日本グランプリシリーズの第4戦として、エコパスタジアムの地で行われた静岡国際大会。早大からは招待選手を含め5人が出走した。走りのフォームの移行期だという加藤修也(スポ4=静岡・浜名)は凱旋試合となったが、改善点を感じるレースとなった。また期待のルーキー小山佳奈(スポ1=神奈川・橘)は歩数の面で不安があったものの、ユニバーシアードに向けこれから調子を上げていく。それぞれの目標に向け本格始動した早大の面々。その活躍に期待がかかる。
(記事 鎌田理沙)
★課題を再確認するレースに
ハイレベルな組でも積極的なレースを見せた西久保
男子800メートルには西久保達也(スポ2=埼玉・聖望学園)が出場。今大会を高速レースへの対応力を測る試合と位置付けていた西久保は、序盤からのハイペースに一歩も引くことなく積極的にレースを進める。オープンレーンから3番手につけると、上位に食らいつきながら400メートルを通過。2周目に入り若干ペースを落としたものの、なんとか持ちこたえて2位まで順位をあげた。しかし、残り200メートルからは後続が猛追を開始。振り切りたい西久保だったが、ここまでハイペースでレースを進めてきた西久保にその余力は残っていなかった。第二曲走路で順位を一つ落とすと、最後のストレートでも競り負け、最終的に4着でフィニッシュ。タイムは1分49秒92と自己ベストには届かなかった。
「タイムに重きを置いていたので、その割にはいいタイムは出なかった」と不完全燃焼に終わった今大会。それでも、実業団の選手や学生トップクラスの選手と共に高速レースを展開した今回の経験は今後に向けて大きな糧となるはずだ。今月末にはいよいよ関東学生対校選手権も控えている。「やはりスピードは徹底的に鍛えなければいけない」。再確認した自らの課題と向き合い、最高の状態で大舞台に臨んでほしい。
(記事 大庭開 写真 曽祢真衣)
★加藤、フォーム改善へ 模索の7位
ラストの伸びを欠いた加藤
男子400メートルには招待選手の加藤修也(スポ4=静岡・浜名)が出場した。加藤の組は学生、実業団の実力者がそろい、ハイレベルな組でのレースとなった。加藤は残り100メートルで追い上げる走りが持ち味だが、序盤からスピードを出すためのフォーム改善を昨冬から試みている。しかし、「課題としてやってきたことが嚙み合わなかった」と前半にリードを作ることができない。得意のホームストレートでも伸びず組4位、47秒23で総合7位に終わった。
「まだ改善点が見つかっている段階」と今レースはまさに試行錯誤の一本となった。顕著な後半型としてリオデジャネイロ五輪日本代表選出などの実績を収めてきた加藤が、今後どのような変化を遂げるのか注目だ。
(記事 曽祢真衣 写真 大庭開)
★関カレに向けて、課題を見つける一本に
試合の経験を重ね、関カレで力を発揮したい
400メートル障害には早大から3名が出場。それぞれ異なる目標を見据えて挑んだレースとなった。南野智美(スポ3=山口・西京)はユニバーシアードの標準記録を狙っての出走に。後半に持ち味の粘りを見せたい南野であったが、前を走る選手との差は詰められず。1分1秒51と目標には遠く及ばない結果に終わった。練習は積めていただけに悔しさが残るが、「自分の体調をきちんと見分けていかないといけない」と新たな課題を見つけたようだ。南野の次の組に出場した小山佳奈(スポ1=神奈川・橘)は目標タイムより少し遅れる結果となった。冬季練習で培った自信をもとに、前半からつっこむ試合を実現させる。タイムは1分1秒25というものだった。その中でも小山の中で意識したのは歩数だ。「練習で400メートルのタイムが上がってきたが、なかなかハードルに生かせていない部分があった」(小山)。試行錯誤しながらも自分に合う歩数を見つけ、スピードに生かしたい。石田祐介主将(スポ4=千葉・市船橋)は関カレ(関東学生対校選手権)前に感覚を確かめる試合に。前半をゆっくりと意識し、後半に追い上げるレースを展開。ホームストレートでは2位争いを勝ち抜いた。「タイムとしてはあまり良くなかった」と関カレに向けて修正点を見つけるレースに。ラスト3台でいかにうまくかたちを作れるかが、カギとなってくる。
障害ブロックとして、3選手が焦点に定めているのは関カレ。「あとはもう試合をやるだけ」(石田)。それぞれの修正点を改善し、そのハードルを飛び越えたい。
(記事 杉野利恵 写真 曽祢真衣)
結果
▽男子800メートルタイムレース決勝
西久保達也 1分49秒92(2組4着、総合4位)
▽男子400メートルタイムレース決勝
加藤修也 47秒23(3組4着、総合7位)
