例年、7月の上旬にある世田谷記録会にてBチームの力試しとなるレースを行っている早大長距離ブロック。今年はその世田谷記録会が中止となったため、Bチームは順天堂大学長距離記録会に出場した。西田稜(政経4=東京・早大学院)をはじめ、上級生が組トップで走り切り自己記録を更新。夏合宿へ向け収穫のあるレースとなった。
5組には、伊澤優人(社3=千葉・東海大浦安)、三上多聞(商3=東京・早実)ら5人が出場。レースは1000メートルを約2分55秒のペースで進んだ。2000メートルを過ぎると、試合前から「レースを引っ張り切って勝つ」と考えていた伊澤が集団の先頭に立ち、三上もそれに続く。レースの終盤になり後続の選手が付いていけなくなると、伊澤と三上が1、2番でそれぞれ単独走となりそのままゴール。伊澤は14分34秒38、三上が14分38秒65と二人とも各々の自己記録を約1秒上回るタイムでゴールした。
最後の直線で必死にスパートする伊澤
また、8組目に出場した西田はレース序盤、集団の中で力を溜め様子を伺う。3000メートルを過ぎたところで、「前に出るのが早いかなという思いもあったんですが、積極的に狙っていこう」と自己記録を意識し先頭に立つ。その後は先頭を譲ることなくレースを進めたが、最後の直線に入ったところで順大の選手の猛追を受ける。西田は何とか逃げ切きり組トップでゴール。14分23秒70の記録となり、自己記録を約3秒更新した。
西田は11月ぶりに記録を更新した
その後に行われた9組目にはAチームの新迫志希(スポ3=広島・世羅)と千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)が出場した。新迫は順大の塩尻和也に付いていく場面もあったが、中盤に失速。14分29秒41の組20着に沈んだ。一方、千明は集団の中でレースを進めるも、「3000メートルから動いたときに、気持ちの面で付いていくのをやめてしまった」と塩尻のスピードに付いていけず。14分16秒29の9着となった。この二人は一週間後の関東学生網走夏季記録挑戦競技会にも出場予定であり、千明は記録更新に向けて「気持ちの面で負けないレースをしたい」と語った。
「指導陣の方々の評価を覆すような結果にはなりませんでした」(西田)、「もう少し(記録が)出ても良かった」(伊澤)と結果に満足しているわけではないが、自己記録や組トップといった結果を出したことはチームにとっても良い刺激となったはずだ。チームは二週間後に1500メートルと3000メートルの早大記録会が控えているが、その先には駅伝に向けた夏合宿が待っている。他大に比べて人数の少ない早大は駅伝シーズン、特に東京箱根間往復大学駅伝ではこのBチームのメンバーの存在が欠かせない。ここから、合宿を乗り越え駅伝メンバーに入れるか、勝負の夏が始まる。
(記事 平松史帆、写真 斉藤俊幸)
結果
▽男子5000メートル
1組目
武士文哉(文2=群馬・高崎) 16分12秒25(4着)
2組目
佐藤晧星(人1=千葉・幕張総合) 15分08秒20(1着)
辻本活哉(人2=大阪・早稲田摂稜) 16分16秒60(23着)
3組目
茂原將悟(法1=群馬・高崎) 15分09秒60(6着)
茂木凜平(スポ1=東京・早実) 15分25秒03(15着)
河合陽平(スポ1=愛知・時習館) 15分33秒20(20着)
4組目
室伏祐吾(商1=東京・早実) 15分05秒30(17着)
森田将平(スポ2=広島・修道) 15分13秒71(21着)
住吉宙樹(政経2=東京・早大学院) 15分49秒64(33着)
5組目
伊澤優人(社3=千葉・東海大浦安) 14分34秒38(1着)
三上多聞(商3=東京・早実) 14分38秒65(2着)
尼子風斗(スポ3=神奈川・鎌倉学園)14分55秒05(10着)
平子凛太郎(創理3=福島・盤城) 15分20秒16(22着)
黒田賢(スポ2=東京・早実) 15分20秒58(24着)
小澤直人(スポ4=滋賀・草津東) DNS
本郷諒(商2=岡山城東 DNS
6組目
岡田望(商4=東京・国学院久我山) DNS
8組目
西田稜(政経4=東京・早大学院) 14分23秒70(1着)
向井悠介(スポ1=香川・小豆島中央)14分57秒39(33着)
山口賢助(文1=鹿児島・鶴丸) DNS
9組目
千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)14分16秒29(6着)
新迫志希(スポ3=広島・世羅) 14分29秒41(20着)
宍倉健浩(スポ2=東京・早実) DNS
コメント
西田稜(政経4=東京・早大学院)
――きょうの目標はありましたか
気候も良かったので、ベストを狙いに行くというところと、3000メートルまでは記録を狙って、練習で出せたトップスピードくらいのスピード感を持ってラストに挑むということを意識していました。
――3000メートル過ぎてから、集団のトップに立ちましたが振り返っていかがですか
先週の男鹿駅伝も含めて後半が自分の狙いとは違うレースとなってしまっていたので、前に出るのが早いかなという思いもあったんですが、積極的に狙っていこうということでそのタイミングとなりました。
――最後、2着の選手に追いつかれそうな場面も見られました
やはり課題としてラストでトップスピードで帰ってくるというところがあったんですが、今回も意図しているところとは違うかたちとはなりましたが、組のトップは死守するという思いはありました。
――この記録は自己記録となったと思いますが、こちらに関してはいかがですか
昨年の11月からベストを更新できていなくて、なかなか合わせられないというように思っていたので、この結果は自分で良かったと思っていいと思います。
