男子マイル、今季ベストで優勝果たす

陸上競技

 関東トップの学生を中心に開かれたトワイライト・ゲームス。気温37度の中行われたこの大会に早大からは21選手が出場した。競走部の解散期間と重なったことで練習が思うように積めず、調整不足の選手もいた一方で、女子800メートルで竹内まり(教3=愛媛・松山西中等)が自己記録更新。男子4×400メートルリレーではシーズンベストで優勝し、『リレーのワセダ』の存在感を示した。この大会で前半シーズンは終了し、ここからは秋に向けた夏合宿が控えている。関東学生対校選手権(関カレ)では男子トラック4位と悔しい思いをした早大。9月上旬の日本学生対校選手権(全カレ)では目標であるトラック優勝を果たすことができるのか。早大競走部の鍛錬の夏がはじまる。

(記事 平松史帆)

★連戦の小山、課題が残るレースに

連戦となった小山

  前日の実業団・学生対抗大会から連戦となった小山佳奈(スポ2=神奈川・市橘)は女子400メートル障害に出場した。1台目はトップで通過したものの、2台目以降は関東学生対校選手権同種目2位の吉田佳純(駿河台大)が引っ張る展開となる。小山は「1台目からのびてしまって前半があまりうまく走れなかった」と、加速しきれず3位に後退。なんとか追いすがり後半にかけて2位に浮上したが、最終ハードルで再び3位に。さらに最後の直線でもう1人にかわされ4着でのゴールとなった。記録も自己ベストには及ばず課題が残るレースとなったが、レースの展開には手応えを感じ「前半シーズン後半シーズンしっかり分けてここからまた体をつくり直していければ」と、試合後は前を向いた。

 次に見据える全日本学生対校選手権の開催地は神奈川・等々力陸上競技場。高校時代に何度も駆け抜けた思い出の競技場で『日本一』を手にするべく、鍛錬の夏に向かう。

(記事 宅森咲子、写真 斉藤俊幸)

★1メートル83は跳べず、優勝を逃す

高さのある跳躍を見せた仲野

 前日の試合で優勝を飾った仲野春花(スポ4=福岡・中村学園女)は、この日も女子走高跳に出場した。2日連続での試合は初めてだったが、疲労の影響はあまりなく競技に向えたという。前日の試合内容を修正し臨んだ仲野は、1メートル77までをミスなく跳ぶ。そして、この日最後に挑戦したのは1メートル83。自己ベストと同じ高さに挑んだが、「1メートル80を跳んでから、1メートル83を跳ぶまでに流れが大きく変わってしまった」と言うように、気持ちの面で焦ってしまった仲野。惜しくも成功させることができず、優勝を逃した。

 これまでのシーズンを振り返り、「悪くはなかったのですが、記録も飛び抜けるわけでもなく現状維持という形だった」と話した仲野。学生最後となる全カレでは、自己ベストを出し、有終の美を飾りたい。

(記事 金澤麻由、写真 平松史帆)

★今季好調の竹内が自己記録を更新!

自己記録を更新した竹内

 女子800メートルでは竹内まり(教3=愛媛・松山西中等)が存在感を見せた。「レベルの高い選手と一緒に走るので、入りの400メートルが早いレース展開になると思っていた」(竹内)と想定通り、日本選手権2連覇中の北村夢(エディオン)が先頭でレースを進め、後続の竹内も63秒前後の好ペースで1周目を通過。先頭とは徐々に差が開いたものの、粘りを見せた竹内は競り合いながら組4着でゴールした。「ラスト50メートルでスピートが落ちた」と振り返ったが、自己新記録をマーク。自身初の2分一桁台のタイムで、好調の前半シーズンを締めくくった。

 続く男子800メートルには西久保達也(スポ3=埼玉・聖望学園)が出場。男子もペースメーカーに引っ張られ好記録の狙えるペースでレースが進められるが、18時を過ぎても33℃を超える酷暑からか西久保はスピードに乗り切れない。持ち味のラスト200メートルからのスパートで伸びを欠き3着でフィニッシュした。しかしレースには敗れたものの調整の難しい解散期間の中にありながら1分49秒26とまずまずのタイムでまとめた。9月の全日本学生対校選手権では日本選手権2位として、そして関東学生対校選手権王者として追われる立場となる。レース後、「切り替えて表彰台、優勝を狙ってやっていきたい」(西久保)と夏の強化練習へ気を引き締めた。

(記事 斉藤俊幸、写真 宅森咲子)

★男子マイルで優勝つかむ!