▽女子400メートル障害タイムレース決勝
南野智美 1分1秒51(1組3着)
小山佳奈 1分1秒25(2組8着)
▽男子400メートル障害タイムレース決勝
石田裕介 51秒36(3組2着)
コメント
石田裕介主将(スポ4=千葉・市船橋)
――今大会の位置付けはどのようなものでしたか
関カレ(関東学生対校選手権)前の確かめのような試合だったと思います
――具体的なタイムを目標として設定していたわけではないということでしょうか
そうですね。自己ベストが出れば良かったんですけど、関カレ前の大きな刺激のような意味合いが強かったです。
――確かめとして特に意識していたポイントは何でしょうか
13歩で5台目までいってそこからどう切り替えるかが今回の大きなポイントでした。落ち着いてどこまでいけるかというところで、切り替えは良かったんですけどラスト3台はうまくかたちを作ることができなかったので、そこは大きなミスかなと思います。
――東京六大学対校では1台目までの入りの速さを意識しているとおっしゃっていましたが、この部分はいかがでしたか
きょうはそこは意識していなかったですね。今回はどちらかというと最初ゆっくりいって、周りの選手から出遅れたとしても後半しっかりと抜くというところがポイントでした。後半どこまであげられるかというところで2着まではいけたんですけど、タイムとしてはあまり良くなかったです。もう少し修正点があるかなという感じです。
――49秒台を出すためには必要なことは何だと感じていますか
レース1本1本の経験というか、練習よりもレースを大事にしていて、そういう意味できょうは関カレ前の最終調整じゃないですけど、そういう試合だったんじゃないかなと思います。
――いよいよ関カレが迫っていますが、そこに向けてどのような取り組みをしていこうと考えていますか
きょうやったところはもちろんなんですけど、あとはもう試合をやるだけだと思います。予選、準決、決勝とうまくいけばいいんですけど、修正点があれば頭の中ででしっかりと整理していければいいかなと思います。
加藤修也(スポ4=静岡・浜名)*囲み取材より抜粋
――47秒台というタイムはいかがですか
まだ改善点が見つかったりしている段階で、課題としてやってきたことをやってみて、噛み合わなかったので、増やしてきた課題を組み合わせるというのが必要だなと思いました。
――課題とは具体的になんでしょうか
絶対的なスピードがなかったので、この冬季に取り組んできました。それをもって後半の走りにつなげてというのを最近やっていたので、そこですね。
――今後、8月にロンドンで世界選手権があると思います。その前に日本選手権もあると思うんですが、日本選手権に向けてどんな課題を克服させていきたいと思いますか
周りに左右されやすい走りをしてしまっているのでそこを改善して、圧倒できるようなしっかりとした動作を身に付けていきたいと思います。
南野智美(スポ3=山口・西京)
――この大会にはどのような意気込みで臨みましたか
ユニバーシアードの標準記録を狙っていたんですけど、あまりあがっていけませんでした。練習は積めていたんですけど、私には残る課題が多かったです。
――レース展開を振り返っていかがでしょうか
後半もうちょっと粘れれば良かったんですけど追いつくことができなくて、全体的に良くない、持ち味の出せなかったレースでした。
――今後の課題はなにか見つかりましたか
ここ最近体調が悪くて走れない時期が続いていたので、まずは自分の体調がどうなのかというのをしっかりと見つめてやっていかないといけないと思います。高校の時は無理をしてもすぐかえってきていたんですけど、今はそうはいかなくて、そこを理解しないともっと上にはいけないなと思いました。今回は狙っていてこの結果なのですごく悔しいんですけど、関カレ(関東学生対校選手権)は対校戦なので絶対にベストを出してチームに貢献したいと思います。
――今後の具体的な目標ははなんでしょうか
57秒20がユニバーシアードの標準記録で私のタイムは1秒3くらい離れているんですけど、諦めているではなくて、前半遅いという課題と最後までしっかり走れていないという課題が今あるので、しっかりと走り込んで、走り込むなかでもどこで力を出すかなどをもう一回考え直して、次はタイムを出したいと思います。
西久保達也(スポ2=埼玉・聖望学園)
――今大会の位置付けというのは
ユニバーシアードを目指してタイムを狙っていきたいというのが1つありました。あとは関カレ(関東学生対校選手権)前ですので、どのくらい走れるのかを確認したかったのもあります。やっぱりタイムに重きを置いていたので、その割にはいいタイムは出なかったのかなと思います。
