知・豊橋東)   31分51秒38(21着)

伊福陽太(政経1=京都・洛南)    棄権

コメント

佐藤皓星(人4=千葉・幕張総合)

――今日の目標は

練習に復帰したのがつい最近であまり練習を積めておらず、まずスタートラインに立てるかも微妙だったのですが、何とかスタートラインに立てました。後輩の相川(賢人、スポ1=神奈川・生田)の引っ張りというかたちでレースに参加しました。

――今日のレースプランは

相川に3000メートルのところまで9分12秒から15秒ぐらいで引っ張ってほしいと言われていたので、それを目安に引っ張ろうと思っていました。でも体があまり戻りきっておらず、うまく引っ張りきれなかったのは申し訳なかったなと思います。

――このレースまでにはどのように準備をしてきましたか

体調が万全ではなく練習も飛び飛びの状態だったので、自分の体調に合わせてできる練習を積み重ねていった感じです。

――部員の応援はどのように感じましたか

朝早い時間で寒い中、みんな応援してくれてうれしかったです。

――今日のレースを振り返っていただけますか

本当は万全の状態で1万を走って、『漢』を取ってチームに勢いをつけるというのが、メンバーを外れた4年がチームに対してできる最大限のことだと思っていました。でもそれができない状況で、この1、2年間振り返ってもケガや体調不良で練習をまともに積めた時が少なくて。そういう意味でも上級生としてチームを引っ張れなかった時期があまりにも長かったので、悔しいという気持ちがとても大きかったです。そういう中でも何とかはいつくばってでもスタートラインに立てて、自分の走りがどれだけ箱根のメンバー16人にどれだけプラスの影響を与えたかわからないのですが、一人でも多くの選手が僕の取り組みや走りを見て何か感じてくれたらうれしいです。

――レースを終えた今の心境をお聞かせください

あまりにも不甲斐なかったので、もうちょっとマシな走りができたら、悔しいという気持ちが大きいです。

――4年生がレース後に集まっていましたが、何について話していたのですか

お疲れ、とお互いを労った感じですね。

――早大での陸上人生を振り返ってください

1、2年の時は結構練習も積めていて、いい意味ですごく充実していたのですが、3、4年の時は体がボロボロでケガや体調不良も多く、練習を積める期間も短くて、補強など走り以外のトレーニングをする期間が多くて、苦しい時期がとても長かったです。しかし、どんな苦しい時でも箱根を走りたい、チームに貢献したいという思いがあったからこそ、何とか最後にスタートラインに立てて最後まで走りきることができました。4年間の悔しさというものは消えないと思うのですが、それを今後の人生などで何か生かせていけたらいいなと思います。

茂木凜平(スポ4=東京・早実)

――まず、『漢』になった今の率直な気持ちをお願いします。

率直に嬉しいというのが1番です。この1年間、いや4年間うまくいかないことの方が多かったので、最後に自分らしい走りができて良かったです。

――今日の目標を教えてください。

やっぱり漢を獲ることが1番の目標でした。

――どのようなレースプランを考えていましたか

30分切りで引いてくれるというのが分かっていました。なので、中盤までは流れに乗って、今日ちょっと風もあったので、力を使わないようにしていました。7キロ以降が勝負かなと思ってレースに臨みました。

――レース中は菅野選手(雄太、教1=埼玉・西武文理)とずっと一緒に走られていました。前に出るタイミングは決めていたのですか

いや、そんなに決めていませんでした。とにかく1年生には負けられないなと思い、7キロ以降ぐらいにいけるかなと思って前に出ました。

――先程も7000メートル付近が勝負の分かれ目になると仰っていましたが、前に出られたタイミングは予定通りでしたか

そうですね。先頭についていくというか、キロ3(分)で押していけていれば7キロくらいで勝負のタイミングが来るかなと思っていました。なので、そこでしっかり前に出て走れたというのは『漢』を獲れた事につながったのかなと思います。

――今日のレースまではどのように過ごしてましたか

少し足が痛くなったこともあったのですが、今年の中で1番自分が納得する準備ができたレースでした。やれることはやったという自信をつけることができた期間だったかなと思います。

――ゴール後は室伏選手(祐吾、商4=東京・早実)の涙もありました。どのような言葉をかけられましたか

レース前にも『7年間ありがとう』とLINEで室伏は言ってくれました。今日も「漢獲ってこいよ」と言われていたので、それがすごく力になりました。走り終わった後も、室伏が泣いてくれて、「おめでとう」と言ってくれたのですごく嬉しかったです。

――早実時代も含め、早稲田で過ごした7年間を振り返っていかがでしたか

全然うまくいかないことの方が多くて、本当に99%くらいはきつい事でした。ですが、最後に残りの1%で自分の走りができて、『漢』を獲れたということは、箱根は走れないのですが、納得いくかたちで陸上競技を終えられたことはうれしいです。

――最後に箱根に出るメンバーにメッセージをお願いします。

走る人たちには本当に頑張ってほしいなと思います。

菅野雄太(教1=埼玉・西武文理)

――今日のレースを振り返って

後半にかけてやはりペースが落ちてしまうという点で、自分の弱さが出てしまったのですが、最後に割と切り替えてペースをもう一回立て直すことができたので、そこは成長かなという感じです。

――今日のレースプランはどのように考えていましたか

自己ベスト的に29分台は狙っていける組かなと思ったので、力を使わずに、ひたすらついて行こうと思っていました。

――今日の調子はいかがでしたか

最近好調が続いていて、本日もその流れで来ていて、動きはかなり良かったと思います。

――調整段階で意識していたことはありますか

1万メートルとなると、5000メートルと違って疲労の蓄積などをあまり誤魔化せないと思うので、思い切って距離を落として、要所要所でスピードを入れていく感じでやっていました。

――今年は走る度に自己ベストを更新していましたが、この1年を振り返っていかがですか

記録だけ見ると、かなり右肩上がりで良かったとは思うのですが、やはり3大駅伝の出走などを視野に入れると爆発力が自分には足りていないと思います。うまく補強とかも取り入れて、来年は爆発力も備えていけたらなと思います。

――最後に来年の目標をお願いします

来年は3大駅伝でまずはエントリーメンバーに入ること(が目標)で、あわよくば出走も狙っていきたいかなと思います。