【連載】ルーキー特集『新進気鋭』 第6回 中谷雄飛×千明龍之佑×半澤黎斗

陸上競技

 力のある4年生が卒業した長距離ブロックに、強力なルーキーたちが入学した。昨年の主要大会では日本人に負けなしの中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)、二年連続でクロスカントリー日本代表の千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)、2017年総体1500メートル覇者である半澤黎斗(スポ1=福島・学法石川)の3人だ。超高校級の実績を持ち、今後の長距離界をけん引していくであろう逸材に、早大での抱負を伺った。

※この取材は4月11日に行われたものです。

「(早大での生活に)段々と慣れてきている」(千明)

落ち着いて質問に答える千明

――きょうの練習は何をされましたか

千明 僕と中谷が同じ練習で4000メートルを2セットです。

半澤 僕は今1500メートルの練習をしているので短い距離で400メートルを3本の3セットです。

――調子はいかがですか

千明 普通くらいですかね。段々、(高校時代と比べて)距離も伸ばして練習しているのでいい感じかなと思います。

中谷 ちょっとずつ状態が上がってきているのでいい感じかなとは思っています。

半澤 僕はまだ体のキレが無いイメージがあるので、もう少し時間がかかるかなと思います。

――高校から大学になって生活の変化はありましたか

千明 朝練習が高校の時よりも早くて、高校の時は食事してから朝練習で遅い時間から練習だったのですが、大学では練習をしてから食事なのでそういうところで最初は慣れない部分もありました。

――まだその生活には慣れてないですか

千明 最近は補食とかを食べてから練習に行くようにしているので段々と慣れてきていると思います。

中谷 高校時代は時間がキッチリと決まっていたので時間の使い方をうまくしないと自分の時間が無かったのですが、大学に来てからはそういった練習以外の時間がそこまでキッチリと決まっているわけでは無いので割と自由に過ごせているので、そこは高校時代とは違っていいところかなとは思います。

――高校時代、部では携帯電話が禁止だったということをお聞きしたのですが

中谷 そうですね、今は持っているのですが高校時代は持っていなかったですね。

半澤 依存症、依存症(笑)。

中谷 高校時代は持っていなくて使っていなかったのでちょっと使っていますかね(笑)。

半澤 僕は朝早くから1年生の仕事があるのでまだまだ慣れないことが多いですけど、時間が決められた中でしっかりと1年生としての仕事をこなしつつ練習をしっかりやっていかなくちゃいけないっていうことを感じています。

――みなさん当番などで早起きされると思うのですが、早起きは得意なほうですか

一同 いやいやいやいや(笑)。

――入学されて間もないですが同期のみなさんとの仲はいかがですか

千明 まあ、いいと思います。まだ今のところ何も起きていないので(笑)。長距離の推薦組と長く居ることが多いので一般入学の選手よりかは今のところ仲が良いかもしれません。

――オフの期間は何をして過ごされていますか

千明 僕はオフの時間は動画サイトで動画見たり、寝たりする事が多くて、趣味はあんまり無いです。友達と遊ぶ事も多いのですが本当に疲れている時は寝ていますね。

中谷 自分は結構外に行くタイプなので高校の同級生とかとご飯食べに行ったりだとかはよくしていますね。渋谷とか行きますね。趣味とかはあんまり無いですね。

半澤 基本寝ていたい人なので時間があれば寝てたいですけど、誘われたら色んなところに行きます。高校の先輩に誘われてご飯行ったり、同期とご飯行ったりします。

――オフの過ごし方に変化はありましたか

半澤 そうですね、電車が通っているっていうのが大きくて。あっち(福島の地元)は1時間に1本とかなので、自由に移動できなかったんですけどこっちでは電車通っているので便利ですね(笑)。

中谷 長野もそんなに頻繁に電車通って無くて、特に自分の地元はそんなに電車が無かったので。

千明 実家は福島とか栃木に近い山の方で電車も高速も通っていなくて、高校は都会の高崎市だったので高崎駅にはすぐに行けたので電車でどこか行くってよりかは高崎であそんでいた感じですね。

