出場した全員が入賞! 島田が全国初タイトル

陸上競技

★栁本、3位入賞も悔しさ残す(U20男子1500メートル)

決勝で前を追う栁本

 U20日本選手権男子1500m決勝には栁本匡哉(スポ2=愛知・豊川)が出場した。余裕を持って通過した予選と同様に落ち着いた走りを見せ、3分48秒84で3位という結果を残した。

  曇天の中で行われた男子1500メートル。レースの序盤は集団後方に位置し、様子を伺っていた栁本。しかし400メートル付近になると徐々にペースアップし、一気に2位に躍り出た。800メートルを2分06秒で通過すると他の選手もスピードを上げ、栁本は4番手に後退。その位置に付けながら、ラスト200メートルからのスプリント勝負を念頭に「300メートルあたりから前に着いてそこから出よう」(栁本)と試みる。しかし、そこで前をいく兵藤ジュダ(東海大翔洋高)と山林レオ(上武大)もギアチェンジ。栁本は4位以下を突き放したものの、先頭の2選手には徐々に離されてく展開になった。ゴール寸前では4位の選手の猛追を受けたが、最後は意地を見せて3位を死守し、表彰台の座をつかんだ。

 優勝を掲げ挑んだ決勝の舞台。スパート勝負では一定のスプリント力を見せたものの、3位でのゴールは本人にとって悔しさの残る結果となった。次のレースとしては4×1500メートルリレーを控えている栁本。気持ちを切り替え、日本記録更新を目指すと意気込んだ。

(記事 湯口賢人、写真 及川知世)

★決勝進出果たすも、課題が明確に(U20男子400メートル)

ホームストレートを走る眞々田

 男子400メートルには、眞々田洸大(スポ1=千葉・成田)が出場した。予選で自己ベストに迫る好タイムをマークすると、タイムで拾われ決勝へ。上位に食い込むことはできなかったが、6位という成績を残した。

  昨年の総体代替大会である全国高校で、6位となった眞々田。今大会資格記録は最下位での出場となったが、予選で47秒69の自己ベストに迫る47秒73をマークし、タイムで決勝進出を果たす。決勝では、予選と同様「(ゴール)直前で足が止まって」しまい、目標の表彰台には0・5秒届かなかった。「納得のいかない結果」だと、順位とタイムに悔しさをにじませた。

 高校まではピッチ走法がスタイルだったが、さらにハイレベルな大学陸上で勝負をするためそれを改良。179センチの高身長を生かし、よりダイナミックな走りの実現を目指している。「感覚は完璧につかめた感じではなくて、完成度としてはまだ」。伸び代の大きいルーキーの飛躍に、期待がかかる。

(記事、写真 布村果暖)

★島田が初の全国大会優勝を果たす(U20男子100メートル)

100メートルで優勝し、表彰台の中央に立つ島田

 U20の100メートルには、 島田開伸(スポ1=静岡・浜松湖東)が出場。春先から照準を合わせてきた大会で優勝をつかみ、層の厚い短距離ブロックで存在感を示した。

 予選を自己ベストタイの記録で通過し、好調さがうかがえる中で迎えた決勝。スタートでやや遅れをとったが中盤からスピードに乗り、横一線の先頭争いからわずかに抜け出す。課題としていたラストも力強く走り切り、そのまま先頭でフィニッシュ。接戦を競り勝ち、レース後は表情がわずかにほころんだ。

 島田にとって全国大会の優勝はこれが初となる。高校時代は安定して上位の成績を残していたが、ついに頂点に届き「自信になった」と喜びを口にした。

 しかしその一方で、「10秒5台だと勝負できない」と気を引き締める。今大会のシニアの部に出場した選手も多く、実力者の揃う短距離ブロック。島田も対校戦の枠をかけたしれつな争いの当落線上にいるだろう。鍛錬の夏を越え、秋の対校戦でエンジをまとう姿を心待ちにしたい。

(記事 名倉由夏 、写真 布村果暖)

★島田はわずかに表彰台に届かずも、復調の手応え得る(U20男子200メートル)