アンカーの伊東。エースが優勝へ導いた

  今大会のハイライト種目・100メートルの前に行われた4×400メートルリレー(マイル)。早大は男女ともに出場した。女子は関東学生対校選手権(関カレ)のメンバーである村上夏美(スポ1=千葉・成田)と関本萌香(スポ1=秋田・大館鳳鳴)を1走と4走に配置。加えて2走に中村巴南(スポ3=三重・桑名)、3走に本池響(文構3=広島・基町)のオーダーで挑んだ。村上が好スタートを切ったものの、以降は後方でレースを進め、3分46秒54の6位に終わった。

 男子は、関カレで決勝に進出した八チームのうち筑波大を除いた七チームによるレースとなった。1走・村木渉真(スポ2=愛知・千種)は先週の愛知県選手権で自己記録を出した勢いをそのままに先頭とほぼ同時にバトンをつなげる。その後は東洋大、中大との三つ巴の争いに。村木からバトンを受け取った松本朗(スポ1=福岡・戸畑)は序盤からエンジン全開の走りでトップに躍り出る。ラストこそ後ろに追いつかれたものの粘りを見せた。3走の小竹理恩(スポ1=栃木・佐野)も後れを取ることなく走り切り、三番ながらも先頭とは僅差でアンカー・伊東利来也(スポ2=千葉・成田)にバトンを渡す。個人の400メートルにも出場し、総合11位(47秒94)に終わっていた伊東は後半の走りに意識を置いて前の二チームを追った。その宣言通り、後半にギアチェンジ。残り50メートルで先頭の東洋大を逆転し、そのまま1位でフィニッシュラインに飛び込んだ。タイムは関カレを上回る3分7秒52のシーズンベストだったが、「タイム以上に内容がよかった」(伊東)とそれぞれが役割を果たしたことを評価した。

 今シーズン、女子は早大記録に迫る3分40秒08をマークし、男子は今大会で優勝と波に乗っている早大マイル陣。個々の記録も上昇し、より層が厚くなっている。秋の日本学生対校選手権(全カレ)では昨年以上の結果を残してみせる。

(記事 岡部稜、写真 金澤麻由)

結果

▽男子4×100メートルリレー(タイムレース)

早大(山下ー佐野ー小竹ー下平)  DQ

▽男子400メートル(タイムレース)

伊東利来也(スポ2=千葉・成田) 47秒94(A決勝5着、総合11位)

▽男子110メートル障害(タイムレース)

金井直(スポ3=神奈川・市橘) 14秒78(+0.2)(B決勝5着、総合10位)

▽男子800メートル(タイムレース)

西久保達也(スポ3=埼玉・聖望学園) 1分49秒26(A決勝3着、総合3位)

▽男子1500メートル決勝

齋藤雅英(スポ3=東京・早実) 3分55秒21(4位)

▽男子4×400メートルリレー決勝

早大(村木-松本-小竹ー伊東) 3分07秒52(1位)

▽男子砲丸投決勝

雨宮巧(社3=山梨・巨摩) 14メートル21(10位) 

▽男子走幅跳決勝

中村健士(スポ3=東京・調布北) 7メートル42(ー0.3)(7位) 

▽女子400メートル障害(タイムレース)

小山佳奈(スポ2=神奈川・橘) 60秒01(A決勝4着、総合4位)

関本萌香(スポ1=秋田・大館鳳鳴) DNS

▽女子800メートル決勝

竹内まり(教3=愛媛・松山西中等) 2分09秒72(A決勝4着、総合4位)自己記録

藤崎紗羅(社1=東京・早実)    2分17秒48(B決勝7着、総合13位)

▽女子走高跳決勝

仲野春花(スポ4=福岡・中村学園女) 1メートル80(2位) 

▽女子4×400メートルリレー決勝

早大(村上-中村巴-本池-関本) 3分46秒54(6位)

コメント

仲野春花(スポ4=福岡・中村学園女)

――きょうの位置付けを教えてください

きのう、実業団・学生対抗がありその試合内容を修正してきょうどれだけ試せるか、という形で挑みました。悪くはなかったと思います。

――疲労はいかがでしょうか

思っていたよりも影響はなかったです。2日連続の試合は初めてだったのですが、意外と自分なりにやれたのかなという感じでした。

――1メートル77までは1回で跳べていましたが、いかがでしたか

助走から踏み切りの流れがあまり良くなかったのですが、踏み切る所だけはしっかりと集中して、はまる踏み切りができたので、そこに関しては良かったと思います。

――全体的に見てきょうの調子はいかがでしたか

悪くはなかったと思います。

――最後に挑戦された1メートル83の時を振り返っていかがでしたか

気持ちの面で焦ってしまうところがあって、もう少しできたかなという不甲斐ない結果で終わってしまったなと思います。

――どのような点がもう少しできたと思われますか

1メートル80を跳んでから、1メートル83を跳ぶまでに流れが大きく変わってしまったのかなと感じたので、自分の中で焦りであったり気持ちの面で自分自身で崩してしまったという風に感じました。