――試合前のルーティーンだったり勝負飯はありますか

半澤 僕は左足から靴下履きます。普段は右から履くんですけど試合の日とかは意識して左から履きますね。食べ物とかだと外に行って出来ない場合があるなと思って、なにかひとつ探そうと思った時に靴と靴下を左足から履くようになりました。気持ちの問題ですけどね。

中谷 自分は試合当日の朝ご飯は、なるべく白いご飯を食べるようにしています。パン食べた時よりもご飯 食べた時の方が偶然かもしれないんですけど結果が良かったので今でも続けています。高校生の時からですね。

千明 僕は特に無いです(笑)なんか食べ物とかは気にしなくて食べたい時に食べますね。あんまりそういうのは気にしないタイプなので。

「陸上ならば身長とか関係なく勝負出来る」(半澤)

半澤は1つ1つの質問に丁寧に答えてくれた

――陸上競技を始めたきっかけは何ですか

千明 僕はもともとサッカーとスキーをやっていました。姉が2人いてどちらも陸上をやっていて群馬県の代表で走るくらい強い方だったので、僕も全国大会とか小さな頃から見に行っていて。小学校の頃も一応、陸上もやっていたのですが全然速くなかったので中学では辞めようと思って、他の種目に転向しました。そうしたら年に1回駅伝大会があって(中学校に)陸上部が無かったので寄せ集めしたチームで出たら中1、中2、中3で結果が良くて、特に中3の時には県の駅伝で区間賞とって高校の監督に声をかけてもらいました。せっかく誘っていただいたし、高校から本格的に始めてみようと思ったのがきっかけです。

――スキーの方でも好成績を収められていましたよね

千明 中学までならすごかったですけど、たぶん高校に上がったらそんなに、だったと思います。高校ではスキーか陸上をやろうと思っていたのですがスキーで行くならば県外ということでお金がかかるっていうこともあって陸上を選びました

中谷 僕はずっと水泳をやっていて、たまたま小学校の時に学校で町のマラソン大会に出るっていうことになって、水泳と掛け持ちでその大会に出るために母親と一緒に練習をしていて。その時は小学校2年生であまり結果は良くなかったのですが大会で3番以内に入るとメダルとか賞品が貰えていたので上位に入ればああいうのが貰えるんだなって思って、翌年3番以内に入ることが出来てそのメダル欲しさに続けていった結果中学でも陸上を続けていました。

半澤 僕は3歳からずっとサッカーをやっていて中学でもクラブチームでサッカーをやっていたのですが、中学校でも何か部活に入らないといけなくて、サッカーでも体力が必要なのでその体力作りのために陸上部に入ったのがきっかけです。でもその時は陸上部では週に1回くらいしか練習していませんでしたね。

――なぜ高校ではサッカーではなく陸上をする事にしたのですか

半澤 サッカーの方が小学校の頃は自分の思い描いていた通りの活躍ができていたのですが、中学に入ると身長だったり体格差で負けてしまうこともあって。伸び悩んでいた時に、中体連で陸上の大会に出させてもらったら東北大会まで行くことができて、(東北大会では)結果は6番だったんですけど途中まで自分でレースを作っていいレースをする事が出来たので陸上ならば身長とか関係なく勝負できるのかなと思った時に、高校の松田先生から声をかけていただいたので、そこで高校では陸上をやろうと決意しました。

――陸上競技以外のスポーツ経験が今の競技に生かされていますか

千明 サッカーだったら横の動きとか左右に対しての強さとか体幹とか結構効いているのかなっていうのはありますし、クロスカントリースキーだったら肩甲骨がかなり柔らかくなったり、後はやっぱり体幹や脚力はかなり陸上に役立っているなって思いますね。スキーをやっていて中学までは走るのは好きじゃなかったのですが、(中学校に入ってから)スキーの練習とかで走っても速く走ることができたので向いているのかなって思うようになりました。

