関東学生対校選手権(関カレ)を来週に控えたこの日、平成国際大学長距離競技会が開催された。早大からはB・Cチームの5人が5000メートルに出走。さらに、関カレに出場しないAチームの選手のうち6人が、6月に開催される全日本大学駅伝対校選手権関東学生連盟推薦校選考会(全日本予選会)を見据えて1万メートルに出走した。
1万メートルに出走したのは、遠藤宏夢(商4=東京・国学院久我山)、新迫志希(スポ4=広島・世羅)、宍倉健浩(スポ3=東京・早実)、渕田拓臣(スポ3=京都・桂)、向井悠介(スポ2=香川・小豆島中央)、小指卓也(スポ1=福島・学法石川)だ。「遅めのペースでけん制しあい、最後にペースが上がる」という全日本予選会特有のレース展開を想定し、練習の一環として臨んだ。序盤にレースをつくったのは遠藤。1キロ3分を切るペースで先頭に立ち、他の早大勢5人もその後ろにぴたりとつく。集団は形を変えないまま、3000メートルをほぼ設定通りの8分52秒で通過した。3000メートル以降の設定は1周73秒。すると、そのペースについて行けない選手が脱落していき、4000メートル付近で設定通りに刻んでいた宍倉が先頭に。「(決めたペースで)押して行けたのは良かった」(宍倉)と、その後もキロ3分強の安定したペースで集団を引っ張った。7000メートルからは「ラスト3000メートルで上げる」という設定通りにペースアップ。しかし、8000メートルを過ぎると思うようにペースが上がらない。その宍倉を8600メートルで捉えたのは、中盤まで第2集団を率いていたルーキーの小指だ。ラスト1000メートルでさらにギアを入れ替え、そのまま組1着でゴールした。
レース終盤、宍倉(左奥)を引き離す小指。距離への課題を口にしたが自己記録をマークした
大学入学後から安定したレースを続けている小指が自己ベストを大きく更新し、さらなる飛躍を予感させた。しかし、レース後は「3分ペースでうまく走ることができなかった」と1万メートルという距離への対応不足を口に。レースをつくった宍倉も、「上げるべきところでペースを上げられなかった」と、現状の課題を明確にした。出走した全員の合計タイムで争う全日本予選会は、失敗が許されない。残り1カ月の期間でそれぞれが弱点と向き合い、万全の状態で戦いの日を迎えたい。
(記事 宅森咲子、写真 岡部稜)
結果
▽男子5000メートル
井上開登(法1=東京・早実) 15分28秒00(4組4着)
茂木凜平(スポ2=東京・早実) 15分11秒76(7組17着)
河合陽平(スポ2=愛知・時習館) 15分12秒11(7組18着)
茂原將悟(法2=群馬・高崎) 15分45秒06(7組39着)
植田航太(人1=東京・早実) 14分53秒92(8組7着)
黒田賢(スポ3=東京・早実) 9組棄権
本郷諒(商3=岡山城東) 11組棄権
真柄光佑(スポ4=埼玉・西武学園文理)11組棄権
▽男子1万メートル
小指卓也(スポ1=福島・学法石川) 30分03秒53(3組1着)自己新記録
宍倉健浩(スポ3=東京・早実) 30分10秒61(3組2着)
新迫志希(スポ4=広島・世羅) 30分22秒39(3組8着)
渕田拓臣(スポ3=京都・桂) 30分44秒05(3組12着)
遠藤宏夢(商4=東京・国学院久我山)31分06秒60(3組19着)
向井悠介(スポ2=香川・小豆島中央)31分44秒53(3組27着)
伊澤優人(社4=千葉・東海大浦安) 3組棄権
三上多聞(商4=東京・早実) 3組棄権
千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)3組棄権
真柄 3組棄権
コメント
宍倉健浩(スポ3=東京・早実)
――きょうの記録会に出場した狙いは
関カレ(関東学生対校選手権)に出ないメンバーは、次に出る大きな試合が全日本(全日本駅伝対校選手権)の予選会になるので、それに向けての練習の一環として出場しました。きょうは設定が決まっていて、3000メートルの通過が8分50秒、そこから1周73秒で回って、ラスト3000メートルでペースを上げるという設定でした。全日本の予選会がそのような流れで進むという感じで、少し遅めのペースでけん制しあってラストに上がるというレースになると予想されるので、その予行練習という感じでした。
――実際にレースを振り返るといかがでしょうか
7000メートルまでの設定は自分で引っ張ってレースをつくることができたので、そこは良かったんですけど、残りの3000メートルで上がっていくべきところで上げられなかったので、その残り3キロが今の課題かなと思います。ここからあと1カ月でこの3キロをどう勝負するかというのを考えながら練習しなければと思います。
――中盤までは余裕を持って走れましたか
そうですね。良くも悪くも73秒にはまって、そのペースで押して行けたのは良かったんですけど、そこから切り替えられなかったのでそこは課題ですね。
――年が明けてからの練習の消化具合はいかがでしたか