――前半シーズンを振り返っていかがですか
まだ、再来週に1500メートルと3000メートルのレースがあるんですが、例年5、6月で足に不安を抱えたりしていたところを、(今年は)継続して練習ができているので、そこは自分で自信を持っていいところですしこれから長い距離に対応する強みにしていきたいと思います。
――合宿に向けてお願いします
この記録会でAチームに上がったり、指導陣の方々の評価を覆すような結果にはなりませんでしたが、まだレースはあるのでそこでしっかりと2本そろえてベストを狙っていこうと思います。そろそろ最前線で戦っていかないといけないと思うので、そこを視野に入れて、目標ではなく課題として捉えていきたいと思います。
伊澤優人(社3=千葉・東海大浦安)
――きょうのレースの目標をお願いします
前半のトラックシーズンの総決算ということでBチームが全員出場していたので、やはり自己ベストを狙って多くのことを考えないで走りました。
――狙い通り自己記録を更新されましたが記録についてはいかがですか
自分の感覚では練習も出来ていたので、もう少し(記録が)出ても良かったとは思ったんですけど、思ったよりも気温が高くて風も少しあっての中での自己ベストだったのでタイムだけには表れない存在感などを示せたと思います。満足できるわけではないですけど、前半シーズンやってきたことが1つ形になって表れたかなと思います。
――2000メートル過ぎから先頭でレースを積極的に引っ張りました
スタートリスト見た時に、自分と同じか格下の選手が多い印象があったのでこのレースの中で勝ち切るということが今後自分がどこで戦っていくのか決めるレースでもあるかなと思っていたので引っ張り切って勝つということはレースが始まった時から、このペースだったら勝てるという思いがあったので思っていた通り引っ張り切って勝ちきることができたので良かったです。
――前半シーズンを練習から振り返ってみていかがですか
そんなに多くのレースには出ることはできなかったのですが、その中で一戦一戦で違った手応えであったり収穫を得ることができて、去年はケガで多くの期間走れなくて、1年生の間はレースに出させてもらったわりに結果を出すことができなくて、その中でようやく自分のレーススタイルであったりとか持ち味、強みを自分の中で掴みつつあるので、これを出せるレースを増やしていきたいと思っています。ここまでまだ満足できる結果は残せていないのでこれからもしかしたらこの後、合宿に入る前にもう一度試合に出させてもらうかもしれないので、まずはそこでしっかり、やり残したことを形にして夏合宿でAチームと渡り合える力をつけて駅伝シーズンにいけばチームとしてもいい形になると思いますし、自分自身の目標も達成できると思うのでそういうところを意識してやっていきたいと思います。
――そのご自身の持ち味というのは何だと分析していますか
どんな形であっても先頭付近でレースを進めた上で最後はしっかり粘って上位でゴールできることだと思うので、そこをもう一段上、もう少し後の組でできるかどうかがこれからは大事だと思うので、派手に大幅に自己ベストを更新できるタイプではないと思うので、地道に1つずつステップアップしていきたいと思います。
――これから夏合宿に入り、駅伝シーズンに向かっていきますが目標であったり意気込みをお願いします
チームで三大駅伝全てで3位以内というのを掲げていてBチームは例年20キロという距離に対応するための練習をメインでやっていくと思うのですが、箱根(東京箱根間往復大学駅伝)だけを見据えてやるのもひとつの道ではあると思うのですがそれだとやはりAチームとの差を埋めていけないと思うので全日本(全日本駅伝対校選手権)、出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)も自分たちも当事者なんだという自覚を持って短い距離にも臆することなく、太田、新迫など強い選手が揃っている学年ではあるので3年生としても自分の領域を決めてしまうのではなくてAチームの主戦場でも戦っていけるように、具体的には5000メートルの関東インカレ(関東学生対校選手権)のA標準を突破できるようにというのは意識してやっていきたいと思います。
千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)
――きょうの目標はありましたか
自己ベスト狙いということでした。自分の走ったことのないペースでレースをすることが目標でした。レース序盤は遅いレースで。3000メートルから動いたときに、気持ちの面で付いていくのをやめてしまって、気持ちが切れてしまって。タイムとしては良くも悪くもないタイムとなり、自分としてはもっとできたレースとなりました。このような中途半端なタイムが続いているので、来週北海道のレースで記録を狙うのでそこでは体は動いているので気持ちの面で負けないレースをしたいと思います。そうすればタイムも出ると思います。
――課題は気持ちの面というお話がありましたが、収穫はありましたか
一周が68秒のペースに慣れてきたということはあるので、67秒のペースでいけるようにというのはありますが、そこは収穫だと思います。
――来週は記録会があるというと思いますが、その先には夏合宿が控えていると思います。そちらに向けて意気込みをお願いします
夏合宿では20キロの距離を走れるようにという練習が続くと思うので、トラックからロードに切り替わるということでケガに気を付けて、まずは合宿を乗り越えることを目標にしていきたいと思います。そして駅伝を目標にしていきたいと思います。