中谷 特に水泳は11年間やっていたので心肺機能とかはやっぱり水泳で鍛えられたのかなっていう感じもしますし、それが今に生きているのかなって思います。

半澤 もともとサッカーをやっていた頃のチーム内の役割として僕は走れる選手ということで使っていただいていたので、陸上とは関係なくても走るっていう基本の部分では他の人よりも頑張って練習していたので陸上始めた時もスムーズに陸上の練習に移れました。あとは気持ち的な部分でキツいこととかつらいことがサッカーやっている時はたくさんあったのでそういうことを経験してきたからこそ、今陸上をやっていてキツい事があっても諦めないで頑張れているのかなって思います。

――みなさん仲の良さが伝わってきますが、いつ頃からでしょうか

千明 そんなに大会で会うことが無かったので本当に仲良くなったのは高3になってからの陸連の合宿でかなり仲良くなりました。それまでは全然で、軽く話すくらいでした。それが高3の9月でインターハイが終わった後の結果で選ばれる合宿だったので最近ですね。

半澤 僕はインターハイで初めて全国大会出たので僕の事知っている人は居なかったと思います。

千明 いや、知ってはいたけど(笑)。でもそんなに喋ったことは無かったですね。

――では、第一印象はお互いにどのような印象を抱いていましたか

千明 中谷は真面目な感じで半澤は面白い感じ。

中谷 半澤はリーダーシップがあるイメージがあって、それは大学に来てからも同じかなって思っていて、千明は最初はどちらかというと物静かな感じのイメージがありました。今は結構喋って面白い人だなっていうふうに変わりました。

――半澤選手はいかがですか

半澤 2人とも僕よりも強かったので第一印象は怖いというか少しビビりながら話していました(笑)。もう今は全然余裕ですけど(笑)。中谷は意外とマイペースっていうか凄く真面目そうに見えて自分のペースで行動している感じで、千明はその中谷をイジっている感じです(笑)。

――何かエピソードがありますか

半澤 何かある?

千明 あり過ぎじゃない?(笑)。

半澤 結構時間もギリギリに来たりして、それに対して何か言うみたいな感じです。

千明 まあ俺も言えないけどね(笑)。

半澤 僕はビビリなので早く行くようにはしています(笑)。2人ともマイペースなのかも知れないですね意外と。

――高校時代の競技生活を振り返っていかがですか

千明 1年生の時から順調にタイムも伸ばせてきていたんですが、大きな成績は残すことはできなかったので、大学では一発大きな結果を残したいと思っています。

中谷 高校時代は自分自身ここまでタイムが伸びるとは思っていませんでした。1年生の時から少しずつ記録が伸びていったのですが、1年生の時は距離が短かったので、学年が上がる時に距離を伸ばすために練習量増やしたら貧血になって全く走れない期間があったのですが、それを越えてから一気に記録が伸びてきたので、あまり順調に来たわけでは無かったのですが最終的には記録も結果もついてきましたし高校駅伝でも去年はチームで目標としていた優勝も出来たので充実した3年間だったかなと思います。

半澤 僕は1年生の時の3年生が最強世代で、それもあって一緒に駅伝を走りたいと憧れて(学法石川に)入ったら、あっという間の1年ですぐに駅伝が来て、って感じで。走らせてもらったのですが本当に何も出来なくて悔しさが残る1年でした。2年生の時は、始まってすぐに太ももの疲労骨折という初めての大きなケガをしたのですが、自分自身も4ヶ月という初めての長期離脱で走れない期間が長くてインターハイ路線も諦めて駅伝に絞ろうと切り替えて1年間やってきました。(全国高校駅伝では)遠藤さん(遠藤日向、住友電工)を始めその他の選手も強くて層が厚くて優勝狙えるチームだったのですが結局インフルエンザにかかってしまい僕のところ(1区)で区間最下位になってしまいました。なかなかそういう経験も出来ないと思うし1年、2年と駅伝で失敗してきたのでそれらを生かして高3ではリベンジしたいっていう思いで3年生が始まりました。トラックシーズンも駅伝につながるトラックシーズンにしたいっていうふうに考えてのインターハイ路線だったので、その中で(インターハイで)1500メートル優勝出来たのは大きかったですが一方で5000メートルは予選落ちしてしまって自分の実力の無さも非常に感じました。夏合宿やそれ以降の練習に取り組んで、しっかりと練習が積めて自信を持って迎えた都大路(全国高校駅伝)だったのでそういう意味で結果が出なかったのはとても悔しかったです。駅伝を自分の中でイメージしながらやってきた3年間の中で結果が出なかったので悔しい3年間でした。