接戦の中で走る島田

 U20男子200メートルでは、島田開伸(スポ1=静岡・浜松湖東)が100メートルに続く2冠を狙った。

 「前半から出し切る気持ちで」と積極的なレースをすることを心がけた今大会。予選は前半の走りに課題を残したものの、決勝では修正力を見せる。序盤からスピードに乗り、中盤にかけて抜きつ抜かれつの先頭争いを繰り広げた。しかしホームストレートに入ってから伸びを欠き、混戦を抜け出す事はできず。3位と同タイムながら表彰台を逃す結果に終わり、「後半で差されてしまった」と悔やんだ。

 2冠達成はならなかったが、決勝で向かい風の中好タイムを出せたことを収穫に挙げた。春先から安定している100メートルに対して200メートルでは苦戦していたが、この走りで復調の手応えを得たようだ。新たな課題も見つかり、「うまく走れていれば20秒台も狙えた」と目線はさらに上を見据えている。この種目は今大会のシニアの部で8位に入賞した三浦励央奈(スポ3=神奈川・法政二)をはじめチームに強力な上級生がそろうが、新鋭が割って入ることはできるのか。夏を越えた島田の走りに注目が高まる。

(記事、写真 名倉由夏 )

結果

▽100メートル予選(3組2着+2)

島田開伸 10秒51(+1.4)(2組2着)決勝進出

▽同決勝

島田 10秒57(-0.8)(1位)

▽200メートル予選(3組2着+2)

島田 21秒57(-0.3)(3組2着)決勝進出

▽同決勝

島田 21秒19(-0.3)(4位)

▽400メートル予選(2組3着+2)

眞々田洸大 47秒73(1組5着)決勝進出

▽同決勝

眞々田 48秒26(6位)

▽1500メートル予選(2組5着+2)

栁本匡哉 3分49秒39(2組2着)決勝進出

▽同決勝

栁本 3分48秒84(3位)

▽5000メートル決勝

辻文哉(政経2=東京・早実) 棄権

コメント

栁本匡哉(スポ2=愛知・豊川)

――この大会の目標は

優勝することでした。

――予選は確実に着順で突破しましたが、レース展開を振り返っていかがですか

予選は1組目がスローペースだったので、プラス7着までに入れば確実に予選は通れるかなという安心した気持ちで、結構余裕を持って通過できました。

――予選を走って、体の動きやその感触はいかがでしたか

いい感じとは言えないですが、少しずつ調子は良くなったので、その中でベストの走りができたのかなと思います。

――直前期の調子はいかがでしたか

日本学生個人選手権の時よりかは少しずつ上がってきていて、優勝する気しかなかったので自信はありました。

――決勝はどんなプランで臨みましたか

アップの時、予選の時よりは体が動いた感じがあったので、スプリント勝負というのも自分の中で考えました。ただ相楽さん(相楽豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)からは「中間疾走がお前の武器だから」と言われていました。自分はそこまで自信はなかったので安全策をとってスプリント勝負にしましたが、思っていたより前の2人が速くて、自分は甘く見てたなと思います。

――最後はどのくらいのスプリント勝負を予想していましたか

自分がラスト200メートルくらいで出て逃げ切る展開を予想していて、300メートルあたりから前に着いてそこから出る予定でした。ですが相手も相手で速くてなかなか前に出られず、そこから離される展開になったので、ラストは想定より2人が速くて追いつけなかったです。

――想定よりも周りのスパートをかけるタイミングが早かったということですか

一応それも予想してはいたのですが、2人のスプリント能力を自分の中で甘く見ていたという感じです。

――最後は4位の選手も迫ってきていましたが、意識していましたか

モニターを見た時に結構3人で離れていたので、3着は余裕かなと思って2人がゴールした時に気が抜けた感じがありました。その気抜けた瞬間に後ろから迫ってきたので、危なかったですね。

――3位に入りましたが、この結果はどのように捉えていますか

1位獲ったのが高校生というのと、自分は優勝しか見ていなかったので、悔しい展開になったなと思います。

――今後の出場予定とそれに向けての意気込みをお願いします

来週に1500‪‪✕‬4メートルリレーで日本記録を狙っていきたいというのもありますし、駅伝に向けて5000メートルでも13分台で記録を残していきたいと思います。

島田開伸(スポ1=静岡・浜松湖東)

