中谷の今季トラックレース初戦はほろ苦い結果に(金栗記念)

陸上競技

 2019年度日本グランプリシリーズが開幕し、初戦となる金栗記念選抜中長距離大会には早大からは唯一、中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)が5000メートルに出場した。今夏のユニバーシアード競技大会(ユニバーシアード)の派遣標準記録の13分43秒をターゲットに走った中谷であったが13分57秒54と及ばず、入学当初から目標にしていたユニバーシアード出場は非常に厳しい状況となった。

レース終盤に入り、力走する中谷

 朝から降り続けていた雨は小雨になったものの、湿度が90%を超えるコンディションの中、中谷の出場する男子グランプリ5000メートル5組がスタート。スタート直後から出走選手の約半数を占める有力外国人ランナーたちがハイペースで押していき、そこに中谷を含む4人の日本人選手が付く形でレースは展開。先頭集団は初めの1000メートルを2分40秒前後で通過すると、中谷も1周約65秒のラップを刻み必死に食らいついて行く。しかし、2000メートル手前付近から顔に苦しさが現れ始めた。「思っていたよりもペースが速かった」と徐々に先頭集団との差は開いていき、ペースダウンしてしまう。

 その後、MGC出場権を持つ大塚祥平(九電工)ら後方から迫ってくる選手たちの足音が次第に大きくなり始めると、中谷はギアを入れ替えた。一時はラップタイムが約70秒まで落ちた周もあったが、再びペースを持ち直し、日本人2位の座をキープし続けるとラスト1周でさらにペースアップ。得意のラストスパートで自らを追い込んだ。しかしゴール後、自らの速報タイムを電光掲示板で確認すると、しばらく両手を膝につき悔しい表情を見せた。

外国人集団を追い掛ける中谷(左端)。世界を見据えて、今後も挑戦は続く

 先月下旬には自ら志願して行ったケニアでの練習で、スピードへの確かな手ごたえをつかんでいた中谷。それだけに先日の世界クロスカントリー選手権の成績(78位)に続き、きょうのレースでもスピードに思うように乗り切れず、納得のいかないレースとなったようだ。多くの課題が見つかり、現状の力を再認識する今季トラックレース初戦となったが、この悔しさこそが中谷をさらに強くするに違いない。

(記事 斉藤俊幸、写真 岡部稜)

結果

▽男子グランプリ5000メートル

中谷 13分57秒54(5組8着、総合27位)

コメント

中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)

――今大会出場の狙いを教えて下さい

シーズンの初戦ではあったのですが、しっかり記録を狙っていきたいところがあったので13分45秒の自己ベストであったり、日本選手権(出場標準記録)の13分43秒を狙ったレースでした。

――外国人選手に積極的に食らいつく姿勢が見えました

そうですね、最終組から1つ前の組だったので良い形で流れていくかなと思っていたのですが、それが思っていたよりペースが速かったこともあって途中2000メートルいかないくらいのところで離れてしまって、そこで上手くスピードに乗っていくことができませんでした。

――元々考えていたレースプランというのは

ある程度良いペースで行くかなと思っていたので、そこでしっかりとついていって最後までその中でついていければ記録も自ずと狙えるようになると考えていたので、プランとしては最初から最後までついていくということを考えていました。

――このコンディションの中でのタイムをどのように評価しますか

良くもなく悪くもなくという感じですかね。シーズンの最初から13分台を出せたことはいいのかなとも思いますが、狙っているタイムからするとまだまだ遅いので何とも言えない微妙な結果だったかなというのが正直なところですね。

――ゴール後には悔しそうな表情見えました

そうですね、タイムやレース内容も含めてまだまだ課題が残る内容だったかなという感情がありました。

――内容的な課題は具体的にはどの辺に感じていますか

タイムが中だるみしてしまったということもありますし、うまくスピードにのれている感覚がなかったので、そういう面でスピードの差をかなり感じるレースになりました。

――先日行われた世界クロスカントリー選手権(世界クロカン)はいかがでしたか

非常にタフなコースで、今までに経験したことのないくらいキツいレースだったということが初めに出てくる感想でした。

――ケニアでの合宿後デンマークへの移動で体の状態等はいかがでしたか

非常にタイトなスケジュールではあったのですが、思ったよりも体にダメージはきていなくて、世界クロカンにしても今回の試合にしてもやれることはやって臨めたかなと思います。

――ケニアでの練習で得られたことはありましたか

ひとつひとつの練習が新鮮でしたし、全体としてレベルが高い練習ばかりでこの環境で練習をしていきたいなと感じる日々を過ごすことができました。

――では今後も参加することがあるのでしょうか

そうですね、機会があればというか、また行きたいということは僕自身意思表示はしているので、監督(相楽豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)とも相談しながらまた行ければいいかなと思っています。

――今回のケニア合宿に至った経緯を教えて下さい

僕がOBである八木さん(勇樹、平24スポ卒=現・YAGI・RUNNING・TEAM)のチームがケニアで練習している様子を見て、世界でケニアは長距離が一番強い国の一つでもありますし、興味がすごくあったというか、そこに行けば強くなるヒントが何か見つかるのではないかと考えて、相楽さんに言ったら相楽さんが色々と動いて下さって実現したという感じです。

――目標としていたユニバーシアードが厳しい状況となりました

織田記念は本当であれば選考レースになるので参加したかったですけど、グランプリプレミアのレースなので標準タイムである13分45秒をあと約0.5秒切っていなくて、そこに出るのは現状厳しくなってしまいました。ただ、非常に厳しいですけど世界選手権の標準タイムを切れば選考に関わらず(ユニバーシアードに)出場できるので最後まで諦めずにやっていきたいと思っています。そのタイムは5000メートルが13分22秒、1万メートルが27分40秒と非常に高くはありますが、そこに挑戦していく過程の中で自然と13分43秒などのタイムは出せると思っているので常に高い目標を持って取り組んでいきたいと思っています。

――来週の記録会は1500メートルと5000メートルにエントリーしていますがその意図というのは

今回の金栗次第で何に出場するか考えようかなと思っていて、今の段階では今回あまりタイムが良くなかったのでもう一度来週の日体では5000メートルに出場しようかなと考えてはいます。今回のレースが良ければ久々に1500メートルのレースに出て日本選手権の標準だとかも狙いつつスピード練習がてら力を試したいと思っていました。恐らくきょうの結果から5000メートルにはなると思うのですが、そこはまた相楽さんと相談して決めようかなと思っています。