日本陸連が主催する日本グランプリシリーズのうちのグランプリプレミア第2戦、兵庫リレーカーニバルが開催された。今大会は男女合わせて10種目のグランプリが行われ、シニアの選手を中心にハイレベルな試合が展開された。早大からは男子1500メートルに飯島陸斗(スポ4=茨城・緑岡)、女子走幅跳に吉田梨緒(スポ1=北海道・立命館慶祥)の二人が出場。共に8位の成績を収め入賞を果たしたものの、狙っていた結果には届かず。今後に向けて課題の残る一戦となった。
初めてのグランプリ大会の出場となった吉田は6メートルの記録に狙いを定めていた。1回目に5メートル83(+2.1)と追い風参考ながらシーズンベストに近い記録で5位につける。ここからさらに記録を伸ばしていきたい吉田であったが、「助走が良いときに踏み切りができなかったり、踏み切りが良いときに、助走ができなかったりということがあった」(吉田)となかなか助走と踏み切りが噛み合った跳躍を披露することができない。4回目に5メートル84(+1.5)と1センチ記録を伸ばしたものの、その後も6メートルには届かず、8位で6回の試技を終えた。
初めて臙脂のユニホームを身にまとい試合に臨んだ吉田
悔しさが募る一戦となった。イタリアのナポリで開催されるユニバーシアード競技大会(ユニバーシアード)の選考レースということもあり、「1着を狙ったレース展開をしていこう」とスタートラインに立った飯島。しかし、思うように体が動かないことに苦しんだ。「時計を見ないで行った感じ57秒くらいかな」(飯島)と通過した最初の400メートルは61秒と、体感と4秒の誤差があったことに飯島は不安を覚えた。その後も集団の中ほどで影を潜め、9人の先頭集団のまま終盤戦を迎える。残り200メートルを切って森田佳祐(小森コーポレーション)や舟津彰馬(中大)がスピードを上げる中、飯島はなかなかスパートをかけることができない。懸命な表情で前を追うも背中は届かず、8位のフィニッシュとなった。先日の東京六大学対校大会では中盤から独走し、連覇を達成。飯島自身も「しっかり走れていた」と評価し、自信を持ってこの試合に臨んだだけに悔しさが残った。
集団の中で走る飯島。1着を狙ったものの、8位でレースを終えた
共に納得のいく結果とはならなかった。飯島はユニバーシアード出場に向け、二週間後の静岡国際大会の800メートルにターゲットを切り替え、吉田も来たる5月の関東学生対校選手権に向けて、「グランプリの経験をしっかりと記録に結び付けていきたい」と前を見据えている。今大会で得た経験が、二人をさらにパワーアップさせるに違いない。
(記事、写真 岡部稜)
結果
▽グランプリ男子1500メートル決勝
飯島 3分48秒13(8位)
▽グランプリ女子走幅跳決勝
吉田 5メートル84(+1.5)(8位)
[5メートル83(+2.1)/5メートル74(+0.1)/5メートル82(+2.3)/5メートル84(+1.5)/5メートル65(0.0)/5メートル82(+2.2)]
コメント
飯島陸斗(スポ4=茨城・緑岡)
――きょうの目標は
今回の大会がユニバーシアード(ユニバーシアード競技大会)の選考が絡んでいたので、やはり着順にこだわって1着を狙ったレース展開をしていこうと考えていました。
――その狙いがあって、集団の中に位置していたのでしょうか
そうですね。絶対に一番が狙える位置で、レースを展開しようと思っていました。
――最後までずっと集団のままでしたが、焦りなどはありましたか
ペースがそこまで速くなかったんですけれども、自分の中でいつもよりも少しきつい部分があって、少し不安のある中で走ってしまって。それも最後のスパートのタイミングだったり、動きが悪かったりしたことに関係してしまったと思っています。
――きつい部分というのは、具体的に言うとどのようなことだったのでしょうか
一周目が61秒だったんですけど、最初時計を見ないで行った感じ57秒くらいかなという体感で、そこで4秒近く差があって体が動いていないなとレース中に思ってしまったのが原因でもあるかなと思います。
――結果については全く納得していないということでしょうか
そうですね。
――これまでの冬季練習は着順に積めていましたか
12月の頭に疲労骨折を二カ所してしまって、1月の中旬くらいから練習を再開して、冬季練習で遅れてしまった部分はあったんですけど、そこから着々と練習は積めていました。この間の六大(東京六大学対校大会)もしっかり走れていたと自分の中では思っていたので、ある程度自信を持ってこの大会には臨んだんですけど、走れなかったということは何か原因があるのかなと思っています。
――次の試合は静岡国際大会でしょうか
そうですね。
――久々の800メートルの試合になりますがいかがですか
今シーズンは1500メートルをメインにやっていて、800メートルの練習は少なめなんですけど、静岡国際もユニバーシアードの選考大会で、1500で厳しい部分があるので、800に切り替えて二週間調整をして、ユニバーシアードの選考に絡めるようにがんばっていきたいと思います。
吉田理緒(スポ1=北海道・立命館慶祥)
――きょうの目標は
目標としては記録として6メートルを狙っていて、そこで位置付けとして6メートルというのは置いていたんですけど、今できる自分の最大のパーフォーマンスができればいいなと思っていました。コンディションが良くて、体の調子も良かったですけど、少し助走と踏み切りのバランスが合わなかった部分があるので、そこは次の試合に向けて修正していかなければいけないと考えています。
――助走と踏み切りはどの跳躍でもあまり噛み合わなかったのでしょうか
そうですね。助走が良いときに踏み切りができなかったり、踏み切りが良いときに、助走ができなかったりというのがあって、少し難しかったんですけど、でも初めて出たグランプリだったので、その中で今の自分のベストパフォーマンスはできたんじゃないかなと思います。
――結果については納得していますか
納得はしていないです。
――鹿児島合宿中の記録会や東京六大学対校大会では感覚が良かったとおっしゃっていましたが、その感覚についてきょうはいかがでしたか
その感覚のまま来ていたという感じだったんですけど、きょう仕上がっていく中でもうちょっと良いパフォーマンスができたんじゃないかなとも思います。
――グランプリ大会ということでシニアの選手と対戦する機会になりましたがいかがでしたか
去年の日本選手権もこのような感じだったので、だいぶ慣れてきたところはあるんですけど、もっと会場の雰囲気を楽しめられればと思います。
――次の試合の予定は
水戸招待です。
――水戸招待、そして関東学生対校選手権(関カレ)に向かっていくと思いますが、どのように組み立てていこうと考えていますか
次二週間後なので、またそこに向けて調整していって、記録としては6メートル以上で、そこでも自分のベストパフォーマンスができたらと思っています。関カレでは4月、5月のグランプリの経験をしっかりと記録に結び付けていきたいと思います。