――これまでのシーズンを振り返っていかがですか

前半シーズンは悪くはなかったのですが、記録も飛び抜けるわけでもなく現状維持という形だったので、秋シーズンに向けてしっかりと練習していきたいと思います。

――最後に全カレ(日本学生対校選手権)に向けて一言お願いします

学生最後のシーズンになるので、優勝して終わりたいです。

西久保達也(スポ3=埼玉・聖望学園)

――きょうのレースにはどのような気持ちで臨みましたか

自己新記録を狙いたいというのはシーズンを通してどの試合でも狙っていくという感じです。ペースメーカーがつくというのは聞いていたので、体調的には少し厳しいかなという思いもあったのですが狙う気持ちではいました。

――400メートル通過地点ではどのような感覚でしたか

感覚的にはそこまでキツイなという感じはしなかったのですが、前半は少し練習を空けていたということもあってスピードに乗り切れずに出遅れてしまった感じがあるので、そう見ると逆にイーブンペースくらいでいけたのかなと思います。気持ち的には楽だったのですがもう少し前で突っ込んでいけたら狙えたのかなとは思います。

――位置取りに関してはいかがでしたか

出だしのところを行ききれなかったというか、行ったら体力的にキツいのではないかという気持ちから守りに入ってしまったというところは自分の中であります。そこはこの夏の自分の過ごし方というかどう練習を積むのかということで。今回はそういった面では練習を積めていない中で自分のリズムというか意識で走ることはできたのでポジティブには捉えることができると思います。

――連戦からの疲労はありましたか

今、解散期間ということもあって疲労という面では大方とれているつもりではあるので走りの疲れはそこまで感じないのですが、いかんせん暑いので体力的にというか、まだ自分の中でこの暑さに慣れていない段階です。ここからまた解散期間が開けて練習が再開していく中で全カレ(全日本学生対校選手権)に向けていかにこの夏を乗り切れるかが鍵だと思うので、逆に全カレまではしっかり練習していきたいと思います。

――今シーズンのここまでを振り返っていかがですか

少し立ち上がりが遅かったというか、もう少しシーズン始めに行けたらと思うのですが、以前に比べたらシーズンインにしては悪くは無かったのかなと思います。一応自己ベストも更新できてますし試合でも勝てているので冬の練習がうまくできていて、春のスピードをあげる段階もうまく調整できたかなと思っています。この夏また二部練習などもやっていく中で、まだ全カレも3位以内に入ったことが無いので、しっかりとここから切り替えて表彰台、優勝を狙ってやっていきたいと思います。

竹内まり(教3=愛媛・松山西中等)

――試合を終えた今の率直な気持ちをお聞かせください

今回はレベルの高い選手と一緒に走るので、自重せずに行こうと思っていました。自己ベストを目指していたので、それが出せたという点に関しては収穫だったと思います。

――試合に臨むにあたって、目標などは立てていましたか

入りの400(メートル)が早いレース展開になると思っていたので、そこでしっかりついていって後半は粘るということを目標にしていました。

――順位よりは記録を狙っていたのでしょうか

はい。

――きょうの調子は良かったですか

7月の中旬に行われた愛媛選手権で、400、200(メートル)の自己ベストを出せました。スピードはついてきていると思っていたので、記録を狙おうと思っていました。

――「前半ついていって後半粘る」というレースプランを先ほどお話しいただきましたが、実際走ってみていかがでしたか

ほぼ想定通りのレースはできたんですけど、ラスト50(メートル)でスピードが落ちてしまったのは練習不足だったと思います。

――今年の前半シーズンを振り返ってください

200、400、800(メートル)の全てで自己ベストを更新できて良かったです。ただ各大会順位があと一歩というのが多かったので、夏合宿でしっかり力をつけて秋シーズンでは納得のいく記録と順位を出せたらと思っています。

――秋シーズンでの具体的な目標があれば教えてください

全カレ(日本学生対校選手権)で日本選手権の標準記録である2分08秒09を切って、優勝することが一番の目標です。

伊東利来也(スポ2=千葉・成田)

