すっかり暖かくなり、天気に恵まれたきょう4月16日、早稲田大学競技会が早大織田幹雄記念陸上競技場で開催された。測定器のトラブルでタイムテーブルが大幅に変更になるアクシデントや、最高気温が27度を観測するなど選手にとって快適とは言えない記録会となったが、地元の中高生を始め大勢の競技者が出走した。早大からは3000メートルに新迫志希(スポ2=広島・世羅)、3000メートル障害に岡田望(商3=東京・国学院久我山)と吉田匠(スポ1=京都・洛南)がエントリー。練習の一環としての出走であったが、吉田が序盤から先頭集団に食らいつく積極的な走りで自己ベストを見事更新し、日本選手権の参加標準記録Aまであと1秒66にまで迫った。
年が明けてこれが初めての距離を踏む練習となった新迫。今回は男子3000メートルの1、3組に出走となった。1本目は初めの1000メートルを2分40秒台で通過するが、そこから徐々にペースダウン。以降は1キロあたり3分を超すペースとなり、結局8分42秒00でゴール。「8分30秒前後で2本こなすつもりだったが、1本目の時点でかなりかかってしまった」(新迫)と、2本目は8分53秒69と、設定タイムを超すことはできなかった。目標達成とはならなかったが、調子は確実に上向いていると手ごたえも感じつつある新迫。トラックで記録を残すことにこだわり、次は5月上旬の大会に臨む。
終始単独走となったが力強い走りを見せた新迫
男子3000メートル障害には岡田と吉田が出走。レースの序盤にスピードを上げる練習ということもあり、吉田は序盤から外国人選手のペースメーカー、柳利幸(平28教卒=現日立物流)に果敢に付いていく。1キロあたり2分50秒台のハイペースな中で積極的に前を追い、2000メートル地点を5分48秒で通過。この速さは吉田にとって1000メートルまでは経験したことのあるものであったが、そこからはまったくの未知の領域。ここで前に少し差を開けられるが、懸命に前を追った。ラスト1周のスパートで再び柳との差を詰めると8分51秒66でゴールへ駆け込んだ。これで自己ベスト更新、日本選手権B標準を突破したが本人は「(8分50秒を意識していたため)このタイムでは納得できない部分もある」と決して満足はしなかった。一方岡田は前半から第2集団の中で前をうかがう。ラスト1000メートルあたりで5位にまで浮上しスパートをかけたかったが、水郷で転倒してしまう。しかしすぐに立ち上がり、5着でフィニッシュとなった。
攻めの走りが光った吉田
先週の東京六大学対校大会(六大学)からトラックシーズンに突入した早大競走部。吉田は六大学に引き続き2週連続での自己ベスト更新となるなど明るい材料も多かった今大会。それぞれ目標とする大会やタイムは異なるが、互いの活躍に刺激を受けて、チームがさらに活性化するのが期待される。
(記事 鎌田理沙、写真 小川由梨香、守屋郁宏)
結果
▽男子3000メートル
新迫志希 8分42秒00(1着)
8分53秒69(1着)
▽男子3000メートル障害
吉田匠 8分51秒66(2着)自己新記録
岡田望 9分18秒92(5着)
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コメント
新迫志希(スポ2=広島・世羅)
――きょうは3000メートルを2本走られましたが、位置付けは
監督(相楽豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)と話し合って、設定タイムを目指して走るというかたちでした。こういう長い距離を走るのは途切れ途切れになっていて上手く消化できてなかったので、きょうは本当にきつかったです(笑)。(こういう練習は)この冬を通してもなかったので、ことしは初めてですね。
――ではその設定タイムは
8分30秒前後で2本こなすつもりだったのですが、1本目の時点でかなりかかってしまったので、2本目はそれに近いタイムかそれを少し超すタイムを、と思いました。
――新迫選手は前回の取材で「まだ調子が上がり切っていない」と答えてくださったと思うのですが、最近の調子はいかがですか
先週六大学(東京六大学対校大会)があって、六大学はいい感じで走れました。きょうにも(調子を)合わせてきたのですが、練習の一環で出たので。調子は確実に上向いていると思います。
――直近の試合で調子を合わせているのは
5月6日に行われる、ゴールデンゲームズinのべおかに照準を合わせて調整しています。
――では、きょうは久しぶりの長い距離の練習だったということですが、振り返ってみていかがでしょうか
いい意味で練習、悪い意味で設定タイムを越せなかったのですが、これからの練習次第でどうにでもなると思っているので、試合で結果を出せる準備は残り1カ月でしっかりしていこうと思います。
――ではことしの目標も教えていただいてもいいでしょうか
やはり去年、箱根(東京箱根間往復大学駅伝)を走れなかったので、箱根出場をして、僕は区間賞で優勝に貢献できたらと思います。
吉田匠(スポ1=京都・洛南)
――きょうのレースの位置付けは
外国人選手がいるということで、そこに付いてどこまでいけるかというレースでした。相楽監督(豊、平15人卒=福島・安積)からも、「きつくても2000(メートル)までは付いていけるように」と言われたように、最初に突っ込む、レースというよりは練習の一環というかたちでした。結果的に終盤上がらなかったのですが、最後まで走りきれたのは良かったです。
――練習の一環ということで、タイムを狙ったりはなかったのでしょうか
それもありました。最初に突っ込むといえのもあったのですが、それと並行して日本選手権の標準記録、8分50秒を目指すという位置付けでもありました。
――きょうのタイムは8分51秒66と、標準記録まであとわずかでした
8分50秒というのは意識していて、切りたい気持ちもあったので、その中で51秒というあと少しのタイムだったのは悔しかったですし、そこは納得いかない部分もあります。でも一応ベストですし、最初にあれだけのハイペースで通過したのも初めてだったのでそこはいい経験になったと思います。
――では設定タイムはありましたか
(ペースメーカーに)8分45秒で引っ張ってもらえるということで、そこは意識していました。結果的に付き切れなかった部分は悔しかったです。
――では前半のそのハイペースについては
1000メートルまではあのくらいのペースで行ったことは高校時代にもあったのですが、その後の2000とかは落ちてしまって3分かかったりしたのですが、きょうは1000から2000も2分台で、5分51秒での通過でした。そういうレースはできて良かったです。
――早大に入学してからの、ご自身の走りはいかがでしょうか
いままでで2試合出て両方ベストで、足も痛いところは特にないので、調子としてはいいとは思います。でもベスト続きで足に負担は来てると思うので、そこはしっかり考えて自分の体と相談して、これからも調子を上げていきたいと思います。
――入学してからの新しい環境はいかがですか
同じ学年でもけっこう仲良くなりましたし、先輩方も優しくしてくれるので、ようやく慣れてきたかなという感じはします。
――では、吉田選手の今シーズンの目標をお願いします
まずトラックでは関カレ(関東学生対校選手権)になると強い選手と多いので、その中で勝負して上位入賞を目指していきたいです。駅伝でも、三大駅伝に出場したいと思うので、1年目から攻めの姿勢でいろいろな大会に出たいと思います。
――次戦の予定は
次は5月入ってすぐの法政大記録会に出場します。その次に関カレというかたちになります。