――3月にはアジアクロカン(アジアクロスカントリー大会)に日本代表として出場されました。『JAPAN』を背負って臨んだレースはいかがでしたか

千明 僕は2年生の時も世界クロカンに出ていて全然ダメなレースだったので、ことしは最初から行こうと思ってレースを引っ張ったり先頭集団の中で途中までレースを進められたのですが残り3キロくらいで先頭と離れてしまって。そこで中谷は付いて行って2番で、僕は離れてしまって4番だったので、そこで付いていくことができればいい順位が取れたと思いますし日本人1位も狙っていたので悔しい結果となりました。

中谷 自分としては昨年(2016年度)世界クロカンの代表に選ばれたところをチーム事情で辞退する形となって今回初めてだったので悔いが残らないようにレースが出来ればなと思っていました。国際大会に出るのは初めてだったのですが、トップを狙ってレースに臨んだのですが思うようにレースが作れなくて中国の選手にも残り3キロないし2キロくらいでペースアップされて対応できずに逃げられてしまうっていうかたちになったのでそこで付いて行けなかったのはまだまだ力が無かったのかなっていうふうに感じましたし、ここでしっかりと戦って世界で活躍したい思いがあるのに、まだまだ戦えないなと感じました。

――中谷選手は高3の時には日本人高校生には負けなしですがそれでも満足は無いですか

中谷 ワセダで言えば大迫さん(傑、平26スポ卒=現ナイキ・オレゴン・プロジェクト)のような選手になりたいと思っているので、やっぱり国際大会でも勝ちにしっかりこだわることが出来ればなと思っていました。

――半澤選手はアジアクロカンはいかがでしたか

半澤 僕は寮を出て自分1人で練習するっていう機会が多くなって大会前まで思ったように練習が積めていなくて、中国に行ってからも自分自身初めての海外だったので食事の面でもすごく苦労して大会前の調整がうまくいかなかったのでそこがダメだった点かなって思います。レースに関しては1周目から先頭集団から離されてしまってもうその時点で力の差を感じましたしコース自体もすごくキツいコースでクロカンも走るのは初めてだったのでそういう意味ではいい経験をさせてもらったと感じたのが今回のアジアクロカンでした。その中でも自分の持ち味であるラストスパートだったりペースの切り替えっていう部分は通用した所もあるのでそういう部分は自信を持ってもいいのかなとも思いますし、次は世界ジュニア(U20世界選手権)もあるのでまずはそこに出場できるように、そしてそこで勝負できるようにしたいなと思いました。

「世界で活躍できる選手になりたい」(中谷)

しっかりとした口調で話す中谷

――早大を進学先に選んだのはなぜでしょうか

千明 ずっと前から憧れていたっていうのもありますし、伝統校っていうこともあって箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝)であったり古くから活躍している大学なので自分もその一員となって新たな伝統を作っていきたいっていうふうに思っていたのが一番です。あとは、指導者っていうのも考えていたのでスポーツ科学部で学びたいっていうのっこともありました。

中谷 自分は大学行ってから世界で活躍できる選手になりたいというふうに思っていて、特に自分としてはトラックの5000メートルや1万メートルでオリンピックや世界陸上に出場して勝負できるようになりたいと考えていて、そうした時に大迫さんであったり竹澤さん(平21スポ卒=兵庫・報徳学園)が世界で活躍されていたのでそういった先輩方を目指して戦いたいなって思ったし、やはり自由に自分の意見を取り入れてやってくれる環境も強みだと思ったので早稲田大学で競技をしたいと思っていたからです。また、将来的には実業団で競技を続けたいなっていう思いもあるのですがスポーツに関する仕事に就きたいという思いもあったので早稲田大学を選びました。いずれ競技を引退してからは指導者として選手を育てていきたいとも思っています。