――きょうのレースの狙いは

今回は解散期間で三週間の休みを挟んだので、今までつくってきたものを思い出すというかたちで取り組みました。

――400メートルのレースについてはいかがでしたか

前半の200メートルは今までと同じように行けたんですが……。いつもは前半を250メートルという想定で考えていたのですけども、今回は自分の感覚として前半に突っ込むのが200メートルで終わってしまって、そのまま後半はラストの切り替えもなくダラダラと下がっていくような感じでゴールしてしまいました。自分の持ち味であるラストの切り替えだったり、第三、第四コーナーの走りがうまくできなかったりと、強みを全く出せなかったレースだったと思います。

――今シーズンは安定して46秒台をマークしていますが、振り返るといかがでしたか

全体的に振り返ると3月の記録会から順々と、自分で考えていたよりも大きな結果を残せたのでよかったとは思うんですけど、今回の結果を踏まえると、安定感の点ではまだまだ足りないところだと思います。

――4×400メートルリレー(マイル)の走りについてはどう振り返りますか

400メートルでは自分の持ち味を全く出せなかったので、マイルではレースパターンは臨機応変になるのですが、400メートルでできなかったラストにしっかり力を出すことを重きにして取り組みました。その結果、3番でもらったんですけど、最後に前を抜かすことができたので、最低限アンカーとしての役割は果たせたと思います。それで今回の400メートルの結果を帳消しにすることにはならないのですが、自分の中では無駄な試合にはならなかったと思います。一日の試合の中で修正もできたので、400メートルの結果を加えると悔しい気持ちはありますが、夏休みの練習に向けて改善点であったり、色々確認できたのでよかったです。

――マイルの記録はシーズンベストということで、タイムについてどのように考えていますか

あまりタイムは考えていなくて。1走から4走まで個々が自分のレースをすることを考えていました。1走は周りがいるなかでできるだけ差をつけて渡す、2走は松本(朗、スポ1=福岡・戸畑)がよくできていたように、前半から積極的に走るということ。そして小竹(理恩、スポ1=栃木・佐野)も今回よくて、もらった位置を僕が抜ける状態でつなぐことができました。そして僕がもらった順位を少しでも上げる役割だったので、タイムもよかったんですけど、それ以上に内容がよかったと思います。

――今季は躍進を遂げたことで、秋以降の目標は変わりましたか

そこは変わらずに、日本インカレ(日本学生対校選手権)でのマイルは優勝、個人では表彰台に乗るというのが目標です。その目標を持って、夏休みの練習に励んでいきたいと思います。

小山佳奈(スポ2=神奈川・市橘)

――きょうの試合の位置付けはどのようなものでしたか

きのうもレースがあったので、そのレースの修正する部分をきょうできればいいかなと思って臨みました。解散期間中だということもあって、きょう本当は出ない予定だったんですけど出ることになって練習の一環として後半シーズンに向けて1つの課題を見つけるためのレースだったのかなということもありました。

――連戦ですが疲れなどはありますか

疲れはあったんですけど、ちょうど解散期間中でリフレッシュできたと思います。夏の合宿や練習がこれからまたあしたから続くのでそこからしっかりと後半シーズンに向けて体をつくっていこうかなと思います。

――暑さから走りづらさなどはありましたか

アップの時点で結構体が火照ってしまったので、それはあったかなと思うんですけど、レース中に関してはそんなに気にせずいつも通り臨むことができました。

――レースを全体的に振り返っていかがでしょうか

きのうのレースと比べてしまいますが、きのうは前半からスピードがあってリズムにはあまり乗れていなかったんですけど、きょうは1台目からのびてしまって前半があまりうまく走れなかったので、後半ものびずに終わってしまったというレースになってしまいました。きのうよりはいいレース展開はできたんですけど、ひとつひとつ振り返ると課題が残るレースになったかなと思います。

――具体的に修正点は挙げられますか

足の切り替えなんですけど、3台目から4台目の逆足に切り替えるところを修正点として置いています。

――きょうのタイムや結果はどのように受け止めていらっしゃいますか

昨年もそこまでこの時期のタイムは良くなかったので、ベストから比べると大幅にタイムはかかってしまっているんですけど、前半シーズン後半シーズンしっかり分けてここからまた体をつくり直していければいいかなと思っているのでそんなに気持ちは沈んではないです。

――次に見据える日本学生対校選手権に向けて、夏の練習で強化していきたい点を教えてください

まずは体力づくりをしっかりして、そこからハードルを跳んで台数をこなして、先程言った3、4台目の足の切り替えをうまくしていきたいと思っています。