――まず、100メートルのレースについて伺います。どんなレースプランや目標を考えていましたか

スタートのところで、うまく加速に乗せることができれば、決勝で勝負することができると思っていたので、スタートをうまく乗せて優勝を狙って走りました。

――大会に臨む上で、体のコンディションはいかがでしたか

疲労も結構抜けて、うまく調整できていたので、良かったですね。

――予選ではタイムが全体の2番目でしたが、先ほど話していたスタートの部分を含めて走りの感触はいかがでしたか

予選はスタートがうまくいって、中盤以降に加速できて、タイム的にも自己ベストタイで走れました。ただ後半の部分で崩れてしまった部分があったので、そこを決勝で修正しようと思いました。

――決勝の走りを振り返るといかがでしたか

スタートもうまく行って、加速に乗れました。決勝ということで横のレベルも高かったのですが、形を崩さずに走れたことが、競り勝てた要因だったのかなと思います。

――スタートそのものよりも、スタートからの加速に重きを置いているように思ったのですが、その辺りは自信を持たれているところですか

スタート自体はそんなに速くないのですが、スタートからの加速の部分が僕の強みかなと思っています。

――向かい風の中で10秒5台を出せたことについてはいかがですか

今シーズンの春先はあまり調子が上がらなくて、いろいろ悩んでいたのですが、関カレ(関東学生対校選手権)、学生個人とU20日本選手権で10秒5台に乗せられて、最後も向かい風の中10秒5台で走れたことは自信になりました。でもやっぱり10秒5台だと勝負できないですし、部内競争でも全カレ(日本学生対校選手権)にも出場できないので、自己ベストを更新したかったというのはあります。

――島田選手にとって、全国大会での優勝は初めてだと思います。以前も、この大会で優勝したいとおっしゃっていましたが、この結果についてはいかがですか

100メートルで優勝できたことは素直にうれしいです。この大会が8月にあるU20世界選手権の選考も兼ねているので、そういうことを考えても優勝できたことはよかったです。

――100メートルと200メートルをどちらも走られていますが、100メートルで優勝できたことについては、どのように思いますか

もちろん2冠を狙っていたのですが、どちらかというと本命は200なのかなと思っていました。その中で100メートルでも優勝できたので、そこは自信になりました。今までは横で競った時に、(走りの)形を崩していた中で、形を崩さずに行けたことは良かったのかなと思っています。

――次は200メートルについて伺います。200メートルのレースプランや目標を教えてください

学生個人で、前半から思い切り行かないとタイムが出てこないと思ったので、前半で出し切るくらいの気持ちで行こうと思っていました。

――100メートルの後ということで、 疲れはありましたか

100を2本走ったので、思ったより疲労はありました。

――予選の走りを振り返っていかがですか

予選が前半からいくことができなくて、コーナーを抜けたところで、後ろの方を走っていました。そこを修正しないと決勝で勝負できないと思っていたので、そこが良くなかったなと思います。

――決勝ではその課題を修正できましたか

決勝では前半から思い切りいくことができて、スタートからうまく加速できたのですが、コーナーの出口のところからスピードに乗ることができなかったので、後半で差されてしまいました。そこが敗因だったかなと思います。

――前半から中盤まではうまくいっていたのですね

前半はもう少し速く入りたかったのですが、それでも予選よりはうまく入れたかなと思います。

――3位と同タイムでの4位となりましたが、タイムや順位についてはどう捉えていますか

向かい風で21秒19というタイムを出せたこと自体は、今シーズンずっと調子が悪かったので、自信になるところです。ただ、勝てなかったので。(後半を)うまく走れていてれば20秒台も狙えたと思うので、少し悔しいです。

――100メートルでは10秒5台を連発していて、安定しているのかなと感じます。今練習ではどのようなことに取り組んでいますか

遊脚が遅れて来てしまって、足が後ろに残ってしまうことが課題なので、できるだけ前でさばけるように意識して練習しています。

――今大会を踏まえて、今後やっていきたい取り組みはありますか

今回、監督(礒繁雄監督、昭58教卒=栃木・大田原)やコーチの岳さん(欠畑岳短距離コーチ、平27スポ卒=岩手・盛岡一)に、トップスピードが足りないと言われました。トップスピードが上がってくれば、得意の加速で前に出ることもできますし、200メートルでもコーナーを抜けた地点でトップに立てるくらい前に出られると思うので、トップスピードを上げることが課題なのかなと思っています。