半澤 僕は陸上を始めた中学時代より前の小さいころから箱根駅伝を見て正月を過ごしていてやっぱり早稲田大学はすごくかっこいいなと思って見ていましたし学生駅伝三冠っていうのも見ていて憧れを持っていました。それで陸上を始めた時に陸上を本気でやるならば早稲田大学を目指そうと思って始めたので、高校1年生の時から顧問の先生には早稲田大学に行きたいということは言っていました。それはでもその時には叶わない夢というか大きな夢というふうに思っていたので現実的には違う大学も考えてはいたのですが高3になって結果もついてきてからは早稲田大学で競技を続けていたいというのが明確な目標として考えるようになっていました。あとは将来、教員になって自分もそうしてもらったように陸上の楽しさや面白さを伝えられるような指導者になりたいと思っているのでそういう面も大きいです。

――では教職課程の授業も履修されているのですね

千明 そうですね。月曜日は練習がオフなので4、5限に教職の授業を入れるようにしていますね。

――お互いが進学先に早大を選んだと知った時のお気持ちは

千明 同じ学年の強い選手が同じ大学に入ることは日々の練習のレベルも上がってくるのでいいことなので純粋にうれしい気持ちがありました。

中谷 やはり全国でも活躍していた同学年がこうしてそろったので非常に楽しみだなっていうふうに感じていましたし、その中でいい所を吸収して自分自身もそうですけどみんなで頑張っていけたらなって思いました。

――お二人は進学先についてのお話はされていたのですか

千明 中谷と自分は同じ入学経路なので話したりはしていましたね。

半澤 僕はこの中(スポーツ推薦組)で決まったのは一番最後で、二人(中谷と千明)が来るかもというのは耳にはしていたのですが、確実には分かっていなかったので、二人の入学が決まって、「あー来るんだ」っていう感じでした。一緒に練習できるっていう点では、さらに自分が上にいくことが できるのではないかっていうふうには思いましたけど、でもちょっとそのときも怖かったですね(笑)。

――高校までの練習と大学の練習で違いは感じていますか

千明 結構うちの高校と似ているのですが、朝にペース走をやって午後に各自でジョグっていうのは高校とは違っていて、高校では朝に各自で午後にみんなでっていう感じが多かったです。朝と本練習が入れ替わっただけではあるのですが大変まではいかないですけど違和感はまだありますね。あとジョグの時間も高校の時よりも増えました。時間でいうと高校は50分と12キロまでだったのですが大学では70分とか80分とかの時もありますし15キロとか16キロとかの時も増えてきましたね。

中谷 高校時代はまとまって練習していたのですが大学に来てからは人それぞれメニューが決まっていてポイント練習も人それぞれバラバラでやっているのでそこが高校時代と大きく変わった点かなと思います。あとは、ジョグも高校時代はまとまって時間や距離が決められていたので大学では各自のジョグ(の距離や時間)が縛りが無い分、自由なところがあるなって感じました。

半澤 やはり自由にできるっていう点が一番変わったところだと思います。高校の時は言われたメニューをやっていればそれだけで練習になりましたし、なにも考えなくても勝手に速くなっていたのですが、こっちに来て自分でどこが足りないかっていうことを考えてそれを監督と相談してからメニューを組み立てていくっていうことが自分の実になる練習ができているなって思いますし、逆にその難しさを感じる部分も多いです。

――ご自身のレースでの強みは何だと思いますか

半澤 僕はやはりラストスパートに懸けているのでそこは誰にも負けたくないっていう思いがあります。こっちにきて中谷と一緒に練習したりすると自分もまだまだだなと感じる部分もあるので練習から負けないように意識してやっていますがなかなか勝てないですね(笑)。中谷速いなって(笑)。