1月、2月は膝の滑液包炎のためにほとんど走れていませんでした。立川ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)で勝負したかったのですがけがの影響で出られませんでした。練習は立川ハーフくらいから開始して、二週間前の法大競技会では関カレに出場するために5000メートルで記録を狙いに行ったのですが、状態が悪くて関カレは出られなくなってしまいました。なので全日本の予選会に向けて1万メートルをメインに3月からやってきたので、今はそこに向けて練習しています。
――現在のところ手応えはいかがでしょうか
けがをして出遅れていた部分があるので、そこをあと1カ月でどのように持ってくるかを考えなくてはいけないのと、これからはけがを再発させないようにすることも考えなくてはいけないので、そこをうまく両立させていこうと思います。練習は割と積めてきているので、あと1カ月しっかり練習して、全日本の予選会ではチームに貢献したいと考えています。上級生としての公式戦一発目なので、結果を残せるようにがんばります。
――きょうのゴール後に相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)から何かお話をもらいましたか
「ラスト上がってくるときに動きが固まってペースが上げられないという課題が見つかって、そこをどう全日本までの1カ月で克服していくか」という話をもらって、きょうは課題が見つけられて良かったという趣旨の話でした。
――今年の目標は
今年は去年、おととしと流れが変わるので、自分的にはまず全日本の予選会とホクレン(ホクレン・ディスタンスチャレンジ)です。全日本の予選会では組トップでゴールするのと、ホクレンではタイムを狙いに行くのがトラックシーズンの目標です。駅伝シーズンは箱根の予選会が大事になってくるので、まずそこでは監督から与えられた指示どおりに走ってチームをまずは本戦に進めるようにすること。そして箱根本戦では往路で区間一ケタで走ります。
小指卓也(スポ1=福島・学法石川)
――今日のレースプランはどのようなものでしたか
僕自身はこのようなかたちで1万メートルを走るのは初めてだったのですが、最初の3000メートルを8分50秒で少し速めに入って、そこから1キロ3分少しのペースをキープしてして、ラスト3000メートルを上げていくという内容に沿って走るということを決めていました。3000メートルの通過は8分52秒だったのでそこは良かったのですが、そこから3分ペースに落とそうとした時に3分ペースというのが体感より速くて、ペースを落としたら落としすぎてしまっていました。3分ペースでうまく走ることができないなと思いながら走っていました。
――きょうは全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の予選会を意識されていたのでしょうか
そうですね。それも視野に入れていました。全日本予選会もラスト2、3キロが勝負になるので、それを見据えてラスト3キロを上げるという内容だったのですが、あまり上がらなかったです。
――練習も全日本予選会を意識したものになってきているのですか
そうですね。でも僕自身は2週間前に5000メートルを走っていたのであまり1万メートルという距離に慣れていませんし、そういう練習もまだしていなかったので、きょうはどうなるか全然わからない状況でした。
――1万メートルのレースは久しぶりでしたが、感覚はいかがでしたか
前に走ったのはペース走のような感じでした。今回もペース走感覚で走れたらいいなと思っていたのですが、やはり1万メートルは長いなと思いましたね(笑)。5000メートルと違って倍に増えるので、距離の壁を感じました。
――レースは余裕のある表情でしたが、振り返っていかがですか
余裕に見せていただけで、すごく余裕があったわけではないのですが(笑)。風も強かったので、思ったより体が動かないなという感じでした。
――結果的に自己ベストも更新して組1着でゴールされましたが、どのように評価されていますか
自分の目標ではせめて29分50秒くらいで走りたかったというのがあったので、組1着だったからといって自分から見たらあまりいい結果ではないですね。満足せずに、まずはしっかり1万メートルという距離を走れるように練習していきたいと思っています。
――相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)からは何か声はかけられましたか
「途中思ったより落ちてしまったけど、そこからはうまく1人で行けていたのはよかったし、それも駅伝につながると思う」と言ってくださいました。言われた通り、1人で押して行けたのはよかったかなと思うので、そこはポジティブに捉えたいと思います。
――次の試合の予定は決まっていますか
全日本の予選会が走れればそこかなと思うのですが、走れるかはこれから次第なので、走ることを目標にするのではなく走って結果を残せるように頑張りたいと思います。