――次戦への意気込みをお願いします

次のレースがいつになるかはまだわからないのですが、今回更新できなかった自己ベストを更新したいです。

眞々田洸大(スポ1=千葉・成田)

――今大会の目標は

タイムとしては47秒00で、表彰台に上るという目標が大きな前提としてありました。

――ルーキー対談でもこの試合を目標にされていましたが、ここに向けて合わせてきていましたか

個人の試合としてはこれが今年で一番大きな大会になるのかなと思っていたので、いつもより緊張感を持って練習を積んできました。

――最近の仕上がり具合はいかがでしたか

この前のレースから、レースでの成長があまりないと思っていました。走り方については先生方やコーチの方々からご指導いただいて練習してきたので、状態としては悪くはなかったです。

――東京六大学対校大会(六大学)や日本学生個人選手権でのレースも経験していましたが、レースでの手応えがあまりなかったということでしょうか

そうですね。六大学にしても学生個人にしても、上で勝たなきゃいけないレースだと思っていたので、U20は年齢の枠があったので同世代には勝ちたいと思っていました。練習通りのレース展開を自分でつくっていきたいというのはありました。

――練習ではイメージ通りできていたということでしょうか

体が重いことも多々あったのですが、走り込みにしても違うブロックの先輩と走ってみたり、いろんな試行を重ねてやってきました。いい状況で大会を迎えられたのかなと思います。

――ルーキー対談の際、高校時のフォームから変えなければいけないとおっしゃっていましたが、今はいかがですか

今まではピッチ走法だったので、練習ではマーク走とか動きづくりからイメージして、できるだけ大きく、ストライドの走りに持っていけるように練習していました。感覚は完璧につかめた感じではなくて、完成度としてはまだできあがっていないです。

――予選では自己ベストに迫る好タイムでしたが、振り返っていかがでしたか

元々この大会にランキング最下位で臨んでいたので、予選は通過するというのを大前提にしていました。その中でも実力者がそろっていて緊張感を持って臨めたのですが、やっぱり最後の50メートルくらいで着順で入れそうなところで自分の足が止まってしまって、かわされてタイムでの通過となってしまいました。予選はシーズンベストは出たのですが、内容としては課題の残る走りでした。

――走り方を変えると体力の消耗が早いのでしょうか

そういう感じではないと思うのですが、まだレースの作り方が下手だったなと思います。

――決勝ではどんなレースをしようと思って臨みましたか

礒先生とコーチの岳さんから、2位以下は予選のタイムでいったら拮抗(きっこう)している状況だったので、後半足が残って勢いよくゴールに行けることが勝ちにつながるということでした。前半のスピード感は高めてリラックスしつつ、最後まで足を残して、我慢して走り切るのをイメージしていました。

――実際の走りはいかがでしたか

実際は予選と同じ過ちをしてしまったというか、直前で足が止まってゴールでは6番だったので、後半の弱さが目立ちました。前半からの作りがまだうまくいってなかったなというのが反省です。

――6位という順位やタイムなど、結果についてはどう捉えていますか

結果については、同期の島田(開伸、スポ1=静岡・浜松湖東)が優勝したり、池田(海、スポ1=愛媛・松山北)や鷺(麻耶子、スポ1=東京・八王子東)とかが日本選手権に行くなかで、入賞や6位は最低限の結果だったと思っています。メダルを狙っていたこともあって、タイムも47秒前半に限りなく近づけるタイムを出さなきゃいけなかったので、納得のいかない結果でした。

――今後への目標をお願いします

全カレが近づいていて、マイルリレー(4×400メートルリレー)の選手選考などが始まってくると思います。(メンバーに)入るためには個人で結果を残さなければいけないと思っています。基礎体力、足づくりからしっかりやって、強い選手になっていきたいです。