中谷 自分はどちらかというと高校時代からそうだったのですが、最初から自分のペースでいけるっていうところであったり、失敗してもいいから最初いこうという感じで走れるところが持ち味かなって思いますし、しっかり速いペースで押していくことができるっていうのも自分の持ち味かなって思いますね。

千明 僕も最初から突っ込んでも後半粘れるっていうのが強みだと思っていて、あとはきれいなフォームで最後までフォームを崩すことなくいくっていう事を心がけているのでそのフォームの部分は粘りにつながっているのかなって思っています。

――では逆に課題はどこにあると思いますか

千明 僕はやはりラストスパートですね。2人にも国体(国民体育大会、5000メートル)のラストでやられてしまったので。

中谷 どうしても中間にペースが落ちてしまうという事と最後しっかり上げることができるのは持ち味だと思っているのですが、一定の力を出してしまうと体が固まってしまうところがあるのでそこがもう少し出せられたらなと思っています。

半澤 僕の場合は大学で通用するためには全体的にまだまだ弱い部分が多いなって思っていて、自分の強みをさらに伸ばすっていう意味でもそこは課題だと思いますし前半から中盤にかけてどれだけ余裕を持って走れるかで自分のラストスパートもどれだけ生かせるかが決まってくると思うのでそこの部分を強化していけばもっと戦えるようになるかなって思います。

――今の練習の状態などはいかがですか

千明 わからないです。いや、多分いいと思うのですが、いつも試合に出てみてって感じなので。

中谷 ちょっとずつ上がってきているかなっていうふうに思っています。若干、体の動きが悪いなって感じていていることがあるのですが大会が近づくといい緊張感が出てきて体がしっかり動いたりとか、しっかりスピードに乗れるところがあるのでそういったところで感じています。

半澤 調子は正直あんまり良くないですね。毎シーズン後半に調子が上がってくるタイプなので、例年と比べて環境の変化とかもあってまだ上がりきっていないというか、下がっているところなのであとは上がるだけかなって思っています。

――他大学にライバルはいらっしゃいますか

千明 中央大学の三浦(拓朗)とかは強いと思いますね。

中谷 特に限定してっていう感じは無いですけど、これからも同期だけでなく色々な選手に負けたくないなって思っています。

半澤 僕は法政大学の久納碧ですね。やはり同じ高校でずっと一緒に練習してきたので大学に入ってお互い違う環境になったので負けたくないなっていうふうに思います。

――では目標にしている選手はいらっしゃいますか

半澤 もうそれは高校の先輩でもある遠藤日向さんですね。目指しているところであったり、やっている種目が少し違っているので、種目の面というよりかは志であったり気持ちという面でとても尊敬する面が多いです。いつかは一緒のレースで戦って勝ちたいと思います。

中谷 自分は高校の先輩でもある大迫さんで、高校時代からすごくストイックで常に上を見据えて競技をしていたっていうことを先生方からお聞きするのでそういった選手を目指して自分も結果を残せるような選手になりたいと思います。

千明 僕は東洋大学の西山(和弥)さんです。同じ高校で一緒に練習してきて、大学ではこうして別れて違うチームで戦う機会が出てくるので高校時代は勝てなかったので大学では勝ちたいなと思います。

――箱根駅伝で走りたい区間はありますか

千明 往路を走りたいですね。特にどこということは無いですけど、山も登れるとは思うのでどこでも大丈夫です。

半澤 じゃあ山、お願いします(笑)。

――登りは得意ですか

千明 そうですね、苦手ではないですね。

――他の選手は箱根駅伝で走りたい区間はありますか

中谷 自分は山はちょっと苦手なので山以外の区間だったらどこでもいいかなと思います。しっかりとハイペースで押せるという持ち味を生かせるようになるべく平坦なところで走りたいと思います。