――きょうのご自身の調子はいかがでしたか
悪くはなかったです。でも早いペースでのレースには対応できなかったので、まだまだかなと思いました。今回は先頭が最初から速くなることは分かっていたので、それに合わせてどれだけ行けるか、どれくらい力があるのかを見たのですが、まだまだでした。
――ではレースプランは、最初から先頭についていくというものでしたか
そうですね、そこは初めから決めていました。
――今大会で見えた課題は
やはりスピードは徹底的に鍛えなければいけないと思います。あとうまく体を動かせていないのかなと。そこは練習はもちろん、動きを確認していかなければと思います。
――ではタイムレース決勝ということについてはいかがでしょうか
タイムレース決勝に関しては気持ちを作りやすかったんですが、まだまだうまくいかないなと思いました。
――では関カレに向けて、意気込みをお願いします
もう一度挑戦者というかたちで臨めたらと思います。今回も長島さん(匠、順大)に負けてしまったので、再チャレンジという気持ちで臨みたいです。
小山佳奈(スポ1=神奈川・橘)
――東京六大学対校大会に続き、大学2戦目でしたが、今大会の位置付けというのは
400メートルは六大学(東京六大学対校大会)が1戦目だったと思うのですが、今回は400メートルハードルの初戦ということで。ピークをここに合わせているというわけではないのですが、タイム的には60秒フラットか60秒を切れればいいなと思って練習に取り組んでいました。その取り組み方というのも関カレ(関東学生対校選手権)に照準を合わせていて、その過程にこの試合があると考えていました。今回のレースを振り返って、ハードルに関しては練習の仕方が悪かったのかな改めて感じました。あと61秒というのは、計画的な練習だとか、どういうところに支点を置いて練習するべきなのかというのが定まってなかったからなのかなと思っています。今週まだ木南(木南道孝記念大会)の試合が残っているので、歩数を確認して、数日間しかないのですがそこで60秒を切って関カレに合わせていければと思います。
――練習というのは具体的にどのようなことをされて、そのなにがどう駄目だと思われたのでしょうか
歩数について1人で悩んでいることが多くあって。練習で400のタイムが上がってきたのですが、なかなかそれをハードルに活かせてない部分がありました。いままで15(歩)を使ってきて、今回も16(歩)でスピードを意識したのですが、いまの体にはそれが合っていなかったのかなと思います。問題はそこかなと思います。
――60秒フラットを狙ってのことでしたが、今回のレースプランは
スピード練習をしっかりして、前半からつっこむというのを今季はやりたかったので、前半はつっこんで後半は走れる練習をしてきたとこの冬は特に自分でも思っていました。前半でつっこんで後半しっかり持つと思って今回の試合に臨みました。
――では今回のレースの課題はやはり歩数でしょうか
歩数と、200メートル過ぎてからの動きがバラバラになってしまっていたと思います。そこがまたプラスになる課題かなと思います。
――では木南記念に向けて、収穫はありましたか
たくさんありました。まずヨンパー(400メートルハードル)を問わず5月に初戦というのが初めてでした。高校のときは4月に1本走って、その様子を見て5月の主要大会に向けてやっていたのですが、4月に主要大会がなく、今回こういうかたちになってしまいました。これを機に木南(木南記念)では残り数日しかないのですが、自分の体と相談して歩数をしっかり定めていきたいです。
――では小山選手の大学での目標を教えてください
今季の目標はユニバーシアードで、学生チャンピオンを狙っています。一番大きな目標はユニバーシアードで、諦めてないのですが、その下としてはまずは関カレで優勝することと、全カレ(全日本学生対校選手権)でも優勝。まだ全国タイトルを取ったことがないので。「大学1年目から弱いね」と言われることなく、波に乗って、焦ることはないと思うのですが1年目から目標は高く、現実的な目標も含め取り組んでいきたいと思います。
――かなり充実した練習ができているということですが、大学の生活には慣れましたか
かなり慣れました。大学の練習も高校とはかなり違ってとまどうこともあったのですが、いまはもうこの環境にもなれてきたので、その慣れで記録が落ちたり、生活が乱れたりしないようにしたいです。