半澤 僕は1区ですね。自分の持ち味が出せるっていう部分を考えて1区で勝負したいです。

――みなさんが3年生の時には東京五輪を迎えますが意識はされていますか

千明 東京はあまり意識していないですね。東京というよりも次の(2024年に開催される)パリオリンピックですね。

中谷 自分もそこまで意識はしていないです。オリンピックには出て勝負はしたいのですが具体的に東京で、って感じではないですね。

半澤 意識はせずにチャンスがあれば、というところなのですが、まずは実力をつけてから狙おうと思います。

――早大での四年間での目標を教えてください

千明 関東インカレ(関東学生対校選手権)、全日本インカレ(全日本学生対校選手権)で上位入賞することであったり優勝することはもちろんなのですが、あとは少しでも国際大会に出場して上位の結果を残したいなと思っているので、まずはその大会に出場することですね。あとは三大駅伝に1年生から出場してやはり三冠を目指して四年間やっていきたいなと思います。長い距離が得意なのでトラックだったら1万メートル、ロードだとハーフマラソンで4年生の時は結果を出したいなと思っています。

中谷 自分は5000メートル、1万メートルのトラック種目でユニバーシアードもありますし国際大会でしっかりと結果を残せるように走りたいと思っています。

半澤 僕はまず1年目は1500メートルで世界を体感して、日本選手権の標準タイムも切っているので日本のトップ選手と戦いたいと思っているので1500メートルでまずは戦いたいと思っています。4年間を通して、地元の福島が被災してまだ集まれていない人や会うことができていない人もたくさんいて、まだまだ復興が進んでいないところもあるので一番注目されるであろう大会である箱根駅伝で、そこで自分が活躍することによって少しでも役に立つことができたらと思っているので、そういう意味でメディアにたくさん取り上げられるような活躍をしたいなと思っています。

――では今シーズンの目標は何ですか

千明 最初のトラックシーズンでは5000メートルで13分50秒を目安にやっていって1万メートルも28分台を目標にやっていきたいと思っています。後半の駅伝では3位以内という目標をチームで掲げているのでそれに貢献できるように頑張りたいと思います。

中谷 自分としては、今年から今年らしいは世界ジュニアがあるのでまずはそこで勝負できればなと思っています。そういったところで勝負できれば、タイムも自然と上がってくると思うので具体的なタイムはそこまで考えていないですね。

半澤 僕は、今年は1500メートルメインで自分の持ち味を伸ばすっていうのを目標にやっていきたいと思います。夏合宿からは距離に移行していこうと思うので、そこで距離に対する苦手意識を克服しようと思っています。しっかり距離を踏んで駅伝シーズンでは駅伝でしっかりチームに貢献できるようにしていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 岡部稜、斉藤俊幸)

早大を背負っていくであろうこの三人。これからの活躍が楽しみです!

◆千明龍之佑(ちぎら・りゅうのすけ)

2000(平12)年3月3日生まれ。167センチ。52キロ。群馬・東農大二高出身。スポーツ科学部1年。自己記録:5000メートル14分03秒27、1万メートル30分06秒42。座右の銘は「迷ったらGOや!」。総体5000メートル決勝の前に高校の先生からかけられた言葉だそうです。恩師の言葉を胸に積極的な走りを見せる千明選手に要注目です!

◆中谷雄飛(なかや・ゆうひ)

1999(平11)6月11日生まれ。169センチ。58キロ。長野・佐久長聖高出身。スポーツ科学部1年。自己記録:5000メートル13分47秒22、1万メートル29分19秒98。オフには高校の友達とよく外出するという中谷選手。これまでに渋谷などに行かれたそうです。世界に羽ばたいた先輩を目指して、トラックレースで世界大会を狙っていきます!

◆半澤黎斗(はんざわ・れいと)

1999(平11)年12月3日生まれ。165センチ。52キロ。福島・学法石川高出身。スポーツ科学部1年。自己記録:1500メートル3分44秒57、5000メートル13分58秒08、1万メートル30分01秒84。レース前には左足から靴を履く習慣があるという半澤選手。駅伝に対する強い思いを語ってくださいました。持ち前のスピードを生かした鮮やかなラストスパートが見ものです!